書籍紹介
憧れのクール系推し公爵が賛美溺愛してくるのですが解釈違いです
憧れのクール系推し公爵が賛美溺愛してくるのですが解釈違いです
ISBN:978-4-596-77818-5
ページ数:290
発売日:2024年8月2日
定価:740円+税
  • あらすじ

    あなたは私の女神そのものだ
    センスが良すぎる若き公爵×ドレス大好き令嬢

    美貌と卓越したセンスを持つ若き公爵ジルベルトを「推し」としていたレジナは、彼に突然プロポーズされ同居することに。実はジルベルトは密かにドレスのデザイナーをしていて、レジナの着こなしに興味を持っていたのだ。彼の仕事を手伝いながらも肌に触れられれば腰が砕けそうになり――。だがジルベルトを狙う王女がレジナを陥れようと……!?

  • キャラクター紹介
    • レジナ
      アリオスト伯爵令嬢。ドレスに手を加えるのが好き。「推し」はジルベルト。

    • ジルベルト
      若きダリアモンテ公爵。美貌と愛想のなさで知られる。実はドレスのデザイナー。

  • 試し読み

     レジナは来年の春に発売予定の試作品のドレスを纏っていた。
     背中のくるみ釦はさすがにひとりでは外せない。
    「ありがとうございます。ではお願いします」
     彼に何度も着替えを手伝ってもらううちに抵抗感はまったくなくなっていた。下着姿を見られたわけではないからかもしれない。
     ――ジル様って手先も器用で、手つきも優しい。
     釦をぷちぷちと手際よく外されていく。どことなく気持ちがそわそわして落ち着かないが、嫌な緊張感ではない。
    「全部外した。これで着替えられるだろう」
    「っ! はい、ありがとうございました」
     ドレスがずり落ちないように胸のあたりを押さえていたが、レジナが一歩足を踏み出した瞬間、誤ってドレスの裾を踏んづけた。
    「あっ!」
     前のめりになって躓きそうになる。
     すぐにジルベルトの腕がレジナを抱き留めた。
    「危ない、大丈夫か」
     隣から伸びた腕に抱きしめられる。レジナは無言で首を上下させた。
    「す、すみません。足がもつれてしまって……」
    「いや、私の方こそ気を付けるべきだった。中途半端に脱がせて移動させたら転ぶ可能性が高いというのに」
     はぁ、とレジナの耳あたりに吐息が吹きかけられた。
     ぞわぞわとした震えが背筋をかける。
     身体が脱力しそうになり、手で押さえていたドレスがストンと床に落ちた。
    「あ」
     小さな呟きはジルベルトにも聞こえただろう。床に落ちた布の音も。
     レジナの心臓がドキドキと忙しなくなっていく。
    「あ、あの、ジル様……えっ!」
     つま先が宙を蹴った。
     床に落ちたドレスをそのままに、ジルベルトはレジナを長椅子にまで運んでいく。
     長椅子に腰かけた彼の上に横向きに座らされて、レジナは顔を真っ赤にさせた。
    「急になにするんですかっ」
    「衝動というのは恐ろしい。先ほどまではなんとも思わなかったのに、今は私の女神を堪能したくてたまらない」
     真顔で告げられた台詞がうまく飲み込めない。
     ――私、今下着姿なんですが……!
     レジナは咄嗟に両手で胸を隠すが、ジルベルトに阻止された。ビスチェから零れた胸の谷間を上からはっきり覗き込まれた。
    「美しいあなたをこの目に焼き付けたい」
    「違います勘違いです! 美しいのはジル様ですっ」
     どうぞご自身の顔を堪能してくださいと言いたいところだが、生憎手鏡を持っていない。
    「レジナ、もっとあなたを見せてほしい。さあ、私に全部見せて?」
     ジルベルトが懇願する。
     吸い込まれそうなほど美しい紫水晶の瞳を直視すると、レジナは無条件に頷きそうになった。
    「ッ! で、でも……」
    「あなたが嫌がることはしない。怖がることも。私に触れられても嫌悪感がなければ、少しでいいから受け入れてほしい」
     そっと頬を撫でられた。
     胸がドキッと跳ねて、心音が速まる。
     ――嫌悪感は一切ないから拒絶できない……!
     触れられると心臓が苦しくなる。ドキドキする理由は異性に触れられることに慣れていないからではないはずだ。
     ――知らない人から触れられたいなんて思わないのに、ジル様なら許せてしまうのはなんでだろう。
     ジルベルトの親指でそっと唇をなぞられた。きっと彼の指にはレジナの口紅が移っているはずだ。
    「ん……」
     そっと指がレジナの口内に侵入する。まるで舐めてほしいとでもいうように。
     ――なんだかぞくぞくする……。
     こんなこと知らない。こんな風に触れられたことはない。
     本能的に口に入れられた親指に吸い付いた。舌先で舐めて、飴玉を転がすようにジルベルトの指にしゃぶりつく。
    「……可愛い。クセになりそうだ」
     ジルベルトの眦がほんのり赤い。とろりと蕩けるような目で見つめられて、レジナの体内に熱がこもる。
     ――どうしよう。身体が変……。
     胸が高鳴って仕方がない。お腹の奥がズクンと重い。
     唾液に塗れた指が引き抜かれた。ちゅぱ、と響いた音が卑猥に聞こえた。
    「指だけじゃ足りないって顔をしている」
     そう囁かれた直後、ジルベルトの顔が間近に迫り唇に柔らかなものが押し当てられた。
    「んぅ……」
     触れるだけの温もりでは足りない。もっと暴いてほしい。
     薄く開いたレジナの唇から彼の舌が侵入する。そのはじめての感触に肌が粟立ちそうになった。
    「はぁ……ンッ」
     どうやって呼吸をしたらいいかわからない。意識的に呼吸をするなど今まで考えたこともなかった。
    「レジナ、鼻で息して」
     口づけが止んだとき、そっと助言される。だがふたたび甘い責め苦に翻弄されて、息継ぎがうまくできそうにない。
    「あ……ふぅ、ん……」
     ぴちゃぴちゃと室内に響く唾液音もレジナの官能を高めていく。卑猥な水音を聞きたくなくて両手で耳を塞いでしまいたい。
     恥ずかしいのに嫌ではない。
     下着姿でジルベルトの膝に乗せられて彼と深い口づけを交わすなんて大胆すぎる。
    「レジナ……」
     唇の温もりが離れていく。
     名残惜し気にジルベルトの形のいい唇を視線で追うと、情欲を隠しもしない彼の目に絡まれた。
    「私とのキスは嫌?」
     頬にチュッと触れるだけのキスをされた。
     濃厚なキスも優しい触れ合いも嫌ではない。レジナは緩く首を左右に振る。
    「では、もう少し私に付き合って。私の体温に慣れてほしい」
    「あ……」
     胸の締め付けが解放された。
     ビスチェの紐が解かれて、プルンとレジナの豊かな胸が零れ落ちる。
    「なんて美しいんだ……触れたら穢してしまいそうな神聖さを感じる」
     じっと見つめられることに慣れていない。異性の前で胸を晒すなどはじめてだ。
    「あの、恥ずかしいので……」
     レジナにとってはただの脂肪の塊だ。身体を洗うときくらいにしか触らない。
    「恥ずかしがるあなたも可愛らしい。そんな姿を他の男の前で晒してはダメだ。いや、そんなことにはならないが」
     レジナの婚約者は自分だけだと呟いた。誰にも譲るつもりはないと。
     ――私だって、他の男性のことなんて考えられない……。
     ダリア城に来てからずっと、朝も夜もジルベルトのことしか考えていない。
     憧れの公爵は思っていたよりも身近な存在で、新しいことを教えてくれる師でもあり、互いを高め合える友人にもなれそうだ。
     恋心かどうかはわからなくても、レジナは最初からジルベルトに惹かれていた。彼に対する尊敬はなくならないし、もっと近い存在になりたいとも思っている。
     ――女神だと称えられるのは困るけれど、ジル様に拒絶感なんてないわ。
     見えない絆が少しずつ太く繋がっていく。
     言葉を交わすようになってまだひと月も経っていないのに、引力のように急速に彼に惹かれていた。
     もっとジルベルトを知りたいと思う気持ちはただの好奇心だけではないだろう。
     彼の手がレジナの胸に触れる。
     手の温もりが直に伝わり、やわやわと揉まれるだけでムズムズとした感覚がせり上がってきた。
    「私に触れられて気持ち悪くないか」
    「いいえ……」
     口から零れる吐息が熱っぽい。
     優しく触れられて気持ちいいと口走りそうになる。
     ――違う。もっとって強請りたくなる……。
     これはジルベルトの体温に慣れる行為だ。彼が嫌いか、拒絶はあるかを確かめるためでもある。
     僅かな反応も見落とさないようにと、ジルベルトが気遣ってくれているのが伝わってきた。だが触れられるだけの手つきが少しじれったい。
    「中途半端に脱がされるのは苦しい? 全部取ってしまおうか」
     床にビスチェが落とされた。
     上半身をすべてジルベルトに晒していると思うとどうしようもないほどドキドキして恥ずかしい。そして同じくらい体内に熱がこもる。
     ――寒いはずなのに熱いなんて、身体が変……。
     下腹の奥がキュウッと強く収縮する。ずくずくした疼きが止まらない。
    「あ……ん」
     ジルベルトがレジナの首筋に顔を埋めた。彼の唇が肌に触れるだけで、レジナの胸が大きく高鳴る。
    「ああ、あなたはどこもいい匂いがする」
    「ンン……ッ」
     指先で転がすように胸の蕾を弄られて、コリッ、と胸の頂を摘まれた。その瞬間びりびりとしたなにかがレジナの身体を駆ける。
    「あぁ……っ」
    「レジナの声も可愛いすぎてたまらない。なんでそんなに美しくて綺麗で可愛いのだろう」
     そんなことはない。一般的に見てもレジナは平均的だ。
     そう否定したいのに、彼の甘い声に囁かれるだけでレジナの腰が砕けそうになる。目の前の身体に縋らないと自分の身体を支えることもできない。
    「ジル、様……」
    「ん?」
    「お腹の奥が熱くて……私、なんか変です」
     胸を可愛がる手がそっとレジナの腹部を撫でた。
    「ンゥ……ッ」
     撫でられるだけで身体がビクッと反応する。
     こんな感覚は知らない。今まで陥ったことがない。
     レジナの目が自然と潤む。口から零れる吐息も熱を帯びていた。
    「もう少しだけ進んでみようか。大丈夫だ、レジナ。あなたはただ気持ちよくなってくれたらいい」
     そっとジルベルトの様子を窺う。夜会ではいつも冷静で感情の読めない眼差しをしていたが、今ははっきりと情欲の焔を宿していた。
     そんな目で見つめられるだけで、レジナの蜜が下着を濡らす。
     じっと見つめられることが恥ずかしくて逃げ出してしまいたいのに、この先に進んでみたいと思ってしまう。
     これはただの好奇心なのだろうか。未知なる扉を開いてみたいなど、今まで考えたこともなかったのに。
    「こんなに濡らしていたのか。すまない、気づかなかった」
    「あ……っ」
     ジルベルトの指先がレジナの下着にそっと触れた。
     割れ目を撫でるように数回往復し、薄い布越しにレジナの控えめな花芽を優しく刺激する。
    「ンン……ッ!」
     目の前のジルベルトに縋るように、レジナはギュッと彼に抱き着いた。胸の先端が硬い布地に当たり、少し動くだけでビリビリと新たな刺激を生む。
    「あぁ、ん……ぅ」
    「レジナ……そんな可愛い反応を見せられたら止まれない」
     ぐちゅん、と粘着質な水音が響いた。それが自分の下肢から聞こえた音だと思いたくなくて、レジナは顔を真っ赤にする。
    「だ、ダメです、ジル様……手が汚れちゃう」
    「ダメじゃない。これはレジナが気持ちよくなってくれた証拠だ。こんなにたくさん蜜を滴らせていたなんて……」

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