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試し読み
「緊張しないで」
しゅるっと寝巻きの帯が解かれる。
薄い寝巻き越しに、浅い呼吸に上下している乳房の形がくっきり浮き出て、恥ずかしくてならない。乳房の頂が硬くつんと尖って薄い布地を押し上げて、それもいたたまれない。
「見せておくれ」
クリスティアンの両手が、前開きの寝巻きのボタンを素早く外していく。
自分の裸を異性に見せるなんて、生まれて初めての経験だ。
脈動がばくばくいい、食いしばった口の奥で歯がかちかち小刻みに震える。
すっかりボタンが外れ、はらりと寝巻きが左右に開かれた瞬間、ぎゅっと目を瞑ってしまう。
「――」
クリスティアンが密やかに息を飲んだ気配がした。
「綺麗だ――生まれたての海の泡の女神みたいだ」
恥ずかしくて両手で顔を覆ってしまう。
「あまり……見ないでください」
「どうして? こんなに無垢で完全な美を、私は見たことがないよ」
そう言いながら、クリスティアンの手が寝巻きを完全に剥いでしまう。
「あ――」
今、一糸まとわぬ姿を晒しているのだ。
恐怖と緊張で、鳥肌が立つ。
「手を離して――君の顔が見たい」
滑らかな声で言われ、おそるおそる両手を外す。
ほのかなオイルランプの灯りのせいか、クリスティアンの表情は穏やかでなおかつ少しだけ色っぽい。
潤んだ目で見上げると、彼が微かに頷いたようだ。
「美しい目だ――私に幸福を呼び込む、金目銀目の君」
ふいにクリスティアンの両手が伸ばされ、フレデリカのお椀型の乳房をすっぽりと包んだ。
「あっ……」
温かい手の感触に、びくりと身体が竦む。
クリスティアンはかまわず、柔らかさを確かめるみたいにゆっくりと乳房を揉みしだく。
「ん……」
長い指が驚くほど繊細に乳房を愛撫する。少し怖いけれど、不思議と心地よい。
しかし、彼の指先が尖り切った乳嘴をくりくりと抉るようにくすぐると、不可思議な甘い痺れが走って、思わず声が出た。
「あっ、あ?」
「ここは薔薇の蕾みたいに可愛いね、でも、随分と敏感だ」
クリスティアンが凝った乳首をきゅっと摘み上げたり、掠めるように指の腹で擦ったりするたび、むずがゆいような心地よいような感覚が下腹部に走る。そして、下腹部の恥ずかしい箇所が、きゅんとせつなく締まってしまう。
「や……あ、やあ、だめ、そんなに、しないで……」
お臍の奥がむずむず落ち着かず、腰が意図せずくねってしまう。
「どうして? 気持ちよくなってきただろう?」
「ん、ん、わかりません……あ、あっ」
熟れてきた乳首をこりこりと指の間で転がされると、腰の奥がじんわり甘く痺れ、居ても立ってもいられないような心持ちになる。
「可愛い声を出すね――」
ゆっくりとクリスティアンが顔を近づけてきた。
彼の熱い息が頬にかかっただけで、ぞくりと背中が震える。
「もっと気持ちよくしてあげる」
耳元で吐息とともに囁かれ、なんだかたまらない気持ちになる。
クリスティアンはたわわな乳房を両手で掬って持ち上げると、おもむろにそこに顔を埋めてきた。
「あ、あっ、あっ?」
なにかぬるりと熱いものが、鋭敏な乳首に触れてきて、直後、舐められているのだと悟る。
「あっ、あぁ、ん、いやぁ……っ」
ぬるぬると口腔内で飴玉みたいに乳首が転がされ、せつない疼きがさらに全身に広がっていく。
ふいにちゅうっと音を立てて凝りきった乳首を吸い上げられた。
「や、いやぁ、あ、あぁっ」
甘い痛みと痺れが、なぜか心地よくて、下腹部の奥がずきずきするほど脈打ってくる。
「やだ……やめて……しないで、あ、あぁ、あ……」
焦れる疼きに耐え切れず、いやいやと首を振って逃れようとするが、大きくてたくましいクリスティアンの身体が体重をかけておおいかぶさっているので、びくとも動けない。
「なんてそそる声で啼くんだろう――たまらないよ」
乳房の狭間から顔を上げたクリスティアンが、こちらの表情をうかがうように見上げる。青い双眸が、今まで見たこともないような淫靡な光をたたえていて、射すくめられてしまう。
その間も、悪戯な指はひりつく乳首を摘んだり揉んだりするのを止めない。
「ふ、ぁ、こんな声……恥ずかしいのに……ぃ」
頬を上気させ、フレデリカは必死で唇を引き締めようとするが、再び顔を埋めたクリスティアンが、今度は歯を軽く立てて甘噛みしてくると、心地よい痺れが背筋を走り抜け、腰からしたら蕩けそうになった。 -
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