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あらすじ
一夜をともにした上司と今日から義兄妹!?
「かわいい『妹』と暮らしてなにが悪い?」一夜限りの関係を持ってしまった龍史さんが、今日からお義兄さま!? 思い出すのも恥ずかしいほどトロトロにされちゃったあの夜が忘れられないまま、兄妹のレベルを超えてべたべたに甘やかされる毎日。彼の熱っぽい視線に気持ちを持っていかれそう。けれど御曹司の彼を誘惑していると周囲に勘違いされ!?(ヴァニラ文庫ミエル)
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試し読み
「は……ぁ、あっ、くすぐった……ぁっ、ンッ……」
片方の肩をすくめて身動きするが、そうすると大きく開いているネックから肩が出そうになる。
意識して出ないようにしていたのに、スルッと布を下げられ片方の肩が丸出しになり、あっと思った瞬間そこを噛むように吸いつかれた。
「あっ……!」
「おまえ、好きな男はいないのか?」
「ぇ……す、好き……?」
いきなりの質問に戸惑う。答えられないでいると、肩の線をなぞる龍史の唇が首筋から上がってきた。
「あっ、やぁっ……」
「処女なんだろう? 最初に受け入れるのは好きな男がいい、とか、ないのか?」
「そんな人がいたら……課長とこんなこと、してません」
「それもそうだ」
耳のうしろに強く吸いつかれ、喉の奥でか細い声が糸を引く。上半身を起こし、龍史が上衣を脱ぎ捨てた。
こんな間近で男性の裸を目にするのは照れる。視線だけを横にそらし、胡桃は言葉を続けた。
「男の人に……こんなに気持ちが動いたのは初めてなんです……。胸があったかくなって、包みこんでもらえそうな安心感っていうか、……頼もしくてすごく安心した……。つらい現状をわかってもらえたから、感動してそれに流されているだけだって思うなら、それでもいいです……。わたしは、そんな気持ちにさせてくれた課長ならって思えたし、……これから先、……男の人にそんな気持ちは持てないかもしれないし。……安心感、っていうか……こんな気持ちになったの、初めて……」
「おまえ……男が……」
龍史はなにかに気づいたようだったが、口をつぐみ刹那考えこむ。両腕を胡桃の顔の横につき、彼女の髪を掻き上げるように頭を撫でて顔を近づけた。
「それなら……俺を好きになれ」
「え……」
「今だけでいい。俺のことを好きになれ。そうすれば、おまえのハジメテは好きな人だった、ってことになるだろう?」
「課長……」
こんなところまで考えてくれるなんて。なんて懐の深い人なんだろう。
鬼の鬼塚どころか、仏の鬼塚ではないか。鬼の……なんて誰が言いだしたのだろう。
「ほら、『好きです』って言ってみろ」
「い、言うんですか……」
「口でちゃんと言え。そうしたらソノ気になってくるから」
「ぁ……え、あの……す、すき……」
戸惑いが先に立って言葉が詰まってしまう。こんな言葉、男性に向かって言ったことがない。
普段なら言えないだろう。けれど、今、この人になら言ってもいいと思えた。
「……好きです……。課長」
「もう一度」
「好きです」
「それと『抱いてください』は?」
「だ……抱いてください……。課長が好きです」
言葉というものは、怖い。
口に出しているうちに、本当にそんな気持ちになってくる。
よく、ムードに流されて身体の関係を持ってしまったという話を見聞きする。第三者の立場からすれば、そんなの流されてもいいことじゃないと思いがちだが……。
「課長……好き」
違うのだ……。
「俺も、こんなにかわいいと思った女は初めてだ」
そこには、当人同士にしかわからない空気がある。
「——離れられなくしてやる」
龍史の唇が重なってくる。先程もキスはしていたのに、それとはまったく違う、ねっとりとした溶け合うような唇の重ねかただった。
「ゥ……ンッ」
吐息が甘えた音をたてると、ルームウェアがまくり上げられていくのを感じる。腰で引っかかりそうだと思い心持ち動かすと、驚くほどスルリと身体から抜かれてしまった。
「義理堅いな。付属の下着も全部着けていたのか」
「着けますよ。そのままなんて……恥ずかしいから……」
「こんな色気のない下着を着けているほうが恥ずかしい。脱げっ」
「きゃっ……」
あっさりとチューブトップを取られ、それに戸惑っているうちにショーツも脱がされる。手際がいいというか素早いというか。胡桃に抵抗する隙を与えない。
「胸に着けていたやつ、きつかったんじゃないのか?」
「……少し」
大きな手が、両脇から胸のふくらみを寄せながら持ち上げる。それに驚いて動きが止まってしまった。
「好みの大きさだ。ずっとさわっていられそうだ」
「か……課長……ぁっ」
柔らかな胸のふくらみが、彼の五指に形を変えられていく。好みだというのは本当らしく、ぐにぐにと揉みしだくリズムが楽しそう。
胸に広がる熱がむず痒い。そこから流れていく電流が範囲を広げ、腰の奥がじれったさを感じはじめた。
「か……ちょぉ……あっ!」
胸の一点に強い刺激が走る。龍史が唇で片方の胸の頂を咥えこんだのだ。
「あっ……ンッ、ん、やっ……くすぐった……ぁ……」
先端を舌先ですりつぶされ、円を描いて周囲を舐め回される。じゅるっと吸い上げてはまた舌先ですりつぶし……。
休みなく何度も繰り返されるので、初めてそんな刺激を受け取る胡桃の身体は堪らない。
「あっ……アぁ……、やっ、吸っちゃ……あぁん……」
自分では予想もしていなかった声が出てしまう。身体をさわられて快感を得れば自然と反応した声が出るという知識くらいはあるが、「あんなもの演技演技」と笑っていた友だちもいたので、誇張表現かと考えたこともあるのだ。
それなのに……。
「やぁ……ダメ……、あっあ、胸……」
胸の先端から発生する、この甘美な疼きはなんだろう。
ゾクゾクするのに体温が上がる。さわられているのは胸なのに、なぜか下半身がもどかしくて腰が左右に動いた。
「こっちも」
楽しそうに呟いた唇が、逆の胸に移動する。同じように舌先で先端をすりつぶし、周囲を舐め回して吸い上げた。
「ああっ……ジンジンする、からぁ……あンッ……」
吸われているほうの胸ではなく、先程まで咥えられていたほうまで疼きだす。掻きむしってしまいたいほどのむず痒さを感じ、胡桃は無意識のうちに胸を寄せる龍史の手をゆすっていた。
「わかったから焦れるな。こっちもしてほしいんだな?」
「あっ……!」
両胸の頂を中央に寄せ、龍史は両方いっぺんに舐め回す。赤い舌で左右に擦り、唾液で光る尖り勃った突起をちゅぱちゅぱと吸い上げた。
「んっ……ぁ、あっ……そんな、吸わな……あぁっ!」
察しがいいといおうかなんといおうか。おかげで二倍になった愉悦が容赦なく全身に回ってくる。胸をいじられているのに、ずくずくと挿しこむような刺激がお尻のほうに落ちてきた。
それがなんだか、とてもいやらしいことのように感じて、なのに身体はそれを求めて昂ぶっていく。
「そんなに……しちゃ……、あぁ、ダメェ……課長ぉ……」
「感じすぎて困るか?」
「ぁ……ハァ、あっ、ぁ……」
胸から唇は離されたものの、彼は両手の指のあいだに先端の突起を挟み、ぐにぐにとこすりたてる。感じすぎるのをなんとかしようと彼の腕を掴んでいるはずなのに、その役目はまったく果たされていない。
かえって、自分の乳房をもてあそぶ手の動きを直に感じてしまっているだけのようでもある。
「感度がいいな……。自分でわかっていたのか?」
「し……知らな……あぅンッ……」
こんな経験はないのだから、自分の感度など知りようがない。ただ小中高時代、友だちには「胡桃はくすぐったがり屋さんだなぁ」とは言われていた。
「知らなかったのか。もったいない」
「なんですかぁ、もったいないって……ぇ……あぁん……」
「知らなくて幸いだ。知っていたら、自分でさわって楽しむのが趣味になっていたかもしれない」
「さ、さわりませんよっ」
自慰行為にふける女だと思われたくなくてムキになってしまった。
片方の胸から手を離した龍史は、その手を下へ滑らせ、快感のせいでだらしなくゆるんだ内腿のあわいへ潜りこませる。
「あ……!」
「予想どおり」
ぐちゅり……と、あられもない音をたてて彼の指が秘裂を割る。もっとも守られなくてはならない場所のはずなのに、あまりにも簡単にさわられてしまったような気がして、胡桃はいまさらながら意識して両足を閉じた。
「こんなすごいことになっているんだから、閉じても無駄」
秘肉に埋められた指がなめらかに動く。どんなに足をきっちり閉じていようと、そんなのお構いなしだ。
それはひとえに、胡桃の秘部が龍史の愛撫に感じた証を、これでもかというくらいあふれさせていたことに原因がある。
「ぐちゃぐちゃだ……。さすがに自覚はあっただろう」
「ぅンっ……ぁ、少し……あぁっ」
足のあいだに熱がたまっているのはわかっていた。
おなかの奥がきゅうっとしぼられて、ポンッと潤いが弾ける感触も。
「ここから出てるの、わかるか?」
泥濘の一点で指先を動かされ、小さなくぼみを撫でられる感触に下肢が痙攣する。
くぼみを指の腹で押されると、お腹の奥に圧迫感が発生した。
「あぁ……ダメ……、こわい……」
反射的に出た言葉とともに身をすくめる。龍史の指が蕩けた媚肉を掻きむしってしまいそう。
「指の太さくらいで怖がられたら、俺は絶対入れないな」
「か、課長のは別ですっ。入りますっ」
答えてしまってからハッとする。すごく恥ずかしい主張をしてしまった。
言葉の内容をちゃんと把握しないまま、ただ困ったトーンで言われたので、この人を困らせちゃいけないという感情が先立って反射的に答えてしまったのだ。
「本当に、かわいいことを言う」
胸から手を離し上半身を起こした龍史が、胡桃の両足を広げ膝を立てさせる。いきなり秘部を大きくさらされ、胡桃は焦って両手を伸ばした。
「やっ……ダメっ、見ちゃ……」
「好きな人、でも駄目?」
「あ……」
その言葉に気持ちがゆるむ。両手を伸ばしたまま止まってしまった胡桃を見てクスリと微笑み、龍史は目前に据えられる秘められた部分に唇をつけた。
「な……なに……、あぁっ……!」
大きく足を開かれたとき以上の焦りが走る。止まっていた手が役目を得たとばかりに彼の頭を押し戻そうとしたが、秘部を大きく舐めあげられ、押すどころか髪を掴んで嬌声をあげてしまった。
そんな胡桃の反応を歯牙にもかけず、龍史は蜜のしたたる秘境で舌を泳がせる。胸の突起を嬲っていたときのように舌を回し、ちゅぷちゅぷと濫りがわしい音をたてた。
「フ……ぅン、やぁ、はぁ……ぁ」 -
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