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あらすじ
絶対に離婚したくない英雄王×離婚する気満々な王妃の十年愛♥
ずっと離れて暮らしてきた夫である隣国の国王ヴォルフラムと再会したステファニア。二人の結婚は国を追われたヴォルフラムが、国を取り戻すまでの期限付きだったはずなのに――!?「やっと、俺のものにできた」溜め込んでいた想いを解放したヴォルフラムは熱く激しくステファニアを求めてくる。十年越しの蜜月は予想外のことだらけで……!?
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試し読み
「……キスしてもいいですか」
自分の方から問うなんて、はしたなかったかもしれない。そんな風にも思ったけれど、ヴォルフラムは笑ったりしなかった。
「好きなようにすればいい」
そう返す言葉は、やっぱりいつものように余裕で。彼ばかり余裕なのは、なんとなく悔しい。
思いきって、えいと顔を寄せた。
勢いあまって、唇と唇が激しくぶつかり合う。目測を誤ったと思う間もなく、口内にヴォルフラムの舌が差しこまれた。
こんな風に口づけた回数も、もう数えることなんてできない。
口内を好きなように荒らすヴォルフラムに、懸命に応える。
「ん……あっ……ん、ぁっ……!」
大きな手が、乳房を下から持ち上げる。そのまま指先で先端をくすぐられ、快感になじんだ身体は簡単に陥落した。
胸の<ruby>頂<rt>いただき</rt></ruby>から甘い<ruby>痺<rt>しび</rt></ruby>れが腰まで一気に走り抜けて、身体からかくんと力が抜ける。
その間も、ヴォルフラムは口づけをやめなかった。
ねっとりと口内をかき回されたかと思ったら、次には強く舌を吸い上げられる。舌が解放された次には、また口内を<ruby>蹂躙<rt>じゅう りん</rt></ruby>される。
「ふ、ぁ……あ、あぁん……」
息をしたいのに、上手に息を継ぐことができない。
ヴォルフラムの手は動きを止めることなく、寝間着の上から乳房を<ruby>撫<rt>な</rt></ruby>でまわし、目ざとく硬くなりはじめた頂を見つける。そこを指先でつつかれ、押し込むようにされ、座っているのも難しくなった。
ボタンが外されたかと思ったら、すぐに乳房が<ruby>露<rt>あら</rt></ruby>わにされる。
赤く色づいた頂点が、明るいところで見れば妙に<ruby>艶<rt>なま</rt></ruby>めかしく映って、引き下ろされたばかりの寝間着を引き上げようとした。
「なぜ隠す?」
「だって……明るい、から……」
よく考えたら、こんな明るい中で肌を見せたことはなかった。二人の間の夜は文字通りの秘め事であって、明るいまま愛を交わしたことはない。
「気にするな。ここには、俺とお前しかいないのだから」
そんな風に言われても、<ruby>羞恥心<rt>しゅう ち しん</rt></ruby>は忘れられない。
<ruby>睫毛<rt>まつ げ</rt></ruby>を震わせながら身体をよじろうとするけれど、ヴォルフラムの方が早かった。
ソファの座面に背中を押しつけられ、天井を見上げる形になる。
こちらにのしかかっているヴォルフラムの目には、明らかに欲情の色が<ruby>滲<rt>にじ</rt></ruby>んでいて、それに気づけばステファニアもぞくぞくしてしまう。
「……ん、でも……」
恥ずかしいものは恥ずかしい。腕を持ち上げて胸を隠そうとするけれど、ヴォルフラムはそれさえも許さなかった。
胸の谷間にヴォルフラムの顔が沈み込む。谷間の線を下から上へと<ruby>舐<rt>な</rt></ruby>め上げられて、喉の奥から甘い<ruby>呻<rt>うめ</rt></ruby>きが漏れた。
左の乳房に口づけながら、右の乳房を円を描くように揺らされる。
「ん……あ、あぁっ!」
頂きに舌が触れて、背筋をそらした。右の先端は、指の先でこね回されている。親指と中指で挟まれ、上から人差し指でトントンと<ruby>叩<rt>たた</rt></ruby>かれると、頂上から<ruby>麓<rt>ふもと</rt></ruby>に向けて、ピリピリとした官能の波が走るのだ。
反対側は<ruby>濡<rt>ぬ</rt></ruby>れた舌で左右に転がされ、押し込めるようにされて、指とは違う愉悦が送り込まれる。
部屋が明るいことも忘れて、ヴォルフラムの与えてくれる官能に浸った。
「あっ……あぁっ……あ、んんんんっ!」
舌が離れていき、もどかしさにはしたない声を漏らしてしまう。
寝間着が捲り上げられて、ドロワーズをとめている紐に手がかかった。紐を緩められ、足先から抜かれて、下半身が妙に心もとなくなる。
「──あ、あぁぁ……」
恥ずかしいのに、物足りない。自分の身体がどうにかなってしまったみたいだ。
懸命に膝を擦り合わせようとすると、ヴォルフラムは片方の脚を持ち上げてしまった。
「ま、待って……!」
片方の脚は背もたれに、もう片方の脚は肘置きにかけられてしまって、身動きが取れなくなる。
自分が置かれている状況があまりにも恥ずかしくて、両手で顔を<ruby>覆<rt>おお</rt></ruby>って<ruby>身悶<rt>み もだ</rt></ruby>えた。
「もう、濡れているな」
「み、見ないでください……!」
手で顔を覆っていても、ヴォルフラムの視線がその場所に注がれているのはわかってしまう。
「あっ──! あぁぁっ!」
熱く濡れた感触が花芽に触れ、悲鳴まじりの嬌声が、部屋の空気を震わせた。そんなところに口づけられるなんて、考えたこともなかったから。
敏感な芽にみだらな振動が送り込まれ、顎を突き上げるようにして<ruby>喘<rt>あえ</rt></ruby>いでしまう。生々しい舌の感触に、頭が焼き切れるのではないかと思った。
「ん……はっ……あぁ、だめ──!」
脚を閉じたくても閉じられない。普段なら絶対にやらないふしだらな体勢に、恥ずかしさがこみ上げてくるだけ。
ヴォルフラムの片手が乳房に触れ、全体的に強く弱く<ruby>揉<rt>も</rt></ruby>みしだいてくる。そうしながらも、舌の動きは止まることがない。
その場所は、いつになく敏感になっているようだった。舌がひらめく度に、脳裏に閃光が散る。
ずきずきとするほどに<ruby>疼<rt>うず</rt></ruby>き、蜜口からはとろとろと蜜が溢れ出していた。わざと音を立てて、その蜜を舐めとられ、それでもなお新しい蜜をこぼしてしまう。
つま先を丸めて、新たな快感の波をやり過ごそうとしても、<ruby>無駄<rt>む だ</rt></ruby>な抵抗だった。
「だめ、だめです、ヴォル、フラム様……あ、私──!」
これ以上の快感は必要ないと訴えかけた瞬間、淫芽が舌で押しつぶされた。とたん、一気に高みに放り上げられて、<ruby>嗚咽<rt>お えつ</rt></ruby>にも似た声が<ruby>迸<rt>ほとばし</rt></ruby>る。
「いったか?」
わかっているくせに、脚の間からそんな問いかけをしてくるとは意地悪だ。涙まじりでヴォルフラムをにらみつけたら、彼はにやりとして見せた。
「ひぁ、あっ、あぁっ!」
今度は舌だけではない。指が一気に二本、突き立てられる。完全にほぐれた秘所は、二本の指を難なく<ruby>呑<rt>の</rt></ruby>み込んだ。
「あぁっ、あっ、あぁんっ!」
片手で口を押さえようとしても、中を探るように指を動かされたら、口をついて出る嬌声を止めることはできない。
いつの間にか指の動きに合わせて腰をくねらせ、突き上げていて、もっと深いところへ指を招こうとしてしまう。
「はっ……んんん……」
こんなにもみだらになるなんて、信じられない。
慎みはまだ忘れていないのに、それを上回る快感を求めて身体が貪欲になる。
「──お願い」
そう口にしたのも、意識していなかった。
一人だけ、何度も昇りつめるのは嫌だ。ヴォルフラムと体温を、気持ちを分け合いたい。
その気持ちが通じたのか、ゆっくりとヴォルフラムが身を起こす。
「今日は優しくしてやれないぞ」
そんな宣言も今は嬉しく思ってしまうのだから、今日の自分はどうかしている。
寝間着を緩めたヴォルフラムが、改めてのしかかってきた。
「──あぁっ!」
みっしりと最奥まで埋め尽くされる感覚。ヴォルフラムと結ばれるまでは、誰かと体温を分かち合うことが、こんなにも心地よいのだとは知らなかった。
「ヴォルフラム様、ヴォルフラム様……!」
今日はヴォルフラムの方も余裕がないようで、いつになく性急に打ち込んでくる。
二人同時に上りつめた時、一粒の涙がこぼれ落ちる。
体内にヴォルフラムを感じながら、彼の背中に腕を回す。
広い肩、たくましい胸。誰かをこんなにも強く想うことがあるなんて、想像もしていなかった。
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