書籍紹介
蜜縛~絶対君主の甘い指先~
蜜縛~絶対君主の甘い指先~
ISBN:978-4-596-74474-6
ページ:290
発売日:2014年12月25日
定価:本体590円+税
  • あらすじ

    お前はただ、溺れていればいい

    国を滅ぼされ、大国の王、エルンストの庇護下におかれることになったノエリア。乱世の覇者として名高い彼は、毎夜冷徹に彼女に悦楽を教え込む。「濡れているな。そんなによかったか?」父と祖国を失った傷から立ち直れず、死にたいと望む彼女に手枷をほどこし、王妃にしようとする彼の真意はどこにあるのか。迷いつつ彼に惹かれていくノエリアは!?

  • キャラクター紹介
    • heroine_VBL-24

      ノエリア

      亡国コートニアの公女。父の死に打ちのめされる。

    • hero_VBL-24

      エルンスト

      大国ヴェルデラーノの王。ノエリアを死地から救う。

  • 試し読み

    「もっといやらしく強請れないのか?」
    ただの言葉遊びだ。
    大きな目を見開いて、そこで揺れる瞳が見たかっただけ。
    真面目なノエリアは視線を避けるように肩へ顔を埋めてしまった。少しして、身体を擦りつけてくるのは誘っているつもりなのだろうか。いじらしい態度に笑いが漏れる。
    そうしながら、柔毛を擽っていた指先を下に滑らせた。
    「……ぁ、ッ……ん」
    「ああ、濡れているな」
    精神的重圧を覚えれば濡れる身体。そうなるように仕向けたのはエルンストだ。ノエリアだとて変わってしまった自覚くらいはあるだろう。
    「……ぁ……あ……ッん」
    耳元で小さく喘ぎながら彼女は腰をくねらせる。無言でねだるその通りに、エルンストは蜜口の上の膨らみに滴り落ちる蜜を塗り広げた。
    その刺激に怯えたように腰が逃げる。
    「動くな」
    「――……ッ」
    一呼吸置いて、そろそろと戻ってきた腰を片腕で抱え込んだ。逃げられなくしてからノエリアの欲しがる愛撫を与える。かすかに荒げる吐息。エルンストの指の動きに合わせて短く途切れるそれが耳に触れた。
    親指で彼女が最も濡れる尖りを撫で上げる。膨らみ切っていないそこが、腰が震えるごとに存在感を増し、引き攣れる吐息に喘ぎが混じりだした。
    「あ……ッ!」
    強く擦れた指の刺激が強すぎたのか、ノエリアは縋り付いたまま身体を強ばらせる。
    だが苦痛ではないのは、余韻に浸る表情から明らかだった。ならば止める謂われもない。伸び上がって上へ逃れようとする身体を顎で押さえつけ、その白い首筋に舌を這わせる。
    指がそのまま下肢を弄る。尖りを転がしながら入り口をくすぐると、耐えきれないと言うように彼女は腰を揺らめかせた。
    その身体から、かすかに花の香りが立ち上る。香油と彼女の匂いが入り交じったそれ。いつもそれに、誘われるように舌を這わせてしまう。
    「ゃ、……あ、ぁぁ……」
    指を彼女の中に差し込んだ。
    仰向くように傾ぐ身体、その小さな喘ぎ声が遠のくのを惜しんで後頭部を元の位置に引き寄せると、何を促されたと勘違いしたのか柔らかい唇と舌の感触がエルンストの首筋をくすぐった。
    「俺の真似か?」
    「……ぁ、ん、だめ…・・?」
    「好きにすればいい」
    こちらも好き勝手やっているのだから。
    指を滑らせるたびに濡れていく。膨らみを軽くなで回しつつざらりとした魔所に指を押し当てた。ほんの一瞬強ばった身体が、すぐに弛緩する。優しく押し撫で、退り、ぬかるむそこを何度も指で押し開く。
    「エル、ンスト、さま……ぁッ!」
    「欲しかったんだろう? 指に絡んでくる」
    「あ、ぁ、……ッそん――」
    ゆっくり中の襞をくすぐると、下肢から力が抜けるからか首の後ろに回る腕に力がこもった。だめ、だめ、とうわごとを呟くように喘ぎながら、腰をくねらせる。
    中と同時にエルンストが育てた突起も撫で上げた。そのたびに、びくんと身体を跳ねさせ、すすり泣く。
    「そこ、ばっかり・・…ぁ、だめ……ッ」
    「なら、他にどこを嬲ってほしい?」
    追い詰められた肢体が腕の中で震えている。それを見下ろしながら、背後に回した腕も下ろし柔らかな双丘の片側を?んだ。指先だけでその隠された奥を撫でると、前から中に忍ばせていた指が締められる。
    それに構わず指を引き抜き、溢れる蜜をそこに戻すように押し込めた。
    「ここで、誘ったのはお前だろう」
    全裸になって、触れてほしい部分を晒せと告げた。
    彼女は躊躇いながらも衣服を床に落とし、自ら膝を付いた。あの光景を思い出すだけで下肢にわだかまる熱が煽られる。
    声にならない悲鳴をあげて、襲いかかる快感を少しでも流そうとノエリアは頭を振った。
    「違うのか」
    「ちがわ、……ない、です。……だってもう、ずっと、欲しいの」
    耳元で甘く囁かれて、笑い出しそうになった。
    甘く匂い立つ柔らかな肢体をすり寄せての誘惑に、くらりと理性を危うくする自分に。
    指を蠢かすたび、くちくちと低く水音が響いた。
    ノエリアは嬌声を必死に飲み込もうと、何度も喉を鳴らしては息を詰める。時折そこに唇がかすめるのは、煽りたいのだろう。エルンストの情欲を。
    もう十分煽られているのに。
    気づけばノエリアが片手でエルンストの胸元を探っていた。シャツをはだけさせようとして、だが一つも上手くいっていない。
    それに笑ってしまう。
    「ノエリア」
    「あ、ごめんなさ……」
    その指先に手を重ねて、そのまま代わりに留め具を解いた。
    「こんなもの、引きちぎればいいだろう」
    「そんなこと……」
    できるわけがない、と一瞬その顔が笑みにほころんだ。ちいさく、かすかに。
    同じ笑いを浮かべ合う、初めてのそれに心が震えた。十代の子供のようだと自身を笑う余裕すらない。
    俯き加減の視線と目を合わせようとしたのは無意識だ。唐突な動きにまず逃げを打つのはノエリアの癖だった。他意はない。わかっていても、感情がうねる。
    興奮で頭に血が上っているからだ。
    肉体が先走り、愚かしく叫ぶ情動をぎりぎりのところで押さえ込む。そんな駆け引きめいたやりとりは嫌いじゃない。
    手綱を握っていられるうちは。
    「あ、……ゃ、あぁッ!」
    剥き出しの胸に吸い付いた。舌を使えばびくんと仰け反って、胸を突き出した体勢のまま動けないようだった。エルンストのシャツを開けさせた手で口を覆って、顔を赤らめたまま、視線は己の胸元から離さない。
    期待に揺れる瞳を見つめながら、エルンストは愛撫を待っていた敏感なそこに舌を這わせた。
    下肢に埋めた指にざわめきが伝わる。
    結局、胸への愛撫が好きなのだ。一番最初に教え込んだ快楽に目を潤ませて、怯え混じりの期待に喉を鳴らす。
    ノエリアはいつも、エルンストの瞳を覗くように窺っている。
    その視線に笑いながら、彼は口に含んだそこを舌で転がし、くすぐった。涙を浮かべてまるで水面のような瞳が、その光景と伝わる快感に甘く蕩けていく。
    宥めるように中を探り広げていく指の存在すら忘れているようだ。指を増やしても、胸の先端に気を取られているのかノエリアはかすかに腰を震わせるだけだった。
    「ふぁ、あ、んん……! ッ、ん――……」
    声を出したくない。
    そう訴えるように口を覆う手を好きにさせて、エルンストはノエリアの腰を引き寄せる。複数の指で中を探り、擦り上げ、揺らす。まるで本気で抱こうとしているような、その執拗な行為に自分でも呆れてしまう。
    (食らってしまいたい)
    だがまだ駄目だ。
    何度目かわからない問答に頭がおかしくなりそうだった。今彼女に自分の欲望を突き立てて蹂躙したっていいのだ。
    ――だが、どうせならもっと、依存させたい。
    二度と自分の足で立てず、エルンストがいなければ生きていけないくらいに。
    「は、ぁ、ぁ……だ、め。や……ッ」
    ノエリアの腰が揺れ始める。
    三本の指で為される擬似的な抽送に、その快感にやっと気付いたように、怯えを塗し蕩ける瞳が戸惑いに揺れていた。
    だが彼女の身体はもう、愛撫を受け流すことを止め、貪欲に啜りだしていた。
    抗うように身体を強ばらせるのは怯えた心に引きずられて。けれど次の瞬間柔らかく解け縋り付くのは身体がそれを求めるからだ。
    彼女の腰がくねり、揺れるのは逃げるためじゃない。
    エルンストは口に含んだ熟れた実に歯を立てた。同時に指の動きを早めて追い立てる。
    「ぁ、あ、……ッぁ、だめ、や、あっ! ッ……ん、んん!」

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