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あらすじ
氷の貴公子が教えてくれる淫らな蜜月レッスン♥
兄の親友で公爵家嫡男のジョゼフィールドと結婚することになったサラ。花嫁修業のためにさっそく同居することになるが、いきなり寝室が一緒!? 「どこから触れてほしい?」閨のことなんて何も知らないサラに、日夜、快楽と官能を執拗に教え込むジョゼフィールド。兄のように慕ってきたけれど、次第に男性としてジョゼフィールドを意識しはじめて…!?
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キャラクター紹介
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サラ
アントンハイム伯爵家の令嬢。愛らしく活発な性格で、父と三人の兄から溺愛されている。 -
ジョゼフィールド
リーインスキー公爵家の嫡男で海軍士官。凛々しく涼やかな容貌から”氷の貴公子”と呼ばれる。
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試し読み
二の腕のやわらかな内側も、緩やかにたわむ背中の中央にも、綺麗(きれい)に浮かび上がる鎖骨にも。
太ももの内側にも、膝の裏にも、足の指の間にも。
ありとあらゆる場所をジョゼフィールドに濃厚に愛撫され、サラは荒い呼吸に喘(あえ)ぎながら、ぐったりと横たわっていることしかできなかった。
ジョゼフィールドの熱く滾(たぎ)るものを受け入れるためには、サラの心と身体はまだ幼すぎる。ジョゼフィールドはサラが何も考えられなくなるまで、激しく情熱的な愛撫を重ねた。
サラの金髪も白い肌も、汗にしとどに濡れる。
とろとろになるまで蕩(とろ)かされた身体はうつ伏せにされ、背後からジョゼフィールドが覆(おお)い被さる。腰をひょいと抱え上げられ、昂ぶりきった塊を下肢の付け根に押し当てられて、サラは思わず小さな声を上げた。
獣(けもの)のように四つん這いになったこの体勢は、とても恥ずかしい。
「あ…………!」
「サラ?怖いか?」
「ううん……平気……」
「この体勢のほうが、君が楽だと思うから」
サラの目の前に、ジョゼフィールドが腕をついている。鍛(きた)えられた腕は太くて、がっしりしていた。その腕に額を擦りつけて甘える。
「怖くは、ないわ……ジョゼがちゃんといるって、わかるから」
背後からすっぽりと包み込まれているのは、心地よい。心臓が壊れてしまいそうなくらいどきどきするのと同時に、不思議なくらい安心感がある。
──こんな体勢で、こんな状況なのに。
泣きたいくらい恥ずかしいのに、ちっともいやだと思わない。
ジョゼフィールドが何を求めているのかがはっきりとはわからないけれど、サラが与えてあげられるものならば、なんでもしてあげたい、と率直に思う。
でもまだ、それは彼に伝えたくない。当面の間は、サラだけの秘密にしておきたい。
「サラ。いい子だ」
生まれて初めて、その身体に異性を受け入れる。
「挿入(いれ)るよ」
全身から男くさい汗を滴(したた)らせたジョゼフィールドがそう言って、腰を進める。
「あ…………っ!」
毎晩ジョゼフィールドによって慣らされてきた身体が、熱い欲望を挿入され、逃げることなく受け入れていく。
サラの手足は甘く痺(しび)れてしまって、自分ではもう動かせない。どこもかしこもすべて、ジョゼフィールドの思いのままだった。
サラが怖がって逃げないようゆっくりと、慎重に、ジョゼフィールドが侵入してくる。
熱くて大きな欲望が恐ろしくて、サラは咄嗟(とっさ)にシーツを摑んだ。
熱い。
一体この交わりは、どこまで続くのだろう。サラの中はもうジョゼフィールドでいっぱいで、苦しいくらいだ。
「や、無理、もう来ないで……っ」
無意識のうちに逃げを打つサラを、ジョゼフィールドがたやすく引き戻す。
「もうちょっとの我慢だ」
サラを励ますようにジョゼフィールドが囁いたが、腰の繫がりは一層深くなっていく。
「もう、だめ……!」
「あと一息だ、サラ。一気に進めるから、ゆっくり息を吐(は)いて。そう……上手だ」
背後から首を捻じ曲げられ、強引に口づけられる。
サラがキスに気を取られたその隙に、ジョゼフィールドが一気に最奥まで己を突き入れた。
「んぅ……っ!」
サラの唇から、悲鳴とも嬌声ともつかない響きが零(こぼ)れた。
サラをきつく抱き竦(すく)めたまま、ジョゼフィールドが少しの間動きを止める。
「全部、入った。これで君は、俺のものだ」
ジョゼフィールドが、サラの目尻に浮かぶ涙をそっと拭(ぬぐ)い取る間、サラは必死に肩で息をしていた。
「や、いっぱいで苦しい……!」
「君が慣れるまで、しばらくじっとしていよう」
「……慣れたら、どうするの……?」
無垢(むく)な問いかけをすると、ジョゼフィールドが一瞬絶句した。
「知りたいか?」
「──う、ん」
「今すぐにでも教えてやりたいが……だが、あとでまた泣かれると困るな……」
泣かないから、とサラが呻くように囁く。ふ、と悩ましいため息をついたジョゼフィールドが、ゆっくりと腰を蠢(うごめ)かせた。
「え…………!?」
熱い欲望に蜜壷の中を擦られ、揺すり上げられる。
胎内から信じられないような悦楽がぞくぞくと広がり、サラは狼狽(うろた)えて叫んだ。
──剝(む)き出しの神経を、素手で刺激されているみたい……!
じんじんとした痺れが全身を犯し、頭がおかしくなってしまいそうだ。この感覚は危険だとサラの本能が告げている。
「待ってジョゼ、まだだめ!」
苦痛ならまだしも、快楽を我慢する方法なんて知らない。
ジョゼフィールドの身体の下でうつ伏せのまま、サラが取り乱す。
「あ、あ、やめてジョゼ、それ、や……っ」
最初は遠慮がちだった男の動作が、次第に荒々しく、情熱的に変化していく。ずるりと引いた腰を強く打ちつけられ、桜色の唇がとうとう悲鳴を上げた。
「やあ、ジョゼ、待って……!」
すっかり混乱したサラの様子に、ジョゼフィールドが動きを止めた。首を伸ばして、サラの顔を覗(のぞ)き込む。
「わかったか?俺がしたかったのは、こういうことだ」
サラは唇を半開きにしたままシーツに頰を押しつけ、緑柱石のような瞳もぼんやりと霞んでいた。
はあはあと、肩を喘(あえ)がせる。
あまりに大きすぎる快楽の前で、どうすることもできなかった。細いふくらはぎが、びくびくと不自然に痙攣する。
「……刺激が強すぎたかな」
ジョゼフィールドが苦笑して、白い背中に熱い舌を押し当てた。
「っ、きゃ……!」
ジョゼフィールドの行動のひとつひとつが、サラの肌を燃え上がらせる。蕩けさせられてしまったせいか、呂律(ろれつ)がうまく回らない。
乱れた呼吸を繰り返していたサラは、心配そうにジョゼフィールドを見上げた。
「……ジョ、ゼ…………」
ジョゼフィールドが、耳を寄せる。
「ん?なんだ?」
「私、ちゃんとできてる……?」
ジョゼフィールドが微笑すると、その振動さえもが甘く広がって、サラは眉間に皺(しわ)を寄せた。
「もうそろそろ、いいか?」
サラが返事をする前に、ジョゼフィールドが腰を引いて繫がりを解く。
「ん……っ」
急に引き抜かれる刺激に息を飲んでいる間に、サラはころんと仰向けにひっくり返されてしまった。
両足をはしたなく開かされる。さすがに彼が何をしようとしているのかがわかって、サラは真っ赤になって腰をよじった。
「あ、ん……待って、待って……!」
「それは無理だ。手を、俺の肩に乗せて。足も俺の腰に絡めるんだ」
耳に直接吹き込まれるジョゼフィールドの声は、サラをとろとろに蕩けさせる魔法のようだった。サラの心は恥ずかしがっているのに、怯えているのに、身体が勝手に従っていやらしい格好をさせられてしまう。
「こう……?」
唇を色悪(いろあく)に笑ませて、ジョゼフィールドがサラの細腰を摑み、遠慮なく打ち込んだ。大きく寝台が軋(きし)む。
「あああああっ!」
繫がり合った箇所は濡れて、触れ合うたびにぬぷぬぷと聞くに堪えない水音を立てた。
サラの頰が、かあっと火照(ほて)る。
この世でもっとも淫(みだ)らな音だろう、とさえ思う。
「や!その音、恥ずかしいの……」
ジョゼフィールドの白金の髪の先から、汗が滴り落ちる。それが目にしみるのか、ジョゼフィールドは、つと眉間に皺を寄せて目を眇(すが)めた。
「ひ……!やめてジョゼ、止まって……!」
「まだだ、サラ」
その間も、激しい律動は止まらない。ひっきりなしに、サラの体内にたくさんの火花が散った。小さな手が、助けを求めて青年の頭をかき抱く。
「そこ、だめ……それ、やだあ……!」
頭の天辺から爪先まで貫くような快感でいっぱいで、唇からとんでもない嬌声が溢れてしまいそうだった。サラは必死になってもがいた。
これ以上の快楽は危険だ。足を、無意識のうちにばたつかせる。
その足をジョゼフィールドが摑み、自分の腰へと強く引き戻した。
「…………逃げるな」
「もう、溶けちゃう。溶けちゃう、か、ら」
助けてちょうだい、とサラが涙を浮かべて懇願する。絹のシーツに、金髪が乱れ散る。
初々しい媚態(びたい)を目の当たりにして、サラの胎内にあるものが、一層いきり立った。
「や!熱、い────!」
寝台が、耳を塞ぎたくなるほど大きく軋む。
サラの白い肌が紅潮し、背中が反り返る。
「ジョゼ待って、お願いだから、ちょっとだけ待ってぇ……っ」
欲望に熱く滾る切っ先で最奥を容赦なく刺激されて、声が一際甘さを帯びる。華奢な手足がふるふると痙攣する。
絶頂が近いのだと悟り、ジョゼフィールドが手加減なしに突き上げた。
「あ……やああああーっ!」
力強く滾るものが、サラの一番奥で爆(は)ぜた。その衝撃に、サラは息が止まる。
「あーっ…………っ……っ、……!」
最奥に、熱いものを撃ち込まれる。
身体の一番奥深くに、ジョゼフィールドを受け入れた。
快感に研ぎ澄まされた鋭い感覚の中で、サラは、本当の夫婦の営みの意味を知った──ジョゼフィールドに、教えられた。
なんという幸福感だろう。
好きな人と抱き合う幸せは、これまでの人生で味わったことがないものだった。
──まるで、生まれ変わったみたい……。
「ぁ……!」
四肢から、急激に力が失われていく。甘い余韻にがくがくと震えるサラの肢体を、ジョゼフィールドが力いっぱい抱き竦めた。
荒く乱れた呼吸を整えながら、サラが汗に濡れたまま、小さく囁く。
「……ねえ、ジョゼ」
「うん?」
「お願いだから……私、ちゃんと待ってるから。だから、海に出ても……絶対に、帰ってきてね…………?」
甘い双眸(そうぼう)の懇願に答えるジョゼフィールドの声が、熱くかすれた。
「ああ。約束する」
まだ夜は明けない。
「え…………?」
サラが、びっくりしたように目を瞠(みは)る。ジョゼフィールドの分身はまだサラの中にいて、それがいきなりぐんと首をもたげたのだ。あからさまな変化に、サラは動揺して目を泳がせる。
ジョゼフィールドが、苦笑した。
「悪い。一度では終われそうにない」
「え!?そんな……だめ、ちょっと待って……!まだ、まだ待って……!」愛し合う時間は、たっぷり残されていた。
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