書籍紹介
黒狼辺境伯と虐げられ姫の蜜月婚~悪名高き夫はまさかの溺甘愛妻家!?~
黒狼辺境伯と虐げられ姫の蜜月婚~悪名高き夫はまさかの溺甘愛妻家!?~
ISBN:978-4-596-72032-0
ページ数:290
発売日:2024年12月3日
定価:740円+税
  • あらすじ

    今宵、あなたを手に入れる
    表現ベタな旦那さまの、キャパ超えの甘やかし!

    不遇の王女チェチーリアは、暴虐なクラウディオへ嫁がされた。継母の女王の嫌がらせだ。だけど「ここはとろとろだ。気持ちいいか?」彼の愛撫は情熱的で、荒んでいた心と体を溢れる愛情で潤してくれた。噂と違い誠実で優しい夫との生活に幸せいっぱいのチェチーリアだが、亡き母の形見を彼がなぜか持っていて!? 更に継娘の幸せを聞きつけた女王が…。

  • キャラクター紹介
    • チェチーリア
      冷酷な辺境伯へ嫁がされてビクビクしていたが、夫の優しい内面に触れて!?

    • クラウディオ
      暴虐と悪名高い「黒狼伯爵」。チェチーリアとの結婚を画策したのにはある理由が!?

  • 試し読み

    「チェチーリア、チェチーリア」
     声をかけて探しているようだ。どうしよう。大事な初夜に逃げ隠れするなんて、クラウディオは気分を害したに違いない。
     湯船で温めた身体がしんしんと冷えてくる。ふいにくしゃみが出た。
    「くしゅん」
     直後、パッと洗面所の扉が開いた。
     クラウディオがまじまじとこちらを見ている。ガウン姿で、湯上がりなのか洗い髪が額に乱れ、昼間より若々しく見えた。
    「そこで何を、している?」
     じろりと鋭く見下ろされ、
    「ぅ……ぁ」
     チェチーリアは答えられず視線を泳がせた。
     と、やにわにひょいと横抱きにされ、まっすぐ暖炉の前に連れて行かれた。
    「こんなに冷えて」
     クラウディオは自分のガウンを脱ぐとそれでチェチーリアを包み、暖炉の前の毛織りの敷物の上に座らせた。そしてぎゅっと抱きしめてくる。
    「風邪を引いたらどうする? なぜあんなところに隠れていた?」
     詰問口調で言われ、チェチーリアは声を失う。チェチーリアが答えないので、クラウディオは憤懣やる方ないといった顔になる。
    「私と同衾することが嫌だったのか? それならそうはっきり言え。私はあなたが嫌がることはしないと言ったろう?」
     そう言いながら、彼は両手でチェチーリアの身体を擦って温めようとする。彼の声色には怒りというより、哀切な響きがあった。
     チェチーリアは消え入りそうな声で答えた。
    「いや、ではなくて……」
    「なくて? なんだ?」
     クラウディオは顔をのぞき込み、視線を捉えようとする。
    「こ、わい……の」
    「私が怖いのか?」
    「ち、がいます……その……することが……私、なにもわからないから……すごく怖くなって……」
     恥ずかしさに顔が真っ赤に染まっていくのがわかる。
    「──」
     クラウディオがじっと見つめている。その視線が柔らかくなる。
    「それで、かくれんぼか」
    「ごめんなさい……」
    「いや──当然だ」
    「え?」
     意外な言葉に顔を上げると、クラウディオの目が笑っているみたいに細まっていた。
    「無垢なあなたが怯えるのは当然だ。あなたは嘘がつけぬのだな。素直でひたむきで──」
     その後になにか言いたそうにしたが、クラウディオは黙ってぎゅっとチェチーリアを抱き寄せ、洗い髪に顔を埋めた。怒ってはいないようだ。頭の上でくぐもった声が聞こえる。
    「──無理強いはしない。あなたが心を決めるまで、私はいつまでも待とう」
    「え?」
     夫婦の営みをしなくてもいいというのか?
    「私たちにはこれからたくさん時間がある。大事な初めてを嫌なものにして、あなたを傷つけたくはない」
     朴訥だが誠実な言葉に、胸がじんと熱くなる。
     クラウディオは髪に口づけを繰り返した。その感触に、もう寒くはないのに背筋がぶるりとおののいた。
     クラウディオの唇が、額から目尻、頬に下りてくる。口の端まで来ると、ぴたりと止まった。心臓が高鳴る。
    「キスは、いいか?」
     低く艶めいた声でささやかれると、甘やかな期待が全身を駆け抜ける。コクリとうなずくと、すぐに唇が塞がれる。
    「ん……」
     小鳥が啄むような口づけを繰り返され、その心地よさに身体の強張りも解けていく。男の長い指先がうなじから耳の後ろあたりをさわさわと撫でると、擽ったいような疼きが背中を走り抜けていく。
     ぬるりと唇を舐められ、誘われるように口が開いた。
     熱い舌が滑り込んでくる。舌を搦め捕られ、思い切り吸い上げられると、脳芯が官能の痺れにとろりと蕩けた。
    「んんぅ、んん……っ」
     息苦しさと心地よさに、頭の中がぼうっとしてくる。
     くちゅくちゅと舌が淫らに擦れ合う音が耳奥を犯し、身体の芯が熱く火照ってくる。クラウディオの左手は顔に添えられ、右手が背中を優しく撫で摩【ルビ:さす】る。
    「ふぁ……は、はぁ、あ……」
     クラウディオの舌は、チェチーリアの口腔を味わい尽くす。彼の濃厚な口づけに翻弄され、胎内に眠っていた官能の興奮が呼び覚まされる。
     背中をねっとりと撫でていた手が、おもむろに胸元に伸びた。まろやかな乳房をそっと掴まれた。
    「んぁっ……」
     初めて胸に触れられたことに驚き、目を見開くが、やわやわと優しく揉みしだかれる行為に不快感はなかった。
    「胸に触れてもいいか?」
     口づけの合間に、掠れた声でささやかれ、素直にうなずく。
     彼の指先が服地の上から探り当てた小さな乳首を掠めるように触れてくると、むず痒いような甘い痺れが下肢に走った。
    「ふ、あ、あ、は……」
     未知の刺激に思わず身を捩る。だが、どういう仕組みなのか触れられるたびに乳首がツンと硬く尖ってきて、布地をくっきりと押し上げた。そこをくりくりと指先で抉られると、自分のあらぬ箇所がきゅうっとせつなく締まった。
     クラウディオの無骨な指が、信じられないくらい繊細な動きで、鋭敏になった乳嘴を触れるか触れないかの力で撫で回す。そのたびに、未知の甘い痺れが媚肉をきゅんきゅん疼かせ、居ても立ってもいられない気持ちになる。
    「ふぁ、ふ、は、はぁ……ん」
     舌を貪られているのでくぐもった声しか出せず、喘ぎ声が抑えられると逃げ場を失った官能の刺激が、下腹部にどんどん溜まっていくようだ。
     太腿の狭間がやるせなくわななくのを止められず、もじもじと内腿を擦り合わせてしまう。
    「気持ち悦くなってきたか?」
     ようよう唇を解放したクラウディオは、甘い低い声を耳孔に流し込んでくる。すでに性的快感を感じていたが、恥ずかしさが先に立ってそんなことは言えなかった。
    「んぁ、あ、わ、わかりません……」
    「でも、嫌ではない?」
     クラウディオはチェチーリアの薄い耳朶を甘噛みしながら、きゅうっと凝った乳首を摘み上げた。
    「ひぃんっ……」
     痛みより強い快感に襲われ、びくんと腰が浮いた。
     クラウディオがそろそろと寝巻きの裾を捲り上げ、チェチーリアの足の甲から膝、太腿へとゆっくりと撫で上げてきた。ざわざわと鳥肌が立つような感覚が背筋を駆け抜ける。
     内腿の柔らかな箇所を撫で回されると、自分の恥ずかしい箇所がきゅんと締まる。どうしてそんなところがせつなく疼くのか、無垢なチェチーリアは見当もつかない。
    「これは嫌ではない?」
    「は、はい……」
    「もっと奥に触れても?」
     下穿きを着けていないそこは、無防備だ。秘所を人前に晒すのも、触れられるのも生まれて初めての経験だ。だが、焦らすように鼠蹊部をそろりと撫で回されると、媚肉がひくひく収縮して、さらなる刺激を渇望する。
    「そんなところ、恥ずかしい……」
    「嫌ではない?」
     心臓がドキドキ早鐘を打つ。
     恥ずかしくて堪らないのに、もっと触れてほしいという欲求に逆らえない。
    「す、少しなら……」
     消え入りそうな声で答えると、耳元でふっと笑われたような気がした。
    「少しだけだ」
     つつーっとクラウディオの指先が薄い恥毛を撫でた。擽ったいような心地よいような甘い刺激に、背中が仰け反る。
     クラウディオの指先が、閉じ合わさった花弁に触れてきた。
    「あっ……」
     チェチーリアはびくりと身を竦ませた。
     クラウディオは指の腹で、そろそろと割れ目を撫で上げ、撫で下ろす。初めは擽ったさと気恥ずかしさが先に立っていたが、次第に疼くような甘い痺れが増幅してきて頭が混乱してくる。
    「んっ、あ、や、だめ……そんなところ、触っちゃ……」
    「嫌かい?」
     クラウディオは右手で陰唇を撫でながら、左手でチェチーリアの乳首をいじり続ける。
     彼の指が次第に滑らかに動くようになって、そこになにか溢れているのを感じた。
     はっきりと心地よいと感じる。だが、淫らな感覚に意識が支配されてしまうのは、まだ怖かった。
    「だって、へ、変な気持ちに……い、いやらしい気持ちになって……」
    「でも、濡れている」
    「ぬ、濡れ……?」
    「あなたが私の手で気持ちよくなっているという証拠だよ」
     ふいにクラウディオの指先が、花弁をくちゅりと暴いた。
    「はぁっ」
     疼く箇所に触れられて、腰が震えた。
    「ほら、ここがもうとろとろだ」
     クラウディオの指が綻んだ蜜口を軽く掻き回すと、くちゅくちゅと粘つく音が立った。
    「あ、はぁ、あ、だ、め……ぇ」
     触れられた箇所から淫らな快感が湧き上がり、悩ましい鼻声が止められない。自分の身体の奥から、とろりと新たな甘露が溢れてくる。
    「これは、気持ちいい?」
     耳孔に熱い息を吹き込まれると、ぞくぞくした快感が全身に拡がっていく。もう、拒めないと思った。
    「んんぅ、ん、は、い……」
     小声で答える。
    「では、これは?」
     クラウディオは指先で溢れる淫蜜を掬い取ると、割れ目の上辺に佇む小さな突起に塗り込めるように優しく触れてきた。刹那、雷に打たれたような凄まじい衝撃が一瞬で全身を駆け巡った。
    「ひぅっ、あ、ぁぁあっ?」
     チェチーリアは目を見開き、大きく腰を浮かせた。
    「感じるんだね?」
     クラウディオは濡れた指で、小さな蕾をゆるゆると擦った。甘い痺れが次から次へと襲ってきて、腰から下がトーストの上のバターみたいに溶けてしまうかと思った。
    「あ、あ、あ、そこ、あ、だめぇっ」
     濃密な快感に耐え切れず、チェチーリアは身を捩ってクラウディオの愛撫から逃れようとした。だが、充血し切った秘玉を撫で回される愉悦はあまりにも苛烈で、子宮までもきゅうっと痺れさせる。やめてほしいと思うのに、腰はもっとしてほしいとばかりに猥りがましく前につき出てうごめいてしまう。
    「だめか? もっとしてほしいか?」
     クラウディオは聞いたこともないような淫靡な声でささやき、指の動きを加速させる。
    「はぁ、は、あ、あ、あぁ、あ、あぁん」
     はしたない喘ぎ声が止められず、両足から力が抜けて、だらしなく開いてしまう。隘路からどんどん愛蜜が溢れ、クラウディオの手をはしたなく濡らす。
    「これは、感じる?」
     クラウディオが指の動きを変化させる。
     充血し切った花芽に指を押し当て、小刻みに揺さぶってきた。官能の源泉を直に刺激されるような強烈な快感に、意識が朦朧としてくる。
    「あぁあ、あ、だめぇ、それ以上、しちゃ……あ、っぁあ、あぁ」
    「嫌かい? 続ける? 終わりにする?」
     クラウディオが耳の後ろを硬い鼻梁で撫で回してきて、そのひんやりとした感触にも感じ入ってしまう。
    「いや……もう、おかしく、なるからぁ……」
     チェチーリアはいやいやと首を振る。これ以上刺激されると、理性が崩壊しそうな予感がした。
    「おかしくなっていい、チェチーリア、おかしくなってごらん」

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