書籍紹介
冷徹王太子は初恋の聖女を花嫁に迎えたくてたまらない~“形だけの結婚”と聞いてましたが!?~
冷徹王太子は初恋の聖女を花嫁に迎えたくてたまらない~“形だけの結婚”と聞いてましたが!?~
ISBN:978-4-596-53923-6
ページ数:290
発売日:2024年3月18日
定価:740円+税
  • あらすじ

    絶対に君を離さない
    冷徹な彼から予想外に熱く愛されてます!

    聖女であることを隠してきた令嬢のサヤ。聖女の証である花の痣を王太子ノーベルトに見られバレてしまう。聖女は王族と契りを交わす“開花の儀式”を行い、結婚しなければならなくて…。「最大限に優しくするから」と囁かれ熱く肌を重ね合う。“形だけの結婚”と聞いていたのに、冷徹なはずの彼から甘くキスされ強く抱きしめられて彼への想いが募り…?

  • キャラクター紹介
    • サヤ
      ウブな伯爵令嬢。十五歳の時、聖女に現れるとされる花の痣が胸元に浮き出る。

    • ノーベルト
      アイリス国の王太子。美形で有能、腕も立つが表情に変化がなく冷徹な印象。

  • 試し読み

    「あ、あの、儀式って何ですか?」
     えっ、と言ってお顔を見るとノーベルト様はぽかんとしている。私は言葉を続け謝った。
    「儀式? というものがあるんですか? すみません、何もわからなくて」
    「ああ、すまない! 俺が一人勝手に気が急いていたんだ。スタイン嬢が神官から正式に儀式の内容を聞くのは明日だった……」
    「でも、明日のことなんですよね? 差し支えなければ、今教えていただけないでしょうか?」
     何だか気になる。教えてもらえるなら、今知りたい。
     元々、好奇心旺盛なのもあって、まっすぐにノーベルト様を見つめて返事を待つ。
     しかし、なかなか返事がもらえない。
     あー……だの、うーんだの、ノーベルト様は顔を赤く染めて呻く。一国の王太子様を茹でダコみたいにしてしまう儀式とは、一体なんなのだろう。
     ついに意を決したノーベルト様が、口を開いた。
    「……『開花の儀式』と呼ばれている」
    「開花、ですか」
    「ああ。儀式では、この神殿の地下で……」
    「神殿に地下があるなんて知らなかったです。すごい、明日見られるんですか!?」
     ここで生活を始めてから、地下があるなんてまったく気づかなかった。
     どんな場所なのか、ワクワクしてしまう。
    「……そこで……俺とスタイン嬢が……するんだ」
     赤くなっても格好いいお顔で、ノーベルト様は喉から言葉を絞り出した。
     する、って。何をするのか。
     次の言葉を待つ私に、ノーベルト様はさらに赤くなり汗までかき始めた。
     尋常ではない様子に、これはただごとではないと察知する。
     まさか、まさか……!
    「こ、殺し合い?」
     ノーベルト様は突然がくりと床に膝をつき、ご自分の顔を手で覆い隠し、やっと小さく声を上げた。
    「……違う……セックスするんだっ」
     耳まで赤く染める姿を、私は呆然と見下ろす。
     ──せ、セックス?
    「えっ! 私と、その、ノーベルト様がですかっ……?」
     慌てて私も、ノーベルト様と視線を合わせるためにしゃがみ込んだ。
     端正なお顔が、これ以上ないくらいに真っ赤になっていた。顔を覆っていた手を外してくれたけれど、視線は私から外したまま頷く。
     ……びっっっくりして、思考が停止してしまった。そうして、疑問が思考を通さずただ口からポンと飛び出た。
    「どうして……!?」
     ふたりの間に、しばしの沈黙が流れる。
     ノーベルト様は、気持ちを切り替えるためか咳払いをした。
    「……地下に、秘密の泉が湧いているんだ。そこで互いに身を清め合い、セ、セックスすると聖女に加護の力が与えられると昔から伝えられている」
     そんな大事なこと、私はまったく知らなかった。
     もし私が本物の聖女だったら、ノーベルト様と夫婦になるのだから、そういったこともそのうちにあるのかもしれないとは思っていた。
     だけど、こんなに急だなんて……。まだ心の準備も、少しふっくらしてしまったお腹のお肉を減らす運動もできていない。
     なのに、嬉しい気持ちもじわじわと湧いてきている。
     全身が燃えるように、恥ずかしくて赤く熱くなってきてしまった。
     頬が火照ったまま声が出ない私に、ノーベルト様は説明を続けてくれた。
    「聖女の伴侶が王族と決まっているのは、王族でしか聖女の力を開花させられないからなんだ。アイリス様が国を創られた時に、最初に見つけた人間が、今の王族の祖先だからだと聞いている」
    「ひゃい……」
     頭は羞恥で混乱し始めていて、変な返事をしてしまった。頭がくらくらして、目も回りそうだ。
     私の顔は今、赤いのを通り越して紫色になっているかもしれない。何しろ展開が急すぎるのだ。
    「サヤ、だっ、大丈夫か?」
    「……き、緊張してきてしまいました。ノーベルト様に自分の肌を晒す……のがとても恥ずかしくて……ああっ、失礼のないよう明日までに湯浴みを十回はいたします」
     とても大切な儀式だろうから、私の心の準備ができるまで待って欲しい、なんて願い出ても延期は無理な話だろう。なら、今からできる限りの準備をして、挑むしかない。
     とりあえず、湯浴みだ!
    「なら、俺も十回、湯浴みをしてこよう」
    「そんなっ、ノーベルト様はそのままで十分清潔で格好いいですから、いいんです!」
     ノーベルト様は笑って、「スタイン嬢だってそのままでいい」と私を抱き寄せた。
    「明日は誠心誠意を込めて優しく尽くす。不安だろうけど、頑張るから身を任せて欲しい」
     真剣なノーベルト様の声や眼差しに、私はドキドキと胸を鳴らし、ただ強く頷くことしかできなかった。

     一睡もできないまま夜を明かすと、朝の早い時間に神官様がやってきて正式な聖女に認められたと知らされた。
     そして今夜、開花の儀式があると教えられた。
     事前にノーベルト様が教えてくれていたから、多少は気恥ずかしかったが落ち着いて話を聞くことができた。
     夜がふけると、神官様が部屋に迎えに来てくれた。そして隠された階段を下り、地下へと向かう。
     階段を下り切った先には、何本もの白く太い大理石の柱に支えられた、薄暗い地下神殿が広がっていた。微かに水が流れ落ちる音が、この神秘的な空間に響いている。
     果てしなく長い時間、限られた人たちの中でだけ秘密が共有され、上の神殿とは違う閉じられた雰囲気に息を呑んだ。
    「わしの案内はここまで。この先にノーベルト様が待っているから」
     神官様とはそこで別れ、辺りを見回しながら歩いていくとノーベルト様が待っていた。
     ほのかに青く光る、まるで円形のプールに似た神秘的な泉が見える。
    「この泉で身を清め合うんだ。もう人払いをしてここには誰もいないから、俺とスタイン嬢のふたりきり……いや、サヤと呼んでもいい?」
     ノーベルト様が差し出した手を掴む。
    「サヤと、呼んでください」
    「ああ、サヤ。来てくれてありがとう」
     大きな手のひらが頬に触れ、そのままそうっと静かに唇が落とされた。
     生まれて初めての口付けは想像以上に柔らかな感触で、夢中になってしまう。
    「……っ、はぁ」
    「サヤの唇はまるで甘い果実のようで、止められなくなってしまう」
     器用なノーベルト様の手は、私のドレスの紐をするすると解いてホックを外し、脱がせていく。
     薄暗い中、ランプの明かりだけが光源となっている。
     時折目を開くと見える、ノーベルト様の男らしい表情にドキドキしてしまう。
     胸元がちりちりと痛み、痣が浮き出てきた。いつもより、ずっと熱く感じる。それに何だか、花の香りがずいぶん甘く匂う。そのうちに頭がぼうっとして、羞恥心が次第に薄れていく。
     変な感じだ。それに、何だか気分が……昂っていく。
     ノーベルト様は高い鼻を私の胸元の痣に付け、すうっと嗅いだ。
     それがくすぐったくて、身を捩る。
    「……これは、泉がそばにあるせいかな。花の香りに催淫の作用でもあるみたいだ」
    「催淫……?」
    「性欲が高まる作用だ。サヤは俺に触れられて、嫌な感じはしないか?」
     そう耳元で囁かれ、甘い痺れが背中に走る。
    「やぁ……っ」
    「感じやすくなってるのか、元々がそうなのかな?」
     ちゅうっと耳たぶをしゃぶられて、堪らずノーベルト様の頭をかき抱いてしまった。
     そこから口付けされ、胸がいっぱいになって泣きだしそうになってしまった。
     たどたどしい口付けが、だんだんと深いものに変わっていく。
     生温かいノーベルト様の舌で口の中を舐められて、息継ぎをするたびに甘い声が漏れてしまう。
    「んんっ……ふあ、……あんっ」
    「可愛いサヤ、このままじゃ身を清め合う前にここで君を抱いてしまいそうだ」
     ノーベルト様はそう言いながら、私の下着をすべて脱がせ、自分もぱぱっと裸になると私を抱きかかえて泉に足を入れた。
     心臓が痛いくらいドキドキと高鳴る。触れ合った素肌が、燃えるように熱い。
     泉と聞いて冷たさを覚悟していたけれど、それは杞憂だった。泉なのに水は人肌の温度で、寒さなどは感じない。
     深さは二十センチ程度で、溺れる心配もなかった。
    「何だか、子供の頃に庭に用意してもらったプールみたいです」
    「確かにそうだな。それにちゃんと身体を拭くものは用意してあったぞ」
    「良かったです、ずぶ濡れで戻らないといけないかと思いました」
     会話をしている間も、裸で触れ合う肌が蕩けるように熱くなっていく。水に濡れたノーベルト様の身体はとても逞しくて、目が離せなくなってしまう。
     対面になるようノーベルト様の膝の上に跨るように座らされて、私は気恥ずかしくなってしまった。
    「最大限に優しくするから……」
     痣をなぞるように、ノーベルト様の舌が素肌に這う。私はたまらなくなって、ノーベルト様の肩に手を置き声を漏らす。
    「……ふっ、んんっ」
     私の腰を支えていた両手が、脇腹へとせり上ってきた。びくっと反応してしまうと、乳房が揺れる。
     大きな手にゆっくりと掬い上げるように触れられた乳房は、その手のひらの中で柔らかく形を変えていく。
     普段は何も感じないのに、ノーベルト様に触れられると、どこもかしこも甘く痺れるようになってしまう。
    「あんっ、ぁあっ……ッ!」
    「ふわふわで、だけどここは硬くなってる……」
     乳房の先、乳首を指できゅうっと軽くつままれた。
     びりびりっと体中に快楽が走り、お腹の奥が切なくなる。
    「ノーベルト様、私の身体、変です……どこに触れられても、気持ち良くて、おかしくなりそう」
     乳房を揉まれ、先端を口に含まれる。吸われたまま甘噛みまでされて、きゃうっと悲鳴じみた声が出てしまった。
    「それ、きもちいいですっ、あんっ!」
     普段は冷静沈着に振る舞うノーベルト様が、夢中になって私の乳房に吸いついている。
     その淫らな光景は、私をどんどん興奮させていく。
     バチャバチャッと泉の水面が激しく揺れるほど、私たちはお互いの身体をまさぐる。
     お尻に熱いものが当たるたびに、ドキッとしてしまう。
    「サヤ、その縁に上半身を預けて、腰を上げられるかな」
     手を貸されあっという間に変えられた体勢は、四つん這いに似たものだった。
     両手を泉の縁に付き、お尻をノーベルト様に突き出した姿勢はとても恥ずかしくて、すぐにやめようとした瞬間だった。
     大きくお尻が割り開かれ、熱い何かが陰部をべろりと這った。
    「あっあっあっ、やぁ……ッ、あっ!?」

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