書籍紹介
氷の財閥総帥とニセモノ令嬢の極甘婚~秘められた執着愛にからめとられて逃げられません~
氷の財閥総帥とニセモノ令嬢の極甘婚~秘められた執着愛にからめとられて逃げられません~
ISBN:978-4-302-10969-2
ページ数:306
発売日:2025年12月3日
定価:800円+税

イラストちら見せ!

  • あらすじ

    お前みたいな女は初めてだ。片時も離れたくない
    替え玉見合いなのに、求婚&溺愛されて!?

    ある令嬢を装って見合いに臨み〝お断り〟されることーー親の不始末の尻拭いとして妙なミッションを課されたありすに、お相手の晶磨は「お前と結婚する」と即決!? 体の相性確認とは思えないほど情熱的に抱かれてあられもない反応を引きずり出されて…。正体がバレる前に破談にしなければ。そう思うのに、溺愛されて彼を知るほどにずっと傍にいたくなって――!?

  • キャラクター紹介
    • 藤原ありす(ふじわら)
      しょうもない両親のせいで人生詰んでる不幸体質女子。替え玉見合いを頼まれて!?

    • 神宮寺晶磨(じんぐうじ しょうま)
      氷のプリンスと呼ばれる御曹司。数々の見合いを断ってきたのにありすを選び!?

  • 試し読み

    「心配するな。不快な思いはさせない」
    「わたしよりも晶磨様が……ひゃっ!」
     脚のあいだに訪れる、新たな感触。ねっとりしたものが秘裂を這いまわり、潤沢すぎる蜜を回収している。
     それは、晶磨の舌だ。
    「しょっ、しょうまさまっ、ダメっ、です、そんなこと……やぁぁんっ……」
     止めに入ろうと手を伸ばしたものの、緩急をつけた絶妙な舌戯がそれを許さない。動くなと言わんばかりに加えられる刺激は、ありすがおとなしくなるのをわかっていてやっているかのよう。
    「駄目ではない。俺がしたくてしている。いやではないのなら、そのまま感じていろ」
    「は、はぃ……ハァ、ぁぁっ、ンッ……」
     伸ばした手は行き場を失い、そのまま体の横でシーツを掴む。
     晶磨の意思でしているということは、彼も少しは劣情に駆られてありすを抱こうとしているのだろうか。
     ただ、相性を確かめるという義務的な事情だけではないと……。
    (わたしに……?)
     高貴で徳がありそうな彼のような男性が、自分に欲望を向けてくれるなんて、信じられない話だ。
     詰み詰み人生、果ては風俗で枯れ堕ちるか言葉もわからない異国に売られるかで終焉だと覚悟したこともあったというのに。
     ぬったりと動く舌の感触は心地よく身体に響き、生まれてこのかた感じたことのない未知のもの。
     考えるだけでも恥ずかしくなる行為が、こんなにも心と身体を高めてくれるものだったなんて。信じられない。
    「あっ、ぁ……ァンッ……」
     ぴくんぴくんと腰が跳ねてしまうのも自分では制御できない。もしかしたら晶磨の行為の邪魔になるのではと思っても、どうにもならないのだ。
     脳の伝達を拒むほど、身体がこの淫猥な行為に夢中になっている。おなかの奥から熱いものが伝ってきて、脚のあいだで弾けては蜜をしたたらせお尻の谷間を濡らした。
     確か晶磨は、愛液の分泌が大量だからありすも気持ちが悪いだろうと気遣って、このような行為に及んでくれたはず。
     それなのに感じまくってゴボゴボと出していたら、本末転倒ではないか。
    「すみま、せん……ぁぁっ、ぅんっ、わたし、こんなに……」
    「なにを謝っているのかわからない。おまえが感じているのならそれでいい」
    「でも、やっぱり入浴はしておいたほうがよかったですね……あぁっ」
    「いや、感じている熱も匂いもストレートに伝わってきて、このほうがいい。俺に気を使っているようだが、気にするなと言わなかったか?」
     ――――本当に、なんていい人なんだろう。
     自分のことより他人のことを考えてくれる、こんな素晴らしい男性に出会えるなんて。これから一生ぶんの幸運を、この夜にすべて使い果たしてしまうとしても悔いはない。
     感動と快感で盛り上がったありすの口は、盛大に滑る。
    「匂いとか熱とか、こんなことしているときに言っちゃったら変態くさいですけど、晶磨様だから許されるって感じですよね」
     あまつさえ、アハハと笑ってしまってから……。
    (……もしかして、なんか言ってはいけないこと言ってないか、わたし)
     と、気づくものの、時すでに遅し。
     とある一点で止まった晶磨の舌先が、そこにある小さな秘珠をぐにゅっと押し潰したのである。
    「ひぁ、あっぁ!」
     なんともいえない重く甘美な電流が弾け、大きく下半身がはね上がったのと同時に腰が逃げそうになる。が、素早く晶磨に掴まれシーツに押しつけられた。
     彼の舌は快感の塊を嬲り続ける。おなかの奥がじんじんしていても立ってもいられず、ありすはただ上半身をくゆらせ両足の裏をシーツにこすりつけた。
    「あぁぁっ! 晶、磨、さまっ、ダメェ……お腹、苦し……やあぁぁんっ……!」
     唇が肉の芽を捕らえ、押しつけながら吸い上げる。溜まるもどかしさを吸い取ろうとするかのよう、じゅるじゅると音をたててすするさまが雄々しすぎて、想像するだけでありすの官能が弾け飛ぶ。
    「ああっ……もぅっ、すっごく素敵ぃ――!」
     いきなり高いところへ意識が持ち上げられて、……ふわぁっと静かにたゆたう。
     いい気持ちすぎて心臓が止まってしまいそう……。
     頭の中は真っ白になってくるし、本当にこのまま止まってしまうのでは。ぼんやりとそんな考えがよぎりもしたが、ありすの意識は濃厚なキスで引き戻された。
    「ん、んっー!」
     意識が戻った瞬間、唇を貪られているという驚き。王子様の口づけで目を覚ましたといえばロマンチックだが、かの有名な御伽噺のお姫様も心臓が止まるくらい吃驚したに違いない。
    「おまえ、面白いイきかたをするな」
    「は……イき……」
    「まあいい。気持ちよさそうでなによりだ。芝居ではなさそうだし」
    「芝居って、とんでもない。……すごく、気持ちよかったです。なんていいますか、こうふわふわして……息苦しかったりじれったいのもまた熱が溜まるというか」
     口に出していたら、つい先ほどまでのことがよみがえってくる。全身をめぐる官能が、こんなにも幸福感をもたらすなんて。
    「こんな素晴らしい経験をさせていただけるなんて……、晶磨様には感謝というか感動さえ覚えます。もう、人生の大恩人です。わたし、晶磨様になら『気に入らなかったから』って異国に売られても堕ちるところまで堕とされても、むしろ幸せです」
     感動をそのまま口に出していたのだが、なにを言っているのかわからなくなってきた。
     おかしなことは言っていないだろう……と思うので、よしとする。
    「売らないし堕とさないから安心しろ。おまえのたとえは想像を超える」
     想像を超えるなんて言うわりには、晶磨も平然としているし声のトーンにも変化はない。ボロが出るようなことは言っていない……はずだ。
    「だいたい、こんないい反応ばかりしておいて、なにを言っている」
     晶磨が呟きながらベッドを下りる。トラウザーズに手をかけたのはわかったが、ぼんやりとするあまり目をそらすことができなかった。
     ぼんやりしているというより、見惚れてしまうのだ。
     晶磨の容姿は、もちろん見惚れるに値する。しかしそれ以上に彼の人柄が素晴らしすぎて、ありすの心を惹きつけずにはいられない。
     ただでさえ幸せな感情というものに慣れていないのに、晶磨に会ってから幸せホルモンが出血大サービスで分泌されている。大サービスすぎて貧血になりそう。
     ベッドサイドテーブルのトレイから小さな包みを手に取り封を開いた晶磨は、そこでやっと、ありすの視線に気づいた。
    「そんなに見張っていなくても、避妊はするから心配するな」
     先のことなど考えていなかったものの、いよいよ山場の行為に移ろうとしていたらしい。避妊具を肝心なものに施そうというときにジロジロ見られるのは、やはりいやなのだろう。
     ただでさえハジメテの女を相手にしてつまらない思いをさせているのに、それ以上に彼を不快にさせてはいけない。ありすは両手で目を覆う。
    「心配だなんて、そんな、晶磨様に心配を感じる要素なんてなにひとつございません。わたしごときにまでそんなお心遣いをくださる菩薩のような方ですのにっ」
    「心遣い? なにを言っている、菩薩じゃなくたって大切なことだろう」
     ベッドが沈み、晶磨が近づく気配を感じる。両手首を掴まれ顔の横で押さえられた。
    「だが、婚姻を結んだ暁にはそこは省略だ。妻になれば跡取りを生す重大な役割がある」
    「は……はぃ」
     返事だけは反射的に口をついて出るものの、内容についてはあまりよく考えられない。婚姻を結んだ暁といっても、結ぶことにはならないのだから考える必要もない。
     そんなことよりも、艶を孕んだ晶磨のご尊顔が美しすぎて視線も思考も目の前に釘づけだ。
    「綺麗ですね、晶磨様」
    「なに?」
    「わたし……晶磨様みたいな綺麗な人、初めてです。ありがとうございます」
    「……おかしなことばかり言うな、おまえは」
     一瞬、彼が照れくさそうにした……気がしたが、気のせいだろう。
     彼のような人物が、平民のたわごとに照れるはずなどない。
     それよりも気になってきたのは、脚の付け根にあたる熱い塊の存在だ。
     先ほど目がそらせないままに見てしまった限りでは「え? コレが人体に入るとか、なにかの間違いですよね?」と言いたくなる大きさだったので、正直、入らないで終わるのではないかと思いはじめている。
    (さすがです、晶磨様。高貴でお心が広い晶磨様は〝しょうまくん〟もご立派でいらっしゃる)
     心の裡で両手を握り合わせ、心おだやかに晶磨を崇める。が、じきにそれは焦燥感へと変わっていった。
     吞みこむに吞みこめない大きなものが、自分の中に入ってこようとしている。それも、引っかかっているのではなく、ぐわっと大きく入り口を広げて滑りこもうとしているのを感じるのだ。
     入るわけがない。そう思っていたのに、入りそうになっている……ほぼ入ってくるのが確定という雰囲気。
     熱を放った先端を、膣口が吞みこんだ。強い圧迫感とシンクロするのは、大きな飴玉が喉に詰まった幼き日のいやな思い出。
     あのとき喉の力を抜けばポトッと落ちるのではないかと子ども心に考えたが、息を吸おうと頑張りながら上を向いて飛び跳ねたせいか、出ていくどころか器官を進んでいった。
     今も同じで、大きさに驚いて下半身の力が抜けたが、抜けるどころか、ずりゅっずりゅっとリズムをつけて進んでくる。
    「あっ……ぁあっ!」
     圧迫感で息ができない。狭窄な隘路を拓く鏃が、不思議なくらいずるずると這い上がってくる。
    『ちょっとぉ、この子、飴詰まらせてない?』
    『マジ? 顔真っ赤じゃん、おもしれー』
     両親は笑っていた。幼いときから、それが普通の環境だった。
     子どもが喉を詰まらせたら普通の親は慌てるのだと知ったのは、公園で幼児がおもちゃを口に入れる騒ぎがあったときだ。
     ありすの人生、助けてくれる人など……いない。
     これからだって……。
    「おい、大丈夫か? 痛みは?」
     聞こえる言葉が自分にかけられているものだと、最初は気づかなかった。
    「ちゃんと息をしろ。苦しくなる。ほら……」
     頬を撫でるあたたかい手、ひたいに触れる唇、感じる吐息は上ずっているのに不安を感じさせないもので、頼ってしまいたくなる安心感のある声……。
    「なにも怖くない。息を吸って……ゆっくりでいい」
     ――――助けてくれようとしている……?
     目の前にあるのは、艶やかで凜々しくて、とても優しい……晶磨の瞳。
     しっかりとありすを見つめ、この不安から救い出そうとしてくれている。
    「晶、磨……さまぁ……」
     両手首を掴んでいた晶磨の手が重なってきて指に絡む。その力強さに胸が熱くなって、ありすも握り返した。
     感動にも似た、この感情はなんだろう――。
    「吸って……。そうだ、ゆっくり吐いて。長めに、落ち着いて吐いて」
     晶磨の指示に従い呼吸を繰り返す。
     焦燥感が消えていく。不安や苦しさも薄らいで、身体を貫く熱が幸せなものに思えてくる。
    「素直に聞けて偉いな。おまえが力を抜いていてくれたおかげで、俺も難なく繋がれることができた。礼を言う」
    「そんな……おれいだなんて……」
     挿入の圧迫感にトラウマがフラッシュバックしたせいで力が抜けてしまったが、それはいいことだったらしい。
     思いだして楽しいことではないし、考えないようにして生きてきた自分の立ち位置を思い知らされる。
     それでも、なにか晶磨の役に立てたのだと思えば、ふつふつと喜びが湧き上がってくるのだ。
    「助けてもらえたのは……わたしのほうで……。ありがとう、ございます……」 
    「おまえが礼を言うのもおかしい。痛みで苦しくなって息を止めたのだろう。今はどうだ。先ほどよりは引いたか?」
    「痛み……、あっ」
     それが〝破瓜の痛み〟であると、やっと思いつく。初めて性的な経験をするとき、かなりの痛みに見舞われるというのは一般常識だ。
     圧迫感とトラウマに意識がもっていかれて、そのことを忘れていた……。
     今も脚のあいだに熱い塊の存在を感じるが、繋がった部分が痛いのか、晶磨自身が熱すぎるのかよくわからない。
     チリチリとした火傷にも似た痛みがあるような気もするが、それよりも蜜路の充溢感が強いので感覚がすべて持っていかれる。
    「痛いより……晶磨様と繋がっているっていう感覚のほうが強いです……」
    「そんなに強いか?」
     晶磨がゆらりと腰を揺らす。隧道で留まっていたものに媚襞が反応したのか、とたんにじんじんと疼きはじめる。
    「はぃ……すごく、あっ、ぁぁ」
    「とても反応がいい。痛みに関してはそれほど気にしなくても問題はないか?」
    「ない、です……むしろ……あぅぅん」
     痛みとか気にしないで、もっと刺激を与えてほしい。
     そんなことを考えてしまうのは、繋がった部分から発生する疼きが、つらいものというより新たな刺激を求めて焦れていると感じるからだ。
    「むしろ? なに?」
     ビューティフルクールフェイスの口角が上がった気がしたが、おそらく気の迷いだ。彼の別の表情を見てみたいと本能で思ってしまったに違いない。
     ゾクゾクするくらい素敵だったと直感的に感じるのも、晶磨ならばどんな表情を作ってもカッコいいという先入観があるから。
    「晶磨様……いじわるですよ……。恥ずかしいこと、言わせようとしないでください……ンッ」
    「ほう? 恥ずかしいことを言おうとしたのか? それなら言わせてやろうか」
     いじめっ子のようなことを言いながら、晶磨はゆっくりと腰を引く。どのくらい挿入されていたかなんて考える余裕もなかったが、胸がつかえるくらい腹部に圧を感じていたものがスゥッと引いていった。
    「ハァ、あっ……あ」
     満ちていたものが退いたら退いたで、どうしてなくなっちゃったのと膣路が苦情を申し立てる。しかし狭まったそこは、すぐに元どおり引き伸ばされた。
     晶磨が再び深く腰を進めたのである。
    「あぁぁぁっ……!」

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