書籍紹介
腹黒皇帝の意地っ張り花嫁溺愛計画
腹黒皇帝の意地っ張り花嫁溺愛計画
ISBN:978-4-596-41688-9
ページ:290
発売日:2021年6月17日
定価:本体640円+税
  • あらすじ

    建前上の婚約のはずが、待っていたのは危険なまでの甘い誘惑!?

    フィアンセから一方的に婚約破棄され皇女の侍女として宮廷で働き始めたイルゼ。勤務中に偶然、皇帝ヴィルフリートの秘密を知ってしまい口封じのため気づけば彼の婚約者に!?「どうしてほしい? 口づけがいいか?」利害による関係のはずなのに、イルゼをしきりに甘やかし溺愛してくるヴィルフリート。とまどいつつ彼に惹かれていくイルゼは――!?

  • キャラクター紹介
    • イルゼ
      フォラント伯爵家の令嬢。婚約破棄され悪評を流される。

    • ヴィルフリート
      トドルバッハ帝国皇帝。イルゼには腹黒な部分を見せる。

  • 試し読み

    「あぁ、なるほど……。君の言いたいことがなんとなくわかった」
    条件だけで望まれても、イルゼはきっと愛されない。
    愛されないまま、職務だけを淡々とこなす強さが、イルゼにはなかった。彼に優しくされるたびにそれを実感するのだ。
    むしろ職務だけが目的ならば、妃となる女性の補佐役でもいいはずだ。
    「秘密を知った私を、目の届く場所に留めておきたいというお気持ちはわかります。ですが、妃の選定はそれよりももっと重要な――んっ!」
    最後まで言えなかったのは、ヴィルフリートがイルゼの唇を塞いだからだ。彼の唇は温かくて柔らかい。わずかに漏れる吐息を感じると、イルゼの心臓が早鐘を打ちはじめる。 
    触れられていないはずの耳が最初に熱くなり、熱が身体全体に広がっていく。
    何度か角度が変えられて、ついばむような口づけがされたあと、ヴィルフリートはイルゼの口内に舌を入れてきた。
    侵されているのは、口の中だけではないような気がした。頭の中もヴィルフリートでいっぱいになりそうで恐ろしい。
    イルゼは、たくましい胸を強く押して、不埒な行為から逃れようと足掻いた。けれど、抵抗すればするほど、ヴィルフリートが強い力で抱き寄せて、イルゼから自由を奪った。
    皇帝であるヴィルフリートの舌を噛んだら罪に問われるだろうか。
    もっと口を開かなければいけないのだろうか。それとも、そんなことをしたらはしたないと笑われるだろうか。
    はじめてのことに戸惑いながら、イルゼは深い口づけを受け入れていった。
    「……ん、……んん。……ふぁっ」
    ヴィルフリートがイルゼの内股に脚を擦りつけてくる。
    こんな行為は許されないと思っているのに、彼の太ももが脚の付け根にあたると、なにかがこみ上げてきて抗う気力が失せてしまう。幾重にも重なっているドレスの布地が煩わしいとすら思えた。それを取り払えば、もっと気持ちよくなれるのだとイルゼは本能で察していた。
    身体も思考もふわふわとして、やがてカクンと腰が抜けた。けれど、イルゼが床に転がることはなかった。ヴィルフリートが支え、そのままソファまで連れていき、イルゼを押し倒したからだ。
    「ヴィルフリート、さま?」
    「妃には確かにもう一つ、重要な役割がある。……君はそれができないと思っているのか?」
    「……はい」
    可愛げがないイルゼには、きっとできない。当然のことだというのに、ヴィルフリートはまだ解放してくれなかった。
    「なら、確かめてみればいい」
    窮屈なソファに寝転ぶイルゼにヴィルフリートが覆い被さってくる。ドレスの裾を踏まれてしまっては逃れられない。
    「意志の強そうな瞳だ。……だが、今は少し怯えているな。君のそんな顔を知っている者は、いったいこの国にどれだけいるんだろうか?」
    おそらく、家族以外では彼だけだった。イルゼは意地っ張りで、他者に弱みを見せるのが嫌いだ。ヴィルフリートにも見せたくない。だからギュッと目をつむった。
    「唇は薄めだ。紅がとれてしまっても薔薇みたいに愛らしい。食べてしまいたくなる。……あぁ、さっき食べたのだから、この言い方は変だったな」
    なぜ口紅がとれてしまったのかを考えると、もう泣きたい気分だった。
    本来の色を取り戻した唇を、ヴィルフリートの指がなぞった。しばらくそうされたあと、また口づけが再開された。
    たった一度しただけだというのに、イルゼはもうどうすればいいのかを学びはじめていた。ためらいながら彼を迎え入れると、なにか悪いことをしている気持ちになるのに、やめてほしくなくて戸惑った。
    理性は慎みがない行為を否定する。けれど、本能はもっと深く、激しくしてほしいと願ってしまう。
    「……ふっ、……んん」
    口づけと一緒に、大きな手のひらがドレスをまさぐる。柔い部分がとくに敏感だった。
    布地が擦れると、その刺激がなんだかもどかしい。
    「君が本気で泣いて嫌がったらやめるつもりだ。……だが、私との口づけは好きなようだな?」
    見抜かれている。これでは到底やめてもらえない。イルゼは彼を愛していないはず。それでも尊敬しているし好意は抱いている。婚約を強制されたのに、彼の苦悩に共感している部分すらあった。
    口づけは愛し合うもの同士でするのではなかったのだろうか。ただの好意だけでも、こんなに心地よくなれるのか、イルゼは知らない。
    「わかりません……はじめてで……」
    「そうか、……口づけもはじめてか。……ではわかるまで続けよう」
    「だめ!」
    イルゼはとっさに彼の唇に手をあてて、これ以上の行為を拒絶した。もちろん力では叶わず、すぐに手がどけられる。それどころか掴まれた手首にも唇が落とされた。
    「婚約者なのだから、口づけも、その先すら問題にはならない。……自信がないのだろう? だから試してみるんだ。……そうだな。本当にできなかったら、婚約の件は諦めてやってもいい」
    ヴィルフリートがまた唇を重ねたせいで、イルゼはなにも言わせてもらえない。
    胸を手のひらで包み込むようにされると、身体がビクリと震えた。イルゼが強い反応を示したことに満足したのか、彼が顔を上げ、ニヤリと笑った。それから二つの膨らみが同時に弄ばれていく。
    「い……いゃぁ……うっ……あぁ」
    とくに先端の突起が擦られると、強い刺激に我慢できずに声が漏れた。
    「どこに触れられて、そんなにとろけた顔をしているのか、わかっているか?」
    「どこ……って……」
    イルゼはきっと素直な性格の娘なのだろう。無意識に視線が下に行ってしまう。
    「あぁ、ここか?」
    そう言いながら、彼はイルゼのドレスに手をかけた。繊細な生地が引き裂かれるのではないかと不安になるほど強引な手つきで、布地が取り払われていく。
    二つの膨らみがあらわになると、ヴィルフリートはためらわず片方を口に含んだ。
    中途半端に脱がされたドレスが邪魔で、抵抗すらままならない。
    「やっ。だめ……!」
    手のひらでこね回されながらチュッ、と突起を強めに吸われると、稲妻に打ち抜かれたような衝撃が走った。脚にも、腕にも力が入らない。
    「だめではなさそうだ……」
    彼はイルゼの嘘を見抜く。それだけ言って、今度は反対側の突起を口に含んだ。
    「あぁ……ん、あ……あ、あ……だめ……強くしない、で……」
    感じれば感じるほど、なにかいけないことをしている気がした。ヴィルフリートは婚約者ならばこれくらい許されるというが、本当にそうなのだろうか。
    イルゼは、あまり閨ごとに関する作法を知らなかった。そういったものは、婚儀が近づいたら母が教えてくれるのだと思っていた。
    以前、母が教えてくれたのは、社交界にデビューするにあたっての心構えと最低限の知識だった。生物学的にどうしたら子供ができるのかということと、絶対に婚約者以外の男性と二人きりになるなという二点のみだ。
    あとは先に結婚した友人の話を聞いて、ふんわりと男性に愛されるというのがどういうことなのかを想像していた程度だ。
    婚約者が隣国にいるあいだ、女性が集まる社交の場にのみ参加していたイルゼにはそれで十分だった。
    ヴィルフリートにされていることが正しいのかすらよくわからないまま、イルゼは彼から与えられている心地よさに呑み込まれそうになっていた。
    「どこもかしこも可愛らしいのに……なぜ自信がないのか、わからないな」
    チュ、チュ、と肌を強く吸い上げられると、花びらのような模様が浮かんだ。そこがいつまでもジンと痺れている。そして刺激を与えられるたび、お腹の奥のほうに違和感を覚えた。
    「……あ、なんで……? ヴィルフリート様……私おかし、く……あぁっ」
    一度意識すると、そこばかりが気になる。自分の身体なのに、理解できない現象に陥って、イルゼは急に不安になった。
    「おかしくない」
    「おかしいの……。このあたりが、……せつなくて。変になって……」
    へその下あたりに手をあてて、違和感を訴えた。
    「……クッ……ハハ、ハハハッ!」
    「笑わないで……」
    「違うんだ。君があまりにも素直だから、つい……」
    そう言いながらも、彼はずっと唇の端をピクピクと痙攣させている。なにも違わないではないかとイルゼは感じ、泣きたくなった。
    ヴィルフリートが一度だけ大きく息を吐く。それで心を落ち着かせたのだ。それからイルゼの腕を掴み、自らの下腹部へその手を導いた。なぜそんなことをするのかイルゼにはわからない。ただトラウザーズの下が妙に硬いのはわかった。
    「ほら、私も昂っている」
    「昂る……?」
    「わからないとは言わせない。君は……私が君に欲情しないと考えたのだろう?」
    グッ、と握られた腕に力が込められた。もっと強くこの場所に触れて、確認してみろというのだ。
    「……だって、愛し合う者同士でなければ……できないのだと……」
    男性器を女性の秘めたる場所に突き立てて、子種をもらう――それが夫婦の営みだということまでは彼女も知っていた。男性は、好意を抱く魅力的な女性にしか欲情しないはずだった。
    「君の言っていることは正しいよ。……わかるか? 君に少し触れただけで、私のここは昂っている。……君が魅力的で、可愛らしいからだ」
    イルゼの手のひらに剛直を押しつけながら、ヴィルフリートが語る。
    「これが男性の、ヴィルフリート様の……?」
    服の上からでも、十分にその質量が伝わってくる。未経験のイルゼには、凶器にしか思えなかった。
    「怖がる必要はない。……君だってこのあたりがせつないのだろう? 本能では私と繋がってこの場所を埋め尽くされたいと思っているからそうなるんだ」
    彼はイルゼのへその下あたりを指し示しながら、欲情しているのはヴィルフリートだけではないのだと教えようとしている。
    彼の男の部分を受け入れたら、本当にこのおかしな感覚が消え去るのだろうか。絶対に違うとは断言できなかった。むしろ彼の言葉はしっくりきて、今はまだ空虚だからせつなく感じる気がしてくる。同時に、これ以上進むのが恐ろしかった。
    「わ……わかりました……。だから、もうおしまいにして……」
    「いいや、もう少し確認しておこう。皇帝の妃――ではなく、私の伴侶になれるかどうかを」
    ヴィルフリートの手がドレスの裾をかき分けて、内ももを辿った。
    「ヴィルフリート様!? あ、あぁ……や、めて……」
    強い力で彼の身体が割って入り、無理矢理脚を開く格好を取らされた。
    イルゼは必死に抵抗するが、そうすると余計にドレスが乱れていく。太ももがあらわになるだけで、逆効果だった。
    フリルのあしらわれたドロワーズが引きずり下ろされる。イルゼはバタバタと脚を動かして抵抗するが、本気の拒絶はできなかった。
    大した抵抗ができないのは、ヴィルフリートが権力者だからではない。おそらくは、彼への嫌悪感がないからだ。戸惑いと不安はあるのに、確かな好意もあった。
    「じっとしていなさい……。イルゼ」
    ソファに寝そべるイルゼに身を寄せて、彼は耳元でそうささやいた。
    低く穏やかな声は魔法のようにイルゼから抵抗する意思を奪っていく。
    イヤリングごと耳たぶを食べられて、同時に彼の手がイルゼの足の付け根のあたりをまさぐりはじめる。
    「ふっ、……あぁ!」
    ヴィルフリートの指がイルゼの秘部に触れた。花びらを左右に押し広げ、中心部分に指をすべらせた。すると彼女の身体は勝手に跳ねて、嬌声が上がる。
    「濡れている、ほら? ここだ……」
    「あぁ……、どうして……? さわらないで……! 嫌なの……」
    粗相をしたわけでもないし、月の障りがはじまる時期でもないはずだった。けれど指が小刻みに動くたびに、ぬるりとした蜜が身体の奥から漏れだす。
    「ほら、先ほど説明しただろう? ……君は、私と繋がりたくてここを濡らしたんだ」
    「……あっ、ん!」
    クチュリ、と音を立てて指が一本イルゼの中に入り込む。ゆっくりと抜き差しされただけで、痛いような、けれどもっと先を知りたいような不思議な気持ちにさせられた。
    「わかるだろうか? 君はいずれここに私の昂りを受け入れるんだ」
    昂り――というのは、彼が先ほどトラウザーズの上からイルゼにさわらせた男性器のことだ。服の上からでも確かな質量を感じられた。太く、長さもあり、硬い……。
    そんな凶器のようなものが指一本だけでも壊れてしまいそうな場所に入るはずがない。
    「……やぁっ、やなの……怖い……!」
    「今はまだしないから大丈夫だ。……ただ、君を気持ちよくするだけだ。ほら、このあたりは?」
    指で散々いじり回されて、花びら全体がしっとりと濡れている。引き抜かれた指先が、その形を探るような手つきで、やがて敏感な芽にたどり着く。
    「あぁっ、――んんっ!」
    触れられただけで、思わず身体が仰け反ってしまう。イルゼはとっさに口を手で覆ってはしたない声を出さないようにした。
    ヴィルフリートは満足そうにほほえんで、イルゼが強い反応を示した場所を弱い力で擦りはじめた。
    下腹部は十分に潤っているから、軽い刺激で肌が傷つくわけではない。
    それなのに、ピリピリとして、壊れてしまいそうな不安に苛まれる。同時に、花芽の部分からふわふわと浮くような心地よさが生まれ、全身に広がっていくのも感じた。
    「こういうときは、口を塞ぐのではなくて背中に手を回すといい」
    そんなことをすれば、嬌声が抑えられない。わかっているのに、彼の声色が優しいせいで、そうするのが当然のように思えた。

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