書籍紹介
影薄令嬢が無自覚に求婚したら、策士な王弟殿下の執愛に囲い堕とされました
影薄令嬢が無自覚に求婚したら、策士な王弟殿下の執愛に囲い堕とされました
ISBN:978-4-302-10311-9
ページ数:290
発売日:2025年9月18日
定価:740円+税
  • あらすじ

    君をずっと貪っていたい
    麗しき王弟公爵の溺愛が暴走中!!

    王弟ライオネルがなくした指輪を見つけたモニカは、彼の指にはめた。まさかこの行為が“王族が結婚を誓う儀式”で、彼に求婚したことになるなんて!? ライオネルから「誓いは破棄できない」と徹底的に囲い込まれ、正式に婚約させられてしまう。「君を抱きしめたくてたまらない」と甘くキスされ肌に触れられるとときめきと悦楽が止まらなくて……!?

  • キャラクター紹介
    • モニカ
      伯爵家の長女。派手な兄妹とは逆に地味め。そのためか、なくし物捜しが得意。

    • ライオネル
      王弟で公爵。大切な指輪をモニカに見つけてもらったことで彼女を意識する。

  • 試し読み

    「背徳感が凄まじい……一緒に風呂に入っているだけで興奮するのに」
     彼は深々と息を吐き出した。こんな風に興奮してくれているのだと思うだけで、モニカの心にも充足感が広がる。
    「私はあまり殿方の欲望がわからないので、これからライオネル様に指南していただきたいと思います」
    「……私が指南?」
    「はい。ライオネル様に教えてもらったことを習得して、気持ちよくなってもらいたいです」
     モニカの指先が彼の先端に触れた。
     その瞬間、ライオネルの口から声にならない呻きが漏れる。
    「ぐ……っ、モニカ……、そんなことを男の前で言ってはいけない」
    「はい?」
    「私がケダモノになったらどうする? かろうじて残っている理性が切れたら困るのは君なんだぞ」
     かろうじて、を強調された。今がまさにそのような状態らしい。
     ――ちゃんとそう言ってくれるのだから、やっぱりライオネル様は優しい方だわ。
    「気持ちよくさせてはいけないのですか? ライオネル様は私を気持ちよくさせたいって仰っていましたが、同じように思うことははしたないことなのでしょうか」
    「……はしたなくはない。が、私にとっては褒美が過ぎる」
     じっとライオネルの顔を見つめる。彼の目元は薄っすらと赤く染まっていた。
     バツが悪そうに眉尻を下げて、眉間には皺を刻んでいる。その表情が思いのほかモニカの心をときめかせた。
    「可愛い……」
    「は? 今なんて」
    「ライオネル様が可愛らしくて胸がキュンキュンします。もっと照れる顔を見せてください。あ、でも他の人には見せてはダメですよ。私の前だけにしてくださいね?」
     これも一種の独占欲だろう。
     モニカは欲望のまま、感情を言語化する。
    「男が照れる顔など見苦しいだけだろう……」
    「いいえ、まったく。堂々としているライオネル様も素敵ですが、私はいろんな表情を見せてもらいたいと思います。魅力的すぎて困りますが、深みにはまっていくのも悪くないかと」
    「ちょっと意味がわからないんだが」
     俄然やる気が出た。
     モニカはライオネルを気持ちよくさせてみたい。
     戸惑う彼の頬にキスをする。こめかみと耳にもキスを落とすと、彼の肩が震えた。
    「モニカ……っ」
     手の中のものまで連動するようにぴくっと動く。恐らく限界が近いのだろう。
    「ライオネル様……我慢なさらないで」
     彼の雄を握りながら首筋にキスをした。
     舌先で肌を舐めた瞬間、欲望が限界に達する。
    「ク……ッ」
     ドクン、と脈を打ったものがみるみる硬さを失った。これが吐精だと理解する。
     ――すごくいやらしくて色っぽくって、もっと見てみたくなったわ。
     胸の鼓動がずっとドキドキしている。自分が喘がされるよりも、ライオネルの痴態を見つめていたい。
    「モニカ……少しおいたが過ぎるんじゃないか」
     気怠い表情も珍しい。ライオネルからにじみ出る色香が濃すぎて、モニカは咄嗟に呼吸を止めた。
     ――見ているだけで妊娠しそうだわ……!
    「で、ではこれで……」
     ライオネルの傍から離れようとする。だが当然のように彼の手に阻止された。
    「どこへ行くんだ? 次はモニカの番だろう」
    「え? 順番だなんて聞いていませんが」
    「聞いていなくてもそういうものだ。私は紳士だから、本当は自分よりも愛しい婚約者を優先したい」
     ――本音半分、仕返し半分に聞こえる……。
     恥ずかしい思いをしたのが自分だけなのが嫌なのではないか。同じくらいモニカも恥ずかしくなればいいと思っていそうだ。
     ライオネルは手早くモニカの全身を泡塗れにして、身体の汚れを洗い流した。バスタオルでぐるぐるに身体を巻いてから、自身の身体も清める。
     ――は、早い……!
     手際の良さに慄きそうだ。寝間着に着替える前にライオネルに捕獲される。
    「さて、食事をはじめようか」
    「夕飯はあっちですよ!?」
     連れ込まれたのは寝室だ。
     軽食を詰めたバスケットは応接室に置いたままになっている。
    「あれは後で食べよう。私はモニカが食べたい」
    「……っ!」
     寝台に押し倒されて懇願された。
     バスタオルを剥いだらモニカの裸体が丸見えである。
     ――まさか押し倒されるなんて……! でもこんな風に直球で乞われるのは気持ちいいかも。
    「おいしくないかもしれませんが」
    「そんなことはない。絶対ない。モニカはおいしい。自信を持っていい」
     なんだか本当に食べられそうな気分になってきた。草食動物になったみたいだ。
     ――うん、悪くないかもしれないわ。愛しい人に食べてもらえるなら。
    「では……どうぞ?」
     モニカはそっとバスタオルを解いた。ライオネルに裸体を晒す。
    「……っ!」
     彼の眼差しには隠しきれない劣情が滲んでいた。先ほども見ていたはずなのに、今はじめてモニカの裸を見ているかのよう。
    「優しくする。君が気持ちよくなれるようにたくさん愛でよう」
    「お、お手柔らかに……」
     そっと唇が重なった。柔らかな食感がモニカの唇を食んでいる。
     薄く開いた隙間にライオネルの舌が差し込まれた。口内を丹念に舐められると、身体の奥から熱がこみ上げてくる。
     ――静まっていた快楽がふたたび発燃しそう……。
     肌がぞわぞわと粟立っていた。キスをしているだけで下腹の収縮が止まらなくなりそうだ。
     縮こまりそうな舌を追いかけられて、執拗に絡められる。唾液を吸う音が淫靡に響いた。
    「ン……ッ」
     透明な雫が顎を伝う。
     ライオネルとキスをするまで、粘膜を舐められることが気持ちいいだなんて想像もしたことがなかった。
    「はぁ、ずっと貪っていたい……」
     口の端から零れ落ちた唾液を舌先で拭われた。その感触だけでモニカの身体がフルッと震えた。
    「ここも、ここも……私のものだと痕をつけたくてたまらないな」
     胸元と腹部を撫でられる。
     全身に痕をつけたいという衝動がどのようなものなのかはわからないが、人に見られる可能性を考えると避けてほしい。
     だがライオネルの独占欲はうれしい。モニカも彼の所有印を刻んでほしくなった。
    「見えないとこに一か所だけなら……」
    「ありがとう。君は本当に優しい」
     胸の下にチリッとした痛みが走った。胸と腹部の境目など、モニカからでは目視できない。
     ――そんなきわどいところに痕をつけるなんて……!
     鏡越しでしか確認できない場所だ。彼は満足そうに指先で赤い華をなぞっている。
     そのままライオネルはモニカの胸の赤い実を舐めた。ざらりとした舌先で舐められただけで、モニカの腰がビクンと跳ねる。
    「あぁ……っ」
    「可愛い。君は敏感なんだな」
     肌に吹き込むように喋らないでほしい。
     胸の飾りを丹念に舌先で転がされてしゃぶられると、じゅわりと蜜が溢れてくる。
     ――身体が作り替えられているみたい……ライオネル様に触れられただけではしたない蜜を零すなんて。
     モニカの意思とは関係なしに身体は素直に反応する。
     無意識に太ももをこすりつけていることに、ライオネルが目敏く気づいた。
    「ああ、すまない。ここが寂しかったんだな」
    「ひゃあ……っ」
     太ももの内側をそっと撫でられた。そのまま彼の手がモニカの蜜口に触れる。
    「ンぅ……ッ!」
    「すごいな。びしょびしょに濡れている。やはりモニカの身体は素直で愛らしい」
     わざわざ言わないでほしい。
     抗議の声より甘やかな喘ぎが口から零れる。
    「あぁ、ん……っ」
     ライオネルの指が二本、泥濘に侵入した。
     モニカの身体はすんなり彼を迎え入れる。
    「痛い? 苦しかったら教えてほしい」
    「……ううん、痛くはない、です」
     ただ違和感はある。彼の指が二本、身体の内部で動かされるとぞわぞわとした震えに襲われた。
    「ふぁ……、あぁ……ッ」
    「締め付けがすごいな。私を拒んでいるのか、それとも招いているのか」
     ぎゅうぎゅうと膣壁がライオネルの指を締め付けていた。身体がもっと奥へと招いているかのよう。
    「もう一本増やすよ」
     彼がそう声をかけた後、三本目の指が侵入する。
    「ン……ッ」
     ピリッとした痛みが走った。
     少し引きつれたような痛みだが、耐えられないほどではない。
    「ぎちぎちだな。すごく狭い……」
     ライオネルの吐息も熱っぽい。額に滲んだ汗を見て、モニカはそっと指先で拭った。
    「モニカ?」
    「ライオネル様……我慢されてる?」
    「ああ、もちろん。私はずっとモニカに翻弄されている。早く抱きたくてたまらないが、君に苦しい思いはさせたくない」
     痛みは最小限に、気持ちよさは最大限に。
     できる限り身体を馴染ませてから繋がりたい。そう告げられただけで、モニカの心臓はドキドキが止まらなくなった。
     ――私のことを気遣ってくれている。ライオネル様はいつも私を優先してくれる……。
     欲望を隠さないが、押し付けることはない。己の欲だけを優先するような男なら、モニカはここまで心が動かないだろう。
    「……っ、モニカ、そんなに締め付けられたら指が食い千切られそうなんだが」
     身体も無意識に彼を招いている。
     もっと、もっとと貪欲にライオネルがほしくてたまらない。
    「ライオネル様……、来て?」
    「っ! 魅力的な誘いだが、まだ……」
    「私が我慢できないのです。早くライオネル様とひとつになりたい」
     繋がりたくてたまらないのだと訴えた。
     身体と心は切り離せないものだ。
     心が通じても身体が手に入らなければ、完全には満たされない。
    「モニカ……」
     そっと頬を撫でられる。
     それが合図のように、蜜口に埋まっていた指が引き抜かれた。
    「私の愛を受け止めて」
     指とは比べ物にならない熱いものが押し当てられた。先ほど浴槽の中でモニカが発散させたライオネルの雄だ。
    「はい……」
     頬をほころばせた直後、ぐぷん、と楔の先端が押し込まれた。

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