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試し読み
「キスしているときの花菜の顔……スッゴクかわいいな」
「や……ンっ」
どうやら譲のほうは遠慮なく見ているらしい。花菜も見てやろうかと思うが、なかなかそれができない。
顔の角度を変えられるたび唇と舌が彼の唇で擦られる。口腔内に熱が溜まり、麻痺しているような感覚に襲われた。
「ん……ンンぅ、ぅ……」
切なげな音が喉から漏れ、全身がもどかしくて身悶えする。
身体に回されていた彼の両手がワンピースの背ファスナーを下げ、腕を抜くのと同時にソファの背に押しつけられた。
「あっ……神崎……社長……」
「社長、は、ナシ」
譲の唇が首筋に吸いついてくる。ブラジャーの上から両胸をぐにぐにと揉み回され、もしやこれはキスだけでは終わらないパターンなのかと、いまさらながらに悟った。
「あ……あの、ここで?」
「駄目か? 初めてではないだろう?」
(確かに……ハジメテではないですが……って、わかってるでしょうっ!)
「ベッドまで行くのが我慢できないって、よくソファで愛し合うだろう? 大きいソファでよかったって、恥ずかしそうに言う花菜がかわいくて」
(してません! そんなこと言ってませんんんんっ!!)
こっちが覚えていないと思って、ずいぶんと自分に都合のいいことばかりを言ってくれる。
胸を揉みながら、親指と人差し指が頂を挟んで悪戯をする。明らかのその部分が硬くなりはじめているのを感じて、全身が譲に抱かれた夜の感触を思いだした。
「あっ……ぁンッ……」
体中に感じた、彼の手や唇の感触。それがよみがえるとゾクゾクと身震いが起き、自然と声が出た。
さわられてもいないのに感じるなんて、なんていやらしいんだろう……。
「一日おあずけで我慢できなかったのか? ずいぶんと感じやすくなって……」
「あっ、やっぁ……」
頂をきゅうっとつままれ、片方を大きく口に含まれる。ブラジャーの上から歯で掻かれただけで腰まで痺れて、お尻を座面に擦りつけながら上半身をうねらせた。
「やっ、ぁぁ……社、ちょ……」
「ここ、こんなに硬くするくらい感じているのに、まだ社長って呼ぶんだ? どうして? いつもは譲って呼んでくれるだろう? 甘えた声で」
(呼んでません! 冗談でも呼んだことはありませんっ!)
心で叫ぶものの、もちろん声にも態度にもそんな否定は出てこない。
「名前で呼んで? 花菜。そうしたら、いつもみたいに花菜の好きなこと、たくさんしてやる」
譲には先日、一度抱かれただけ。いつも、なんて、嘘つきだとは思いつつも、まるで業務命令のように花菜はそれに逆らえない。
「……さん……、ゆ、譲、さん……」
おずおずと口にすると、譲の瞳が妖しく光を放ったような気がする。
「譲さん……」
もう一度呼べば、表情まで変わってくる。雄の本能を感じさせる眼差しを向け、譲はネクタイを乱暴にゆるめ首から引き抜いた。
「いいな……、ぐっちゃぐちゃにしたいほどかわいいよ、花菜」
ぞくぞくぞくっと身体が震えるのに体温が上がる。腰の奥がずくりっと重たくなって、熱いものが広がった。
「あ……」
慌てて両脚を閉める。下半身の熱に戸惑いはあったが、またもやブラジャーの上から頂を咥えられ、意識はそちらへかたむいた。
「ひぁ……ぁ、ぅ……ン」
布越しに舌を強く押しつけられ、吸ったりゆるめたりを繰り返される。かなり強く吸引されているように思うが、肌に直接触れているわけではないせいか吸いつかれる痛みはなく、もどかしさだけが伝わってくる。
そのうちに唾液のせいで湿った感触が頂の周辺に広がり、歯で掻かれると先程より刺激が強く伝わった。
「あっ、ふ、ダメ……ァン」
ずっと座面を強く押すことしかできなかった手を、譲の頭に添えて軽く押し戻そうとする。頂をキュッと噛まれ、少し逃げるように胸を引くとやっと唇を離してくれた。
「ブラの上からでもわかるくらい硬くなってるのに。ダメ?」
わずかに眉を下げて切なそうにするのが、またズルイ。こんな顔をされたら、注意をした自分が悪いような気がしてくる。
「だ……ダメです……」
しかしここは花菜もゆずれないのだ。
「こんな……かわいくて高そうなブラ……、そんなことして生地が傷んだらどうするんですか……、もったいないっ」
ストラップにまで施された刺繍がとても可憐で、それでいて白いカップに咲き誇る百合の刺繍がエレガントな雰囲気を醸し出す。
知らない人はいないランジェリーブランドのタグは、ブラジャーだけで万札が数枚飛んでいくものだ。
もちろん花菜は自分で買ったことなどないし、……値段を思うと買おうと思ったこともない。
しかし、問題なのは価格ではないのだ。
「……せっかく、……譲さんが、選んでくれたものなのに……」
最大の理由は、これである。
譲が、花菜に似合うと思ったものを選んできたと言った袋の中に入っていたものだ。できればワンピースも脱ぎたくないし、ブラジャーも外したくない。いっそのこと洋服たちを抱きしめて眠りたい。
「……ったく、花菜は……」
片手でひたいを押さえ、譲が困った声を出す。もったいないと言ったので呆れられてしまったのかと思ったが、彼はブラジャーのホックを外し勢いよく腕から抜いて放り投げてしまった。
「こんなものいくらでも買ってやるから、いや、俺が選んでやるからっ。そういうことを言うなっ」
「ひぇっ……ご、ごめんなさいっ」
「俺に買ってもらったからもったいない、とか、かわいすぎるだろうっ。俺を悶え殺す気かっ」
「すっ、すみませんっ!」
彼のテンションの高さに驚き、花菜は謝ることしかできない。
その勢いでウエストコートもワイシャツも脱ぎ捨てさっさと半裸になった彼は、続いて花菜をソファに押し倒しながら、彼女の腰で溜まっていたワンピースを身体から引き抜いてしまった。
「あっ……譲さ……」
「俺が選んだものだから脱がせちゃ駄目、とか言われる前に全部脱がせる」
「えっ、あのっ!」
抵抗する間もなにもなくストッキングとショーツを一緒に脱がされる。夕方ではあるが部屋は照明の灯りが満ちている状態だ。
先日も全裸を見られているが、薄暗いところで見られるのと明るいところで見られてしまうのとではだいぶ違う。
そっと腕で胸を隠そうとすると、厳しい声が飛んだ。
「隠すな」
ビクリとして手が止まる。代わりに花菜の胸を覆ったのは、譲の大きな手だった。
「花菜の全部を見ていいのは、俺だけだろう?」
「それは……」
やわやわと揉みこむ手は、ふくらみの弾力を楽しんでいるようにも思える。下から持ち上げるように掴むと、頂が強調されて上を向いた。
布越しに刺激を与えられていたせいで、先端の突起はよりその存在を主張している。そこをチロチロと舌で探る譲の動きは、どこか焦らしているように意地悪で、蛇の舌のようだとも思った。
「や……ぁ、あんっ」
「こうやって触れていいのも俺だけだ。前から決まっている」
「そ、そんな、の……あっ……ンッ、いつ、決まって……ぁぁ」
「一年前」
「そんな……あぁん……」
譲に初めて抱かれたとき、もしくは会社を辞めた三ヶ月前、くらいならともかく、一年前では花菜がまだ譲の部下だったころだ。
それとも譲は、一年も前から特別な目で花菜を見ていたとでも言うのだろうか。
(まさか、そんなこと)
もしそうだったら……などと期待を高鳴らせるが、花菜の意識はすぐに譲に持っていかれる。
くすぐるような刺激で焦らされていた突起が、彼の唇で交互に擦り上げられ、恥ずかしいくらい尖り勃ってしまった。
「興奮して、すごいことになってる」
「ンッ、ん、やっ……、はずかし……ぁっ」
「恥ずかしいこと、花菜にしていいのも俺だけだって、決まっている」
「また……あぁんっ!」
都合のいい言葉を紡ぎながら、両乳首をくにくにと指先で揉み、譲の唇が下がっていく。
「もっと、恥ずかしいことするか?」
「あっ……!」
キッチリと閉じていた両脚を開かれ、譲がそのあいだに顔を埋める。ソファの上で置き場に困っていた両脚が彼の肩にかかり安定した。
秘溝に舌を擦りつけながら、譲が身体を起こしていく。脚を預けているせいで花菜の腰も上がっていく。
「あぁ、や……ァン、ん……」
譲が膝を折ってソファに座ると彼の膝に腰がのり、真上を向いた秘部を大きく咥えこまれる。放埓な舌の動きが蜜床を荒らし、あふれかえっていた蜜泉をしぶかせた。
「あっぁ、あぁ! やぁ……そんな、に……舐めちゃ……あっぁ!」
動物が水を飲むときのような、それ以上に激しい水音がたつ。弾き飛ばされる潤いは内股まで濡らし、お尻にまで垂れてきたのがわかった。
「あっ、や、……垂れて……」
垂れるだけならまだしも、それは間違いなく彼の肌を濡らし、おそらくトラウザーズにも飛び散っているだろう。
濡れていましたといわんばかりに蜜を散らされ、内腿に広がったそれをじっとりと舐め上げられた。
「んっ……ふぅ……ンッ、ぁあ……!」
内腿を舐められる感触にうっとりする間もなく、蜜孔に軽い圧迫感が訪れる。
「花菜の汁がビチビチに詰まっていて……少し出さないと俺が入れない」
「あぁ……あっ、やっ……ダメェ」
譲の指がぷちゅぷちゅ音をたてながらめり込んでくる。
詰まっているというだけあって、本当に中にあるものを弾き出しながら入ってきているような気がした。
ただ挿しこまれているのならともかく、指先を細かく動かしながら進んでくる。媚壁を掻かれ、くすぐられて、そのおかげでのたうつ腰の動きが止められない。
「ぁふぅ……ンッ、やっ、や……あぁ……」
「指なんだからそんなに締めるな。指が羨ましくなる」
「やっ……知らな……あぁっ!」
「堪らないな……」
ちょっと上ずった声が聞こえたかと思うと、指の動きが速くなる。上下左右の膣壁を擦りながら、どんどん官能の摩擦熱を上げていった。
「あああ……ゆずる……さん、あぁっあ……!」
「気持ちいいか? 指一本くらいで……悔しいな」
「悔し……って、あぁっ! なんですか、それぇ……あァンっ!」
「どうせなら、俺の太さくらいだけで感じるようになればいいのに」 -
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