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あらすじ
君をすべて奪いつくしてやる
仮面夫婦のはずなのに憎しみと愛の狭間で熱く抱かれて兄の急逝により、突然女王として即位させられたアレクシア。敵対する連合国から送り込まれた政略結婚の相手は、隣国の第三皇子レオンだった。かつての想い人との思わぬ再会だったが、彼はある誤解からアレクシアを憎んでいた。レオンは義務として自分を抱いているとわかっていながらも、彼の熱く深い愛撫に、夜ごと乱され溺れていくが……。
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キャラクター紹介
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アレクシア
急逝した兄の跡を継ぎ、19歳でブロムベルク王国の女王に即位する。内気な性格。 -
レオン
凛々しく精悍な敵対国の第三皇子。アレクシアとの政略結婚により、王配となる。
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試し読み
彼女が他の令嬢に嫉妬しているのかもしれないと思うと、面映ゆさをおぼえた。それと同時に触れたい欲求が湧き起こり、「たった今謝ったばかりでこんなことを聞くのは、おこがましいだろうか」と考えつつ、再び口を開く。
「君は先ほど『本当の夫婦になれるように』と言ったが、それは初夜の続きをしてもいいということか?」
「えっ」
アレクシアの顔がみるみる真っ赤になり、落ち着きなく視線をさまよわせる。やがて彼女は目を伏せ、蚊の鳴くような小さな声で答えた。
「はい。あの……レオンさまさえ、よろしければ」
アレクシアの返答を聞いたレオンの心に、歓喜の感情がこみ上げた。
かなりの遠回りをしたものの、ついに彼女をこの腕に抱ける。三年前は敵国同士であり、結婚したあとも気持ちがすれ違ったままだったが、今の自分たちはようやくその障害を取り除くことができたのだ。
そう思うとひどく感慨深い気持ちになりながら、レオンは声に熱を込めて言った。
「俺は君に触れたい。夫として抱いて、すべて自分のものにしたい」
立ち上がったレオンはアレクシアの手を取り、天蓋付きのベッドへと誘う。
その途中で彼女の肩からショールが滑り落ちたが、構わなかった。ベッドの脇まで来たところで我慢できずに抱きすくめると、アレクシアが息をのむ。
「ぁ……っ」
彼女の身体は華奢で、レオンの腕の中にすっぽり収まった。柔らかな金の髪はわずかに湿っていて、全身から花のような香りがする。
抱きしめる腕の力を緩めたレオンは、アレクシアの唇を塞ぐ。表面を押しつけ、合わせからそっと口腔に押し入ると、彼女の舌がビクッと震えた。それをなだめるように舌同士をゆるゆると絡ませ、吐息を交ぜる。
「……っ……は……っ」
アレクシアに息継ぎをする暇いとまを与えつつ、少しずつキスを深くしていく。
ときおり喉奥から漏らす小さな声がいとおしく、何度も角度を変えて口づけてようやく唇を離した。
レオンはその背中を支えつつ、ベッドにゆっくりと押し倒す。そしてアレクシアの髪のひと房を手に取り、口元に持っていきながらささやいた。
「君の嫌がることはしたくない。もし途中で耐えられないと思ったら、遠慮なく言ってくれ」
「は、はい」
夜着の肩の部分をずらすと、胸元が一気にあらわになる。彼女の肌は白く、胸の形もきれいで、清楚な色の頂が欲情を誘った。
手のひらに包み込んだふくらみは弾力があり、弾むような感触を愉しみつつゆっくり揉みしだく。するとアレクシアが息を乱し始め、淫靡な雰囲気がじわじわと高まっていった。
身を屈めたレオンは、つんと上を向いた先端を口に含んだ。
「ん……っ」
敏感なそこはすぐに芯を持って尖り、吸いつく動きに彼女が身体を震わせる。
乳暈を舌先でなぞったり、じっくりと押し潰したりしながら、もう片方の先端を指で弄いじった。枕元のランプの柔らかな光の中、唾液で濡れ光る様はひどく淫靡で、レオンは愛撫を続けながらアレクシアに問いかける。
「これは平気か?」
「……っ、はい……」
「君の身体は、きれいだな。肌はまるで絹の手触りだし、色が白くてすぐに跡がつく。ほら」
胸の谷間を強く吸った途端、肌に赤い跡がつき、彼女が「あっ」と小さく声を漏らす。
胸や腹部に次々と所有の証を刻んでいくと、肌をついばむ動きにアレクシアが息を乱した。
レースの夜着の裾をたくし上げ、すべらかな感触の太ももを撫でたレオンは、彼女の脚の間に触れる。するとそこはわずかに潤んでおり、指でなぞるとぬるりとした。
「ぁ、そこは……っ」
「このあいだ、ここに指を挿れたな。今日は最後までするから、痛みがないようにうんと慣らさないと」
そう言って上体を起こしたレオンは、アレクシアの脚を大きく開かせる。
そして身を屈め、秘裂にゆっくりと舌を這はわせた。彼女がびっくりしたように腰を跳ねさせ、慌ててこちらの髪に触れてくる。
「お、おやめください。そのようなこと……ぁっ!」
花芽を舌で押し潰された途端、アレクシアの声音が変わる。
敏感なそこはすぐに硬くなり、ピンと尖って存在を主張するようになった。舌先で形をなぞって繰り返し嬲なぶると、彼女が感じ入った声を漏らす。
「はぁっ……ん……っ……ぁ……っ」
次第に甘さを増す喘ぎはアレクシアが感じていることを如実に表していて、レオンの興奮を煽あおった。本当は今すぐ彼女の中に押し入りたい気持ちでいっぱいだったが、強く自制する。
(初めて男を受け入れるときは苦痛があるというから、できるかぎり和らげてあげたい。俺の快楽は二の次だ)
ひとしきり快楽の芽を嬲って啼なかせたあと、花弁をじっくりと舌でなぞる。蜜口からはとろみのある愛液がにじみ出ていて、それをくまなく舐め取った。
蜜口をくすぐると、中がきゅうっと収縮するのわかる。白い太ももが震え、アレクシアがこちらの頭に触れて言った。
「……っ……レオンさま、それ……っ……」
「舌なら痛くないだろう。ああ、どんどん溢れてくるな」
「あっ、あっ」
浅いところを舐める動きに、彼女が啜り泣きのような声を漏らす。
色めいた喘ぎはレオンの官能を煽り、身体がじんわり汗ばんでいた。口元を拭いながら身体を起こし、シャツを脱ぎ捨てる。こちらの身体を目の当たりにしたアレクシアがかあっと顔を赤らめたものの、ふと左の上腕を見てつぶやいた。
「レオンさま、その傷跡は……」
「ああ、三年前の傷だ。跡が残ってしまった」
騎士として戦場に出ていたため、身体には細かい傷跡がたくさんある。レオンは左腕に触れて微笑んだ。
「アレクシアが手当てしてくれたから、俺は死なずに済んだ。まだあのときの礼を言えてなかったな、本当にありがとう」
「わたくしは……人として、当然のことをしただけです。礼を言っていただくには及びません」
「そうかな。生き延びたからこそ、こうしてまた君と会えた。その上妻として抱けるんだから、こんなに幸せなことはない」
彼女の手を取ったレオンは、それを自分の左胸の心臓の上に押し当てる。
じんわりと頬を染める様子がいとおしく、身を屈めて唇を塞いだ。そして口腔に深く押し入りつつ、蜜口から指を挿入する。
「んぅっ……」
アレクシアが喉奥から呻き声を漏らしたものの、ゆっくりと根元まで埋めていく。
中はみっちりと狭く、熱い柔やわひだ襞が蠢うごめきながら指に絡みついてきた。指を行き来させると内壁が断続的に締めつけ、愛液の分泌が多くなる。
「ぅっ……ん、……は……っ」
口腔に舌をねじ込まれながら彼女が喘ぎ、見ると顔が上気して目にうっすら涙がにじんでいる。その様子は普段の清廉な雰囲気とは真逆であるものの、淫らで可愛らしく、レオンの中の征服欲を煽った。
中に挿れる指を増やして抽送すると粘度のある水音が立ち、溢れた蜜が敷布を濡らしていく。やがて奥をぐっと押し上げた瞬間、アレクシアが背をしならせて達した。
「んぁ……っ!」
隘路がきつく窄すぼまり、奥から熱い愛液がどっと溢れ出して手のひらを濡らす。
ぐったりとした彼女の体内から指を引き抜いたレオンは、それを舐めた。そして下衣をくつろげ、いきり立った屹きつりつ立を取り出してアレクシアの脚の間にあてがう。
剛直を花弁にゆっくり擦りつけると、彼女が身体をこわばらせた。昂ぶりの硬さと質量に怯おびえているらしいアレクシアだが、逃げるそぶりはない。
レオンは切っ先を蜜口にあてがい、腰を押しつけた。
「んん……っ」
亀頭がぬかるみに埋まり、押し返してくる抵抗を感じながらじわじわと屹立を埋める。
中は狭く、内壁が痛いほど締めつけてきて、思わず顔を歪めた。何度か抜き差しを繰り返し、時間をかけて根元まで埋めたレオンは、充足の息をつく。
彼女が浅い呼吸をしながらこちらを見つめてきて、その頬に触れて問いかけた。
「全部入った。苦しいか?」
「……っ、はい」
アレクシアは「でも」と続け、頬に触れたレオンの手に自身のそれを重ねて言った。
「苦しくても……いいのです。こうしてレオンさまと繋がれたのですから、わたくしにとっては幸せな痛みです」
「――……」
彼女の瞳にはこちらに対する恋情が強くにじみ、それを見たレオンは胸を衝かれる。
三年前の出来事を誤解し、結婚後も冷淡な態度を取り続けた自分を、アレクシアはまったく責めなかった。それどころか「たとえ連合に決められた結婚でも、建前ではなく信頼し合える関係になりたい」と言ってくれたが、その根底には自分に対する愛情があったということだろうか。
レオンは彼女を見つめ、信じられない気持ちで問いかけた。
「もしかして君は、三年前から俺を想ってくれていたのか? あのときは国に連れて帰りたいという俺に、『一緒には行けない』と言っていたが」
「はい。わたくしはレオンさまを……ずっとお慕いしています」
剛直を受け入れた状態が苦しいのか、アレクシアが少し上擦った声で告げる。
「あのときは……ブロムベルクの王女という立場から、断らざるを得ませんでした。レオンさまがヘルツェンバイン王国の王子であることは存じ上げませんでしたけれど、王女という身分で一介の騎士に嫁ぐというのは到底許されることではなくて……。ですから」
自分たちが相思相愛だったという事実に、レオンの胸が歓喜に震える。
それと同時に、自分を想ってくれていたアレクシアに冷たく接してきた罪悪感がこみ上げ、かすかに顔を歪めてつぶやいた。
「アレクシアが俺を想ってくれて、うれしい。だが俺はそんな君に、冷淡な態度を取ってきた。アレクシアは最初に話をしようとしていたのに、まったく聞く耳を持たず……。許してほしい」
「もういいのです。わたくしたちは、今こうして気持ちが通じ合ったのですから」
彼女が微笑み、それを見たレオンの心が形容しがたい思いでいっぱいになる。
優しくしたい気持ちと、すべて奪い尽くしたい気持ちがない交ぜになるのを感じながら、アレクシアに向かってささやいた。
「――すまない、動いていいか」
「えっ」
「君がいとおしくて、我慢できない」 -
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