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試し読み
「あっ、や……そこ……っ……」
「硬くなってる。感じてるんだろう?」
なんて恥ずかしいことを言うのだろう。結香の意思ではないのだから、指摘なんてしないでほしい。
そんなふうに胸の中で言い返しているうちに、ネグリジェの前が開かれ、露になった胸に孝臣は舌を伸ばした。乳頭を舐め上げられ、周りの色づいた部分ごと食まれ、吸われて、結香はたまらず声を上げた。
「あっ、ああっ……」
痺れが下肢にまで響くようで、踵が跳ねる。そんな結香の脚を押さえつけるように、膝頭に触れた孝臣の手が、ネグりジェを引き上げながら太腿へ移動した。孝臣の手がそれ以上進まないように、膝を擦り合わせて阻止したつもりが、まったく効果はなかった。それどころか、内腿を這い上がる指の感触がありありと伝わってくる。湯上りの手が湿っているのか、それとも緊張と混乱で結香の肌が汗ばんでいるのか、擦れながら吸いつくようだ。
「可愛いな」
乳房を揺らしながら、それに囁きかけるような声に、にわかに羞恥が蘇った。初めて男性に裸を見られたばかりか、胸や太腿を触られている。しかもその評価は「可愛い」だ。
自分ではきわめて平均的だと、これまで特に気にもしていなかったが、平均では可愛い程度にしかならないのかもしれない。男性側は当然バストやヒップが豊かなほうを称賛するだろう。
しかし結香が望んでこうしているわけではない。無理やり迫っておきながら、ボリュームが足りないと言うなんてひどい話だ。
「……気に入らなければ、触らなければいいじゃないですか! どうせ貧相です!」
「そんなこと言ってないだろう」
「だって、可愛いって!」
「可愛いは褒め言葉じゃないのか? それに大きさのことを言ってるんじゃない。こうして――」
ふっと息を吹きかけられ、唾液に濡れた乳首が痛いほど凝った。
「あっ……」
「こんなふうに反応するのが可愛いって言ってるんだ」
反応って、なに? まさかこの人に触られたり舐められたりして、私が気持ちよがっているっていうの?
「ちが……、違います!」
「そうかな? 自分で見てわからないか? ふだんからこんなに硬くしてたり、赤いわけじゃないだろう?」
舌先で尖った乳頭を擽られ、結香は仰け反って喘いだ。その隙に膝を大きく開かれ、孝臣の手が股間に触れた。薄いショーツ越しにもその感触は鮮烈で、結香は反射的に孝臣の手を挟んだまま膝を固く閉じた。しかし指は結香の柔らかな部分で蠢く。
「あっ、あっ……」
「ほら、こっちもだ」
ぐっと指を押しつけられたとたん、撓んだ花びらの隙間から熱い蜜が溢れた。それはショーツを濡らし、おそらく孝臣の指も――。
「……いやっ……」
恥ずかしさに、抗うよりも自分の顔を隠すので精いっぱいだった。なんてことだろう。決して本意ではないのに、身体は結香の意思を裏切って、孝臣の玩弄に応えている。これで嫌だとかやめてとか言っても、まったく説得力がない。
結香がショックを受けている間に、孝臣はショーツの脚口から指を忍ばせてきた。
「ひっ……」
「ああ、よく濡れてる」
まったく臆することのない指は、花びらの合わせを撫でながら沈んでいく。驚くほど滑らかに動くのが、自分の溢れさせた愛液のせいだと思うと、恥ずかしいやら裏切られたようで悲しいやらでいたたまれない。
「……こんな……ひどい……どうして……」
「かなり丁寧に扱ってるつもりだぞ。それに、感じれば濡れるのも当たり前だろう。まさかそんなことも知らないわけじゃあるまい」
そんな会話の間も、孝臣は結香の花園をじっくりと探検していた。たしかに一度も痛みを感じたりすることはなく、むしろ陶然としてしまうくらいの感覚が襲ってくることもあった。
しかし、だからこそ結香は困惑する。
「だって……今日会ったばかりの人なのに……その人とこんな……それなのに……あっ、あっ……」
前方の粒を探られて、結香は下肢を震わせた。あまりにもはっきりとした快感に、言葉が出てこない。
反らした喉に、孝臣がついばむようなキスをする。
「べつにおかしくない。俺はおまえを可愛がりたい、感じさせたいと思ってこうしてるんだから、おまえの身体はそれに応じてるだけだ。なんのかんのと言う口より、よほど素直だな」 -
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