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あらすじ
君は僕の妻。最初で最後の、最愛の
結ばれるため、夜の訓練に励むラブコメディ!幼馴染の公爵令息セルジュと結婚したルディアンヌは、初夜で見た彼の××が想定外に大きくてびっくり! 恐れ慄くも、少しずつ慣らしていけば無事に繋がれると教えられ、日々訓練することに。「赤くなっている君もかわいい」毎夜、溢れる愛で包み込まれて蕩かされ想いが募る。いよいよ今夜結ばれるかも…と思った矢先、ルディアンヌがさらわれて―!?
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キャラクター紹介
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ルディアンヌ
伯爵令嬢。幼い頃に遭遇した事件のせいで男性の体の“ある部分”に対して間違った思い込みがある。 -

セルジュ
公爵家嫡男。親友の妹で幼馴染のルディアンヌに長年想いを寄せていた。実は、出自に秘密があり……?
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試し読み
「それで、具体的にはわたくしは何をしたらよいのでしょう?」
(わたくしにイチモツを嵌める訓練をするのよね? 訓練……走り込み、ではないわよね? 筋トレ、でもないわよね?)
気合いは十分だったが、残念ながらルディアンヌには訓練の内容が想像できなかった。
セルジュは苦笑し、気やすげにベッドに腰を下ろす。
「そんなに気負わないで。僕が全てするから、ルディは受け入れてくれるだけでいいよ」
「全てセルジュ様が、する? 訓練はわたくしがするのではないのですか?」
「……うーん、言葉って難しいな……訓練自体はルディがするんだけど、僕がするわけでもあって」
「セルジュ様がする??」
(ま、まさかセルジュ様のお尻にもイチモツを!? 夫婦は分かち合うものだから痛みも分かち合おう、みたいな? ……誰のイチモツを? わたくしは今から何を見せられるの?)
ルディアンヌが体を強張らせたことを、セルジュはいち早く察知した。
安心せよとでも言いたいのか、膝の上に乗せていた手を取る。
「痛いことはしない。……というか、痛くないようにしてから、するから」
(痛くないようにしてからする?? 結局もう一つのイチモツはどこから調達するのかしら?)
「よくわからないのですが……」
しないのか、するのか。ぼかした表現ではルディアンヌには伝わらないのだが、彼も言うよりやってみた方が早いとでも思ったのか、握ったルディアンヌの手をそのまま己の股間に乗せた。
「あっ」
(まだない。……いえ、わたくしにはない膨らみはあるけど、小さい。昨夜とも今朝とも全然違うわ)
どういう意図があるのかわからず、ルディアンヌはセルジュの顔を仰いだ。
「昨日伝えたよね、興奮すると僕のこれが大きくなってしまうと。興奮によって体に変化が生じるのは男女どちらにもあることで、女性の場合は興奮すると、濡れてくるんだ」
え、と目を丸くして聞き返す。
「濡れる? 失禁してしまうのですか?」
「失禁とはまた違う。生殖は生物として当たり前の営みではあるけれど、そう簡単に生殖器が合致しないようにできているんだろうね。昨夜の僕たちのように無理やり繋がろうとしても、なかなか入らないものなんだ」
「ほう……」
ルディアンヌも閨教育は受けたが、基本的に「男に任せておけ」という話だった。だから濡れるだの何だの、初めて聞くことばかり。
(この流れだと、二つ目のイチモツの出番はなさそうね)
引き続き、神妙な面持ちで耳を傾ける。
「だから、女性を優しく扱って気持ちを高めてあげることで、性器が濡れ、潤滑油のような役割を果たすようになる」
潤滑油、と復唱すると、セルジュが相槌を打った。
「問題は性器のサイズではなくて、濡れているかどうかだ。昨日のルディはどう考えても濡れていなかった。だからうまく繋がれなかったんだよ」
「つまりわたくしたちにはまだ何とかなる余地がある、と? わたくしが濡れさえすれば、正式な夫婦となることもできる、と」
「そういうこと。厳密に言うと濡れるだけじゃなくて、ある程度ほぐす必要もあるけど」
「……ほぐす」
また難解な単語が登場した。
「大丈夫。おいおいわかってくるだろうし、無理やりなことはしないから。ルディが嫌がったらやめる。そこは信用してほしい」
セルジュのことは信頼している。この期に及んで乱暴な真似をするとは、ルディアンヌは一切疑っていない。
「でもセルジュ様、わたくし、どうしたら濡れるのかわかりません」
彼の手をぎゅっと握り訴えた。セルジュはルディアンヌの顔にかかる髪を一房耳にかけてやり、安心させるように微笑む。
「焦らないで。そういうのは意識してするものじゃないから、ひとまず僕が説明したことは忘れようか。ただ頭を空っぽにして、僕がすることを受け入れてくれるだけでいい」
「忘れていいのですか? 頭を空っぽに? 受け入れる? すること?」
「はは、聞いただけじゃわからないよね。大丈夫、まずはキスから始めよう」
混乱するルディアンヌへの提案は、彼女の想像よりも難易度の低いものだった。
キスならば昨日だってした。今朝もだ。
身長差はあるが、上を向いたり身をかがめたりすればどうということもない、のだが──。
「ルディ、ここに来て」
「え? ……ええ!?」
セルジュが指したのは、彼の太ももの上だった。
つまり、ルディアンヌに脚の上に乗れと。跨がってくれと言っているのだ。
だが、彼の提案を蹴ってどうにか独力で進展させられることができるかと聞かれれば、答えは否。
戸惑いながらも立ち上がり、セルジュと向かい合わせになって彼の足を跨ぎ座った。
立っている状態ではルディアンヌの顔はセルジュの胸のあたりにくるが、その脚の上に座るとちょうど顔が同じ高さになった。
ナイトドレスの裾から膝が覗いてしまっているが、致し方ないだろう。膝と言わず太ももも顕になっているが、そもそも生地自体が薄いから隠そうとしたところであまり意味がない──とルディアンヌは考えることにした。
セルジュが満足げに口角を上げている。長いまつ毛が頬に細かな影を作り、まるで精巧な芸術品のように見えた。
そんな美しい人とこうして密着していることにルディアンヌはとんでもなくドキドキして、顔から火が出そうだった。
「は、恥ずかしいです」
「赤くなってるルディもかわいい」
消え入りそうな声で告げたが、セルジュはお構いなしに顔を近づけてくる。
ルディアンヌの目から唇へと、彼の視線が動いた。そして、そこをじっと見つめている。
キスだ。そう思い、ルディアンヌは期待とともに目を瞑った。
「…………」
ところが、待てども待てどもセルジュの唇が当たらない。時間にしてわずか数秒だが、途方もない時間に感じられた。
(どうして? 絶対に今のはキスの流れだったわ! セルジュ様の視線はまさに「キスがしたいです~」と訴えていらしたし、わたくしがこんな至近距離で目を瞑ったのだから、キス待ちだってセルジュ様もわかるはずなのに……)
少しだけ唇を突き出してみたが、セルジュに動きは感じられない。
もしかして自分の早とちりだったのだろうか、と次第に不安になってきたルディアンヌ。いても経ってもいられなくなり、薄目を開けて確認しようとした時──。
「んっ!」
セルジュの顔がぐわっと迫り、柔らかな感触が唇に落ちた。
不意打ちだった。そのせいで心の準備が乱されてしまい、必要以上にドキドキした。
「かわいい声」
セルジュは楽しそうにそう呟き、二度目のキスをルディアンヌに落とす。
「……っ、ふ」
ちゅ、ちゅ、と角度を変えて何度も唇がくっ付いては、また離れていく。少しずつ息が上がって、吐息が混じり熱が加わった。
柔らかくて温かくて、熱い。胸の奥がきゅうと疼き、呼応するように体の芯が蕩けていく感覚に襲われる。
「逃げないでルディ」
ある種の危うさを感じたルディアンヌは、つい背を逸らし逃げようとしてしまった。それをセルジュが阻止する。
二の腕を掴み、体が倒れてしまわないように軽く引っ張る。そのせいで、再び唇が触れ合った。
「だ、だってセルジュ様が──」
理由を説明しようとしたが、叶わなかった。口を開いた拍子にセルジュの舌が押し込まれ、それどころではなくなった。
「ふあ、……ふ、…………っは、う、」(わ、わ、舌っ! わたくし、セルジュ様と濃厚なキスを……セルジュ様ったらいい香りがするわ。どうしよう、何だか頭がふわふわする……)
セルジュの肩に手を乗せ、その手がいつの間にか彼の首に巻き付くのも、完全に無意識だった。
お互いの唇を吸う音が時折響き、あとは吐息と衣擦れの音。セルジュのサラサラの髪の先を時折弄ったりしながら、ルディアンヌはキスを堪能した。
「うふぅ……」
やがて一段落ついた時には、息も絶え絶えだった。ぐったりとセルジュの胸にもたれかかると、頭上から褒め言葉がやってくる。
「とても上手なキスだった」
「上手なのですか?」
キスを褒められるなど初めての経験だったが、思えば異性とキスをしたのもセルジュが初めてだったので、特段不思議なことではなかった。
聞き返すと、頭を撫でながら答えが返される。
「うん。僕はとても気持ちよかったよ。ルディは?」
「あ……えと、わたくしも……ふ、ふわふわして……気持ちよかった、ように思います」
「そうか、それはよかった」
見上げれば、やや上気した顔でうっとりと微笑むセルジュと目が合った。彼の唇は唾液でテカッており、先ほどまでのキスの感覚を生々しく思い出してしまう。
(……もっと欲しい)
ルディアンヌは顔を上げ、セルジュの肩に手をかけた。脚にグッと力を入れると、背筋を伸ばすようにしてセルジュの唇に己の唇をくっ付けた。
(これよ、これ。この柔らかいのが……──)
ルディアンヌは我に返り、パッとセルジュから離れた。
自分も驚いたが、それ以上にセルジュも目をまん丸にして驚いていた。
(どうしよう、無意識だったわ! 完全にぼーっとしていて……言い訳、セルジュ様に何か言い訳をしなくちゃ……)
「あの、だから…………も、もっとキス、していたいです……」
(って、違う違う! そうじゃ、そうじゃないの~っ!)
口から出てきたのは、言い訳ではなくおねだりの言葉。
これではセルジュに幻滅されてしまったかもしれない。わたくしって実は淫乱だったの? と愕然としながら、セルジュの反応を恐る恐る窺った。
ところが彼はルディアンヌを厭うどころか腰を掴む手に力を入れ、小さな体を反転させた。
「きゃっ──」
あっという間にルディアンヌはベッドの上に押し倒され、荒々しく唇を奪われた。
「ん、……っは」
「積極的なルディもそそる」
指と指が絡まって、舌と舌が絡まって。
触れている部分はそんなに多くはないはずなのに、濃厚。これ以上ないくらい深く触れられ、ルディアンヌの体の奥がジンジンしてきた。
ジンジンというか、モヤモヤというか、ヌルヌルというか……。
「セルジュ、様」
「どうしたの、ルディ?」
「わたくし何だか、お下の様子がおか、おかしくてっ」
息継ぎの合間に名を呼び訴えると、セルジュがピタリと動きを止めた。
「それはここを触ってほしいということかな?」
「っ──」
セルジュの指が体表をなぞり、ショーツの上から恥丘をトン、と優しく叩いた。そのわずかな刺激に全身が悦び、ルディアンヌの喉が引き攣った。
「ち、ちが、違……っいえ、そうなのかもしれ、ま、せん」
否定したい気持ちに襲われたが、否定してはずっとこのもどかしさと共存していかねばならなくなる。
恥を忍んででも肯定しさえすれば、きっとセルジュが何とかしてくれる。
そう思い、意を決してルディアンヌは白状した。
「なるほど。でも、まだ少し早いかな」
セルジュの返答は、期待外れもいいところだった。
(うそ……ダメなの? 『少し』って、どのくらい? いつになれば、わたくしはっ)
呼吸荒く胸を上下させながら、どう乞えば応えてもらえるか、ルディアンヌはぐるぐる考えた。けれど気ばかりが逸り、よい方法などちっとも浮かばない。
「だってまだ他に触れねばならないところがたくさんあるからね」
涙が滲み、絶望のまま嗚咽を漏らしかけたところで、セルジュが意味深なことを言った。
他に、とは一体どこを指しているのか尋ねるよりも早く、彼の指が教えてくれる。
「たとえば、こことか?」
「んっ」
指先が触れたのは胸だった。丸みを帯びた膨らみを指の背でなぞりながら、肌の上を滑らせる。
「胸が関係あるのですか?」
「あるよ」
言うが早いかセルジュはナイトドレスの胸元にあったリボンを引っ張り解いてしまった。現れた胸の谷間に顔を埋めるようにしながら、ちゅうと薄い皮膚を吸う。
「……っ!!」
つきんと感じる甘い痛み。と同時に肩紐がずらされ、乳房全体が顕になる。
「は、セルジュ様……それっ恥ずか、あっ」 -
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