書籍紹介
身に覚えがない「悪役王女」ですが、一途な竜騎士団長と甘々新婚生活しています
身に覚えがない「悪役王女」ですが、一途な竜騎士団長と甘々新婚生活しています
ISBN:978-4-596-52146-0
ページ数:306
発売日:2023年7月3日
定価:700円+税
  • あらすじ

    そんなかわいいおねだりされたら断れないな
    竜騎士団長は高嶺の花の姫君への情熱的な愛が止まりません!

    王女アンネリーゼは母が悪女だったせいで、身に覚えの無い悪行を噂され全てを諦めていた。だが父王の命で嫁いだ竜騎士団長シグルトは本当の彼女を知っていて「高嶺の花」だと溺愛してくる。「何度抱いても満足できない」昼も夜も愛し合い、幸せでとろけるような蜜月に自信を取り戻していく彼女だったが、面白く思わぬ者たちが何かを企んでいて…!?

  • キャラクター紹介
    • アンネリーゼ
      ヴィルトローゼ王国の王女。引っ込み思案なのに、母によく似た顔立ちのせいで真逆のいじわる姫だと思われている。

    • シグルト
      王立竜騎士団の団長。アンネリーゼを熱愛している。

  • 試し読み

    「……わたし、あなたにはふさわしくないと思う」
    彼は力強く頷いた。
    「わかってます。殿下にふさわしい伴侶になれるよう、努力は惜しみません」
    「そうじゃなくて! あなたのような立派な人に、わたしみたいな臆病者はふさわしくないって言ってるの!」
    シグルトはとまどったようにアンネリーゼを見つめた。
    「殿下は臆病じゃありません。俺を助けてくれたじゃないですか」
    「あれはただの勢いで──」
    「勢いだけじゃ、なかったです」
    生真面目な顔で彼は断言した。
    「あのとき殿下が怖がってたのは、なんとなくわかりました。青ざめてたし、今にも泣きそうでしたから。でも、一歩も引こうとしなかった。拳を握りしめ、足を踏ん張ってルーカスを睨んでた。……挫けそうになるたび、あのときの殿下の姿を思い出しました。そうすると闘志が湧いてくるんです。ここの、どこか深いところから」
    そう言って彼は胸に手を当て、微笑んだ。
    「俺のために勇気を振り絞ってくれたお姫様に申し訳ないじゃないかという気持ちになって、いつでも立ち上がることができました」
    「……美化しすぎよ」
    「そんなことはありません。殿下はお美しすぎて美化しようがありませんから」
    「何それ」
    まじめくさった口調に思わず噴き出し、じわっと目が潤むのを悟られたくなくて俯いた。
    「……わたし、怖がりなの。怖いことがいっぱいある。またひとつ増えたわ」
    「なんですか?」
    「あなたに幻滅されるのが怖い」
    シグルトはうつむいたアンネリーゼの手をそっと取った。
    「それは俺もです。俺は全然立派な人間なんかじゃありませんから」
    呆然と彼を見ていると握られた手を引き寄せられた。彼が上体を傾ける。アンネリーゼは目を閉じた。婚礼のときと同じように。でも、今度はちゃんと彼の目を見てからだ。
    あたたかな感触が、あのときよりもはっきりと伝わった。何故か泣きたくなる。唇が離れ、目を開くと睫毛が濡れていた。それをじっと見つめられてもいやではなかった。
    彼の指先が頬に触れる。掌で頬を包まれると、自然と笑みが浮かんだ。
    彼はまぶしそうな顔で囁いた。
    「ずっと遠くから見てました。竜騎士団長になって一番嬉しかったのは、あなたにお目にかかれるかもしれないということで……まさか結婚の話が出るとは思いもよらず、見合いでは緊張してうまく喋れなかった」
    「わたしも。あのときあなたは女物のハンカチを見つめていたから、あなたには心に決めた人がいるのだと思って……」
    「心に決めた人はいます。今、目の前に」
    「本当に、わたしでいいの……?」
    「あなたがいいんです。ずっと想っていた人だから」
    抱きしめられ、唇をふさがれた。最初は遠慮がちだったくちづけが、どんどん熱っぽく、むさぼるようなものへと変わってゆく。
    胸を弾ませながら懸命にそれに応えるうち、ドサリと寝台に倒れ込んだ。
    シグルトは覆い被さるように間近からアンネリーゼを熱っぽく見つめた。思慮深い灰銀の瞳が、まるでるつぼで融かされたかのような光沢をおびている。
    それが欲望の光であることを理解しても恐怖は感じなかった。
    がっしりした大きな手で夜着の上からそっと乳房に触れられ、頬が熱くなる。推し量るようにゆっくりと揉みしだかれると、お臍のずっと奥のほうで何かが疼いた。
    「……いいですか?」
    低い声で囁かれ、わけがわからないまま頷く、夜着の裾をめくられてやっと意味に気付いたが、焦っているうちに全部脱がされてしまった。
    剥き出しになった胸を慌てて隠そうとすると手首を掴まれ、まとめて頭上で押さえ込まれる。
    「隠してはいけません」
    諭すような口調に思わずこくこく頷くとシグルトは微笑んで手を離した。
    中途半端な恰好でおろおろする間に彼は身を起こし、無造作に夜着を脱ぎ捨てた。
    逞しい胸板と割れた腹筋が目に飛び込んできて、アンネリーゼは悲鳴を上げて掌を目に押しつけた。
    「どうかしました?」
    当惑した彼の声に、ぷるぷるとかぶりを振る。
    「ごめんなさい! 見てしまいましたっ……」
    「見てもいいんですよ。夫婦なんだから」
    「そ、そうでした……」
    おそるおそる指の間から目を覗かせると、シグルトが苦笑していた。
    反射的にぎゅっと目を閉じ、声にならない悲鳴を上げて悶えていると、今度はからかうように言われた。
    「見たくないなら無理しないでください」
    「見たくないわけではなくっ……と、殿方を見慣れないもので……っ」
    「見慣れてなくてよかったです」
    彼は笑ってアンネリーゼの唇にチュッとキスした。恐々と目を覗かせれば優しい笑みに安堵を覚える。身体のこわばりが解け、彼の背におずおずと腕を回した。
    肩甲骨の固い感触に胸がドキドキする。なめらかな皮膚の下、しなやかな筋肉の躍動を感じ、頭がクラクラするような浮遊感に包まれた。
    ついばむようなキスを繰り返していた彼が、ふと耳のすぐ下に唇を押しつけた。舌先でちろりと舐められると痺れるような戦慄が背筋を走る。
    「んッ……」
    思わず洩れた声にアンネリーゼは顔を赤らめた。彼の手がふたたび胸のふくらみを包み、やわやわと揉み始める。
    指先で先端を摘ままれ、軽く紙縒られると、たちまち凝ってつんと立ち上がった。
    彼はそれを口に含み、もう片方の乳首も同じように弄りだした。
    尖った乳首を吸われると、下腹部につきんと疼痛が走った。未知の感覚にとまどい、無意識のうちに刺激を逃すように腿を擦り合わせる。
    初夜の心得についてはヘルミーネ王妃から聞かされたものの、どうにも現実感が湧かなくてうろ覚えだった。覚えているのは、初めて身体を繋げるときは痛みを伴うが、気持ちが通じ合っていればやがて心地よくなるということくらいだ。
    (だったら大丈夫よ、ね……?)
    未知なる経験への恐れはあるにせよ、互いの気持ちが通じ合っているのは間違いない。彼はアンネリーゼを十年以上も一途に想い続けてくれた。
    アンネリーゼは彼のことを忘れていたが、見合いの席で顔を合わせた瞬間、好意を抱いた。素敵な人だと感じ、他に想い人がいることを残念に感じた。
    まさかその想い人が自分だったなんて──。
    何よりも、偏見の目で見られないことが嬉しかった。彼が母の悪行を知らないはずがない。顔が似てるなら性格も似てるはずだと短絡的に決め付ける人々が大半を占めるなか、彼は幼かったアンネリーゼの言動から感じとったものを信じ続けてくれた。
    その信頼に応えたい。真摯な愛に、同じだけの愛を返したかった。
    「──すみません。痛かったですか」
    焦った口調で問われ、アンネリーゼは我に返った。自分が涙を流していたことにやっと気付く。急いで涙をぬぐい、にっこりと微笑んだ。
    「違うの。わたし……すごく幸せだな、って思って」
    惚けたように見つめていた彼が、にわかに真剣な目つきになってぐっと迫ってきた。
    「もっともっと幸せにします! 世界中の誰より一番幸せに!」
    ぎゅうぎゅう抱きしめられて目を丸くしたアンネリーゼは、ふふっと笑って頷いた。
    「はい」
    全力でそう言ってくれる人と結ばれただけで、もうとっくに幸せなのだけど。
    感極まって目をキラキラさせるシグルトは、堂々たる偉丈夫にもかかわらずなんだかすごくかわいい。
    思わず撫でたくなって、さすがに頭は遠慮して頬を撫でると、彼は喜び勇んで主人に飛びつく犬みたいにぎゅうとアンネリーゼを抱きしめた。
    「はぁ……。愛らしすぎて心臓が止まりそうだ」
    大まじめに言って彼は深々と溜め息をついた。愛しげに乳房をまさぐり、唇を押し当てる。脇腹から臀部を撫でた手が腿の内側に回り、膝裏を掴んでぐっと持ち上げた。
    秘処が剥き出しになる感覚に、カーッと全身が熱くなる。念を押すように彼が尋ねた。
    「……よろしいのですね?」
    顔を赤らめながらこくんと頷くと、彼は身体をずらし、広がった脚の間をじっと見つめた。食い入るような視線に羞恥が込み上げる。
    そんなにまじまじと見ないでほしい……! 
    唇をきつく引き結び、固く目を閉じて堪えていると、突如驚くような強い刺激が秘裂に走った。
    「ひゃっ……!?」
    上擦った悲鳴を上げて頭をもたげると、大きく開いた脚の間に彼が顔を埋めていた。
    剥き出しになった花芯を直接舐めている。
    「え!? え!? ちょ……あのっ……!?」
    惑乱するアンネリーゼにはかまわず、彼は舌と唇を使って巧みに花芽を舐めしゃぶった。
    じゅっと吸われると脳天を突き刺すような刺激が走り、のけぞってしまう。
    (な、何……!? なん、で……っ)
    涙目になって喘ぐ。アンネリーゼは震えながら彼の肩を必死に押した。
    「だ、だめ……! きたな……ッから……ぁっ」
    「湯浴みしたでしょう?」
    「そ……だけど……」
    「大丈夫、とても甘いです」
    そんなわけがない。花じゃないんだから、甘いはずがなぃ……っ。
    「──ッひ!」
    尖らせた舌をずぷりと蜜孔にねじ込まれ、はじかれたように顎が上がる。舌先でこじりながら蜜を啜られてがくがくと身体が震えた。
    「あ……ぁん……んん……ッ」
    指の関節を噛んで声を抑えようとすると、じわりと目が潤んだ。
    (や……なんでこんな……気持ちいいの……!?)
    とんでもないことをされているのに。こんなことされるなんて、聞いてない……っ! 
    口に含んで吸ったかと思えば、付け根からくすぐるようにちろちろと舐め上げる。
    執拗に弄られ、いつしかアンネリーゼははぁはぁ喘ぎながら腰をくねらせていた。
    下腹部にわだかまる重だるい感覚がどんどん強まって、居ても立ってもいられないような切迫した気分になる。
    「ん……ん……ふ……っあ」
    濡れて重くなった睫毛を瞬くと、蜜洞がずくりと不穏に疼いた。
    何かが頭をもたげる。何か得体の知れないもの。
    蠢く舌に追い立てられ、身をよじりながらアンネリーゼは唇を噛んだ。苦痛に似た、それでいてまるで違うものが身体の中心から駆け上ってくる。
    「や……ぁ……あ……あぁあ……ッ」
    ついにその何かがはじけ飛び、アンネリーゼは背をしならせた。見開いた目には何も映っていない。
    真っ白だった視界に蝋燭に照らされる仄昏い寝室の光景が戻ってきて、シグルトが心配そうに見つめていることにやっと気付いた。
    「大丈夫ですか?」
    「ん……」
    ぼんやりと頷く。なんだかひどく気だるい気分だ。
    (今のは……何……?)
    一瞬気を失っていたようにも思う。とまどっていると彼の指がそっと蜜口に触れ、アンネリーゼはびくりと肩をすくめた。
    「……ぴくぴくしてる。気持ちよかった……ですよね?」
    気遣わしげに問われ、初めてアンネリーゼはあの感覚が快感だったのだと思い至った。
    そう、あの感覚を言葉にするなら、気持ちいいとしか言いようがない。
    「どうですか?」
    優しく花芯を撫でられ、頤を鎖骨に埋め込むように深くうつむく。堪えきれず熱い吐息が洩れた。
    くちゅ、と淫らな水音がして、隘路に指が滑り込んだ。固い関節で繊細な襞を擦られる感覚に、ぞくぞくと総毛立ちそうになる。
    「どうなんです?」
    そそのかすような囁きに、潤んだ瞳を瞬く。
    「いぃ……わ……」
    漸う答えると、とば口で止まっていた指が一気にずぷりと挿し貫いた。
    「ひぁっ……」
    「付け根まで入りました。ほら」
    ぐっと押しつけた指を、ゆっくりと引き抜く。ぬらぬらとぬめりをまとった指にアンネリーゼは赤面した。自分のこぼした蜜が、はしたなくも彼の指を汚している。
    シグルトは胸の頂を舌先で舐めながら指を前後させた。最初はゆっくりだったが、アンネリーゼが痛がっていないことを確かめると次第に指の動きは速まった。
    それに連れて掻きだされた蜜が泡立ち、彼の指にねっとりとまとわりつく。
    恥ずかしくてたまらないのに昂奮をも掻き立てられ、アンネリーゼは頼りない嬌声を上げて腰を揺らした。
    指の抽挿に合わせて腰を振っているうちに、ふたたびあの感覚が頭をもたげる。それが快感だとわかった今、恐れることは何もない。
    ずぷずぷと指で穿たれながらアンネリーゼは絶頂に達した。
    痺れるような恍惚に浸っていると、深く挿入された指がずるりと抜け出てゆき、代わってもっと太く丸みをおびたものが蜜口に押し当てられた。
    それは探りを入れるように何度か濡れ溝を前後し、敏感な花芽を優しく小突き上げた。
    腰を掴んで持ち上げられ、膝に乗られせる。
    つぷん、と先端が花襞のあわいにもぐり込む。快感の余韻で朦朧としていたアンネリーゼは、次の瞬間、思いがけない痛みに悲鳴を上げた。
    「い……ッ!?」
    反射的に抗う身体を押さえつけ、ぐっと腰を押し進めた彼は、はぁっと熱い吐息を洩らすと呟いた。
    「全部挿入った」
    歯を食いしばっていたアンネリーゼは、小刻みな呼吸を繰り返しながらこわばった身体からなんとか力を抜こうとした。
    視線を下げると、お互いの下腹部が隙間なく密着していた。そしてアンネリーゼの胎内は、何か長くて太く、ぎちぎちに張りつめたものでふさがれている。
    (繋がるって、こういうこと──)

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