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                  あらすじ声を我慢するな。俺に聞かせろ――全部。 オークションにかけられた亡国の王女メルティアは、帝国の若き皇帝ルディウスに買われ庇護を受ける。しかし祖国復興の手助けの代わりに彼の伴侶として皇妃になることを求められ…。「声を我慢するな。俺に聞かせろ、全部」淫らな愛撫に翻弄され、初めてを捧げるメルティア。常にメルティアを気にかけてくれるルディウスに惹かれていくけど!? 
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                  キャラクター紹介- 
                           メルティア 
 亡国となったエトニアの王女。健気でありながらも芯の通った性格。
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                           ルディウス 
 ディミリア帝国の若き皇帝。武勇に優れ、近隣諸国から怖れられている。
 
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              試し読み瞬きを繰り返していたら、ルディウスは黙って唇を重ねてきた。重なり合う体温。混じり合う吐息。こうしているのが、あまりにも自然に思えてきて、うっとりと身をゆだねる。 
 角度を変えて口づけられ、舌の先でゆっくりと唇をなぞられた。舌で唇をつつかれ、促されるように開けば、ぬるりと舌が入り込む。
 「んっ……ふ、ぁ……」
 それだけで、メルティアの体温は一気に上昇した。先を尖(とが)らせた舌で上顎をくすぐられれば、腰のあたりにぞわぞわとする感覚が走る。
 「あ、はぁ……ルディウス……さ、ま……」
 そのまま、巧みな舌使いで口内のいたるところを攪拌(かく はん)されると、あっという間に腰が抜けてしまった。
 ルディウスの寝間着に懸命にすがっていたが、立っているのも困難になってくる。
 「すっかり、俺に慣れたな」
 「言わないで……」
 初めて結ばれてから、今日にいたるまでの間、何度同じ夜を過ごしたのか数えることはできない。
 ルディウスの側にいれば、何も怖いことはないのだと思うことができた。かつて、何もできない自分を呪ったのが噓(うそ)のようだ。
 初めて結ばれたのが、ルディウスでよかった。
 神の前で愛を誓ったのが、ルディウスでよかった──この結婚が、彼にとっては政略上必要なものだったからという理由があったとしても。
 「あ、あぁっ!」
 薄手のナイトドレスの上から大きな手で乳房を揺らされ、あられもない声が上がる。そのまま勢いよくベッドに押し倒されて、天上を見上げた。
 ──どうしよう。
 ルディウスの目に浮かぶ欲情の色に気づいてしまえば、メルティアの身体の奥にも熱がともる。
 「今日のは、ずいぶん脱がしやすそうだ」
 「──なっ!」
 慌てて両手を胸の前で合わせ、身体を小さく丸める。
 ルディウスと初めて結ばれた日、背中のボタンを外すのに手間取った。
 それに引き換え、今日のナイトドレスは、本来ボタンが並ぶべき場所にはリボンが縫い留められていた。片側をボタンホールに通したリボンを結んで、前が開かないようにしてある。
 透けてしまいそうなほどに薄く、繊細な生地のリボンは、たしかに片手でも簡単に解くことができる。
 ──別に、そこまで考えていたわけ、じゃ……。
 まるで脱がされることを前提に──初夜なのだからそれで正解なのだが──このナイトドレスを選んだようだと、みるみる赤くなってしまった。
 笑顔でこれを差し出してきた侍女は、今夜が上首尾に終わることを期待していたのだろうが。
 「……あっ」
 横倒しになって身体を丸めているメルティアのうなじに、ルディウスの唇が触れる。ちりっと焼けつくような痛みが一瞬走った。
 その感覚は嫌なものではなく、むしろ、身体がますます熱を帯びてくるようだ。
 「メルティア……」
 低く艶(つや)やかな声で名を呼ばれれば、丸まっていた身体も自然ととけていく。横倒しになっていたのを、くるりと向きを変えられて天井を見上げた。
 ──だめ。もう、熱くて……。
 うなじに口づけられただけなのに、そこから甘い陶酔が全身へと広がっていく。いつの間に、こんなに感じやすくなってしまったのだろう。
 「これはいいな。メルティアの寝間着は全部こうしようか」
 「あっ……や、あ、あぁっ!」
 首筋に沿って舐(な)め下り、鎖骨に軽く歯を立てたルディウスが次に目指したのは、わずかに胸の谷間をのぞかせている胸元だった。
 白いリボンが、メルティアの呼吸に合わせてゆっくりと上下している。
 のぞいている谷間に、ちろっと舌を差し込んだかと思ったら、リボンの片方の端が歯で挟まれた。
 「えっ……あ、あのっ……」
 リボンを咥(くわ)えたルディウスが、こちらを見上げて唇の端をつり上げる。その目はなんとも言えない色気をはらんでいて、思わずメルティアも息をつめる。
 身じろぎもせず見ているメルティアの目の前で、ルディウスはゆっくりとリボンを引く。しゅるり、とかすかな音がしてリボンが解けた。
 ボタンホールに通されている部分は、小指の先で引っかけて抜いてしまう。
 その間も、メルティアの反応をうかがっているかのように、ルディウスの目はこちらを見つめたまま。
 「はっ……んぅ……」
 直接肌には触れられていないのに、胸の頂(いただき)に神経が集中していく。下にずれたルディウスは、次のリボンを歯で挟んだ。
 「あっ……あっ……」
 再び視線を合わせたまま、口でリボンを解かれる。乳房には触れられていないのに、どうしてこんなに胸の先端が敏感になっているのだろう。
 「やっ……ぅ……ん、は、ぁ……」
 リボンが解かれていくに従い、部屋の空気に触れる肌面積も広くなっていく。どんどん身体が火照(ほ て)っていくのがどうしようもなくて、シーツの上で身体をくねらせた。
 「今ので感じたのか?」
 「そういうこと言わないでください……!」
 ルディウスの声音に、からかうような色が混ざっているのがわかるから、いたたまれなくなる。
 しゅるりとまた一本、リボンが解かれた。まだ下の方は解かれていないけれど、少しずらせば簡単に素肌があらわになる。
 隠そうとしたけれど、視線で止められ、身体の両脇にだらりと垂らした手でシーツを摑(つか)んだ。
 むき出しにされた乳房は、頂がつんと硬くなり赤く色づいていて、今までの愛撫で感じていたことを明らかにしてしまう。ルディウスの視線がどこに向かっているのかに気づけば、あっという間に全身を真っ赤に染め上げてしまった。
 「あ──あ、あっ」
 「たったこれくらいでこんなに硬くするなんて、ずいぶん素直になったな」
 立ち上がった頂を、からかうように軽く弾(はじ)かれると、身体の奥で欲望が膨れ上がる。
 「ルディウス様は、意地が悪い……あっ、あぁっ!」
 今度は爪で引っかかれて、はしたない声が漏(も)れた。痛くはないが、痛みと快感ぎりぎり紙一重の感覚だ。背中をしならせる動きで、豊かに実った乳房が弾むように揺れる。
 「ん……や、あぁ……だめ、だめ、なんです……!」
 片方の頂がルディウスの口内に含まれた。とたん、背筋を震わせる凶悪な愉悦。
 もう片方の頂は、親指と中指の二本の指で挟まれ、きゅっきゅっと左右にひねられる。残った人差し指で頂点を叩(たた)かれ、ぐっと下腹部が熱くなった。
 「もう、もう、だめ……だめ、です……!」
 「今日は、ずいぶん音(ね)を上げるのが早いんじゃないか?」
 そんなことを言われても困る。今日はたしかに肌が敏感になっている。
 婚儀を成功させなければならないという緊張が、一気に解けたからだろうか。
 「だって……は、ぁんっ!」
 空いた方の手で、脇腹がするりと撫(な)で上げられ、鼻にかかった声が漏(も)れた。
 「俺も、今日は我慢ができそうになかったから、ちょうどよかったと言えばよかったが」
 なんだか不吉な言葉を口にしながら、ルディウスの手が下の方に伸びてきた。
 すでに、濡(ぬ)れてしまったその場所に触れられるのは恥ずかしく、思わず腿を擦り合わせる。だが、彼の手は強引に間に滑り込んできた。
 「すっかり準備できているな。もう、いいか?」
 どうして、そんなことをいちいち聞くのだろう。けれど、尋ねられる度にお腹の奥がじくじくとするのだ。
 無言のまま何度も首を縦に振る仕草で同意すれば、まとっているものがあっという間に剝(は)ぎ取られてしまった。
 シーツの上に銀糸の髪を散らし、横たわったメルティアはルディウスを見上げる。ルディウスの方も、身に着けているものを全て脱ぎ捨てていた。
 首筋から肩にかけてのがっしりとした線、鍛(きた)え上げられた肉体が目に飛び込んでくる。肩から続く力強い上腕部。たくましい胸板、綺麗(き れい)に割れた腹筋。
 そこから先に視線を進めれば、幾度となくメルティアを貫いたルディウス自身が視界に入ってくる。腹につくほど反り返った雄々(お お)しい剛直。
 それに貫かれた時の快感を思い出して、思わず喉が鳴る。
 ──私ってば。
 あまりにもはしたない妄想に、思わず目を閉じた。
 「そんなところを見せられると、俺も我慢(が まん)が効かなくなりそうだ」
 そんな風に笑わないでほしい。
 自分のはしたない反応にいたたまれなくなって、シーツを引き寄せようとする。だが、ルディウスの方が速かった。
 擦り合わせていたはずの腿の間に、なんなく手が滑り込んできたかと思ったら、濡れた蜜口を二本の指が割り開く。
 息をつめた次の瞬間、埋められることを望んでいたその場所は、二本の指を容易に吞み込んだ。そのまま、中を大きく抉(えぐ)られ、親指で硬くなった核を震わされたら、シーツを握りしめたり放したりしながら身悶(み もだ)えてしまう。
 「あっ、あっ…い、いきなり……ゆ、び……」
 いきなり二本も受け入れられるとは思ってもいなかった。今までの夜、ルディウスは常に完全に蕩(とろ)けさせてから中に入り込んできたから。
 「気持ちいいのなら、問題はないだろう」
 「いい、けど……あぁっ!」
 指を埋め込んだまま何度も淫核を擦られると、のけぞったまま震えるしかできなくなる。身体の中心を直撃するような強い刺激に、あっという間に絶頂に押し上げられていた。
 「今日はずいぶん敏感になっているみたいだな」
 「言わっ……ないでっ」
 恨みがましい目で見上げているはずなのに、恥ずかしげもなく腰をくねらせて新たな快感を貪(むさぼ)ろうとしてしまう。
 「んっ……あ、あぁ……いや、待って……!」
 蜜にまみれた指が引き抜かれ、物足りなさそうな声を上げた。下肢の奥はじんじんと痺(しび)れていて、今、刺激するのをやめられたら、不満ばかりが身体の中心に渦巻いてしまいそうだ。
 「指より、こっちの方がいいだろうに」
 メルティアにまたがるルディウスの手が、己自身を扱(しご)き上げた。貫かれた時の甘美な予感に、再び喉が鳴る。
 「焦(じ)らしては……ん、いやです……」
 わずかに濡れた先端が、ひくつく花弁に擦りつけられる。とたん、奥の方が収斂(しゅう れん)するのがわかった。
 なのに、ルディウスは浅いところをかき回すばかり。押し入ってこようとはしないから、不満の呻(うめ)きが漏れる。
 彼が腰を引き、追いかけるようにメルティアが腰を突き上げたら──強引に濡れた蜜洞に熱い塊が入ってきた。
 「あっ、あっ……あぁぁっ!」
 それだけで、再び頂点に押し上げられる。
 一度、侵入を果たしたルディウスは、容赦(よう しゃ)しなかった。腰を強く掴み、うねる内壁を剛直が執拗に突き回す。完璧に感じてしまっているメルティアは、すすり泣きながら身悶えるしかなかった。
 まるで、獣(けもの)に食べられてしまっているよう。
 幾度も彼とは夜を重ねてきたけれど、ここまで彼が欲望をあらわにしたことはなかった。
 「はぁあっ……はぁぁん……あ、ああああっ!」
 ずん、と最奥を突き上げられ、また、高々と嬌声を響かせてしまう。あまりにも快感が強くて、降りてこられないのではないかと、そんな不安が頭をかすめる。
 「待って……あぁっ! ……深い……!」
 背中に手が回されたかと思ったら、上半身を持ち上げられた。胡坐(あぐら)をかいて座っているルディウスと、向かい合う体勢に移行させられる。
 これまで、こんな体位で交わったことはなかった。自分の体重でいつもより奥まで受け入れてしまい、今まで知らなかった個所を擦り上げられて、たまらずに腰が痙攣(けい れん)した。
 「待って、ルディウス様……うごか、ない、でっ!」
 かすかな身じろぎだけでも、奥の方が刺激される。後ろに倒れ込んでしまいそうで、慌ててルディウスの首にすがりついた。
 「動かないでと言われてもなぁ」
 「あっ、あぁぁんっ!」
 ゆっくりと腰を回すようにされただけで、重い愉悦が押し寄せてくる。今日は、もう何度達したのだろう。
 あと何度達したら許されるのだろう。
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