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あらすじ
もう歯止めがきかない。本気で抱き潰すから
夫は妻を愛しすぎて手を出せなかったようです家同士の約束とはいえ、初恋の陽大と結婚できて嬉しい恵麻。だけど恥ずかしいあまり初夜で拒絶するような態度をとってしまい、以来レス夫婦に。ところが陽大を自由にしてあげたくて離婚を切り出したら穏やかだった彼が豹変!? 「これから君を抱く。嫌なら今すぐ俺を止めた方がいい」とイジワル顔で快楽に堕とされ、離婚は絶対阻止すると言われて!?
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キャラクター紹介
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吉永恵麻(よしなが えま)
魅力がない自分が妻でいるのは申し訳ないと、離婚に向けて就職活動を始めて…。 -
吉永陽大(よしなが ようだい)
総合病院の跡継ぎ。医師。恵麻の理想の「穏やかで優しい人」を装ってきたが!?
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試し読み
「私、何をやっても上手くいかないんです」
「え?」
「普通の女の子みたいに……愛想よく、することができなくて。ただ入力するだけの人なら正社員にはいらないって」
「そんなことひどいこと言われたの?」
いや、言われたのは会社の人にではなく転職エージェントからだった。けれど訂正するのが面倒だ。言葉が出てこなくなり、とりあえず目の前に置かれているワインを口に含む。困り顔の陽大を見ていると、不甲斐なさがさらに込み上げてきた。
「就職すらできないなんて思ってなくて。独り立ち、しなきゃいけないのに……」
まずい、なんだか泣きそう。急に陽大が立ち上がり、テーブルを挟んで座る恵麻の傍に立った。
「呆れますよね」
泣きそうなのを隠そうと極力明るい声を出すと、恵麻の頭を陽大が数回撫でた。
「……そんなことないよ」
彼を困らせていると思うと同時に、無性に苛立ちも湧いた。そんなことないと言うのなら、どうして今まで陽大は恵麻に何もしなかったのか。
優しく肩に手を置かれて抱き寄せられそうになり、恵麻は腕をつっぱり彼の身体を拒絶した。
「陽大さんだって……私に呆れてますよね?」
「どうして、そんな風に思う?」
「だって私に……今まで何もしてこなかったじゃないですか」
「え?」
彼の手が、一瞬怯む。
「……セ、セックスだって、最初の夜に失敗して、そのままで」
言うなと頭の中で警鐘が鳴っているのに、口が止まらない。力いっぱい彼を押してもびくともせず、不思議に思って見上げて思わず息を吞んだ。
「そう。恵麻ちゃんは、そんな風に考えていたんだね」
陽大は身体を屈めると、恵麻の耳元で静かに言った。蠱惑的な低い声に、びくっと身体が震える。悲しいような、怒っているような、見たことのない表情を浮かべる陽大に言葉を失っていると、すぐさま彼の表情はいつもの笑みに変わった。
「それなら、俺の本心をわかってもらうしかないね」
「……っ!」
言うや否や、陽大は椅子に座ったままの恵麻の膝に手を差し込みぐいっとお姫様抱っこで抱き上げた。
「や、え、うそっ」
軽々と力強く自分を抱き上げたのに、驚いた。自分の視線より高い位置に抱き上げられ、さらにアルコールのせいで身体がふわふわしているのが怖くて咄嗟に陽大の首にしがみつく。
「……あー、くそ。可愛い」
(え?)
ぼそりと、信じられない口調で呟かれた気がしたが、聞き間違いだろうか。早足でリビングを通り抜け乱暴に足で寝室のドアをこじ開けた陽大は、速やかに、けれど細心の注意を払いつつ恵麻を広いベッドに横たえた。
「優しくて穏やかで我慢強い男が好みかと思って、堪えてたんだけどね」
言いながら、ぎしりと音を立て陽大がベッドに上がる。真上から見下ろされる状況になっても、恵麻は一体何か起こっているのか理解が追いつかないでいた。
「これから、君を抱く。受け入れるのが難しいなら、今すぐ俺を止めた方がいいよ」
恵麻の混乱を悟ったか、言い聞かせるような口調で陽大が言った。
「……いい? もう途中では絶対に止められない」
そう聞かれて、はいお願いしますなんて言えるわけがない。そもそも、どういう流れでこうなったかも理解していないのに。無言でいると、陽大の手が恵麻の部屋着へと伸びてきた。
なんの色気もない上までぴっちり閉めたカーディガンのボタンを、ひとつひとつ外していく。中に着ているのもまた、シンプルな白いTシャツだ。結婚後、初めての夜の時にはさすがに可愛い部屋着を着ていたように思う。それでも、陽大の瞳はあの時よりもずっと熱いような気がする。
白いTシャツをたくし上げられ、覗いた下着に触れた陽大がごくんと喉を鳴らした。と、一体自分はどんな下着をつけていたか焦る。
「ま、待って」
「……なに?」
「私、どんな下着を……」
馬鹿正直に口に出すと、陽大がニヤリと、なんだか嬉しそうな顔になる。
「ピンク色の、レースがついた可愛いやつです」
「‼」
よりによって、そんな子供みたいな下着をつけていたとは。泣きそうになって身体を起こそうとしたけれど、陽大の身体がそれを拒む。
「どうした?」
「恥ずかしいんですっ」
勝負下着を着ておけばよかった、なんて贅沢は言わない。せめて普段の自分のイメージと違わない、シンプルなデザインのものであればよかった。
「何が恥ずかしいの? こんなに可愛いのに」
じっと見つめられるのが恥ずかしくて、横に顔を背ける。すぐさま、頰に陽大の唇が触れた。
「可愛くてたまらない。下着が、じゃないよ。いや、下着も可愛いけど恵麻ちゃんはもっと可愛い」
「……っ」
耳に熱い息がかかる。胸がドクドクと音を立て頭に血が上る。頰も、真っ赤になっている気がする。約一年ぶりにこうして彼に触れられているのが、なんだか現実と思えなかった。
恵麻の部屋着を、陽大がするすると脱がせていく。Tシャツをたくし上げられ脱がされているというのに、何も抵抗ができない。それどころか、肌に直に陽大の手が触れるたびに、声を漏らしそうになるのを必死に耐えていた。
温かい手が、ゆっくりと恵麻の身体を撫でる。はあ、と耐えきれずに息を吐くと手の動きはさらに大胆になっていった。
抱いてほしい、とはずっと思っていた。けれど、それがどういうことか具体的に想像する力が足りなかった。
胸に触れられ、思わず身体がひける。けれど、陽大は躊躇う様子もなくさらに胸に触れる。あまり大きいとは言えない胸を柔らかな手つきでじっくりと揉まれ、熱いと感じた陽大の身体よりも、自分の方が体温が高くなっていく。
胸の周りしか触っていないのに、触れられていない中心がなんだか痺れるみたいにじんじんする。はあ、と零れる息もなんだかいつもと違って、違和感だらけだ。もぞもぞと無意識に下半身が動く。彼の手がするりと腹部よりさらに下がり、太腿を撫でた。指が肌をなぞり、自然と背中がしなる。
「っ、あ……」
自分の声とは思えないような、甘い声が漏れた。羞恥でうろたえそうになったけれど、すかさず陽大は恵麻に軽くキスをして小声で囁く。
「可愛い声」
至近距離で見つめられ、心臓が爆発しそうになる。いや、心臓だけじゃなくて全身だ。
動揺する恵麻に構うこともなく、陽大は自分の身体を恵麻の脚の間にねじ込んだ。そして開いた脚の付け根を、すっと指でなぞる。
「ふぁっ」
身体に走った快感に、思わず声が漏れた。指のぬるりとしたなめらかな動き、微かに漏れる水音から、濡れているのがはっきりわかった。そんな気はうっすらしていたけれど、ぴちゃぴちゃ音がするくらいなのかと驚く。
「あー……恵麻ちゃん、すごいね」
「や、いや、です……あっ」
初夜の時は『イヤ』と言ったら陽大はすぐに手を止めた。でも今日は違う。楽しそうに、そして嬉しそうに、恵麻の反応を窺っている。
指が秘部の入り口の上をヌルヌルと何度も往復する。腰が揺れてしまうくらい、はっきりと気持ちがよかった。
「っ、あ……ん、や、やぁ……」
息が乱れる。こんな反応を自分がしているのが信じられない。彼の指の動きに翻弄され声を上げ続けていると、その指がつぷりと膣の入り口に埋められそうになった。
「……んっ」
わずかな違和感と同時に、身体が強張る。
「痛い?」
小さく首を横に振る。痛みはなかったけれど、初めての感覚にほんの少しだけ恐怖を覚えた。でもそれを伝えて彼が止めてしまうのがイヤで、躊躇する。
「まだ早かったかな、ごめんね」
(あ……)
止めちゃうのかと不安になった次の瞬間、陽大が身体を起こし下の方に移動した。と、恵麻の両脚を大きく広げたかと思うとなんの躊躇いもなくそこに顔を近づける。
「えっ、ちょ、待って!」
「待たないよ」
慌てて身体を起こそうとした恵麻より早く、陽大が秘部を舌で舐め上げた。
「っ、や、やだやだっ!」
駄々っ子のような言葉しか出てこない。けれど陽大の行動は止まらず、恵麻の太腿をしっかり抱えたかと思うと秘部を舐め始めた。
「ひっ、ああああぁ……っ!」
指で与えられていた緩やかな快感より、もっともっと激しい。熱くて柔らかい舌が、恵麻の繊細な部分を丹念に舐め上げる。舌の先でちろちろと弄られたかと思うと、周囲をじゅるじゅると音を立てながら激しく這う。腰を動かそうにも動かせず、快感を逃がす術がない。
「は、あ、あああ……っ、ん、んっんん!」
声を上げると、少しだけ快感の逃げ道ができる気がする。ほんのわずかだけれど、声を我慢するより楽になる。恥ずかしいけれど、そうでもしないと気持ちよさでどうにかなってしまいそうだ。
「あ――――……っ、ん、あああ……っ!」
身体の奥がどんどん潤んで、蜜が溢れていくのが自分でもわかる。そして、今触れられている入り口や蕾ではなく、もっと奥に触れてほしくなった。何か足りない部分を埋めてほしいと、渇望してしまう。
「……入れるね」
陽大が秘部から唇を離しそう言うと、指を恵麻の中に差し入れた。快感をたっぷり与えられ身体が緩んだのか、さっきよりもずっとスムーズに恵麻は指を受け入れていく。
「ああ……すごい。中が熱い……」
うっとりとした声で言われたけれど、そこに反応する余裕はない。自分のものではない異質なものが入ってくる感覚はあっても、抵抗感はなかった。それどころか、早くもっともっと奥に触れてほしくなり腰が浮く。
指を深く差し入れた陽大は、それを数回繰り返した後に本数を増やした。二本の指が中に入ってきても痛みはなく、出入りを繰り返す動作に新たな快感が湧いてくる。
「あ……、あ、あ、あっ……」
指の動きに合わせ声が漏れ、さらに腰が揺れる。陽大がごくりと唾液を飲み込む音が聞こえた気がした。
「もう少し、ほぐそうか」
独り言のような呟きとともに、さっきよりも圧迫感が増す。
「三本、入っても大丈夫そうだね……」
痛みはないが、秘部が広がっている感覚はあった。反発するかのように身体が固くなったが、陽大が再び蕾を舐め出したことでそれはあっという間に薄れた。
「ん、あ、いや……や、すごい、あ……ああああっ」
中と外、同時に快感を与えられて身体の奥から何かがぶわっと込み上げてきた。
「や、だめ、変、陽大さん……っ!」
「イキそう?」
そう言われて、多分そうなのだろうと思うが実感が持てない。腰のあたりから何かが湧き起こってくる感覚は初めてだ。
こくこくと頷いてみせると、なぜだか恵麻の中から指がすっと抜けた。え、と不思議に思っている間に陽大が身を起こす。
(止めちゃうの……?)
思わず不安な顔をした恵麻に、陽大はふふっと微笑みかけた。
「ごめんね、もう少しだったのに。イキたかった?」
さらりとすごいことを言われ、慌てて首を横に振る。そんな淫らな女だとは思われたくない。不安になる恵麻をよそに、陽大はサイドボードへ手を伸ばし何か取り出した。
「イかせてあげたいところなんだけど、なるべく痛くさせたくないから。ここで入れた方が、多分楽だと思う」
陽大が手早く衣服を脱ぎ捨てると、下腹部のあたりに大きくそそり立ったものが見えた。直視できなくて目をそらすと、そこに避妊具をつけたのが気配でわかる。さっき彼が取り出したのが避妊具だったのかと、それが普通に用意されていたことにものすごく驚く。
「さ。続きをしようか」
陽大はそう言うと、恵麻の太腿をぐっと広げた。
「え、待っ……あ」 -
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