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あらすじ
このまま…俺を受け入れればいい
目的は子づくりなのに毎晩甘すぎです!家族から粗雑に扱われていたフィオナは、金銭目的で公爵フレデリックとの結婚を強いられる。彼からは「子づくりさえしてくれれば愛はいらない」と言われて始まった離婚前提の新婚生活。なのに思いのほか優しく接してくるフレデリックから、日々甘い快感を与えられて!? フィオナの無垢な身体は少しずつ開かれ、やがて心まで蕩かされていき……?
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キャラクター紹介
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フィオナ
マーセル伯爵家の令嬢だが、父親と義母、義妹から粗雑な扱いを受け、成人したら実家から独立したいと考えている。18歳。 -
フレデリック
王位継承権を持つ公爵。政略結婚のため不仲な両親を見て育ち、結婚への期待を持たないが、王から子づくりを命じられる。24歳。
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試し読み
「それでも、です。父とフレデリック様のお約束は、私とフレデリック様の結婚できちんと果たされたはず……いえ、果たせたとは言いきれませんが。でも、そこに口を挟むだなんて」
王家の血を受け継ぐ者をもうけてはいないため、正確にはまだ約束は果たされてはいない。だが、父はフィオナをフレデリックに差し出し、フレデリックはフィオナを娶ったことでとりあえずは落ち着いたはず。なのに、あんな形でミリセントが口を挟んでくるとは。
「俺と君との約束はまだ果たせていないがな」
「……それは、私と父の問題ですから」
王族の血を受け継ぐ者が増えたところで、父が約束を守るとは限らないけれど。
そうつぶやいて薄く笑うと、フレデリックはなんとも形容しがたい表情になった。
離婚前提子づくり婚!のはずでしたが冷徹公爵さまの溺愛に囚われました
「……俺は、我が家に来てくれたのが君で本当によかったと思っている」
それには返す言葉を持たなくて、フィオナは視線を落とす。
――それなら、まだましかしら。
少なくとも、フレデリックはフィオナを必要としてくれている。そんな風に自分の考えに沈み込んでいたら、並んで座っていた馬車の中、不意に肩を引き寄せられた。
「んっ……」
唇を重ねられて、甘い声が漏れた。
今までフレデリックに触れられたことは何度もあったけれど、口づけられたのは初めてだった。
まだ本当の意味では結ばれていないとはいえ、彼にはすべてを見られているのに口づけすらしたことないなんて変な話だ。
けれど、二人の関係は歪なもの。初めての口づけでもしかたないのかもしれない。
一瞬離されたかと思ったら、また唇を合わされた。
唇の形を探ろうとしているみたいに、何度も角度を変えては啄まれる。まっすぐに座っていられなくて、フレデリックの腕に身体を預けた。
やがて、彼の舌先がフィオナの下唇に触れた。促されるように口を開けば、熱い舌が入り込んでくる。
「んぅ……ふ、ぁ……」
くちゅり、と音を立てて舌先を絡め合うと、頭の中までかき混ぜられているような気がした。
漏れる息もすべてフレデリックに奪われるみたいだ。キスの合間に息継ぎをするだけで精一杯。
キスの合間も、フレデリックの手はフィオナの背中をゆっくりと撫でている。身体の奥から熱が生まれてきて、ぞくぞくとした感覚が背筋を走る。
その優しい手つきにうっとりとしていると、唇を離されて至近距離で見つめられた。
「フィオナ」
吐息混じりの声で呼ばれるだけで、身体がひくりとしてしまう。彼の瞳には確かな欲情の色があって、それが自分に向けられていると思うとぞくぞくする。
――ああ、もう、駄目……。
正面から視線を合わせれば、フレデリックの目に映る自分自身の顔が見えた。
とろりとした目、わずかに開いた唇。これから先に待ち構えている性感を期待する淫らな顔。自分の表情にぞくりとする。
「フィオナ、いいか」
「……はい」
そっと目を閉じれば、再び唇が落ちてきた。今度はすぐに舌が入り込んできて、フィオナの舌にねっとりと絡みつく。舌の先で歯列や上顎をなぞられながら、フィオナは必死に崩れまいとした。
時折、彼の指が耳に触れる。そこも弱いところのひとつだということを、彼はよく知っていた。
「あっ……!」
耳殻を撫でていた手が首筋をくすぐる。その感覚に、フィオナは身を捩った。くすぐったさだけではない。そこから広がってくるのは性感への誘い。
無意識のうちに声が出てしまい、恥ずかしくてたまらないけれど、抑えられなかった。
「んっ……あぁ……」
首筋に触れていた手が再び背中に回り、ぐいと引き寄せられる。
ぴったりと身体が密着し、彼の胸に顔を埋めたら、自分の鼓動が脈打っているのを感じた。
王宮の舞踏会に初めて出席したからだろうか。それとも、初めて口づけたからだろうか。
今日のフィオナは、どこかおかしい。そわそわしてしまっている。
「そろそろ着くな」
いつまでもこうしていたいと思っていたのに、馬車は屋敷に到着しようとしていた。
――もう着いてしまうなんて。
もう少しこのままでいたいと言ったら、フレデリックは笑うだろうか。
先に降りたフレデリックは、フィオナに手を差し出した。その手を借りて馬車を降りる。
「お帰りなさいませ」
「ああ」
馬車を降りると、使用人達が出迎えてくれた。いつもと変わらない光景なのに、今日はなぜか違うものに感じられた。
「初めてのことでお疲れでしょう。すぐにお休みになれるよう、支度を調えてあります」
微笑みながらそう口にしたのは、フィオナ付きの侍女である。
「ありがとう……あっ」
やはり疲れていたらしく、足がもつれてよろめいた。ひやりとするが、すぐにフレデリックの腕に抱きとめられる。
「今日は大変だったからな。部屋まで送るから、楽な格好に着替えるといい」
「ありがとうございます、フレデリック様」
笑みを浮かべると、フレデリックは目元を柔らかくした。こんな表情を見るのは初めてかもしれない。
もしかしたら、馬車の中での口づけが互いにまだ尾を引いているのかもしれない。自分の身体が思うようにならなくて、不思議な気持ちになる。
フィオナを部屋の前まで送り届けたフレデリックは、こちらに身をかがめてきた。
「また、あとで」
その言葉に、別の意味が込められているように感じられて、思わず胸が高鳴る。
帰宅途中の馬車での触れ合い。
それは、もしかしたら今までで一番濃密に彼と触れ合った時間かもしれなかった。あの時間があったことを考えると――もしかしたら、今夜は。
侍女達の手に身に着けていた宝石を預け、重いドレスを脱いだらほっとした。
「浴室のご用意ができております」
「ありがとう。すぐに行くわ」
侍女達の手を借りて入浴する。香りのいい菫の香油を垂らした温かな湯に身を沈めたら、身体が溶けていくみたいに感じられた。今日はやはり、緊張していたようだ。
ゆっくりと湯に浸かってから上がると、化粧水やクリームで肌を整える。そのあと、寝間着に着替えて髪を乾かしてもらった。
侍女達に手入れされながら、鏡に映る自分の顔をよく観察してみる。
まだ夜会の興奮が残っているのだろうか。顔だちそのものが変わったわけでもないのに、いつもよりも華やいでいるように感じられる。
それに、いつもならとっくに眠りについている時間なのにまだ眠くならない。
侍女達も何事か察しているみたいで、いつも以上に丹念に手入れをされ、寝室へと送り込まれた。
――問題はない……わよね?
先ほどの馬車での触れ合いだけでなく、今日までの積み重ねもある。今なら、フレデリックを最後まで受け入れられそうな気がする。
ドキドキしながらベッドに腰かけていたら、入ってきたフレデリックは、フィオナの横に腰を下ろした。
彼の手が肩にかかって、身体をびくりとさせてしまった。その手の温かさに思い出すのは、馬車の中での触れ合い。それだけで、背筋を甘い痺れがかすめた。
「驚かせたか」
「いいえ……ただ、今夜は夢みたいだったと思って」
胸を押さえると、フレデリックの手がそこに重ねられた。フィオナはそっと目を閉じる。
それを誘いと受け取ったかのように、フレデリックはフィオナに口づけてきた。
「んっ……」
鼻から漏れたのは、甘ったるい吐息。
フレデリックに押し倒される形で、ベッドに倒れ込んだ。のしかかってくるフレデリックを反射的に押し戻そうとするが、びくともしない。
「……今日はお疲れでは?」
「そうかもしれないな」
そう言いながらも、彼は手を止めようとしない。
それどころか、さらにフィオナの身体に手を這わせてくる。こうして触れられるのは慣れたと思っていたけれど、今までよりも鋭敏な感覚が走り抜けていった。
「あっ……」
寝間着の上から乳房を掴まれて、フィオナは背をしならせる。
フレデリックの大きな手に双乳の形を変えられながら、首筋に、耳朶に這わされる舌の
熱い感触に身をくねらせる。乳房を揺らす手の、布越しの愛撫がもどかしい。
しばらくそうやってフィオナの身体を味わってから、フレデリックは顔を上げた。
頬が熱い。きっと、赤くなっているのだろう。
顔を背けようとしたけれど、顎を掴まれて真正面から視線を合わせられる。
鼓動が跳ね上がったけれど、目をそらすことはできなかった。
「フレデリック様……?」
フィオナの唇から漏れたのは、どこか不安混じりの声。
再びフィオナに口づけたフレデリックは、今度は唇を合わせるだけではなく、舌を差し入れてきた。
ゆっくりとした動きに応じれば、今度はきつく吸い上げられる。かと思えば、再び舌が擦り合わされる。
唾液が混ざり合う音を聞きながら口づけをかわすうちに、頭の中がぼうっとしてきた。
寝間着の裾を割られ、手が這い上がってくる。腿の内側を指先がかすめ、そこから甘い痺れが身体の内側に浸透してくる。
「……フィオナ」
耳元で名を呼ぶ艶っぽい声。そのまま耳朶を食まれ、舐め上げられて、身体をくねらせながら逃げようとした。
もう、身体の奥に欲情の火がともっている。快感の受け入れ方は知っている。今日までの間にフレデリックは幾度となくフィオナに触れてきたから――けれど。
「駄目っ……」
今日は、今までとは違う気がして怖い。
彼の手は寝間着の上からフィオナの乳房を揉みしだき、首筋にいくつも口づけを落としてくる。背筋にざわめく感覚が波のように寄せては返し、フィオナの息を乱していく。
「やっ……あっ……」
寝間着の上から胸の頂を擦られて、フィオナは動揺した。たったそれだけの刺激で、甘い声を上げてしまう。
ふっと笑む気配がして、フレデリックが身を起こした。その目には獣欲のようなものが浮かんでいる。
きっとこのまま彼に食べられてしまう――頭がくらくらする。
身体の芯に熱がともる。彼が欲しくてたまらないのに、どうしても身体が強張ってしまう。
「嫌か?」
顔を寄せられて、またキスをされるのかと思ったけれど、彼はそうしなかった。ただじっとこちらを見つめてくるだけ。
フィオナは震える唇を開いた。そして首を横に振ると、小さな声で答える。
「……嫌……ではないです」
「そうか」
彼が再び覆いかぶさってきて、フィオナはそっと目を閉じた。彼の手が寝間着のボタンにかかる。ゆっくりと外されていく気配に羞恥心がますます刺激される。
肌に触れる唇にかすかに身体を震わせたら、そのまま寝間着の前が開かれた。まろやかな乳房を両手で揉みしだかれた次には、中心を指先で摘ままれる。
羞恥と快感で、頭の中が一気に白く染められた。
「あっ……」
思わず声が出てしまい、慌てて口を押さえる。フィオナの様子を見ながら、フレデリックは強弱をつけてそこを捏ね繰り回してきた。
指の動きに煽られるように、身体の奥から熱が湧き上がってくる。もっとして欲しいと思っている自分に戸惑う。
ふっと目を上げれば、フレデリックはフィオナの様子を窺うように見下ろしていた。
わざとフィオナと目を合わせながら、彼はゆっくりと顔を下ろしていく。
「あぁんっ!」
早くも硬くなっている胸の頂を舌で弾かれ、円を描くように舐められて、濡れた嬌声が上がった。
背筋を駆け抜ける悦楽の波に流されないよう、両手で強くシーツを掴む。濡らすように舌で弾かれ、唇で啄まれる度、お腹の奥がじんじんしてくる。
やがて、乳房を蹂躙していた唇が離れ、フレデリックは身を起こして身体を下の方へとずらした。
「駄目っ……!」
慌てて彼の頭を押しとどめようとしたが、遅かった。腰のあたりにわだかまっている寝間着を捲り上げられ、下着に手がかかる。
するりと抜き取られると、ひんやりとした夜の空気に晒される。
身じろぎしたら、熱いものが流れ落ちるのを自覚した。
手で顔を覆ってしまうと、両手を取られて頭の上で押さえつけられる。フレデリックの大きな手は、フィオナの両手首をたやすくまとめてしまう。
「んんっ……」
彼の指先がするりと腿の内側を撫で、熱く湿った場所のすぐ側をくすぐってきた。
もどかしさに、甘ったるい声と同時に腰が揺れる。
今までにも触れられたことはあったけれど、自分がこんなはしたないとは思わなかった。
膝を大きく開かれ、フレデリックが間に身体を割り込ませてくる。
熱い吐息が秘所に触れて、フィオナは小さく悲鳴を上げた。だが次の瞬間、ぬるりとした感触に襲われて息を呑んだ。
「あっ……駄目っ……ああっ」
敏感な芽を丹念に舐め上げられ、転がされると、身体の内側から淫らな愉悦がこみ上げてくる。
優しくて巧みで、どこまでもフィオナを感じさせようとする淫らな愛撫。
首を振ってやり過ごそうとしても無駄な努力。
フィオナの身体は、今宵までの間に快感の受け入れ方を教え込まれている。それを思い出した途端、身体の奥から熱いものが溢れ出した。 -
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