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試し読み
(冷酷な蛮族の王のはずなのに――こんなに優しいなんて……)
穏やかな雰囲気の中で、いつまでもこうして触れられていたくなった。
と、上半身にマッサージを施していたザイードが、薄物越しにゆっくりと手を下に這わせてきた。腰の曲線に沿って撫で下ろされると、ぞくっと思いもかけず甘い痺れが走り、媚びへつらうような声が漏れてしまった。
「あんっ……」
自分でもそんな甘い声が漏れたことに驚く。
「ん? ここが弱いか?」
ザイードが含み笑いをして、しなやかな指先で横腹を掠めるように撫でてくる。
擽ったいような震えるような感覚に、腰が浮いてしまう。
「やめて、触らないで、そこ……だめっ」
身をくねらせて男の腕から逃れようとしたが、がっちり抱きかかえられてさらに腹部をまさぐられてしまう。
「あ、や、だめぇ……」
耐えきれない疼きが身体の奥に生まれ、身じろぎして訴える。
「そんな可愛らしい顔で、そんな艶かしい声を出されては、やめることなどできぬな」
ザイードの声に妖しい熱がこもるを感じ、キャロリーナはぞくりと身震いする。
「薄物越しに肌がピンク色に上気して、胸の蕾も赤く硬く膨らんでいるではないか。そんなあどけない顔をして、男を誘ってくるとは――」
ザイードの高く硬い鼻梁が耳朶や首筋を撫で回し、熱い息が耳孔に吹き込まれると、居ても立ってもいられない気持ちになってしまう。
「さ、誘ってなど――あっ」
ふいにザイードが胸のふくらみに顔を押し付け、濡れた服地を押し上げてつんと尖っている乳首を喰え込んできた。
男の濡れた熱い舌が、ぞろりと鋭敏になった乳首を舐め上げた。
「っ、んぅっ、あ、や……」
甘い痺れが、舐められている先端から下腹部へ繰り返し走る。
ザイードがちゅうっと音を立てて乳首を吸い立てると、ぞくぞく腰が震え、触れられていない方の乳首まできゅんと甘く凝ってしまう。
「……あ、あぁ、やめて……だめ……っ」
両手でザイードの頭を押しのけようとしたが、濡れた口腔の中で熟れた蕾をころころと舌先で弾かれると、淫らな心地よさに身震いが走り、四肢の力が抜けてしまう。
「可愛いな、もっと泣かしたくなる」
ザイードは片手でキャロリーナの背中を抱え込み、もう片方の手でいやらしく横腹や尻を撫で回してくる。そうしながら、左右の乳首を交互に口に含み、ねっとりと舐め回す。
「……あ、ぁ、ふぁ、放し……だめ、しないで……っ」
蒸気のせいなのか、身体中がかあっと熱くなり、頭がぼうっとしてしまう。
臍の奥の方に焦れる疼きが生まれ、媚肉がきゅうっと収縮して、淫らで未知の感覚がどんどん膨れ上がってくる。
ザイードが腫れ上がった乳首にこりっと歯を立ててくると、つーんと子宮のあたりが痺れてどうしていいかわからないほどせつなくなる。
「やめて……わたし、なんだか……おかしく……あ、あぁ……」
身悶えて身体に溜まってくるやるせない情欲をやり過ごそうとしたが、下腹部の恥ずかしい箇所が疼いて、なにかとろりと溢れてくる。
「気持ちよいのだろう? もっとよくしてやる」
下腹部を撫で回していたザイードの手が、濡れた薄物の裾をたくし上げ、太腿に直に触れてきた。
「あ、あ、や……」
長い節高の指が、薄い茂みをまさぐってくる。
本能的に腰を引こうとしたが、それより早くしなやかな指先が和毛を搔き分けて秘裂に繊細に触れてきた。
「ああっ、やあっ」
ぬるりと滑る感触にぞくりと腰が震え、キャロリーナはぎゅっと目を瞑って感じまいとした。
だが、その儚い抵抗をあざ笑うかのように、男の指先が確かめるみたいにぬるぬると陰唇を上下に撫で摩る。得も言われぬ甘美な悦びがそこから生まれ、キャロリーナは思わず悩ましい声を漏らしてしまう。
「んっ、あ、あ、ぁあ」
耐えきれずに瞼を開き、生理的な涙で濡れた目を見開いて喘いだ。
「どんどん濡れてくる――感じやすく素直な身体だ」 -
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