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あらすじ
あなたじゃないとだめなんだ
突然王太子に運命の恋人扱いされて!?没落令嬢のリアーヌは、舞踏会で王太子クリストフに出会った途端、熱烈に求婚される。しかも「両親の許可を得るためにすぐに子どもを作らないといけない」と言われ!? 子爵家再興のチャンスだと兄に唆されるまま、クリストフに抱かれてしまう。情熱的に愛を囁かれ温かな腕に包み込まれて彼に惹かれるも、クリストフは初夜以降、彼女に触れてこず!?
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キャラクター紹介
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リアーヌ
没落した子爵家長女。長女気質で弟妹を守りたい。 -

クリストフ
救国の英雄な王太子。前世の恋人を想う余り他の女性にはそっけない。
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試し読み
「リアーヌ……ずっとこうしたかった」
『ずっと』という言葉には違和感を覚えるが、その声があまりにも甘やかで、リアーヌはうっとりしてしまう。
クリストフが少し首を伸ばせば、唇と唇が触れる。瞳は閉じられているが、彼の眉間には感極まったかのように皺が寄っていた。
そんな表情を目の当たりにしてリアーヌは胸がきゅっと締めつけられる。
彼の厚い舌が唇をこじ開けてゆっくりと入ってきた。リアーヌは反射的に首を退くが、腰に回された手に力がこもり、逃さないとばかりに一層強く唇が押しつけられる。
彼の舌がリアーヌの口腔を独り占めしたいとばかりに満たしてきた。リアーヌは彼とひとつになったような感覚に溺れそうになって、彼の肩にすがるように手を回す。
クリストフの大きな舌がくちゅくちゅと音を立ててリアーヌの舌をもてあそんでくる。
「……ん……ふぅ……ん……」
リアーヌは息継ぎの合間に喉奥から吐息のような声を漏らすことしかできない。
信じられないことに今、彼女は王都の中心にある王宮の最上級の寝室で、いずれこの国を統べるだろう王太子と口を介して繋がっている。
たとえこれが最初で最後になったとしてもすごいことだ。
――この体験を記憶にしっかり焼きつけておかないと。
そう思ってリアーヌはカッと目を開ける。
クリストフは感極まったような表情をしていて、少し唇を離したかと思うと、再びくちづけてくる。そのたびに高い鼻が邪魔になるらしく顔を傾けて角度を変えていた。
――鼻まですらっとして美しいなんて……。
彼が唇を離して長い睫毛がゆっくりと上がると、蝋燭の炎に照らされた緑の瞳が橙がかかって蠱惑的に揺らめく。
リアーヌが目を離せなくなっていると、クリストフがこんなことを言ってくる。
「なんだか観察されているようだな。だが、絶対にいつかリアーヌに今の私を好きになってもらうからな」
――観察するような目?
恋する眼差しとはどんなものなのかと考えていると、クリストフがリアーヌの躰を半回転させて仰向けにしたものだから、「きゃっ」と驚きの声を上げた。
「驚かせると、素のリアーヌが見える」
リアーヌの動向に不自然さを感じているようだ。
クリストフがリアーヌの躰の左右に膝を突いて見下ろしてくる。これでは肉食動物に捕らわれた獲物だ。そんな弱い立場になってしまったというのに、なぜか腹の奥底でぞくりと自身を根底から揺るがすような深い悦びが生まれた。
「寝衣、似合っている。オレンジ色が好きかなと思って」
リアーヌが好きな色は緑色だが、こんなふうに言われたら褒めないわけにはいかない。
「ええ。とっても可愛いらしい色ですわ」
「やっぱり、そうか」
なぜかクリストフがうれしそうに笑った。彼は何を確かめているのだろう。
「じゃあ、こんなキスは好き?」
彼が頬に軽くくちづけてきた。
触れるだけのキス。それだけなのに、頬からじんわりと温かみが広がっていくようだ。確かに、深いくちづけよりこういうキスのほうが愛情が感じられていい。
「好き……です」
「やっぱり」
クリストフが満足げに片方の口角を上げる。
そこまでは可愛かったのだが、次に彼が取った行動はさらに一歩進んだものだった。
リアーヌを見つめながら、片手で胸のふくらみを盛り上げるように揉んできたのだ。
「えっ、嘘」
動揺するリアーヌを見下ろしたままクリストフが「ほら、どんどん素のリアーヌが見えてくる」と、勝ち誇った笑みを浮かべる。
寝衣の絹布越しとはいえ、肌に食い込んだ長い指が乳房を蠢く感触がたまらない。
――気持ち、いぃ……。
いくら相手が美形とはいえ、よく知らない男性に胸を触られて気持ちいいと思うなんて、自分はどうかしている。
気づけば、先ほどは酩酊したようだった彼の眼差しがいつの間にか冷静になっていた。
そんな表情なのに、いや、そんな理知的な表情だからこそ却って気持ちが高揚していく。
「……ど、どうして?」
彼がその疑問に呼応するかのように手の動きを変え、片手を広げて親指と小指それぞれで双つの胸の頂を同時にさすってきた。
軽く触れる程度だというのに、それがなぜか大きな快感をもたらしてきて、リアーヌは無意識にもぞもぞと躰を動かしてしまう。
「何も不思議がることはない。これは気持ちよくなる行為で……もっともっとリアーヌに気持ちよくなってほしいんだ」
彼女が恥ずかしくなって下唇を噛んだそのとき、胸の中心部に強い快感がほとばしる。
「え、何……?」
驚いて自身の躰に目を遣ると、彼が寝衣の上から胸の頂にしゃぶりついていた。これが存外に気持ちよく、「あぁ……んふ」と、自身の口から感嘆するような声が漏れ出てくる。
「敏感で可愛いね?」
クリストフがそう言って、濡れた布の上から乳首を指でぐりぐりといじってきた。
「ふぁ……どして、そんな……とこ?」
「気持ちよくなってくれるかと思ってね……」
そう言い終わると、指で愛撫していないほうの胸の尖りを彼が甘噛みしてくる。布越しなので痛みはなく、そこにあるのは快楽だけだ。
「は……ぁあん」
リアーヌは早くも淫らな熱に浮かされ、降参とばかりに両腕をベッドに投げ出した。
すると、クリストフが両太ももを掴んで広げてくる。
下穿きは何も着けておらず、なぜか股の間がスースーする。そこが濡れていたせいなのだが、リアーヌはそんなことに気づくことなく、ただ、太ももに食い込む彼の長く骨張った指の感触に酔いしれていた。
「あぁっ」
肌を吸うように太ももにくちづけられ、リアーヌは未知の喜悦に下肢を震わせる。
しかも、クリストフが自身の痕跡を残そうとするかのように強く吸い、キスの位置を少しずつ脚の付け根へと上げていく。
「はっ……ぁああん」
快楽の根源に近づいてくる感覚に、リアーヌが何かに掴まらずにはいられなくなって、シーツをぐしゃりと握りしめたそのとき、秘めた部分の襞をべろりと舐め上げられる。
「はあぁ!」と、リアーヌは小さく叫んで腰をびくんと浮かせた。
「こんなにも感じてくれるなんて……うれしいよ」
喜色を含んだ色っぽい声に、リアーヌは鼓膜まで愛撫されたような気になって躰を震わせる。
舌で花びら広げて秘裂をぴちゃぴちゃと撫で上げ、さらにはじゅるりと吸われ、さすがにリアーヌもその蜜が自身の中から滴っていることを理解したが、次々と新たな快感に襲われる中、なぜそうなっているのかと考えることなど到底無理だ。
さらにクリストフが弾力のある舌先で隘路をこじ開け、しかも下生えのなかにある芽のようなものを指で撫でてきた。
そのとき、経験したことのない甘い疼きが躰を駆け巡り、リアーヌは「はぁあ」と溜息のような声を上げたのを最後に意識を遠のかせる。
クリストフが優しく髪を撫でてくる。
「リアーヌ、気持ちよかったのか?」
リアーヌは答えることもできずに、ただ、はぁはぁと息を整えていた。
――何……今の……。
ぼんやりした視界の中に、彼の幸せそうな笑みが現れる。
――あ、可愛い。
まさか十歳近く年上の王太子を可愛いと感じることがあるなんて思ってもいなかった。
「リアーヌ……」
クリストフがリアーヌの背に手を回して上体を起こし、真剣な表情で「このまま、続けていいか?」と聞いてきた。
リアーヌは胸をきゅんきゅんさせ、こくりと頷くが、恥ずかしくて彼の顔を見ていられなくなって視線を下げたことで、あるものが目に入る。
クリストフはいつの間にか寝衣を脱いでおり、鍛え抜かれたたくましい躰の下部から嵩のあるずっしりしたものが雄々しく屹立していた。
リアーヌの実家には犬や馬がいるので理解していたつもりだったが、いざ自分となるとあまり理解していなかったことに気づく。
「あ、あの……本当に……?」
――こんな子どもの腕みたいな太さのものを……?
リアーヌは我知らず身を固くしていたようだ。
「そんなに緊張して……すまない。性急すぎた。なんといっても今日、会ったばかりだ。これから徐々に慣れてくれれば……」
クリストフがリアーヌに向けた微笑が悲しげだったので、彼女は咄嗟に彼の腕を掴んで首を横に振った。
「いいえ。……私は大丈夫です」
そう言ってから、自分が淫らな女になったようで恥ずかしくなり、リアーヌは顔を背ける。
――これは……家族のためなんだから。
リアーヌはそう自分に言い訳したが、自分でもこれが言い訳だとわかっていた。彼女はこの美しく、下級貴族にも同意を求めてくれる王太子が喜ぶ顔をもっと見たかったし、もっと自分に触れてほしかったのだ。
クリストフはそんなリアーヌの顎を取って顔を上向かせた。
「いいのか?」
彼がリアーヌを蔑むどころか、むしろ助かったと言わんばかりの期待するような瞳で見てきたものだから、リアーヌは頷くことができた。
「リアーヌ……うれしいよ。一刻も早くあなたを孕ませたいんだ」
とんでもない台詞を吐かれたような気もするが、そう告げたときクリストフの瞳が艶めいたものだから、リアーヌはときめきが止まらなくなる。
――英雄がこんな眼差しで私を求めるなんて!
「あ、あの……私でよろしければ……どうぞ」
と、リアーヌはぎゅっと目を瞑った。せっかく腹を決めて応じたというのに、なぜか間が空く。おそるおそる目を開けると、彼が困ったように笑んでいた。
「……あなたじゃないとだめなんだ」
きゅーんと、今までにないときめきに胸を貫かれたが、すぐにそんな甘い気持ちは飛んでいった。
クリストフが彼女の寝衣を掴んで一気に頭から引き抜いたからだ。
いきなり全裸になってリアーヌは慌てて両腕で胸を隠して背を丸める。
「こんなに美しいのに……隠さないで」
そう言うなり、クリストフがリアーヌを持ち上げ、彼女の脚を左右に開いて自身の大腿に座らせて向き合うと、両方の手を取って指を絡ませてくるものだから、胸を隠すものがなくなってしまう。
彼の視線を胸に感じ、リアーヌは消え入るような声でこう頼んだ。
「あ、あの……蝋燭の火……消して……いただけませんでしょうか」
「その願いは聞けないな」
そう言い終わらないうちに、クリストフが繋いだ手を使って彼女を押し倒す。彼の大腿に脚を乗せていたので、リアーヌは両脚を左右に広げられた状態で組み敷かれた。
「こんなに美しいものを見せないだって?」
「そ……そんな……」
――美しいのはむしろ殿下のお顔のほうです!
と、リアーヌは反論したかったが、それどころではない。
目の前にご尊顔があるうえに、長く節張った指に指を絡めとられ、太ももには大腿が食い込み、なんといっても硬くなった長いものがお腹に当たっているという状況下にあった。
もう頭が沸騰寸前で、まともな言葉を発するなど到底無理だ。
しかも、クリストフが乳頭をちゅうっと吸ってきたものだから、リアーヌは繋いだ手に力を込め、「ひゃっ」と腰を浮かす。
彼の唇が、舌が、直に乳首に触れているのだ。布越しより生々しくて、それだけで頭がくらくらするというのに彼が舌で圧するように舐めてくるものだからたまらない。
「ひっ……ひぇ……ひゃん」と出したことのないような声が口を突く。
彼は、もう片方の胸に唇を移すと、今度は舌先が乳首を掠めるくらいそっと触れるだけに留めた。そんな微かな接触だというのに、さっき舌で強く押されたときと変わらないぐらい感じてしまい、またしても「ふゎん……ふぁ……」と声を漏らしてしまう。
「そっと触れられるのもいいみたいだな?」
クリストフが再び乳頭にかぶりついてきて、口内で乳首をしごきながら、繋いだ手を外して下腹から脚の付け根へと大きな手を這わせていった。その動きに呼応するかのように全身がぞわぞわと淡い快感に包まれていく。
手が花芽を通り抜け、秘所へとたどり着くとそこはもう濡れに濡れていて、彼がわざと音が出るようにぐちゅぐちゅと前後に揺さぶってきた。
「はぁ……はぁあん」
リアーヌが無意識に彼の厚みのある肩をぎゅっと掴んだとき、自身の中に何かが侵入してきた。彼が指を挿れたのだ。さっきまでリアーヌの指と組み合わされていた長い指が今、自身の中にあると思うと、いよいよ昂ってしまう。 -
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