書籍紹介
愛を信じない冷徹夫が、政略結婚した新妻に夢中です
愛を信じない冷徹夫が、政略結婚した新妻に夢中です
ISBN:978-4-596-71625-5
ページ数:250
発売日:2024年10月3日
定価:730円+税
  • あらすじ

    「お前と恋愛ごっこをする気はない」と言い放った夫ですが、
    今は可愛すぎて誰にも見せたくないようです

    組同士の政略で恭介と結婚した久留巳。夫に「愛を与えられるなど期待するな」とはっきり言われ、容姿に自信のない久留巳は自分に魅力がないせいだと落ち込んでしまう。ところが初夜で久留巳がコンプレックスを口にすると恭介の態度が豹変!? 「お前は可愛いだろ」と情熱的に身体を求め、独占欲をあらわにしてくる。久留巳は戸惑いつつも嬉しいけど!?

  • キャラクター紹介
    • 鬼丸久留巳(おにまる くるみ)
      鬼丸組の娘。箱入りすぎて流行遅れのダサ女に。妻として頑張ろうとするけど!?

    • 条願恭介(じょうがん きょうすけ)
      条願組若頭。敵組から嫁に来た久留巳を警戒していたが新妻の可愛さに気づき!?

  • 試し読み

    「もうこんなに、硬くしこらせて。いやらしいな」
     嘲笑するように言われて、久留巳は恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだった。
    (こんなふうに感じるのは、私がいやらしいからなの? 普通はならないの?)
     なにしろすべてが初めての経験で、久留巳は自分の身体の反応にうろたえるばかりだ。
    「いっ……! やっ……ああ」
     ずっと羽毛で撫でるように触れていた乳首を、きゅう、と強くつままれて、軽い痛みと同時に甘い痺れが襲ってくる。
     きつく眉を寄せて耐えていた久留巳のパジャマのボタンに、恭介の指がかかった。
    「あっ……だっ、駄目……っ」
     抵抗しようにも、久留巳の手は震えるばかりで弛緩したようになっている。
     呆気なくパジャマを脱がされて、半裸の状態にされてしまった。
     電気を消したとはいえ、非常灯の明かりがあるから、室内は真っ暗闇ということはない。
     異性の前に肌をさらすなど、親族を除けば初めてのことだ。
    「なにが駄目なんだ」
     胸を両手で隠そうとする久留巳に、恭介は不服そうに言う。
    「こんなに敏感な身体をして。さぞいろんな男たちを味わってきたんだろうが」
    「やっ! いや、ですっ……っ!」
     両手首を軽々とつかまれて、恭介の眼前に久留巳の乳房がさらけ出された。
    「どうして嫌がる。自慢できるサイズじゃないか」
     カーッとますます久留巳は頬に熱を感じた。
     久留巳は学生時代、「顔はタヌキのくせに胸は大きくて宝の持ち腐れ」などと陰口を叩かれ、それが嫌でいつも背中を猫背気味に丸めていたのだ。
    (や、やっぱり変なんだ。私の身体……!)
     悲しくてたまらないのに、大きな手のひらが包みこむように乳房に触れると、きゅんと下腹部が疼く感覚があった。
    「んあ……っ!」
     思わず鼻から抜けるような甘い声が出て、久留巳は自分の手で口を覆う。
    「んっ、んっ、あっ、んんっ」
     それでも恭介が優しく強く胸を揉みしだき始めると、とても抑えきれずに喘いでしまう。
    「……なかなか抱き甲斐のある身体だ」
     恭介は言って、首筋に顔を埋めてきた。
     ふわりと恭介の、紅茶のようなコロンと汗の入り混じった香りが、鼻孔に広がる。
     これが男の匂いなんだ、と頭の隅で久留巳は思う。
    「っ、あ……、やっ、あっ……!」
     濡れた熱い舌が肌を滑り、軽く鎖骨を噛まれて、久留巳は甘い悲鳴を上げた。
     そうしながらも豊かな乳房は、優しく揉みしだかれ続けている。
     下腹部の疼きはますます大きくなり、熱を伴うようになっていた。
    (なんなの、この感じ。私、どうなっちゃうの。怖い、おかしくなっちゃう……っ)
     素肌を蹂躙される未知の感覚に、久留巳はもうパニックになりかけていた。
    「もう、いや、あ……っ、そんなにっ、したら……っ」
    「いやじゃないだろう」
     傲慢に、恭介は言う。
    「さっきからこんなに硬くして、尖らせているくせに」
     言いながら、爪の先で強く突起の先端を刺激してきた。
    「っあ、あんっ……駄目、えっ……!」
     赤いキスマークをつけながら、胸元にまで、恭介は舌を滑らせてくる。
    「はあ、んっ、や……っ、ああっ、ん……っ」
     肌を強く吸われると、そのたびに久留巳は身体をくねらせ、身悶えた。
     顔を上げた恭介が、笑いを含んだ声で言う。
    「……いやらしい女だ」
     またいやらしいと言われた。久留巳はほとんど半泣きになってしまう。
    (そうなの? わ、私の身体、どこかおかしいのかな。でも今までこんなことなかった。恭介さんが触るから、だからおかしくなるのよ。どうしてなのか、触られるとそこがジンって熱くなる。それに……)
    「この調子だと、こっちはさぞ待ちわびてるんだろうな」
     言いながら恭介が、パジャマの下に手を入れてきた。
    「だっ、駄目っ! 絶対、駄目ですっ」
     咄嗟に抵抗しようとした久留巳だが、恭介は強引に、パジャマのズボンも取り去ってしまった。下着の中に滑りこんできた指に、久留巳は慌てる。
     なんだかさっきから、下腹部が極端に敏感になっていて、奇妙な感じがしているからだ。
    「やっ、いやっ、いやですっ!」
    「どうして。よろしくお願いしますとお前が言ったんだろうが」
    「だって……あ……っ!」
     一番触れて欲しくなかった部分を、恭介が探ろうとする。
     そして柔らかな花びらの間にある芽に、その指先が触れた瞬間。
    「──っ!」
     ぬるっとぬめった感触と、脳天を突き抜けるような痺れを感じて、久留巳は大きく背を反らせた。
    「やっぱり。もうこんなにぐしょ濡れじゃないか」
    「えっ? え……っ? っあ、ああっ」
     くちゅ、と粘着質な音がして、言われたとおり、そこが濡れていることがわかった。
    (なんでっ? なんでこんなふうになっちゃったの?)
     うろたえつつも、恭介の指先がほんの少し動くたびに、ぴくんぴくんと大きく腰が揺れてしまう。
    「ああんっ、あんっ、やっ、やあっ」
     自分のものとは思えないような甘い声が、久留巳の口から漏れ続けている。
    「もっと力を抜け。脚を閉じようとするな」
    「そん、な、こと……っ」
     無理、と久留巳は思ったが、恭介は下着を取り払われた脚の間に身体を入れてきた。
     そうすると嫌でも大きく脚が割り開かれて、すべてが恭介の前にさらけ出されてしまう。
    「あう……っ!」
     花びらの中の小さな突起を、あやすように恭介が弄る。
    「はっ、あっ、ああっ、あんっ」
     そのわずかな動きに、びくんびくんと久留巳の腰が跳ね、内部からは蜜が溢れてくるのがわかった。
     嫌なはずなのに、久留巳の下半身は恭介の指を求めるように、揺れ始めてしまっている。
    「あ……あ、ああ……」
     恥ずかしさに顔を覆いたいのに、もう手には力が入らない。
     脚だって閉じたいが、腰から下が溶けたようになってしまっていた。
     室内は薄暗いが、ベッドの下にはフロアランプがあり、真っ暗というわけではない。
     自分の全裸も痴態も、なにもかも恭介に見られている。
    (も、もう無理。恥ずかしすぎて、息ができなくなっちゃう)
     羞恥でとても顔など見られない。目を逸らすと、恭介は不思議そうに言う。
    「なにをそんなに恥ずかしがっている。俺は、慣れない女を無理に犯す趣味はない。演技なら、不要だ」
    (違う。そんなんじゃない。……でも、恥ずかしがったら駄目なの? もっと堂々としているべき? どういう態度が正解なの? こんなの、誰も教えてくれなかった)
     なにもかも生まれて初めての体験で、久留巳が混乱状態になっているとは知らない恭介は、淡々とことを進めてきた。
    「存分に準備できているようだし、もういいだろう」
     言ってなんの躊躇もなく、自分もパジャマと下着を脱ぐ。
    「え……?」
     ほとんど放心状態の久留巳の両膝を抱えるようにして、恭介は腰を持ち上げてきた。
     しなやかな筋肉のついた恭介の裸体に、久留巳は思わず見入ってしまう。
     額にかかった艶やかな黒髪。汗とコロンの混ざった香。低く甘い声。
     思わず見惚れていると、恭介は苦笑した。
    「どうした。これが気になるのか」
    「……えっ……?」
     力の入らない久留巳の手を取り、恭介は自分のものに触れさせてくる。
     久留巳の手の甲に自分の手を重ね、形をなぞるようにして動かし、久留巳はその張り詰めたものの大きさと硬度、そして熱さに目を丸くしてしまう。
    (男の人のって、こんなふうになるの? な、なんだか、別の生き物みたい……)
    先端はつるりとしていたが、下の部分は木の幹のように血管でごつごつしている。
     手を離して顔を上げると至近距離に、情欲に潤んだ恭介の目があった。
     むせるような男の色気に、久留巳は身体が熱くなるのを感じたのだが。
    「──っ……!」
     ぐっ、と焼いた石のような硬く太いものを押し付けられ、久留巳は思わず身を竦ませる。
    「おい。……どうした、力を抜け」
    「はっ、はい……! ……いっ、んっ、う……!」
     なにをされるのか悟った久留巳は、緊張で全身が強張ってしまう。
    (男女がどうするかくらい、私だって知ってる。保健体育で習ったもの。だけど、こっ、こんな、こんなの無理……入らない……っ!)
    「なんだ、なにを今さら焦らしてる」
     無意識に逃れようとして、どんどんずり上がっていく久留巳の腰を、恭介は苛立ったようにしっかり抱えた。
    (駄目。言われたとおり、ちゃんと力は抜いてるのに。……痛いっ、裂けちゃう……)
     ぎゅっときつく目をつぶり、唇を噛みしめて耐えていると、ふいに圧迫感が消えた。
     薄く目を開くと、驚いたような恭介の顔がある。
    「まさかとは思うが。……もしかして、経験がないのか?」
     ないのはよくないことなのだろうか、と久留巳は不安になったが、噓をつくわけにはいかなかった。
    「は、はい。すみません……」
     涙混じりの声で言うと、恭介は拍子抜けしたように、身体から力を抜いた。
    「謝ることはないが、早く言え」
     恭介は身を起こし、頭をかく。
     そしてまだ呼吸が整わず、体内に残っている熱さに震えながら呆然と横たわっている久留巳を、不思議なものを見るような目で見た。
     先刻まで恭介から、オーラが立ち上るように発散されていたフェロモンは、潮が引くように消えている。
    「でも、あの、ちゃんとやります! できますから、最後までしてください!」
     必死に言ったが、恭介にはもうその気はないらしい。
    「いいから、着ろ」
     先ほど脱がせた久留巳のパジャマを拾い、こちらに渡してくる。
    (ああ……完全に、冷めちゃったっていう顔と声をしてる。そうだよね。ただでさえ不細工なのに、不慣れでヘタクソじゃ、したくないわよね)
    泣きそうになるのを誤魔化すようにして、久留巳はパジャマに袖を通した。なんだかとても惨めな気分だったが、裸体を隠せたことには安堵した。
    「……どういうことだ。恋愛経験がまったくないのか?」
     自分もパジャマを着ながら問う恭介に、ようやく呼吸の落ち着いた久留巳はうなずいた。
    「ないです……。学生時代、友達もほとんどいなかったので」
    「だが、言い寄ってくる男はいくらでもいただろう?」
     思いがけない問いに、久留巳は返事に困る。
    「ま、まさか。いません、全然。……私はこんなだし……」
     こんな? と恭介は怪訝な顔をした。はっきりしない受け答えをしているせいで、苛立たたせてしまうのではないかと、久留巳は慌てる。
     だから自分で口にするのはつらかったが、正直に答えようと努めた。
    「ええと、つまり私は……だ、ださいので。地味で、可愛くないですから」
    「うん? いや、お前は可愛いだろうが」
     えっ、と久留巳は恭介を見た。
    (今、かっ、可愛いって言った? 聞き間違い?)

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