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あらすじ
絶対に手放さない。なにがあっても
一途な次期国王様にとっても甘やかされています!薬草茶を淹れるのが得意な辺境伯令嬢のローズマリー。騎士団員に茶を振る舞っているうちに、団長である第三王子ジェイラスと惹かれ合う。「甘く、かぐわしい……俺だけの花」甘い言葉を囁かれ、待っていたのはまさかのプロポーズ!? 凛々しく美しい彼の婚約者となり幸せいっぱいだったけど、ジェイラスが次期国王に指名されて事態が激変し…!?
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キャラクター紹介
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ローズマリー
辺境地で薬草園を営む伯爵家の娘。 -
ジェイラス
ルノエ国、王位継承順最下位の第三王子であり騎士団長。
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試し読み
「きれいだ」
独り言のような、ぽつりとした呟きに感情を揺さぶられる。一言でも、褒められたことが嬉しくて身も心も歓びに打ち震える。
「もっと……よく見たい」
この部屋のランプはすべてに明かりが灯されている。ゆえに、自分のこの腕を退ければ開け広げになる。彼の要望に応えたい気持ちと、恥ずかしくてそんなことはできないという気持ちの狭間で揺れ動く。
「ローズマリー」
低く、熱っぽい声で呼びかけられ、腕に力が入らなくなる。
両手首をそっと掴まれる。彼の手にはさほど力は入っていない。それなのに、自然と両手が左右に動いて、胸を隠せなくなる。
「……尖ってる、な?」
彼がどこのことを言っているのか、その視線を追えば一目瞭然だった。慌てて両手を胸の前へと戻そうとするが、そうはできない。
「隠してはだめだ」
宥めるように言って、ジェイラスは薄桃色の屹立を興味深そうにまじまじと眺める。
「こんなにいじらしく勃ち上がっているんだ……。もっとよく観察しなければ」
だれに強いられているわけでもないのに、使命感に駆られたような口ぶりだ。
「うぅ……」
ローズマリーは呻いて体をくねらせる。そこで、ふと気がつく。服はすべて脱がされてしまったが、チョーカーだけは外される気配がない。
――でもふつう、チョーカーは外すものよね?
そう思い至って自らチョーカーを外そうとしていると、首の後ろでやんわりと手を重ねられた。
「そのままで」
きっぱりと言われてしまう。これは、裸でいるよりも恥ずかしいような気がする。ローズマリーは眉根を寄せて目を伏せる。
「きみを困らせたいなんて少しも思ってないし、できるだけそうはさせたくないんだが……。困っているきみもかわいくて、たまらなくなる。いったいどうすればいいんだ」
両頬を手のひらで包まれ、むにむにと押しまわされる。
「あの、私……困ってはいるのですが、それは恥ずかしいからで……。ですからその、ええと……あまりお気になさらず、どうかジェイラス様のお好きなように」
そう言ってしまったあとで、とてつもなく大胆な発言をしてしまったのではと後悔する。
「俺の、好きなように?」
彼の口角が緩やかに上がっていく。
「好きなように、していいんだな」
念を押して、ジェイラスはローズマリーの膨らみの稜線を指で辿りはじめる。
「まずはこのかわいらしい蕾を弄り倒すことにする」
「ひぁっ……!」
剥きだしだった胸飾りをつまみ上げられる。
「じかに触れるのでは、やはり感覚が違う……か?」
以前、触れられたときはネグリジェ越しだった。ローズマリーは頬を染めてこくこくと頷く。
「俺も……違う。服の上からするのと、こうしてじかに触れるのでは、まったく」
薄桃色の根元を指でくすぐられる。
「あぅ、んっ……んっ」
「痛かったり、不快だったりしたら遠慮せず言ってくれ」
その言葉には満足に答えられない。彼の指がわずかでも動くたびに快感の波が押し寄せてくる。
「ずっと、きみのすべてに触れたいと思っていて……いまこうして実際に触れているのに、それでも欲が募る。もっと、もっと深いところまで知りたいと渇望してしまう。自分がこんなに貪欲だとは知らなかった」
苦笑しているジェイラスを見つめる。
――それなら、私だって……。
彼のことをだれよりも深く知りたい。知らないところなんてないくらいに。
ローズマリーの想いに呼応するように指の動きが激しくなっていく。胸の蕾はふたつとも彼の指に押しつぶされ、嬲られることでとどまるところを知らず快感を増大させる。
あっという間にローズマリーは快楽の頂点へと昇りつめた。
「は、ぅっ……うぅ」
下腹部を中心にドクン、ドクンと脈動する。前にもこれを経験したが、あのときとはわけが違う。いまはなにもかもが無防備だ。脚の付け根だって、彼がそこを覗き込もうものならすぐ暴かれてしまう。
そんなことはしないでほしいと思っていたのに、ジェイラスはローズマリーの下半身へと目を遣る。
「だめ、見ちゃ……だめ、です」
とっさに言ったものの、それで制止になるはずもなくジェイラスは「俺の好きなようにしていいはずだ」と言って眉根を寄せる。ところが視線をそこへ向ける途中で、気がついたように顔を上げた。
「いや、きみが本当に……心から嫌だと思うのなら、見ないでおくが」
ローズマリーは口元に手を当てて考え込む。その箇所を見られることに抵抗はあるものの、それはきっと羞恥心が前面に出てきた結果だ。
太ももをなぞられると、期待するようにぞくりと疼く。それは、触れられたい、見られたいと思っている証拠なのではないか。だがしかし……と、葛藤する。
「わ、私……わかりません」
考え込んだ結果を正直に吐露した。
「では、そうだな……少しずつ……探る」
絞りだすような声だった。ローズマリーは小さく頷く。
大きな手のひらが脚をゆっくりと這い上がり、雄々しく骨ばった長い指が秘め園へと近づいていった。
「ん……?」
ジェイラスが唸る。ローズマリーの両脚がびくりと小さく弾む。
「濡れてる、みたいだ」
ごく真面目な顔で指摘され、とたんに頬に熱が立ち上る。そこが濡れているのがどういうことなのか、閨の指導も受けたので知っている。
女性講師は「喜ばしく、そして好ましい反応だ」と言っていたが、実際に自分の体がそうなっているのだとわかると恥ずかしい。
「ふっ……ぅ、んんっ……」
彼の指先が濡れ莢を辿りはじめる。秘裂に、触れるか触れないかの力加減だ。
「きみがだめだと言うから見ないようにしているが……そのぶん、本当に手探りになってしまっている」
秘めやかな箇所の形を指で確かめられているようで、いたたまれなくなる。
「だがこれはこれで、きみの表情をじっくりと眺められるから……いい」
透き通った緑眼と視線が絡む。ローズマリーはとっさに両手で自身を隠す。
「顔も見せてくれないのか?」
ジェイラスは不満そうだ。顔を隠していた指にくちづけを落とされる。
「あ、ぁっ……」
手の甲にまで彼の柔らかな唇を押し当てられた。指のあいだから伸びてきた舌が唇を辿る。手で顔を隠していることができなくなって退ければ、唇と唇が重なった。くちづけに味などあるはずないのに、回を増すごとに甘くなっている。
舌が潜り込んできた。いっぽう蜜濡れの莢にあてがわれた指はなおもひっきりなしに動いている。肉厚な舌であますところなく口腔を探られ、指でもまた秘裂の端から端までなぞられる。
寒くはなく、むしろ暑いくらいなのに体が小刻みに震えてしまう。快感がそうさせているのだと、気がついたときには彼の指が秘裂を割り、中の珠玉をくすぐっていた。
「やっ、そこ……ふ、あ、あうっ」
ジェイラスはローズマリーの無垢な粒を親指と人差し指で優しくつまみ上げて捏ねまわす。
「ひぁあっ!」
とたんに、えもいわれぬ快感が全身を突き抜けた。胸の先端を弄ばれたときだって気持ちがよかったが、いまはそれとは比べものにならない。敏感な粒を、指の腹で擦り潰すように刺激されれば自然と高い声が零れでる。
「だめだ、やはり……」
苦悶した顔で彼は言葉を継ぐ。
「見たい。きみのここが、どうなっているのか」
ローズマリーは瞳を潤ませて緩く頭を振る。
「おねがいだ、ローズマリー」
甘えるように頬をすり寄せられ、珠玉をきゅっと引っ張り上げられる。
「ぅ、んん……!」
思いがけず口から出た呻き声を肯定と捉えて、ジェイラスは表情を明るくする。いそいそと上半身を起こし、両手をローズマリーの脚の内側に差し入れて思いきり左右に開いた。
「ひゃっ!!」
あまりのことに、叫び声以外は出せなかった。そこここに配された壁掛けランプにすべての明かりが灯った真昼のようなこの部屋で、脚を大きく広げてその中心を愛しい人が食い入るように見つめている。
羞恥心を炎に喩えるなら、すべてを覆い尽くす勢いでいま燃え盛っている。
蜜に濡れたローズマリーの秘所を見つめたままジェイラスは薄く唇を開き、うっとりと息をつく。
「目にしたらもっと掻き乱したくなった」
エメラルドの双眸が妖しく光る。ランプの光の加減でそう見えただけに違いないが、深遠な欲望を宿しているような気がしてならなかった。彼の熱意に絆されて、首を横に振るのを忘れてしまう。
長い指が花芽をこりこりと押して愛でると、そのすぐ下にある蜜口へと伝いおりていった。そうして的確に隘路の入り口へと潜り込む。手探りだったときよりも指の動きが大胆になっている。目で見て行うことに対して、そうなるのは自然のようにも思える。
――でもやっぱり恥ずかしい!
「そ、そこばっかりそんなに……見ないで、ください。おねがい、ですから……!」
先ほどは彼の「おねがい」を聞いたような結果になった。だから、せめてじろじろと見ないでほしいと懇願しても許されるはずだとローズマリーは開き直る。するとジェイラスは困ったように首を傾げた。
「ん……そうだな。きみの顔もきちんと見ていたいし……。目があとふたつは欲しいところだ」
真顔で言われ、返す言葉に詰まる。顔のほうも見てほしいと言いたかったわけではないのだから、訂正しなければと思うのに、彼の言葉に喜んでいる自分がいる。恥ずかしさは依然としてあるが、喜びが溢れる。
「ふ……ぁ、あっ……!」
彼の指が隘路の中へと沈みはじめる。異物感を覚えた次の瞬間には馴染んでいくのが不思議でならなかった。
「すごく潤ってる」
ジェイラスがぽつりと言った。指がすぐに馴染むのはきっとそのせいだと、他人事のように考える。そう思わなければとても、体の内側を指で弄られているという現実を受け入れられなかった。そしてなにより、彼の指が蠢くたびに気持ちがよくて、はしたない大声が出る。
「やぁっ……あぅ、ん、あぁっ……」
五指の中で最も長い彼の指の根元まで隘路に収めてしまった。彼の指を飲み込んでいる状態を目の当たりにして羞恥に苛まれる。
ジェイラスはローズマリーの全身を見まわしながら、狭道に沈めた指を前後に動かす。
不意に彼とフライフィッシングに行ったときのことを思いだす。よい成果を得るためにはまずは自然を観察することが大事だという言葉が脳裏をよぎる。
その真剣なまなざしで『観察』されているような心地になり、手や足など体の端々が小さく震えた。
ぐちゅ、ぐちゅうっと水音が響く。意思とは無関係に体が揺れてしまう。全身が総毛立つような高揚感に見舞われ、膨らみの先端がひとりでに尖る。
ジェイラスの手が、主張を強くしている薄桃色の屹立へと伸びていく。それを、期待するような目で見てしまう。
ローズマリーの視線に気がついたらしいジェイラスが微笑する。なにもかも見透かされているようだった。彼の人差し指が乳輪を象るようにくるくるとまわる。
「ふっ、ふぅ……っ!」
胸飾りの根元をくすぐる指。蜜路を往復する指。どちらも緩慢なのに快感は膨れ上がるばかりだ。
「どんどん溢れてくる」
感心するような口ぶりだった。逃げだしたい気持ちになって、両手で目元を隠す。
「隠してはいけない」
ごく優しい声音で諭される。
「きみの瞳の動きも確認しておきたいんだ。嫌ではないか、不快ではないかを知るために必要だ」
ああ、どうしてこう真面目なのだろう。そんなふうに分析しないでほしい。
「嫌だなんて……不快だなんて、少しも思いませんから」
だからせめて手で目を覆うことを許してほしい。そうして隠していなければ、自分が自分でなくなってしまいそうだ。
「……本当に? 俺が、どんなことをしても……きみはそう思うのかな」
急に激しく指を出し入れされ、水音が際立つ。
「ひゃっ!? あ、あぁあっ……!」
「すべて見せてほしい、ローズマリー」
いささか命令的な口調だというのにやはり不快感はない。むしろ、そんなふうに言われると彼の指が沈み込んでいる箇所が疼く。
熱い視線が突き刺さる。その熱でなにもかも――羞恥心すらも――溶かされてしまいそうだった。
もう、目を隠していることなんてできない。目元を覆うのをやめる。それでも両手は手持ち無沙汰で、枕を掴む。
「ふあぁっ……あっ、んぁあっ」 -
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