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あらすじ
清純娘(実はヤクザの娘)と紳士社長(実は元・鬼若頭)の騙し合いだけど本気の恋!?
1ヶ月間だけ、恋人になってくれますか?「祝言の日まで、あなたは俺だけのものだ」望まぬ結婚をする私のために、期間限定の恋人になってくれた泰雅さん。本当はヤクザの娘だなんて彼には絶対に内緒だし、ましてや家族に彼のことを知られるわけにはいかない。だけど彼も、エッチでもシャツを脱がないなんて秘密がありそう!? 普段は紳士な彼のオラオラ系の愛撫に蕩かされて想いは募り…!?
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キャラクター紹介
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千珠真理亜(せんじゅ まりあ)
聖マリアの名で華道家として活動。ヤクザの娘であると泰雅には知られたくない。 -
天花寺泰雅(てんげじ たいが)
消費者金融の社長。真理亜の気を引きたくて、元ヤクザであることを隠している。
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試し読み
「脱がせるのがもったいないな。せっかく俺に見せるために着けてきてくれたのに」
「見せるため……っていうか……」
「違う?」
「社長と会うときは……かわいくしていたいと思って……」
泰雅の前では、かわいい自分でいたい。
根性の据わった気風のいい極道の娘ではなく、ひかえめでおとなしい、かわいい女の子でいたい。
それがきっと、彼が好きな女の子のタイプだから……。
「こんなもの着けていなくたって、マリアはかわいい」
驚くほどすんなりとストッキングごとショーツを取られてしまう。いきなり下を脱がされてしまうとは思わず、戸惑っているうちにブラジャーも取られた。
「ほら、やっぱりかわいい。いや、綺麗だ」
全裸にされて羞恥のゲージが一気に上がるものの、手で胸を隠そうとか、身体をひねって彼の視線から逃れようとか、恥ずかしいです、を表す行動に出られない。
泰雅が真剣な顔で真理亜の身体を見ているから、動くことができない。動いてはいけない、そんな気がした。
この人の視線には、とんでもない力強さがある。意志の強い目をした人だとは思っていたが、人を逆らわせない目力というか……組のトップに立つ人間、父や九重頭に通ずるものがどこかある気がする。
(一企業の社長だから? それとももっとなにか……)
深みにはまりかけた真理亜の思考は、それ以上進めなかった。泰雅が真理亜のボディラインを両手でなぞり、へその上にキスをしたのだ。
「本当に綺麗だ……予想以上で、驚いた」
「社……ちょ……ぉっ、ァン……」
へそのくぼみで息を吹かれ、腹部で唇が這う。彼の両手は何度もボディラインを撫でさすり、浮いた腰に潜りこんではお尻の円みを探った。
「ぁ、アッ……ンッ……」
「手触りもいい。困ったな、ずっと独り占めしたい」
尻肉をぐにっと摑まれ、刺激で下半身が跳ねる。そのせいで力が入らない両脚の膝を立て大きく開かされた。
「あっ……」
いきなりこんな大開脚、戸惑わないはずがない。しかし言葉を発する間も与えられないまま、泰雅が秘部にキスをした。
「やっ、あっ、ぁ!」
まるで唇にしたときのよう、ちょんちょんちょんっとつつかれ、食むようについばまれ、くすぐったいやらむず痒いやら、自分でも判断できない刺激でいっぱいだ。
それでもわかるのは、いやな刺激ではないということと、泰雅にされているのだと思ったら、腰の奥からどんどん熱が上がってくるということ。
「あっあ、しゃちょ……ゥンン……」
「キスでたくさん感じたんだな。早めに脱がせてよかった。濡れやすいみたいだし、たっぷりマリアを味わっておこう」
ぬらりとした厚ぼったいものが秘裂に撫でつけられ、ついばまれるのとは違う刺激に背中が反った。
「あぁぁぁぁっ……!」
それが泰雅の舌だとわかったのは、ぴちゃぴちゃと水分を舐め取る音が聞こえてきたからだ。
縦横無尽に動き回る舌が、秘部を隅から隅まで舐めなぞっていく。いつまでも終わらないどころか大きくなっていく水音は、なにが原因なのか見当がつくだけに、真理亜は謎の羞恥でお腹の奥が沸騰しそうだ。
「ハァ、あっ、お腹……熱……ぁっ……!」
「んっ。熱いのでいっぱいだ。マリアの汁は美味いな」
「あああっ……! ぁぁンッ!」
じゅるじゅるじゅるっと愛液をすすられ、なかなかに派手な音に官能が煽られる。疼きでいっぱいになった腰が休むことなく左右に動き、大きく開かされた脚が自らさらに幅を広げて、足の裏でシーツを擦った。
「社……長っ、お腹、溶け……あぁああっ!」
「マリア、社長はやめろや。名前で呼べ。そうしたら、もっとイイことシてやる」
興奮しているせいなのか、泰雅の口調がいつもと違う気がする。しかしそれを気にする余裕もなく、身体が沸騰しそうなほどの快感に身を任せた。
もうすでに身体がどうにかなってしまいそうなのに、もっとイイこと、とはなんだろう。彼を名前で呼べば、それをしてもらえるらしい。
「たい……が、さ……ァンッ」
お安い御用だ。むしろ、呼びたい。呼んでみたい。
好きな人を下の名前で親しげに呼べるなんて、なんて嬉しくて特別感のあることなんだろう。
きっと幸せで堪らない。一度口から出したら、何度でも呼びたくなってしまうだろう。
「泰雅……さん」
ドキリと鼓動が高鳴った。ただでさえ駆け足気味なのに、これ以上ドキドキしたら息が止まってしまう。
「泰雅さん……イイこと、って、ぁぁん……なに?」
「マリアは素直でかわいいな。イイこともたくさんシてやりたくなる。腹が熱いんだろう? ――すぐ、イかせてやるから」
「ひあっ!?」
蜜園に喰いついた泰雅が大きく舌を動かし、集中して上のほうを舐めたくる。その部分に性感の塊のような器官があることは知っているが、このどうしようもなく扇情的な感覚
はそれのせいなのだろうか。
「ああっ、泰雅さっ……!」
強い刺激がせり上がってきて、お腹で熱と混ざる。ずっと我慢していたものを放出するような解放感に襲われ、こらえる力も出ないまま吞みこまれた。
「やぁぁン……ダメェ――!」
顔の横で枕を摑み、背中が浮き腹部が波打つ。脚の付け根がピクピクして、自然と力が入ったり弱くなったりを繰り返す。
「あ……ぁぁ……」
この強弱を繰り返していると、また花芯に熱が溜まってくる。その心地好さに負けて意識的に動かしてしまった。
「イイ声だ。でも、足りねえだろう?」
泰雅が顔を離した気配がする。強弱を繰り返す部分がふさがれる刺激が走り、まさかもう挿入されてしまったのかと顔を向けると、身体を起こした泰雅が秘部に手を添えマリアを眺めてニヤッと嗤う。
蜜口をふさいだのは彼の指。ぐにゅっとねじこまれてきたそれが、とある一点で止まりその部分をえぐるようにぐりっと押した。
一瞬にして電流が流れ、背中が弧を描き、開いたままの脚が震えてつま先が立つ。
「ひゃっ……! あああぁっ――!」
声が裏返り、はばかりなく叫んでしまった。頭がぼんやりして、これがいいことなのか悪いことなのか判断がつかない。
つま先が落ちると、脱力した脚がシーツを滑る。せっかくだから閉じればいいのに、大きく開いた脚を動かす力が出ない。
「イキ顔も極上。最高だ、マリア」
真理亜を甘電させた指を丹念に舐め、泰雅が顔を近づける。いつもより猛々しい雰囲気が伝わってきて、あの大人で紳士な彼がこんなにも興奮してくれるなんてと鼓動は速くなるばかりだ。
彼の野生の部分が騒ぐくらい昂ぶってくれているんだと思ってもいいだろうか。そんなふうにさせているのは、他ならぬ真理亜なのだと……。
「たいが、さ……」
――――嬉しい。
「初イキで二連続はキツかったか? でもマリアが物足りなさそうに腰振ってるから悪いんだぞ?」
恥ずかしいことを言われてしまった。でも、泰雅に言われるなら、全然いやじゃない。
枕から手を離し、真理亜は泰雅に腕を伸ばそうとする。どうやら自分は絶頂というものを体験させられたらしいが、その余韻というか余波というか、ふわふわとしたものが体内を揺蕩っていて、上手く力が出ない。
抱きつきたいのかと察し、泰雅が身を寄せてくれる。彼の肩に腕を回して、真理亜はこそっと囁いた。
「キツくない……。ふわふわして……気持ちいいの……」
「……ほんっと、ヤバイ女だな」
嬉々として呟き、泰雅が首筋に唇を這わせてくる。両手で胸のふくらみを鷲摑みにし、じっくりとこね回した。
「アンッ……ん、泰雅……さぁン……」
「ああ、もう、ホントに、ぐっちゃぐちゃにしてやりたい。監禁して俺のことしか考えられなくなるまでヤっていたい」
「いいですよ……たいがさんなら……」
「また、そういうことをっ」
「あぁぁんっ……!」
片方のふくらみを揉み上げ、その頂に泰雅が吸いつく。食むように口を動かし口腔内で舌を回した。
「ハァぁン……、あっ、あ、そこぉ……」
じゅっじゅっ、と音をたてて吸われると、まるで胸に溜まった熱を吸い取られているかのよう。吸われて舌先でつつかれて、頂の突起が感度を増していく。
反対側の頂も突起をつままれ根元からこねられる。胸をじっくりさわられるのは初めてのせいか、こんなに気持ちいいのはおかしいのではないかと不安になるくらいだった。
「あっァン、胸……ンッ、やぁ、あっ……」
「気持ちいいか、マリア?」
「んっ、んっ」
真理亜は息を詰めてこくこくとうなずく。ハハハと楽しげに笑った泰雅が真理亜の両胸を押し上げ、ふるふると揺らした。
「すっごく気持ちよさそうだ。乳首が勃ってるのわかるか? 大きくなって、俺にもっといじってって言ってる」
そこを強調するように押し寄せられた胸のふくらみは、頭頂を赤くぷっくりと膨らませている。自分の胸くらいは見たことがあるものの、こんなに色を濃くして大きくなっているのを見るのは初めてだ。
「泰雅さんになら……いっぱいいじってほしい……と思う……」
思うままに出てしまった言葉は、泰雅のなにかを煽ったようだ。摑み上げたふくらみを中央に寄せ、発熱したふたつの果実を真理亜に見せつけるように舐め回した。
「ああっ、あっ、泰雅、さんっンッ……」
唾液で濡らされ、赤みが増す。突起が熱いのか彼の舌が熱いのか、舐られ吸いたてられ、そのたびに焼け落ちてしまいそうな刺激で胸がいっぱいになった。
「ああっ、ダメ、ダメェ……焼けちゃう……ンッ、胸、熱いからぁ……ああぁンッ」
両方を同時に唇で食まれる。ビリビリっとした刺激とともに熱が弾けた。
「あああンッ……! ダメェ、ぁン――!」
胸を突き出すように背中が浮き、達した瞬間にやっと動いた両脚がシーツの海を泳いだ。
「たいが……さん……」
上がる息に胸を上下させる真理亜にチュッとキスをして、泰雅がベッドから下りる。脱ぎ捨ててあったスーツの上着からなにかを取ると、おもむろにトラウザーズを脱ぎはじめた。
ベッドルームには、ベッドの左右に置かれたシェードランプのあたたかな灯りがあふれている。それに照らされた彼の背中はとても広くて頼もしい。
ずっと着たままだったシャツも脱ぐのだろうと見ていると、泰雅が小さな包みをつまんで見せてくれた。
「ちゃんと着けるから。心配しないように」
「え……?」
「着けなくていいの?」
「あ……ぇと」
答えを求められているようなので、ぼんやりしている場合ではない。今の状況と、持っているものの形状を見て、おそらく避妊具だと見当をつける。
「着けて……いただけると嬉しいですが……。でも……」
「ん?」
「もし、泰雅さんが、これは嫌いだから着けたくないとおっしゃるのでしたら……」
「そういう危険な発言はしなーいっ」
真理亜の言葉をさえぎり、泰雅は笑いながら背を向けた状態で避妊具を自分に施す。すぐにベッドへ戻り、枕をひとつ取って真理亜の腰の下に入れた。
なんの意味があるのかはわからないが、腰が上がってちょっとおかしな気分だ。膝を立てて脚を開いているぶん泰雅から容易く秘部が丸見えになる。
(また恥ずかしがらせようとしてるのかな)
刺激的すぎる。これから、もっとも刺激的なものを受け入れるのに。
やっぱり、破瓜の痛みというものはすごく痛いのだろうか。彫刻刀で指をぐっさり刺した学生時代、声ひとつたてず黙って止血して黙って絆創膏を巻いた経験を持つ真理亜でも、初体験の痛みは不安だ。
しかし、「痛い痛い」と処女が騒ぐと男性は萎えてしまうものだとも聞く。面倒くさくなって丁寧さがなくなるという話も聞いた。
……すべて組の男連中が話しているのを、知らん顔して聞いていただけだが……。
真理亜の気持ちを汲み取って、一ヶ月間だけ彼のものになることを許してくれた泰雅。ハジメテの真理亜をこんなに褒めて抱いてくれているのに、肝心なところでガッカリさせたくない。
痛いとかやめてとか、絶対に言わないようにしよう。彼がしたいように抱いてもらおう。
気持ちを新たに、真理亜は泰雅に顔を向ける。ふと、この段階になっても彼がワイシャツを脱いでいないことが気になったが、脚のあいだにあたたかな塊を感じた瞬間、そんなことよりこの先の展開に思考を持っていかれた。
「挿れるぞ、マリア」
「は、はい」
「かなり濡れてくれたから、いい感じに柔らかくなってるとは思うけど、痛くて我慢できなかったら大声で叫んでいいから」
「大丈夫です」
クスッと笑われてしまった。強がっていると思われたのかもしれない。
「んっ……」
熱い塊が押しつけられたかと思うと、ぐにっと膣口が広がり彼の切っ先を吞みこむ。お腹をググッと押されるような圧迫感と、許容量以上の大きさを吞みこんだ膣口が大きく軋んだ。
グッとまぶたを閉じ奥歯を嚙みしめる。一瞬痛みを察知した腰が逃げようとするが、腰の下に枕を置いて高さを確保されているせいか逃げることは叶わず、予定どおり泰雅を迎え入れることができた。
「あ……ハァ……」
下半身に力が入っている。泰雅が太腿をさすってくれているのが気持ちよくて、口で息をしながら少しずつ力を抜いた。
「イイ子だ。助かる」
彼のホッとした声を聞くと真理亜も嬉しい。力を抜いたのは間違いではなかったようだ。
こうしていると、思ったよりは痛みを感じない。身を裂かれるような痛みを想像していたからかもしれないが、我慢できないほどではない気がした。
「もう少し、入るぞ」
「はい……」
泰雅が動くと、少し膣口が引き攣れて痛みを感じる。その小さな幅に合わないものを受け入れるのだから、まったく痛くないはずはない。けれど、痛いとは思いたくなかった。
こんなの、たいしたことはない。
これよりも、組員を助けるために抗争で身体を張ったときの父のほうが痛かっただろうし、団体のトップの業か、刺されたり撃たれたりの経験を持つ九重頭のほうが痛い思いをたくさんしている。
三十をすぎてもヤンチャな暴れん坊な兄だって、舎弟を守るために何度身体を張って怪我をしたか。
敵じゃない。好きな人に与えられる痛み。
こんな幸せな痛みはない。
「泰雅……さん……」
「どうした? 我慢できないか?」
「もっと……入って……」
真理亜はしっかりと泰雅を見つめ、両手を自分の内腿にあてる。入口を開くように自分で押さえた。
「思いきり……挿れていいから……」
「無理をするな。マリアの身体は飲み込みがいいから、少しずつ慣らせば……」
「泰雅さんに……、思いきり抱いてほしいの……」
「マリア……」
「泰雅さんになら、なにをされてもいい……」
泰雅が眉を上げる。真理亜がここまで言うとは思わなかったのかもしれない。
または、彼が思うマリアは、こんなことは言わないのかもしれないけれど……。 -
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