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試し読み
「やあ、だめ、見ないで、そんなところ……っ」
男が密やかなため息をつくのが聞こえる。
「ああ――なんて初々しい――若草まで蜜色なのだね――花びらは、慎ましい薔薇の蕾のようで、ピンク色で――」
全身が硬直する。
「言わないで……っ」
そんな描写を口にしないで欲しい。羞恥で気を失いそうだ。
「ここを男に見せるのは、初めてだね?」
口がぱくぱくするが、声も出ない。ぎゅっと目を瞑ったまま、こくんとうなずく。すると、太腿はざまに熱い呼吸を感じた。ぎくりとして両脚を閉じ合わせる前に、膝裏を摑まれ、両脚がM字型に持ち上げられる。
「ああいやぁ、やぁっ」
秘裂にふわりと男の息がかかると、隘路の奥に痒いような焦れるような疼きが広がり、自分の反応に混乱して、身動きを忘れてしまう。
「ああいやらしい蜜が溢れてきたよ――」
股間で男がつぶやく。
ぬるりと熱い舌先が秘裂をなぞってきた。
「はぁあ、や、やあ、あっ」
腰がびくんと大きく跳ねた。その瞬間、痺れるような快感が全身に走った。
「――ここが感じるんだね」
ぬるつく舌が、襞を押すようにして丹念に上下に動く。
そんなところを舐めるなんて――信じられない。ショックで目眩がする。
それ以上にショックなのは、その行為に甘く感じてしまった自分の身体だった。
「だ、め、汚いです、だめだから……ぁ」
目を瞑ったまま、両手を下ろして男の頭を押しのけようとした。だが、尖らせた舌先が、性器のどこか上の方の引っかかる部分をくりっと抉った刹那、全身にびりびりした痺れが走り、目を見開いてしまう。
「ひいぅ、ああぁ、ああっ?」
「この小さな突起が、君の一番感じやすい箇所だね」
ロロットの顕著な反応に、エルネストは執拗にそこばかり舐め回す。
怖いのか、気持ち好いのか、痛いのか、むず痒いのか、なんだかわからないものすごい刺激に、ロロットは背中を弓なりに仰け反らせ、悲鳴を上げた。
「や、なに? これ、だめ、そこだめ、だめです、だめぇっ」
くぷりと淫らな音とともに、隘路の奥から粘っこい液が溢れてくるのがわかる。エルネストはその淫蜜を啜り上げると、敏感な突起にちゅうっと音を立てて吸いついた。
「は、あ、あぁ、ああぁぁっ」
目が眩むような快感が脳芯を直撃した。目の前にちかちかと花火が瞬く。
エルネストは鋭敏な突起を吸い上げたり、舌で転がしたりして、縦横無尽に責め立ててくる。
こんなのいやだ。死にたいほど恥ずかしい。こんないやらしい声も出したくない。怖い、自分が自分でないようで、怖い。
なのに頭が酩酊したように喜悦で霞み、腰ががくがく痙攣するのを止められない。隘路の奥が痛むくらいに蠢き、なにかに追いつめられていく。
「も、許して……あぁ、おかしく……あぁ、変なの……私、私……っ」
恥ずかしい声を止めたくて、拳を口元に当てて押さえようとするが、声を出していないと気を失ってしまいそうで、食いしばった歯の間からひゅうひゅうと淫らな声が漏れてしまう。
突起を舐りながら、エルネストの長い指が秘裂の中心に突き入れられた’。
「ふ、ぐぅ……っ」
狭い隘路が内側から押し広げられる感覚に、息が詰まる。
「すごく狭い――指一本がやっとだね」
くちゅくちゅと淫猥な音を立てて、エルネストの指がゆっくり抜き差しする。そのいやらしい音がどんどん大きくなるので、耳を塞ぎたい。いっそもう、気を失ってしまいたいくらいだ。
「あ、あ、はぁ、あ……」
指がじりじり奥に侵入してくる。愛液でしとどに潤っているせいか、痛みはないが、その異物感に恐怖が走る。なのに突起を吸われる圧倒的な快感が、それを上回ってしまい、ただもう悩ましい声を上げて身悶えることしかできない。
奥まで押し入れられた指が、鉤状に曲がってぐちゅぐちゅと内部を掻き回してきた。
「すごい、蜜が溢れてきた」
「や、あ、だめ、あ、ぁ……」
じゅぶっと大量の愛蜜が吹き出すのがわかる。すでに股間はぐっしょりと濡れて、多分エルネストの顏もはしたなく汚しているのでないだろうか。でも、もう抗う気力は失せ、ただ早く、解放して欲しい。
「……願い……お、願いです、も、もう、許して、あぁ、お願い……」
ひくひくと白い喉を震わせて懇願する。
エルネストがわずかに顔を上げ、こちらを見上げている熱い視線を感じる。
「可愛いね――初心なのに感じやすくて、とても素直な身体だ」 -
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