

-
あらすじ
本気で俺との結婚を考えて
イケメン副機長パパとの甘すぎる再会愛!空港で働く時緒は、想いを秘めたままパイロットである章介の偽恋人を演じているうち、体を重ね合わせる関係に。ある日妊娠が発覚し、彼の負担になることを恐れて身を隠し極秘出産。二年半後、偶然再会した彼から求婚されて!? 「君をずっと諦めきれなかった」息子ごと愛で包まれ抱きしめられれば、かつて恋焦がれた彼への気持ちが再び燃え上がり…!?
-
キャラクター紹介
-
住谷時緒(すみたに ときお)
26歳。航空会社のグランドスタッフ。過去の失恋から恋愛はこりごり。 -
羽仁章介(はに しょうすけ)
28歳。大企業の御曹司であり、国宝級の爽やかイケメンパイロット。
-
-
試し読み
真っ直ぐに私を捕らえる視線には、ほのかに熱がこもっているように見える。
ずるい。自分の国宝級の顔面の使いどころをよくわかってらっしゃる。さすが、元モデルとしか言いようがない。
「ひぇ……」
「どんな夢を見てたの? 俺には教えられない?」
私がなかなか言わないので、羽仁さんは焦れたように追撃してきた。
なんでそんなに気にするんだろう、そんなに知りたがるほど、うなされていたんだろうか。私は夢の中で歌っていただけなのに。
しかしいよいよ逃げられない、誤魔化せないと悟った私は、覚悟を決めて口を開いた。
「抱きしめられたんです……、羽仁さんに」
少しの沈黙。それから羽仁さんは、みるみる顔を赤くして「えっ」と呟いた。
「……待って、なにか一緒に食べてる夢かと思った……っ」
頬に触れていた手が、一瞬動きを止めた。
驚かせてしまった。言わなければ良かった……。
そう後悔しても、あとの祭り。この微妙な雰囲気を、どうしたらいいんだろう。
羽仁さんは、ついに黙ってしまった。私はぶっちゃけすぎたかもと反省しつつ、ドキドキと騒ぎだした心臓に困り、意識してはだめだと心の中で必死に自分に言い聞かせる。
だけど、無理だ。羽仁さんに触れられたままの頬に、熱がどんどん集まっていくのを止められない。
……どうしよう、どうしよう!
そのとき、頬に触れていた手が動き、私の唇にするりと羽仁さんの指が触れた。
「……羽仁さん?」
喉から搾り出すように、私は羽仁さんを呼ぶ。
「……住谷さんに、もっと触れたい」
掠れた羽仁さんの囁きに、心臓がひと際大きく跳ねる。驚きすぎて、心臓もこの世界の時間も止まったかと思った。
たっぷりと羽仁さんと見つめ合う。羽仁さんの瞳の中の私がゆらりと揺れて、時間は止まっていないのだと確信した。
「わ、私が変なことを言ったから……っ」
慌てて身を起こす。
そういう雰囲気は打ち消されるどころか、羽仁さんとの距離がますます近くなり濃くなっていく。
「今触れたいんだ、どうしても」
いつもより低い羽仁さんの声。羽仁さんが本気で言っているんだとわかってしまう。
私が変な夢を見たせいで、こんな雰囲気にしてしまい勉強の邪魔をしてしまった。
仕事と勉強にプライベートのほとんどの時間を割いている羽仁さんだから、そういった欲みたいなものも溜まっているのかも……。
友人のような気軽な関係だとしても、男女なのだから気をつけなければいけなかったんだ。それに気づかなかった私は、なんてお馬鹿なんだろう。
羽仁さんの真剣な顔。冗談なんかじゃないって、目が言っている。
手のひらに汗が滲む。心臓はドキドキと波打っている。
自分が羽仁さんに求められて、このときだけでも役に立てるなら。
羽仁さんだから、羽仁さんだから力になれたらって思うのだ。
私は覚悟を決めて、小さく頷く。
羽仁さんは立ち上がると、開いていた窓を閉めてカーテンをぴったりと閉じた。部屋は薄暗くなったけれど、ちゃんと羽仁さんの表情がわかる。
振り返った羽仁さんの熱い視線を強く感じると、お腹の奥が疼いた。心臓の音が、頭にまで鐘のように響く。
「するの、本当に久しぶりなんです。うまくできなかったら、ごめんなさい……っ」
「嫌だって途中で感じたら、絶対に無理はしないで言うって約束して。俺は住谷さんが嫌なことは、絶対にしたくないから」
私は再び小さく頷く。緊張でガチガチになる前に、勇気を出して両手を広げた。ふたりで狭いベッドの上で抱き合うと、まるで夢の続きみたいだ。
羽仁さんの香水の匂い。たくましい体。熱い眼差し。我慢していたら、一生こんな機会はなかったと自分の行動を正当化する。
唇がそっと首筋に押し当てられる。それから舌で舐められて思わず体が跳ねてしまった。
「……んっ!」
嫌がらないのを確認したのか、羽仁さんは慎重に私をベッドへ横たえてから、額にもキスを落とす。
羽仁さんは私に負担をかけないように覆いかぶさった。もう、冗談だったとは言えない雰囲気が漂い、私はまた息を呑んでしまった。
「唇にも、キスしていい? したくて、我慢していたんだ」
「夢の中でも、羽仁さんがキスしてくれたんですよ」
「先を越されたのが、悔しいよ……」
負けず嫌いなのか、そう言って落とされたキスは、柔らかくて気持ちが良くて優しくて、私はじわりと涙が出てしまった。
長く乾いた心にこの柔らかさは深く沁みる。足りなくて、もっと欲しいと願ってしまう。
何度か軽く唇を合わせるだけのキスから、たちまち舌を差し込まれ、すくい上げられた。
「ふ、ぁ、んんっ……!」
口内を舌でかき混ぜられる水音が耳に響いて、気分がどんどん上がっていく。無理やりではない、絶妙な苦しさの深いキスにはまってしまいそうだ。
今まで、何人の女性と経験してきたんだろう。前の彼女とは、いつ、どうして別れたの? 私は羽仁さんにはなんとなく、女性関係だけは聞けないでいた。
「……住谷さん、集中してないだろう?」
羽仁さんが唇を離して、余計なことを考えていた私に聞いてきた。
「羽仁さんが、慣れてそうだから。やっぱり歴代の彼女は多かったのかなって……考えてました」
素直に白状すると、「もう」と言って鼻にもキスされてしまった。
「初体験は大学に入ってから。歴代の彼女はふたりだけ、しかも勝手に浮気したって誤解されてフラれて終わり。就職してからは、仕事ひと筋、以上です」
「あ、ありがとうございます。えっと、私も教えたほうがいいですか? はじめては――」
そう言いかけると、すぐに羽仁さんにキスで口を塞がれてしまった。
羽仁さんの首に腕を回して、ずっとこの時間が続いたらいいのにと思ってしまう。
「あっ……ふ、ぁ……ッ」
首筋を舐められると、また全身に快感が走る。くすぐったいけれど、すごく気持ちがいい。
「……もっと触るけど、嫌な感じはしない?」
「しないです、気持ちいい……」
「良かった、ああ、夢みたいだ」
大きな手がカットソー越しに胸を包んで、ゆっくりと撫でる。久しぶりだからか、それが本当に気持ち良くて身をよじってしまう。
するりとカットソーの裾から手を入れられ、あっという間にブラジャーまで外されてしまった。
羽仁さんはそのあと、自分のシャツとTシャツをぽいぽい脱ぎ捨てて、お互いに上半身裸になった。
羽仁さんのお腹は、薄く腹筋が浮いていて、肩回りもたくましくて男らしい。引き締まってもいて、さすが元モデルだ。それに比べて私は……と思ったけれど、今さらどうにもならない。
キスをしながら直に触れられた胸から、羽仁さんの手のひらの熱を感じる。冷たいかなと思っていたのに、予想と違っていて驚く。
「ぁあ、羽仁さんの手、冷たくない」
「住谷さんと、こういうことができて……興奮してるんだ」
「ふふ、そうなんですか……。羽仁さんの手、興奮してあったかいんだ」
私にちゃんと欲情してくれているのが嬉しくて、私からもキスをねだる。
「……んんっ、羽仁さんともっとキスしたい……ッ」
「住谷さん、素直に言えて可愛いね」
キスされながら、直に胸を触られる。大きな胸ではないから、すっぽりと羽仁さんの手に収まってしまう。でもそれが安心感があって、手のひらで捏ねられると、じいんと感じてしまう。
「ふっ、……あんっ……ふ、ぁッ!」
優しく揉まれ、捏ねられると信じられないくらいに気持ちいい。どんどん羽仁さんのことしか考えられなくなって、体が熱くて堪らない。
まだ夕方で、マンションの外からは子供たちの声が響く。夜じゃないのに、陽が落ちるのを待てなかった。羽仁さんが、やっぱりやめようと言いだすのが怖かったからだ。
「……可愛い、俺の手に吸い付いて……、触れているだけで気持ちいい」
羽仁さんは確認するように左右ともの胸に触れ、揺らしたり揉んだりして感触を確かめている。そのたびに、ビクビクと体が反応する。
どこもかしこも、どう触れられても、ひとつひとつ与えられる刺激を拾って体が跳ねる。
「あ、ふ、あッ……! やんっ」
指先で、硬くなりはじめた乳首を軽く挟まれた。親指と人差し指で、乳首の芯をくりくりと柔らかく捏ねられる。
だめ、気持ち良くて、お腹の奥がぎゅうっとなる。
「あ、あぁっ!」
高く大きな声が出てしまい恥ずかしくて、隣の部屋に聞こえないように、自分の口元に手の甲を当てた。
片方の胸を包むようにゆっくり揉み上げながら、乳首を親指で押し潰される。もどかしい力加減で、もっと強い刺激が欲しくて私は自然に胸を突き出した。
「ふあっ、あ、ぁ……ッ」
「……乳首が硬くなってきた、感じてくれて嬉しい」
そう言うと、羽仁さんは私が突き出した乳首に、ちゅうっと吸い付いた。瞼の裏に星が散るほどの快楽が、びりびりと体を突き抜ける。
「──ッ!」
自然にさらに背中が仰け反ると、羽仁さんはさらに執拗に乳首を舐める。歯で軽く噛まれたときには、堪らずに口を押さえていた手の甲を外してしまった。
「──ぁんッ! ……やあっ、ぁっ、ッ!」
乳首を舌の上でちろちろと転がされて、甘噛みされてまた吸われる。反対側も同じようにされて、声を抑えるのが難しくなってきた。
「住谷さんの胸を触ったり舐めたりすると、興奮するのに安心もする……」
羽仁さんの手のひらがどんどん熱くなっていく。その熱で体中をまさぐられると、気持ちが良くて蕩けそうになる。
自分の吐く息が荒い。心臓はずっとドキドキしている、それに十分に濡れている自覚もある。
私の体をじっくりと触りながら、羽仁さんも一緒に興奮してくれている。もう数え切れないほどのキスをくれて、髪を撫でて、お腹や肩、胸や指先まで甘噛みを繰り返す。
触れた羽仁さんの体が汗でしっとりとしていて、嬉しくなった。
太ももに手をかけられて、スカートと下着をするりと脱がされた。セックスの経験はあるけれど、この瞬間はいつも緊張する。
くちゅ、と羽仁さんが優しく下腹部に触れてくる。やっぱりたくさん濡れているようで、羽仁さんが指でなぞるだけで水音が立つ。
「あの、濡れてるから、そんなに触って音を立てないで……っ」
恥ずかしくて、足を閉じたくてもがいたけれど、羽仁さんの体が足の間にあるので閉じるのが難しい。
「濡れていて、安心した……」
そう言いながら、羽仁さんは身をかがめて、私の陰部を迷いなくすぐに舐めはじめた。温かく動く舌が、花芯から膣口までをじっとりと往復する。
「……ッ! うそ、だめです、あぁ、んあッ……! んん、……っ!」
十分に濡れていたし、シャワーも浴びていなかったので、ここまでされるとは予想すらしていなかった。
「だめ、羽仁さんっ! シャワー浴びてないのに……っ!」
「そんなの、俺は気にならない。どこを舐められるのが好き? ……ここはどう?」
ちろちろと舌先で花芯を刺激されて、太ももに力が入る。羽仁さんは頭を挟まれてるのに、そんなのはお構いなしで私の陰部を舐め続ける。
「あんっ、そんなとこ舐めちゃ……っ!」
愛液が次から次へと溢れる感覚がする、それを丁寧に舌で舐め取られて、強い快感の波を感じる。
花芯を吸われたまま、ちろちろと舌でゆっくりと転がされると、波が大きく強くなっていく。それを続けられると、イく感覚が迫ってきた。
「は、あんっ、イッちゃう、いっちゃいます……っ」
羽仁さんの舌先が、ちろちろと花芯の先をなぶり続ける。私の息はどんどん荒くなって、心臓が強く波打つ。
「ひっ……ッ、あっあっ、あ、んー……ッ!」 -
関連作品