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試し読み
「触れて、そして感じてください」
リュシーはダルトワの手に自分の顔を近づけた。大きな手を自分の頬へと導く。リュシーの小さな顔は彼の手に捉えられた。そして唇にかぶさる唇――。
二人は求め合うように濃厚な口づけを交わす。何度もキスを重ねながら、リュシーは泣きたくなった。こんなに人を近くに感じ、その人の全てを知りたいと思ったのは初めてだった。
抱き合い、口づけを繰り返すうちに、ふたりは肌着を脱ぎ、生まれたままの姿になった。
「きみの全てを知りたい。きみが欲しい」
呻くような彼の声が悩ましく訴える。それが、生涯を約束する愛の宣言なのか、ただ物理的な行為を言っているのかはわからないが、リュシーは嬉しかった。
「はい。ダルトワ様」
夢の中を漂っているような抱擁の中で、リュシーは、自分がマリアンヌの身代わりだということも忘れていた。ダルトワに触れられているだけで幸せだった。
ダルトワの広い胸に、リュシーは完全に納まって抱きすくめられる。熱い肌を重ね合わせ、互いの熱を肌になじませていく。
「ダルトワ様……」
長い口づけから解放された時、リュシーは彼の名をうわ言のように呼んだ。ダルトワの唇は彼女の顎から滑り降りて喉をなぞった。
「あ、……ん」
くすぐったさに、リュシーの小さな唇から甘い声が漏れてしまう。彼の舌は滑らかな乙女の肌を時間をかけて愛撫した後、さらに下りてふっくらした乳房の谷に到達した。
「……あっ」
ぴくりとリュシーの体が震えた。彼はリュシーの左胸を手の中に収め、もう片方の手で彼女の腰を捉えたまま、薔薇色に色づいているであろう、ふくらみの先端を口に含んだ。
「ああっ」
火花が散るような快感に見舞われてリュシーの体が弓なりに反った。ダルトワの口の中で、濡れた舌に乳頭を転がされるたびに、絹のような肌が小刻みに震えた。
感じすぎて恥ずかしいくらいだった。暗闇の中で、相手の息遣いを探っているからか、全ての感覚が鋭くなっている。
「あ、ダルトワ様……っ」
心地よさに固く尖った乳頭は指に任せて、ダルトワの唇はリュシーの胸の下へと移動した。柔らかな肌を吸われ、舌先でつつかれ、リュシーの肌が熱くほてってきた。彼の右手はリュシーの乳房から離れ、腰の曲線を撫でた後、足の間へと滑り込んできた。
「ふぁ……」
ダルトワは、リュシーの内腿を柔らかく撫で、それから秘められた溝を指先で探り、小さな粒を見つけると軽く摘まんだ。
「ぁあっ」
びくん、とリュシーの体が強張る。目の前に星が弾けるような衝撃を受けた。甘酸いような感覚がそこから広がり、体中が熱くなる。彼女は、ダルトワのなぞった秘裂の奥からじわじわと何かが溢れてくるのを感じた。
「可愛い声だ。気持ちがいいんだな?」
敏感な粒を嬲っていた指が、リュシーの奥へと進み始めた。既に潤んでいた隘路にダルトワの指先はするりと入ってくる。微かな痛みを感じてリュシーは息を詰めた。
「濡れているね。でもまだ狭い」
彼の指がさらに奥へと進んできて、硬質な異物感をもたらす。リュシーの粘膜がそれを押し出そうとしてきゅっと収縮するのを感じた。彼は無理強いを嫌ってか指をゆっくりと引く。引き際に指の腹で蜜襞を抉られ、リュシーの背筋がぞくりとした。
再び彼の指が入ってきた時、最初にはなかった、痛みと違う感覚がリュシーの背を走った。
「く……ぁあ」
彼女の足先まで突っ張って、その悩ましい官能に耐えているうちに、異物感が薄れてくる。彼は気長に慣らそうとしているかのように、最奥まで指を押し込むと動きを止めた。
リュシーがそうしようとしているわけでもないのに、自然に濡れ襞が彼の指に巻きついてしまうのが恥ずかしい。
「ダルトワ様……ごめんなさい、あ、あの……」
「何を謝っているんだ?」
「だって、……あなたの指を……」
「締めつけてくる。ああ、今度は柔らかくうねって指を舐め始めた」
「やっ、そんなこと、――おっしゃらないで!」
羞恥のあまり、リュシーはダルトワの胸に顔を伏せた。彼女の腰を抱えていたダルトワの腕に力が籠もる。彼の腕が腰から背を這い上がって後ろ髪を捉える。
「ん……」
緩やかな動きで唇を重ねられたと思うと、彼はリュシーの口内に舌を押し込んできた。口蓋をぬるぬると嬲られ、リュシーの体が溶けそうになる。
リュシーがぶるりと背筋を震わせると、彼はさらに深く入ってきた。リュシーの息がとまるほど激しく舌と舌を絡め、彼女が音を上げるまでむさぼった。
「ん、ん、……んん!」
悩ましい嬌声を吸い取られて、リュシーは体をくねらせた。そうしている間もダルトワの指によってリュシーの中が丹念に馴らされ、くちゅくちゅと濡れた音を立ている。
「見えなくてもわかるほど濡れているな。きみのここも随分柔らかくなった」
彼は深い接吻の間に囁くように言いながら、二本目の指をリュシーの隘路に挿入した。
「あっ」
異物感が強くなり、リュシーはびくりと体をしならせた。その勢いで、彼女の蜜壺からたぷんと愛液が溢れる。ダルトワは二本の指を、肉襞を押し分けるように動かした。くちくちと粘膜のもたらす淫靡な音が響く。
「はあん、…………ぁあん、なんだか、へん……です」
リュシーの体の奥がたまらなく疼いてきて、ダルトワに侵入されていることが心地よくなってきた。彼女自身意識していないうちに、腰が前後に揺れ始めた。
「官能に身を任せて――そうだ」
艶めかしい声でリュシーを励まし、ダルトワはその乳房を嬲り始めた。胸と雌壺を同時に弄られ、リュシーの体内で快感がせめぎ合い、足先から脳天へと駆け抜ける。
「も、もう、だめです、止まらなくなっ……あ、ああ――っ」
その瞬間、頭の中で何かが弾け、極彩色の光が溢れた。
びくびくと体を痙攣させながら、リュシーは絶頂を極めた。
大きな愉悦の波が去っても、小さな波が次々に訪れて彼女を震わせる。
ダルトワの手はリュシーの隘路から退き、彼女の手を取って自らの下肢の間に導いた。熱く、固く猛ったものに触れて、リュシーは驚いて手を引っ込めようとしたが、彼がそれを許さなかった。
「これが私だ。きみを欲しがっている」
ダルトワはそう言って、リュシーの手の上から大きな手で包み込み、肉棒を掴ませた。沐浴の時にリュシーの足の間を行き来していたものだから、男の官能の現われだとはわかっていたが、手で触れると改めてその猛々しさに驚かされる。
「私のものになってくれ」
その言葉と同時に、リュシーの下肢が開かれた。ダルトワは屹立を掴んで蜜壺に押し当ててきた。狭いあの場所にそれが入れられるなんて、頭では無理だと思ったが、リュシーの体はぐったりと力が抜けてしまい、彼のするままに開いていた。
「そう、そのまま力を抜いて」
彼は辛かったら掴まっていろというように、リュシーの両手を自分の首に掛けさせた。次の瞬間、弾力のある先端がリュシーの花びらを押し分けて入ってきた。少し体が強張ったが、想像していたほどの痛みはない。
もう結ばれたのだ、と思ったがそうではなかった。
ダルトワは屹立の矛先を定めると、そこから手を離してリュシーの背中に回してきた。たくましい腕に閉じ込められ、リュシーの心に幸福感と不安が入り混じった。それからゆっくりと彼は腰を沈めてきた。
リュシーの中で、浅く留まっていた肉棒がさらに押し込まれた。
「あ……っ」
ねじ込まれる痛みにリュシーの体が上へと逃げようとするが、ダルトワに捉えられてできなかった。
「力を抜いて。私に身を任せて……最初は痛いだろうが耐えてくれ」 -
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