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試し読み
ぴったりと肉の裂け目に押し当てられた雄は、それでもまだ内部へは愛撫を施さない。
膨れ上がった花芯の先端から、蜜が糸を引くように滴り落ちた。
「やめ、やめて……っ、あん、や」
「……少し目を離した隙に……王宮中の男を誑かすつもりか? 俺だけでは満足できないとでもいうのか」
レオンハルトが喉の奥から獣のような声を紡ぐが、シグリットにそれが届いていたかどうかはさだかではない。
無言のまま部屋に連れ戻され、寝台に向かう時間さえ惜しかったのか、扉を入ってすぐのところで縋るものはレオンハルト以外何もない。
たくましい肩にしがみつくようにして、シグリットは膝から崩れ落ちそうになる自分を懸命に支えていた。
下肢は乱れに乱れ、胸も、柔らかな二の腕も、うなじも、耳たぶも。
どこもかしこも、噛みつくような激しい口づけを送られる。
くちゅくちゅと耳を塞ぎたくなるような音が延々と続き、レオンハルトの動きに合わせて、シグリットの豊かな胸もふるふると揺れた。
「もうや、やめ、いや……!」
快感に惑溺して、シグリットの口調が舌足らずに甘く蕩ける。
「レオン、お願い…………!」
「この程度で音を上げていては最後まで保たんぞ。今日ばかりは俺も手加減するつもりはない。もっとも、加減する必要はなかったようだがな」
レオンハルトがシグリットの溢れる蜜を指先にすくい取り、あろうことかこれみよがしに舌先で嘗め取る。
「や…………!」
シグリットの視界が、かっと羞恥に赤く染まった。
そんなものは口にするものではないし、それを平然と行えるレオンハルトの神経がわからない。
第一レオンハルトが何故こうも怒っているのか、シグリットにはまったく理解できずにいた。
だって散策に出ることは昨日のうちに話して許可をもらっているし、警備の兵士を増やすことだって承諾した。
――そういえば、あの杏子の実はどうしたんだったかしら……?
あまりに鋭い快感に、全身が甘く重くびりびりと痺れる。
片膝を抱え上げられたまま浅い呼吸を繰り返してふとそんなことを考えていると、レオンハルトが獰猛に唸る気配がした。
「この期に及んで、まだ考えごとをする余裕があるようだな。それなら俺も遠慮なく楽しませて貰うぞ」
「え……?」
秘所をまさぐる指がもう一本増やされ、シグリットは衝撃に白い喉を仰け反らせて身悶えた。
「あ、や、やあっ!」
脳裏に火花が散る。快感のあまりに、可愛らしい爪先がきゅっと丸まる。
剥き出しにされた細い太腿の白さはレオンハルトの目に焼きつくほどで、乱れた胸の合わせ目から零れ落ちた眩しくまろやかな乳房が、男を誘う。
「楚々とした巫女姫が、すっかり男を覚えたようだな」
蜜口が男を誘うようにひくついている、とレオンハルトがその敏感さを嘲笑う。
熱く滾る欲望の先端を、わざと焦らすように蜜壺の入り口に押し当てて。
ひどい、とシグリットは目に涙を滲ませた。
シグリットの身体をこんなにも淫らにしたのは、レオンハルトなのに。
「だが、そんなところも好ましい」
レオンハルトが、シグリットに見せつけるように、己の欲望を片手でしごき上げる。
天を突くようにいきり立ったものは、シグリットの蜜をぬらぬらと纏いつかせて臨戦態勢に入っていた。
「こんな格好のまま……!? いや、いやっ!」
「逃げられるものなら逃げてみろ。今日という今日は俺をお前の身体に徹底的に教え込んでやる。二度と他の男に笑いかけたりできないように」
意図に気づいたシグリットが必死に身を捩って逃げようとするのを許さず、片膝を抱え上げたままの不自由な体勢で一気に突き入れた。
「きゃああああ……っ!」
白い肢体がびくびくと跳ねる。
真下からの強引な挿入は、シグリットには少々刺激が強すぎた。
桜色の爪先がぴんと伸び、不規則に痙攣して、乱暴に受け入れさせられた身体がふらりと傾ぐ。
しっかりと鍛え上げた腕で細腰を抱き寄せ、真下から突き上げるように更に奥へと進めていくと、珊瑚色の唇が震えて哀願する。
「んぅ、やめ……レオン……待っ、てぇ……」
せめて、埋め込まれたたくましいものに馴染んで落ち着くまで待ってほしかった。
このままでは、感じさせられすぎて気が触れてしまいそうだ。
「壊れ、ちゃう……!」
「まだだ。どんなに泣こうが、まだ許さん。お前は俺の前で他の男と親しく口をきいたのだぞ。たかが果実ひとつごときでだ。俺がどれほど贈り物をしてもにこりともしなかったくせに」
ようやくシグリットは、自分の行いの何がレオンハルトを怒らせたのかを理解した。
――警備兵にお礼を言ったこと……?
「でも、あれは……んんっ」
狂おしいほどの口づけに、言葉を遮られる。そのまま腰を縦横無尽に突き動かされて、悲鳴さえままならない。
「んぅ――……っ」
声どころか吐息さえもレオンハルトに奪われて自由にならない中で揺さぶられることは、ただでさえ過敏になっている肌が更に燃え上がってしまってつらい。
軍服のごつごつとした飾りボタンが触れた素肌が赤くなったが、それすらも荒々しい愛撫のひとつだ。
「違う、の、あれは……あれは、あ、あんぅっ」
「何が違う。言ってみろ」
レオンハルトは最初からシグリットの言い分など聞くつもりはないのだろう。
こんなふうに無理矢理にでも蕩かされてしまったら、シグリットがまともにものも言えなくなることなど、充分承知しているはずだ。
「あ、あ――……っ」
一際激しく穿たれ、胎内に熱い精を打ち込まれる。 -
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