書籍紹介
この結婚、秘密にさせていただきます!?~旦那さまはイケメン声優~
この結婚、秘密にさせていただきます!?~旦那さまはイケメン声優~
ISBN:978-4-596-74500-2
ページ:290
発売日:2016年3月3日
定価:本体390円+税
  • あらすじ

    二人の結婚は誰にもナイショ。

    高校時代の同級生・侑斗と、ついに結婚した真帆。ラブラブな新婚生活かと思いきや、二人の結婚は誰にも秘密。なぜなら、彼は人気急上昇中のイケメン声優だったから! 「真帆の全部、俺だけにちょうだい」耳元で囁かれる甘い声、肌をすべる淫らな指先。結婚までHはお預けだった初夜、侑斗に仕事の呼び出しが! 彼の仕事を応援したい真帆だけど!?
    (ヴァニラ文庫ミエル)

  • キャラクター紹介
    • heroine_vbl50

      森尾真帆

      アパレルブランドの広報課に勤務。クールな性格。26歳。

    • hero_vbl50

      佐々木侑斗

      売り出し中の若手声優。明るい性格のムードメーカー。26歳。

  • 試し読み

    「好き……、大好き、俺だけの真帆……」
     やわらかく抱きしめられて、背中がシーツに触れる。押し倒された真帆は、ワンピースの裾を気にしながら彼の背に手をまわした。
     彼の下腹部が密着した太腿に、力強い昂ぶりが当たる。まだ何もしていないのに、侑斗はこんなに自分を欲してくれているのだと思うと、知らず頬が赤らんだ。
    「ねえ、真帆は? 俺のこと好きって言ってくれないの?」
     真帆の頭を枕に移動させて、侑斗が上半身を起こす。
     まっすぐな瞳に射貫かれると、体よりも先に心が裸にされた気がした。
     つきあいが長くなればなるほど、相手がどうしたいのかがわかってくる。それと同時に、どうしてもわからない部分があることにも気がつく。
     だけど、何度言ってもまた好きだと言いたくなる気持ちや、何度聞いてもまた好きだと言ってもらいたくなる気持ちは相互理解とは別だ。わかっていても言いたい。わかっていても聞きたい。
    「好きの気持ちって不思議だね。わたしは侑斗が好きでいてくれるのを知っていても、『好き』って言われると嬉しくなる。侑斗も同じ? わたしに『好き』って言われると、嬉しい……?」
     もちろん、と頷いた彼がぎゅっと抱きついてくる。思いきり体重をかけられて、一瞬息がつまりそうになったけれど、それすらも嬉しいのは、侑斗を好きだからだ。
    「だから聞かせて? 真帆、俺のこと、好き?」
     耳元で囁かれた言葉が、甘く心を溶かしていく。耳朶を震わせる吐息も、少し高めの優しい声も、ただ愛しくて、愛しくて。
    「ゆ、侑斗、耳、近いよ」
     くすぐったさに体をよじったが、彼はそれを許さないとばかりに強く抱きしめてきた。
    「やーだ、言ってくれなきゃ離してあげない。それに、これはわざとだからね。真帆、耳元で囁かれるのイイんでしょ?」
     ちろりと舌先で耳殻をなぞり、侑斗が息を吹きかけてくる。それだけで、全身が震えそうになった。耳の下に始まり、首から肩、背中を駆け巡って、甘い電流が真帆の体を狂わせる。
    「そんなことされてたら、い、言えない……」
     いつもは、どちらかというと真帆の発言に侑斗が戸惑うことが多い。真帆としてはわざとやっているつもりはなく、率直な言葉を口にするせいらしい。
     ――でも、耳元でしゃべられると急に力が抜ける。これ、どうしたらいいんだろう。
     首のうしろがちりちりするような感覚に、真帆は小さく肩を震わせた。
    「えー、そんなことってどんなこと? 俺は真帆をかわいがってるだけだよ。ね、どんなことされると、真帆は言えないくらい感じちゃうのかな」
    「ん……っ! 侑斗、耳に近すぎ……っ」
    「だってさ、こうしてると真帆、すっごいかわいい顔するから、つい、ね」
     頬が紅潮し、呼吸が乱れた姿を見たいのだろうか。逆に、侑斗がそんな状況になっているところを想像すると、たしかに見てみたい気がする。
    「じゃあ、侑斗にもしてあげる。――侑斗、大好き……」
     彼の耳に唇をつけるくらい顔を近づけ、小さな声で愛を告げた。自分がされて、ぞくぞくするのと同じ感覚を彼に与えるのは難しいかもしれない。
     ――侑斗は声のプロだから、あんなふうに鼓膜ごと溶かされるみたいな感じがするのかもしれないし。
     しかし、真帆の想像以上に効果は絶大だった。
    「~~~~っっ! ちょ、これ、ダメ! やばい、すっごくやばい!!」
     何がやばいのかは言わず、侑斗が真っ赤な顔をして体をよじる。
    「うっわ……、何これ、キまくる……」
     はぁはぁと肩で息をする彼は、何度も見たくなるかわいさだ。侑斗が真帆にしたがるのも仕方ないかもしれない。そう思えるほど、彼はせつなげで、ひどく淫靡な表情をしていた。目がとろんとなっているところがたまらない。
    「ね? 耳元でしゃべられると、ちょっとおかしくなっちゃうでしょ」
    「……真帆は禁止。これやるのは俺だけね」
    「どうして?」
    「どうしても!」
     それ以上の反論も疑問も受け付けないとばかりに、侑斗が真帆の胸元に顔を埋めた。
    「ゆ……侑斗……?」
     ワンピースの上から左胸にかぶりついた侑斗が、はあーっと熱い息をかけてくる。下着のなかまで彼の吐息が届いて、真帆はのどを反らした。
    「真帆、かわいい……。もっと見せて、真帆の全部、俺だけにちょうだい」
     シーツと背中の間にすべりこんできた侑斗の手が、器用にファスナーを下ろしていく。指先が素肌に触れると、ぱちんと小さな音を立ててブラジャーのホックがはずされた。
     ――見られるのは初めてじゃないけど……
     今までは、平気だった。
     大好きな侑斗になら何をされても怖くなかった。
     それなのに今夜は、ワンピースの袖から腕を抜くだけのことが難しいほど、指先が震えてしまう。
    「……緊張してる?」
     尋ねてくる彼の声も、どこかいつもと違って聞こえた。
    「たぶん……」
     ワンピースと一緒にブラジャーも脱がされて、真帆は両手で胸元を隠す。暗い室内なら、そう見えないだろうとわかっているのだが、彼に愛されるのを待ち望んでつんと硬くなった先端が恥ずかしい。
    「俺も緊張してる。だから、隠さないで。真帆の全部見たい」
    「……ん、侑斗……っ」
     そっと手をよけられ、阻《はば》む隙もなく彼の唇が胸の輪郭を辿っていく。やわらかな下唇が這うように動くと、腰の奥が淫らにひくついた。
    「ここ、もう硬くなってるね」
     左胸の裾野に唇をつけたまま、侑斗が先端を指先で撫でる。くるりと円を描くような指に、体がこわばった。
    「や……っ……」
    「イヤじゃないでしょ。ここ、さわられるの好きなの知ってるよ」
     親指と人差し指で根本をきゅっとつままれて、声にならない嬌声が脳天を突き抜ける。
    「……っ、ぁ、……っっ」
     色白の真帆の、ほんのり色づいた乳暈を、侑斗の舌が慈しむようになぞっていく。同時に、彼のいたずらな指先はつまんだ乳首をこりこりと擦りはじめた。
    「ほら、真帆、わかる? さっきよりもっと硬くなっちゃったよ。俺に触れられて感じてるんだね」
     普段は明るく爽やかな侑斗の声が、夜の帳《とばり》のなかでは甘くかすれる。その声がいっそう真帆の心を濡らし、恥ずかしいほどに体を敏感にさせた。
    「ねえ、声聞かせて。真帆の気持ちよさそうな声、いっぱい聞きたい。それとも、もっと感じさせてあげなきゃダメかな」
    「待って、待って、ゆう……、ん、あぁっ……!」
     根本を指でつままれ、括りだされたように尖る先端をねっとりと熱い舌が包み込む。その瞬間、はしたないほどに腰が跳ねて、真帆はきゅっと目を閉じた。
    「もう待たないよ。結婚するまで俺、いい子にしてたからね。今夜はたっぷりご褒美をいただきます」
     言うが早いか、侑斗は舌先だけではなく口腔すべてで真帆の胸を味わおうと、指を離して乳暈ごと吸いあげる。心を吸いだされるようなせつなさに、声をこらえることができなくなった。
    「んぅ……っ、あ、あ、ダメ……っ、そんな……す、吸わないで、やぁ……っ」
    「真帆のウソつき。ここは『もっと吸って』っておねだりしてきてるよ?」
     お留守だった右胸を、彼の左手がやんわりと揉みしだく。すると、まだ触れられていない先端がジンと疼く気がした。
    「だって、だって……侑斗が、んん……っ!」
    「俺が? ねえ、真帆、なに? ちゃんと言って? 俺がいっぱい吸うから、こんなにいやらしくなっちゃうの?」
     ぴちゃぴちゃと音を立てては、舌先で乳首を捏ね、侑斗がふふっと小さく笑う。
    「真帆、まだ処女なのにね。胸を弄《いじ》られるだけで泣きそうな声出しちゃって、たまんないな……」
     日頃から名前を呼びたがる侑斗だが、今夜はいつにもまして真帆の名前を連呼してくる。まるで、彼女の名を呼ぶことが『愛してる』の意味だとでも言うように。
    「侑斗のせいだよ……? ん、ふ……っ、ぅ……、侑斗が、そんな……舐めたり、さわったり……、あ、あ、ぁ……っ」
    「だったら責任とらなきゃ。真帆を感じさせちゃった責任、俺にとらせて?」
     熱を帯びた腰の奥、甘く蕩けた蜜は太腿をきつく閉じ合わせていても滴《したた》ってしまう。下着を濡らすほどにあふれたそれを知られたくなくて、真帆はわずかに腰を引いた。

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