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あらすじ
俺は君を救いたい、俺が君の病気を治す
過保護な旦那様×薄幸の新妻の切なくも甘いすれ違いLOVE心臓病を患う千代の前に七年ぶりに現れたのは、渡米して心臓外科医となった憧れの幼馴染み、士貴だった! そして待っていたのはまさかのプロポーズ!? 戸惑いつつ結婚するも、蕩けるようなキスや愛撫で絶頂へと導かれるのに、彼は最後まで抱いてくれない。いつ儚くなってもおかしくない千代に同情し、結婚してくれただけなのかと落ち込むけど…!?
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キャラクター紹介
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海宝千代(かいほう ちよ)
愛人の娘として異母兄以外から虐げられて育つ。幼い頃から心疾患を抱えている。 -
天方士貴(あまかた しき)
千代の主治医の息子で、アメリカに留学して心臓血管外科のエキスパートとなる。
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試し読み
「士貴さん、私……士貴さんの指でも唇でも、あなたに触れられるだけでぜんぶ気持ちがいいです。だからもっと……」
「千代……っ!」
「あっ!」
直後に指が挿入ってきた。ものすごい異物感だ。けれどそれが抽送を始めた途端、妙な疼きが湧いてきた。
「ん……っ、あっ、あんっ!」
「気持ちいい?」
「いっ、いい、です……っ」
──ああ、士貴さんの手だ。
私はこの手が大好きだ。
スラリとした指は一見女性かと見間違うほど綺麗だけれど、よく見ればしっかりと節くれだっている。手のひらは大きくて安心感があって、とても男性的で。
彼に勉強を教えてもらいながら、密かに見惚れていたものだ。
──それが今こうして私の肌に触れ、ナカで動きまわっているなんて……。
彼の長い指を思い浮かべた途端、蜜口がキュッと窄まった。
「すごいな、俺の指が食いちぎられてしまいそうだ」
「えっ?」
「大丈夫、嬉しいって意味だから。千代はそのまま感じて」
抽送が速められ、クチュクチュと粘着質な音が聞こえだす。そのリズムに合わせ、いつしか私の腰も動いていた。
「気持ちい……っ、士貴さん、気持ちいい」
「よかった。じゃあ、こっちも……」
再び蕾に口づけられた。舌先が粒の輪郭をなぞり、先端を突ついてくる。そのたびに私の下半身がビクンと跳ねた。
「クリが勃ってきたね」
「えっ」
──たつ?
意味を確認する暇もなく、高速で表面を舐められる。同時にナカの指が天井を擦り出す。
ナカと外とを攻められて、あっという間に波がやってきた。粒の先端が熱い。内壁が勝手に蠢いている。
「あっ……あっ、やっ、変!」
「変じゃない、感じてるんだ。イイって言って」
くぐもった声でそう言うと、彼はフィニッシュとばかりに舌と指のスピードをアップした。
「いっ、イイっ、士貴さん、イイっ!」
奥から痺れが迫り上がる。それが背筋を突き抜けて、あっという間に私の思考をストップさせた。
「やっ、ああーーっ!」
太ももをブルッと震わせ目を閉じる。
──あっ……。
目の前が真っ白になったその瞬間、私は意識を手放した。目覚めると、そこにあるのは見知らぬ天井。私は一瞬戸惑ったものの、すぐにここが旅館の部屋だと思い出す。
──そうか、私はあのまま意識を失ってしまったんだ。
枕元のデジタル時計が午後五時を表示している。私は一時間近く寝ていたらしい。
隣を見ると士貴さんの姿がない。寝室から続く露天風呂のほうで人の気配がするから、一人で湯船に浸かっているのだと推測する。
頭と身体が少し重い。きっと興奮して血圧が上がったせいだ。
──けれど呼吸は落ち着いているから大丈夫。
それに何より、心がとても充実している。
「士貴さんが私のことを、『千代』って……呼んでくれた」
名前を呼び捨てにしてくれた。夫婦らしくなりたいと言ってくれた。身体に触れてくれた。それがぜんぶ嬉しい。
──私はあの手と唇でイかされて……。
そこまで思い出したところで顔が熱くなる。
男女の行為は自分の想像以上だった。キスをして、互いに触れて重なって。
言葉にすれば簡単だけど、実際にはそれだけで語りきれない濃密なやり取りがあるものなのだ。
──今はまだ、最後まではしていないけれど……。
それにしても嘘みたいだ。身体の中であんなふうに指が動くだなんて。
士貴さんはきっと慣れているのだろう。段取りがスムーズなうえに、あっという間に絶頂に導かれてしまった。
生まれてはじめてのエクスタシーは、天にも昇る気持ちよさで。
しかも最初からすごく感じてしまったし、声もたくさん出してしまった気がする。士貴さんは外科医だから手先が器用なのかもしれない。
「ううん、それだけじゃない。愛する人に触れられたから気持ちいいんだ」
士貴さんだから、大好きな夫だからこそ、私はすべてを曝け出せたのだと思う。
そろそろベッドを出ようと身じろぎしたところで、自分が旅館の浴衣を身につけていることに気がついた。
「えっ、どうして……」
たしか私は全裸になっていたはずだ。士貴さんに脱がされて、あちこち舐められて……。
そこまで考えたところで、彼が身体を綺麗にしてくれたのだと思い至る。たぶん彼は、私の全身を拭き清めてから浴衣を着せてくれたのだ。
「やだ、恥ずかしい」
思わず両手で顔を覆って悶絶する。
自分だけ気持ちよくなった挙げ句に気を失うなんて、とんでもないことだ。そのうえ汚れた身体の始末までさせてしまって……。
──士貴さんは私の身体をどう思っただろう。
身体を拭きながら隅々までじっくり見たはずだ。肉づきの悪い身体でガッカリしていなければいいなと思う。
「まずは謝らないと……ううん、違う。ありがとうって言わなくちゃ」
彼は私に『謝るよりも喜んでほしい』と言っていた。だったら私は全力で感謝の気持ちを伝えるまでだ。
士貴さんと結婚できて嬉しい、触れられて嬉しいと、言葉と態度で伝えよう。
──たとえ彼の本心がどうであろうとも……。
私は「うん」とうなずくと、浴衣を脱ぎ捨て露天風呂に続く引き戸を開けた。士貴さんは案の定、檜の露天風呂で湯に浸かっているところだった。
「えっ、千代!」
彼は全裸にタオル一枚で現れた私を見上げ、まさかという顔で固まっている。
「あの……身体を綺麗にしてくれて、ありがとうございました。それから着替えも」
「あっ、ああ……」
「一緒に入ってもいいでしょうか」
「いや、それは構わないが……温泉には入ったこと、ある?」
「いえ、今まで一度も」
温泉への興味がありつつも、その機会がないまま今まで来てしまった。母とは旅行に行ったことなどなかったし、病気が発覚してからは長く湯船に浸からないようにしている。
「……短時間しか駄目だよ」
「はい」
彼がザバッと立ち上がって檜風呂から出てきた。ゆっくり手を引き誘導されながらも、私の視線は彼の裸体に釘付けになる。
「士貴さんは着痩せするんですね」
さっきはじっくり見る余裕がなかったけれど、改めて観察すれば見事な身体つきだ。肩にも胸にもほどよく筋肉がついており、腹筋もしっかり割れている。
──それに……。
「士貴さん、勃ってる」
途端に彼が天を仰ぐ。
「ちょっとそれ、言わないで」
「でも」
彼の屹立は雄々しく勃ち上がり、臍につくほど反り返っている。そのままで大丈夫なのだろうか。
あまりの立派さに目が離せずにいると、士貴さんが耳まで真っ赤にして片手で自分の顔を撫でた。
「仕方ないだろう? 新妻がそんな姿で現れたら、こうなるに決まってるじゃないか」
「えっ、私に興奮しているんですか?」
「当然だ、ほかに誰がいるって言うんだ」
「やった! 嬉しいです」
彼の漲りがピクンと跳ねる。再び彼が天を向き、「くっそ〜、たしかに素直にとは言ったが……」と小声で呟くのが聞こえた。
士貴さんが先に湯船に入り、私が入るのを手伝ってくれる。
「あっ!」
両足が底についた勢いで前のめりになった。彼に抱き止められて、前から抱きつく形になる。
「大丈夫か? 気分が悪くなったらすぐに教えて」
「はい、大丈夫です」
果たしてこれを大丈夫と言っていいのだろうか。彼の屹立が私のお腹に当たっている。硬くてピクピクしているから気になって仕方がない。心臓がドキドキする。
一緒にしゃがんで湯に浸かる。前を向くように言われたので、彼の脚のあいだに座る格好になった。後ろから抱き締められると、すっぽり包まれているようで安心できる。
「気持ちいい?」
「はい」
この旅館の湯はアルカリ性単純泉と説明を受けているが、たしかに肌触りが柔らかで刺激が少ない気がする。
──むしろ刺激が強いのは……。
「士貴さん、あのっ、さっきから私の腰のあたりに、あの、当たって……」
背後から「はぁ〜っ」と深いため息が聞こえてきた。
「こういうのは気づかないふりを……いや、素直にと言ったのは俺か」
お腹にまわされていた彼の両手が上へと移動する。後ろから私の胸をやわやわと揉み上げ、時折り先端をつまんで捏ねる。
「あっ、んっ」
「目の前に君の裸があって、興奮するなと言うほうが無理だ」
耳元で囁かれ、湯の中の下半身がじわりと疼く。
左手の動きはそのままに、彼の右手が膝を割る。器用に花弁を開き、指の腹で入り口を上下に撫でた。
「ヌルヌルしているね」
再び耳元で囁きながら、うなじに口づけてくる。
「士貴さん、私……アソコがまた……っ」
「ヒクヒクしてるの?」
無言で問いにうなずくと、脇を抱えて立たされた。
「長く湯に浸かるとのぼせてしまう。立って……そこに両手をついて」
言われるままに、檜の木枠に両手をついた。
「脚を少しだけ開いて。お尻を突き出してほしい。もっと」
彼に向けてお尻を突き出した途端、内股に生温かいものがピタリと当たる。
──えっ?
私はこの感触を知っている。熱くて硬くてピクピク動く……士貴さんの立派な分身だ。それが私の股に挟み込まれたかと思うと、突然前後に動き出した。
「嘘っ、あっ!」
私の腰を両手で摑み、彼が恥骨をぶつけてくる。剛直が花弁を捲り、割れ目を擦る。先端が蕾を引っ掻いていく。
「あっ、やっ、すごい……っ!」
「は……っ、滑りがいいな。千代がお湯の中にいるときからトロトロにしてたから」
「恥ずかしい……です……っ」
「君は力を入れなくていい。ただ感じて気持ちよくなればいいから」
そんなことを言われても、コントロールのしようがない。
屹立が往復するのに合わせて蜜口が収縮を繰り返し、太ももがブルブルと震える。強烈な快感を逃そうと、私はお腹に力を込める。
「……っは、千代、大丈夫か?」
「大丈夫……なので、士貴さんも、気持ちよく、なってください」
「俺もちゃんと気持ちいい。俺がこんなふうになるのは……君にだけだ」
──そんなことを言われたら、嬉しくて感じすぎてしまう!
「ほら、最後までしなくたって……こんなに、気持ちよくなれる」
背筋を快感が走り抜ける。立っているのも限界だ。
「士貴さんっ、私、もう……っ!」
「うっ……は……っ……出るっ!」
股の間から彼の屹立が引き抜かれる。直後に彼の呻きと共に、熱いほとばしりを背中に感じた。 -
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