書籍紹介
はやく俺に落ちなさい~おひとり様でいたいのに、次期社長が求愛してくる~
はやく俺に落ちなさい~おひとり様でいたいのに、次期社長が求愛してくる~
ISBN:978-4-596-77498-9
ページ数:290
発売日:2023年6月2日
定価:690円+税
  • あらすじ

    結婚を前提に同棲しよう
    恋人はいらないので御曹司に迫られても困ります!!

    バリキャリでおひとり様を満喫する花喃は、偶然一夜を過ごした相手・敬人と再会する。彼は会社の次期社長で、しかも直属の上司になってしまった! 会社に二人の関係がばれたらお互いの立場が悪くなる。距離を取ろうとするものの、甘く迫られれば、熱く愛された「あの夜」を思い出し胸が高鳴ってしまう。だけどいつまでも隠し通せるわけはなくて!?

  • キャラクター紹介
    • 水口花喃(みずぐち かなん)
      若くして企画部のチーフに抜擢。仕事が楽しく恋人はいらないと言ってきたが!?

    • 矢上敬人(やがみ けいと)
      下着メーカーの御曹司。次期社長。花喃が自社の社員と知りながら声をかけた!?

  • 試し読み

     いつの間にか緊張が解けて落ち着いている自分に気づく。おそらく、敬人が会話を優先したからだ。
     下心があると言いながら、すぐにベッドへ向かうことがない辺りに余裕を感じる。すっかり彼のペースに嵌まっていると思いつつも、不思議と嫌ではなかった。
    「新しい家の家具をきみに選んでもらえたら面白いかもな」
    「……すごく時間がかかるのに?」
    「その分、長く楽しめる」
     敬人は手を伸ばし、花喃の頬に触れた。そのまま親指で唇に触れられて小さく口を開ければ、自然な動作で口づけられた。一度目は重ねただけですぐに離れ、視線を合わせられる。間近にある整った顔を直視できずに目を逸らすと、追いかけるようにキスをされた。
    「っ……ん、ぅ」
     舌が差し込まれ、そろりと口蓋を舐めていく。擽るような動きにぞくぞくし、彼のスーツの袖を握ってしまう。
     キスをするのは久しぶりだった。もともと経験豊富というわけではないため、舌の動きがどこかぎこちない。
     そんな花喃の舌先を彼は器用に搦め捕った。ぬるぬると表面を擦り合わせられ舌を引くと、裏側を舐られて心臓がどくりと音を鳴らす。
    (この人とのキス、気持ちいい)
     強引さはない。徐々に気持ちを高めていくかのように、ゆるりと花喃の口腔を舐め回し、溜まってきた唾液を攪拌する。
     くちゅくちゅと水音が響いてくる。その間にも敬人は花喃の髪や背を撫でていた。彼の指が触れた先から身体が熱くなってくる。
     服の上からでもこうなのだから、直接触れられたらどうなるのか。想像してさらに鼓動が速まったとき。
    「ベッド、行こうか」
     唇を離して囁かれ、肩が小さく上下に跳ねた。明らかに先ほどまでとは雰囲気が違う。欲情した男の色気が滲んだ声を聞き、自分の欲望まで刺激された。
    「おいで」
     花喃が頷くと同時に、立ち上がった彼に手を引かれた。
     促されるままリビングを出ると、玄関に続く廊下を通ってベッドルームに入る。壁面や床にはやはり木材が使用されており、どこか木の香りがして落ち着いた。
     部屋の中心にキングサイズのベッドが据えられていたが、圧迫感はなかった。照明が抑えられているからか、リビングで見たものとは印象の違う夜景がより鮮やかに浮かび上がっている。
    「あ、の……シャワーをお借りしてもいいでしょうか」
     さすがにこのまま抱かれるのは気が引ける。
     しかし敬人は魅惑的な笑みを浮かべながら、「シャワーはあとにしようか」と、背中から抱きしめてきた。うなじに口づけられて身じろぎすると、シャツの上から乳房を包まれる。
    「シャワーを浴びたら、きみの匂いが消えるからな」
    「だって、汗臭いでしょう……?」
    「全然。いい香りだ」
     彼の声には抗いがたい力がある。本当は恥ずかしいのに、このままめちゃくちゃに抱かれたい。そんな気分になってしまうような強制力だ。
     きっと朝になれば、衝動的に行動するなんて、と自己嫌悪に陥るかもしれない。それでも今は、自らの欲望に素直に従おうと思った。
     この人をもっと知りたい。クールな顔がセックスでどう乱れていくのかを見たい。普段はまったく感じない感情を抱かせる男だ。
     敬人は耳殻に口づけながら、花喃のシャツのボタンを外していった。自分の胸の上で踊るように動く指先にドキドキし、身体が熱くなっていく。
     前を開かれ、両腕の袖を抜かれる。流れるようなしぐさだ。その合間も愛撫は続き、うっとりとしている間にスカートのファスナーを下ろされた。
    「あ……っ」
     シャツもスカートも床に落とされ、キャミソールと下着だけを身につけた格好になった。うっすらと窓ガラスに自分の姿が映り、羞恥に駆られてしまう。
    「……わたしだけ脱がされると恥ずかしいです」
     彼の手を止めた花喃が、身体ごと振り返って告げると、敬人の口角が上がった。
    「なら、俺のことも脱がせればいい」
     彼はスーツの上着を脱ぎ、ベストと袖口のボタンを外すと、ネクタイのノットを緩める。何気ない行動だが、ひどく色気を感じさせ、まだ何もしていないのに狼狽えそうだ。
    「どうぞ?」
     敬人はやはり余裕があった。一筋縄ではいかないと思う一方で、こんな男を夢中にさせたいとも思う。もっともそれには、花喃のスキルが圧倒的に足りないのだが。
    「ネクタイ、外しますね」
     恋人がいたときも、ネクタイを外したり締めたりすることはなかった。どちらかといえば彼氏に尽くしたり、ベタベタと甘えるタイプではないのだ。『可愛げがない』と言われる理由のひとつである。
     もたつく指を動かし、なんとかネクタイを外すことに成功した。なめらかで手触りがよく、どう見ても高級品だ。間違っても汚れたりしないように丁寧に扱わなければいけない。
    「ハンガーにかけたほうがいいですよね」
    「気にしなくていい。きみは、几帳面だな」
     ふ、と笑みを浮かべた敬人は、花喃の身体を腕で囲った。キャミソール越しに背筋を撫でられて身震いすると、彼は両手で尻肉を揉み始める。
    「胸も尻も触り心地が最高だな、きみは」
    「何……や、ぁっ」
     どこもかしこも完璧な男が吐いた台詞にしては俗っぽく、それがなおさら羞恥を煽る。しかも彼は本当に気に入っているのか、ショーツの上から尻肉に指を食い込ませ、割れ目を広げるように揉み込んできた。
    「さ……触られると、脱がせられな……んっ」
    「これだけで? 感じやすいんだな」
     離れようと思うのに、しっかり尻を掴まれているせいで逃げられない。ネクタイを床に抛るのも躊躇われ、どうすることもできず彼のいいようにされていた。
     敬人は存分に尻肉の感触を堪能し、キャミソールの肩紐を両肩から外した。下着姿になった花喃をしげしげと眺め、ふと口角を上げる。
    「いいな、この下着。デザインもサイズもきみに合っている。綺麗だ」
    「ありがとうございます……」
     予想外のところで褒められて、素直に嬉しくなった。
     花喃が今身につけているのは、上下揃いの自社の新作だ。ブラは胸元が開いたデザインで、ストラップには小さな花が連なっている。カップには大きさの違う花の刺繍が施され、ショーツも同様の柄だ。ちなみにウエストサイドはレース仕立てとなっており、可憐さの中に上品さも兼ね備えた作りになっている。
    「この下着、気に入っているので嬉しいです」
     仕事柄もあって、下着には気合いを入れていた。デザインはもちろん、身体にフィットすることも重要だ。バストもヒップも、下着いかんで美しい形を保つことができる。
     それと単純に、好みの下着をつけると気分が上がる。メイクやファッションもそうだが、花喃にとっては下着も戦闘服のようなものだ。素敵なデザインを纏うことで、その品に負けない自分でいようと背筋を伸ばして生活できる。
    「きみは、自分に似合うものをよくわかっている。目の保養だ。ヒップラインも綺麗で、触り心地もいいなんて最高だな」
     じっと見つめられ、肌が熱くなってくる。彼は自身のベストを脱いで花喃の手からネクタイを受け取ると、近くの椅子に無造作に置いた。
     シャツのボタンを片手で外し、もう片方で花喃の手を引く。一連の流れるような動作に目を奪われているうちに、ベッドに押し倒されていた。
    「脱がせるのが惜しいな。このまま眺めているのも楽しそうだ」
    「それは……恥ずかしいです」
    「これからもっと、すごいことをするだろ」
     彼は花喃の首筋に顔を埋め、軽く口づけを落とした。ぴくり、と、無意識に身体が揺れる。こんなふうに組み敷かれることが久々で、どう振る舞えばいいのか思い出せない。
     彼の唇が首筋を辿り、鎖骨に触れる。くぼみに舌を這わせられ、そこから胸の谷間へと下りてきた。
    「きみが感じるのはどこなのか、教えてもらおうか」
    「あ……っ」
     ブラを押し上げた敬人は、まろび出た乳房に吸い付いた。乳頭を口に含み、舌の上でころころと転がされると、下腹部が甘く蕩けてくる。
    (もう、濡れてきてる……)
     彼とのキスだけで感じていたのに、直接愛撫をされたらもう駄目だった。
     もともと感じやすいわけではない。それなのに、敬人の舌や指は花喃の身体をたやすく快感へと導く。一夜限りの関係なのに、肌に触れる手つきが優しいのだ。
     自分の欲を優先せず、花喃を高めることを先に考えてくれる。そういった気遣いに女は敏感だ。大事に扱ってくれているのを感じた体内が喜びに満ちていく。
     敬人はそれを見計らったかのように、花喃の足の間に手を差し入れた。ショーツのクロッチをぐいっと押されると、腰が跳ね上がる。
    「あんっ……」
     思わず漏れた声が恥ずかしい。ひどく甘く響いたからだ。けれど彼は気にせずに、乳首をしゃぶりながら布越しに陰核を押し潰す。
    「んん……っ」
     胸と恥部を同時に攻められ、全身に痺れが走る。彼に舐められた乳頭は硬く尖り、むずがゆいような感覚を覚えた花喃は、いやいやをするように首を振る。
    「矢上さ……脱ぎたい、です」
     自分からねだるようなことを言うのは抵抗があったものの、ショーツが汚れるのは避けたい。羞恥を堪えて告げると、敬人が胸から顔を上げた。
    「腰、上げられるか?」
     小さく頷き、言われたとおりに腰を浮かせる。すると、彼はショーツを膝下まで下ろし、素早く足から引き抜いた。その手で膝を割られてとっさに閉じようとするも、彼はそれよりも早く身体を割り込ませた。
    「悪いが、隠すのは禁止だ」
    「えっ⁉ 矢上さ……だめ……ッ」
     制止するのも構わずに、敬人は花喃の足を大きく開かせた。
     彼の眼前に晒された秘部からは、とろりと愛液が零れ落ちる。視線に感じていることを自覚すると、なおさら羞恥心が増した。
    (っ、どうしてわたし、こんな……)
     これではまるで、期待しているようだ。早くほしいと身体が訴えている。こんなことは過去にいた恋人とのセックスでも経験はなく、それだけに狼狽えてしまう。
    「ここも綺麗だな。それに、いやらしい」
    「あ、ぁあ……っ」
     指先で花弁を搔き分けた敬人は、濡れたそこへゆっくりと刺激を与えつつ、埋没していた肉粒を探り当てた。ぷっくり膨れた快感の芽を優しく剥き出しにされ、愛液を塗すように撫でられると、蜜孔がぴくぴくと痙攣する。
    「音が大きくなってきたな。きみは感じやすいようだ。ここ、舐めてもいいか?」
    「いやっ、だめ……っ」
     花芽を押された花喃は、たまらず大きな声で否を示した。
     シャワーを浴びていないのに、舐陰をされるのは抵抗がある。けれど敬人はそんなことなど気にしないとばかりに、指の動きはそのままで足の間に顔を近づけた。
    「嫌がらせたいわけじゃないから諦めるが、残念だな。ヒップラインから濡れたここまでを舐め回してやりたいのに」
     彼の端整な顔が自分の恥部に埋まる想像をして、花喃の体温がぶわりと上がった。
     アルコールが入っていると、感度が少し上がることは今まであった。けれど今感じているのは、それだけが理由ではない。そう多くない経験でもわかる。敬人の愛撫が巧みであり、紳士然とした見た目に反して淫らだから翻弄されているのだ。
    「指、挿れるよ」
    「んぁっ……」
     断りを入れた敬人は、蜜口に中指を挿入した。そのとたん、内壁がぐにゃりと微動する。異物の侵入を阻むようにきゅうきゅうと窄まり、指の動きを妨げている。
    「指だけでもきついな。これで俺のを挿れたらどうなるんだ?」
    「しっ……知らな……あぅっ」
     敬人は蜜孔に第二関節まで指を挿れたまま、空いている手で乳房を揉んだ。乳首とすり合わせながら手のひらで刺激され、思わず腰が揺れる。
    「いつも、はっ……こんなんじゃ……」
    「それは光栄だ。きみは、男を煽るのが上手い」
     口角を上げた彼の顔はひどくセクシーで、色気に当てられてしまいそうだ。思わず目を逸らすと、彼の手が花喃を攻め立てた。凝った乳頭を扱きながら、もう片方で内壁をぐりぐりと押し擦られる。
    「っ……」
     強い刺激に喉が詰まった。どちらか一方だけでも感じるのに、二カ所同時に愛撫されてはひとたまりもない。
    「それっ……すぐ、達ッちゃう……から、だめ……ッ」
    「達かせるためにしているから、そのお願いは聞けないな。俺も舐めたいのを我慢しているんだから、これくらいさせてもらわないと」
     強引さは感じないのに、彼は自分の思うように花喃の身体を弄っていく。中指で蜜孔を行き来しながら肉粒をくりくりと転がしたかと思うと、胸の先端を摘ままれる。一瞬も気を抜けないほど快感を与えられ、絶頂感がせり上がった。
    (だめ……だめ……っ)

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