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あらすじ
あなたは私が望んだ大切な妻だ
大公は小動物系公女を熱烈にご所望中!臆病な小動物系公女ユーフィリアは、帝国の皇弟である大公アレクシスと結婚することに。麗しくも人嫌いと噂の旦那様に卒倒しそうになるが、予想外に優しく慈しみをもって愛される。「あなたは私が望んだ大切な妻だ」戸惑いながらも、甘く触れられ快感を覚えさせられていく。彼への恋心が募っていく最中、二人を引き裂こうとする令嬢が現れて……!?
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キャラクター紹介
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ユーフィリア
大人しく儚げな公女。臆病で引きこもりがちだが、アレクシスに愛され、自分を変えたいと思いはじめる。 -
アレクシス
冷酷で人嫌いと噂がある大公。人前では厳しく振る舞っているが実は小動物が好きな好青年。
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試し読み
「……リア」
不意に、故郷で家族に呼ばれる愛称が聞こえて瞬きする。
再び掻き抱くように抱き寄せられたのはその直後のことだった。
「きゃっ……あ、む……っ……!」
けれど今度はただ抱きしめられるだけではなかった。
後頭部に回った大きな手に顎を上向かされて、天を仰ぐ。
アレクシスの瞳が近づいてきたと思った直後には、唇を塞がれて思考が飛んだ。
「ん、ふっ……」
突然のことに上手く呼吸ができない。
溺れた人のようにもがき、息を吸おうと大きく口を開けば、すかさず角度を変えてさらに深く口付けられ、口内を味わうようにぬるりと忍び込んだ熱い舌の感触に肩が跳ね上がった。
異性との口付けなんてもちろん経験がない。
挙式の誓いも、この国では新郎が新婦の額に口付けるだけ。
よってこれがユーフィリアにとって正真正銘の初めての口付けになる。
経験のない出来事に身体が驚いて、後ろに逃げそうになった。
けれどしっかりと抱え込む彼の手が逃さず、それどころか腰に回った方の手が大きく広げられて、薄いナイトドレスの生地越しに身体を探り始められたから堪らない。
「ひあっ……!」
腰から背中へ上がったと思ったら、一気に尻まで下がって柔らかな肉を包まれる。
異性に尻を掴まれるなんて経験ももちろんユーフィリアには存在せず、信じられないアレクシスの暴挙に目を白黒させて慌てて身を捩ろうとするも、追いかけてきた唇に再び唇を囚われ、舌を絡め取られてめまいがした。
「んっ……」
身を捩ればさらに深く抱き込まれて、ユーフィリアの胸がアレクシスの胸にこすれる。
少し擦れただけでほどけてしまうような繊細なシルク生地のリボンは、さらにもう一つ、二つとほどけて胸元の乱れは大きくなり、大きくはだけられてしまった。
もう殆ど前を隠すもののなくなった裸の胸同士が重なる。
お互いにうっすらと汗を滲ませているせいか、まるで肌が貼り付くような感覚だった。
触れる彼の身体がひどく熱い。
「……リア……ユーフィリア……」
熱に浮かされたような声で彼が名を呼ぶ。
そんな声で呼ばれると、ユーフィリアの身体もつられて熱くなる。同時に腹の奥で奇妙な疼きが芽生える気がした。
一体自分の身に何が起こったのかもろくに理解できていないのに、なんだか酷く危うく淫らな状況になっているのは理解できる。
とにかく一度落ち着かなくてはと、彼との間に距離を取ろうとするものの、アレクシスの両腕に阻まれて身動きもままならなくなった。
「ひゃっ……!」
かろうじて僅かに身体を左右に揺らすと、擦れた胸の先から予期しないビリッと痺れるような刺激が走って思わず奇妙な声が出てしまった。
突然様子の変わったアレクシスと、奇妙な熱が燻りはじめる自分の身体の変化にひたすら困惑し続ける。
そんな彼女をさらに混乱の坩堝に陥れたのは、やはりアレクシスだ。
先ほどまで彼は確かに、身を引こうとしていた。
ユーフィリアを気遣い、お互いに疲れているだろうから今夜は無理をせずゆっくり休もうと。
けれど今、アレクシスはそんな気遣いを忘れたようにユーフィリアの身を寝台へと押し倒す。
「で、殿下……っ!」
背に触れるシーツの滑らかな感触が素肌に触れて、また肩がピクッと跳ね上がったが、アレクシスは頓着しない。
真上から、磔にするかのようにのし掛かってくる彼の顔がすぐそこにある。
室内にかすかに響く荒い息づかいは、ユーフィリアとアレクシスのどちらのものだろう。あるいは二人共だろうか。
大きく見開く彼女の黒目がちの瞳を見つめて、アレクシスは呟いた。
「……アレクシスだ」
「えっ」
「私の名は知っているだろう? 妻に殿下などと敬称で呼ばれたくはない」
思わず口ごもる。
ユーフィリアにとってその名を呼ぶのはなかなかに難易度が高い。どうしても恐れ多いという気持ちになるからだ。
けれど確かに夫となった人をいつまでも殿下と呼び続けるのもよそよそしすぎる。
これが完全なる政略結婚ならまだしも、一応は望み望まれて結ばれた縁なのだから、今よりももっと仲を深める努力は必要だ。
「……あ、アレクシス様……」
だからユーフィリアはその名を呼んだ。
と同時に、胸の奥にツキンとした痛みのような感覚が走るのは、緊張のせいだろうか、あるいはときめきのせいだろうか。
先ほどから激しく脈打ち続ける鼓動はもう追いかけることさえ難しい。
「ユーフィリア……リア」
そしてアレクシスは再び彼女の愛称を呼ぶ。リア、と。
なんだか奇妙な感じがした。
彼が家族になったのだと思う気持ちはまだどこか現実味がないけれど……彼にそう呼ばれると、なんとなく甘酸っぱい野いちごを口にしたような、自然と顎の奥をぎゅっと噛みしめるような不思議な味わいが広がる気がする。
多分この時ユーフィリアは、そんな気持ちのままに彼を見つめていた。
「……ふ……」
彼女を覗き込むように、アレクシスが再び顔を近づけてくる。
そして唇を重ねる。今度はまるで小鳥がついばむかのような、軽く優しいキスを何度も。
「ん……」
いきなり深い口付けを与えられた時は動揺の方が強かったけれど、今のキスは心地良い。
未だ戸惑いが消えることはなくとも、どこか陶然とした様子で長い睫を閉じるユーフィリアに、アレクシスは幾度もキスの雨を降らせる。
淡く色づいた小さな唇に、リンゴのように赤くなっている頬に、僅かに濡れる睫に、そして折れそうなほどに細いその首筋に。
「……っ……」
またも、胸の先からビリッと走るような強い刺激を感じて身を竦めた。
彼の胸板に潰されていた胸の先が、その湿った肌に擦れて受けた刺激だ。
先ほどは偶発的な出来事のようなものだったけれど、今は違う。
ユーフィリアの露わになった乳房に彼の手が触れている。その形と大きさ、そして柔らかさを確かめるように。
横から、下から、絞り出すように両手で寄せあげられて、そのてっぺんで存在を主張する胸の頂きはこれまでユーフィリア自身ですら見たことがないくらい赤く充血し、膨らみ尖っていた。
その充血して尖った先端を彼が指先で撫でた。
「……身体のわりに、ここは随分と立派だな……」
「やっ、あっ……! ひっ……!」
くに、とそこを指で挟むように扱かれて、びりびりっと甘い刺激が走る。
強すぎる刺激をユーフィリアの頭は一瞬痛みとして受け取るのに、同時に背骨から腰骨を溶かすような甘い刺激のようにも感じられて、彼女の呼吸はさらに乱れた。
己の身体を改めて隠したくても、リボンがほどけて肌を滑り落ちたナイトドレスは今や二人の足元で布の塊となっている。
せめて彼の手を押しやろうとしたけれど、ユーフィリアの意図に気付いているのかいないのか、アレクシスが強弱を付けてその膨らみを揉みしだくたび、じわ、じわ、と奇妙に熱い感覚が胸の奥からこみ上げてきて手に力が入らない。
「……あなたの肌は、本当に白いな……まるで雪のようだ」
感慨深く呟きながら、胸の片方から離れた彼の手が脇から滑るように腹を撫でる。
長年武器を握り、皮膚が硬くなった手の平で撫でられると、肌を擽られるような、ぞわぞわとしたじっとしていられない感覚に身震いした。
腹まで下りたその手は再びユーフィリアの呼吸に合わせて健気に揺れる赤い先端へと舞い戻る。
「んっ……ん、んっ……」
ぷっくりと膨れたその場所を、爪でひっかくように弄られる度に鼻から抜けるような色づいた声が漏れ、ぴく、ぴくと肩が跳ねた。
かと思えばぎゅうっとつまみ、引っ張り上げられる。
乳房も、その先も強く扱われると、未熟な果実に残った芯を潰されるようで少し痛いのに、同時に彼の硬い手に宥められるように肌を撫でられると、その痛みさえ奇妙に甘やかな癖になりそうな感覚を与えてくるのだからどうしようもない。
ここまででもユーフィリアにとっては全てが未知の経験だ。
熱も、刺激も、小さな痛みも、どう受け止めてどう逃して良いか判らないまま、また新たな感覚が加えられて、彼女の思考を奪う。
「あ、あ……あっ………」
アレクシスはユーフィリアの乳房を再び絞り出すように掴むと、尖ったその先を天に向かってくびり出す。
そして涙ぐんだ彼女の視界で見せつけるようにそこへ顔を近づけ…………大きく口を開くと、差し出した舌でゆっくりと片方の乳首に吸い付いた。
「んんっ!」
ぞくっと胸から肩、首筋と背骨にかけて駆け抜ける愉悦に僅かに腰が浮き上がった。
ねっとりと熱く絡みつく彼の舌が与えてくる刺激が快感だと理解してしまうと、ユーフィリアの身体の奥で未熟だった果実が熟し、どろりと蕩けていくような錯覚を覚える。
まるで経血が溢れ出るように、両足の奥からごぷり、と何かが溢れ出る感覚がした。
つま先がシーツを蹴る。チロチロと舌先で擽るように愛撫されて、右へ左へ頭を振る度、癖のないプラチナブロンドがパサパサと軽い音を立てて乱れていく。
「ん、ん、ふ……」
飴玉のようにそこを舐め転がされ、かと思えば強く吸い立てられ、軽く甘噛みされ。
初めての感覚の連続に呼吸を乱しながらビクビクと身もだえするユーフィリアは、もはや自分の身体をどうすれば良いのか見当も付かない。
淫らな悪戯を仕掛ける彼の頭を両手で引き剥がそうとしたけれど、やはり手に力が入らず、その黒髪を乱すだけ。
神経がむき出しにされたような乳首を存分に味わい、やっと口を離したと思えば今度はもう片方にも吸い付かれて、くぐもった喘ぎ混じりの息づかいが漏れるばかりだ。
「ん、あ、ぁん……」
オルトロール公国では、北国ということもあって真夏でも肌を焼くほどの熱気はない。
そのためか文化の違いか女性も男性もローブやマントを愛用していて、帝国の女性のように身体の線が露わになるドレスはあまり身につけない。
女性は何よりも清楚な貞淑さを好まれ、ほっそりと凹凸が控えめな体格が好まれる。
そのせいかユーフィリアは、衣装に隠された華奢な身体のわりに少し大きく膨らんだアンバランスな自分の胸があまり好きではなかった。
でも今アレクシスは、そのアンバランスな胸にやたらとご執心だ。
揉んで、撫でて、揺らして、舐め、そして吸い上げて噛みつく。
思いつくありとあらゆる手段で可愛がられるその場所は、彼の唾液に塗れて濡れ光り、ちょっとした空気の流れや温度の差を敏感に感じ取って身体を震わせてしまうくらいになっていた。
「良い肌触りだ。ずっとこうしていたい……」
どこか倒錯的な声音で呟きながら、胸の膨らみに頬を寄せて口付けを繰り返す彼の行為はいささか執拗だ。
と同時にアレクシスは、懸命に声を殺しながらも控えめに喘ぐユーフィリアの声も堪能しているらしい。
「もっと啼いてくれ、あなたの可愛らしい声が聞きたい」
やっと胸元から顔を離した彼が、今度は首筋へと口付ける。
晒された喉に幾度もリップ音を響かせながら耳朶に辿り着き舌を這わせられると、ぞくっと全身が大きく震えるくらいの身震いと共に高い声が出た。
「ひあっ!」
身震いと共に、合わせていた両足が思わず崩れる。
すかさず、その僅かな腿と腿の間に差し込まれた彼の手に、ぐいっと両足を開かされてしまう。
あっと思った時には片膝を割り入れられて、閉じることができない。
バクバクと胸の下で暴れ回る鼓動が過剰なほどの血液を送り込んでくるようで、既にユーフィリアの肌は汗が珠を結んでしたたり落ちるほどに濡れていた。
だが、濡れているのは肌だけではない。
「あ……やっ…………」
開かれた両足の間がすうすうするのは、そこが何も隠すものなく晒されているせい。
そして……そこもまたしとどに濡れているせいだった。
「や、やめ…………っ」
アレクシスの片手が、ユーフィリアのへその下あたりで円を描くように撫でる。
温かくて、擦れる肌の感触はまたぞくぞくと神経を刺激する妖しい感覚を与えてくるけれど、もちろんその手がいつまでもそこにあるわけではない。
少しずつ、見せつけるように下へ下へと下りていく彼の手の行く末を察して、慌てて両手でその手を掴む。
けれど、アレクシスのもう片方の手が隙を縫うようにあっさりとその場所に到達して、秘裂を下からなぞり上げるような仕草に、頬が熱くなった。
「あっ、や、そんなとこ……」
「ここに触らないとどうしようもない。……覚悟はしてきたのだろう?」
少し前、今日は何もしないと身を引こうとした彼の行動が嘘のようだった。
確かにユーフィリアはそう言って彼を引き留めようとしたけれど、でも、と紅潮した顔で喘ぐ。
うるうるとその黒曜石の瞳を潤ませるユーフィリアに、どこか熱に浮かされたような眼差しでアレクシスは微笑んだ。
「大丈夫だ、充分濡れている。……ここはまだ控えめだが」
「ひうっ!」
秘裂の上部で顔を出し始めた小さな突起を優しくなぞられて、腰が跳ねた。まだ皮を被ったままの慎ましい花の芽なのに、信じられないくらい強い刺激に目の前がチカチカする。
「少し膨らんできた。……あなたは、ここも可愛らしい」
一体何が可愛いというのか判らないまま、気がつけば両膝を持ち上げられるようにさらに大きく両足が開かれている。
大切に秘めなければならないはずの場所を露わにされるように。
身体の最も繊細な部分を、腰が浮き上がるほどに開かれている。
強い羞恥でじたばたと両足をばたつかせるのに、膝裏を抑える彼の手はびくともしない。
「な、何を……」
ユーフィリアの事前に仕入れた知識では、ここまで晒す必要はなかったはずだ。
ナイトドレスを全て脱ぐ必要もなかったはずだし、必要な愛撫を施して、足りなければ香油で潤して、そして身を繋げれば良い……そのはずだったのに、アレクシスはユーフィリアのその場所を見ている。
じっくりと、まだ閉じたままの小さな入り口も、襞や陰核の形までも把握するように。
「い、いやっ……!」
強烈な羞恥に襲われて、ポロリと涙がひとしずく、こめかみを伝い落ちたけれど、ユーフィリアの泣き声はすぐにこれまで以上に甲高い喘ぎに変えられてしまった。
というのも、晒されたその場所にアレクシスが顔を埋めたからだ。そして舌を這わせる、まるで食らいつくように。
「あああっ!!」
ぞろりと熱い舌で入り口を割り、襞を舐め上げられる感覚も強烈な快感だったが、それ以上に陰核に吸い付かれる刺激は容易くユーフィリアを狂わせた。
「んっ、ん、あ、ああっ!」 -
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