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あらすじ
俺のこと意識してくれるようになった?
若手エリート社長は、ご近所のパン好き女子にぞっこんで!?パン屋に勤めるパン好き女子萌乃は、ある日通勤の道でよく会う青年、岐部に買い上げたパンを進呈して気に入られてしまう。彼は名の知れたベンチャー企業の若手社長だった。「あなたに会うためなら三食パンだっていい」萌乃の店に通い、甘く口説いてくる岐部。年下だが萌乃のパン好きにも理解を示す懐の深い彼に、いつしか彼女も惹かれていき―!?
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キャラクター紹介
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武林萌乃(たけばやし もえの)
パン屋に勤務している。仕事熱心で真面目。 -
岐部凪(きべ なぎ)
やり手のIT社長。萌乃と知り合ってからパンに目覚め、パン屋に通うようになる。
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試し読み
「萌乃さん?」
「や、あの……み、見ないで。恥ずかしいから……」
「なんで。まだあと三回目と四回目のペナルティが残ってるのに」
凪君の顔がまた近づいてきたので、咄嗟に顔を手で覆った。
「きょ、今は無理……! 残りは次回に持ち越しでお願いします……」
恥ずかしさの極みで顔から火が出そうなのに。これ以上のキスとか、もう体がもたない。
次回に持ち越し、と聞いた凪君が、ふはっ! と堪えきれない様子で噴き出した。
「持ち越しなの? ていうか持ち越していいんだ?」
しまった。持ち越ししなくてもよかったのかも。
「な、凪君、意地悪……」
「俺が意地悪なんじゃないよ。萌乃さんが可愛いすぎるんだよ」
殺し文句に腰が抜けそうになる。
この人……こういうことを無意識でやっているのだとしたら、すごい才能だと思う。
――相手は年下なのに、まるで私の方が年下みたい。
こんなことになるのなら、相手が年下だからなんて悩む必要、全くなかったかも。だって、凪君ってしっかり男だから。
「さて……俺としては萌乃さんを帰したくないところなんだけど。萌乃さん、どうする?」
「えっ……どうするって言われても……」
「このままここにいると、多分俺、萌乃さんを抱くよ。それでもよければ」
抱く。
こんなにはっきり言われたのは人生で初めてで、心臓の跳ねっぷりがやばい。
――ど……どうしよう。心の準備が……
いい年こいて処女でもなんでもないくせに心の準備とか、なにを言っているんだと自分でツッコミを入れた。
それもそうか。
「……い、いいよ」
だって私も凪君が好きで、少なからず彼に抱かれたいと思っているから。
まさか私からこんな返事が返ってくるとは思わなかったのだろう。凪君の目がぱっちりと見開いている。
「いいの? 俺、てっきり今夜はダメだとばっかり」
「……じゃあ次回にする? それならそれで……」
冗談めかして玄関に体を向けると、背後から腕を掴まれた。
「次回になんかするわけないでしょ」
「凪く……」
強く腕を引かれたまま家の中に上がり込んだ。この前入ったリビングではなく、緩やかな階段を上り辿り着いたのは二階にある寝室だった。
部屋の広さはおそらく八畳くらい。部屋の端っこにダブルとおぼしきベッドが置かれているだけの、シンプルな寝室。
「萌乃さん」
部屋をじっくり見る隙は与えられず、いきなり名前を呼ばれ、キスをされた。さっきよりも性急なキスにドキドキしていた私だが、あることに気付いて少々の焦りが生まれた。
「な、凪……君、待って」
「……なに?」
「シャワー、浴びてない……」
「それがどうしたの」
思わぬ返答に、えっ? と彼の顔を見返した。
「どうって、その……」
「浴びなくても全く問題ないです」
言いながら、凪君の体が私に覆い被さってきた。その反動でベッドに倒れ込むと、私のトップスの裾から彼の手が入ってきて、下着ごと私の胸を包み込んだ。
「問題ないって……あの……」
「どうしてもと言うなら、一緒に浴びる。それでもよければ」
「え、そ、んなっ……あっ」
下着の上から胸の尖りを摘ままれて、少女のような声を上げてしまった。
――は……はずかし……
顔に熱が集まってくるのを感じながら、凪君と視線を合わせる。さっきまでと違う彼の目は、多分スイッチが入っちゃってる。
「な、凪……」
「萌乃さんの声、可愛い。もっと聞きたい」
凪君がスカートからキャミソールを引き抜き、胸の上まで一気にたくし上げた。ブラジャーに包まれた乳房が露出すると、彼はそれを至近距離で見つめ、はあ……とため息をつく。
「ブラジャー外していい?」
「ん……」
私の承諾を得た途端、背中のホックがパチンと手際よく外された。胸の締め付けがなくなり、乳房を覆っているだけの布に成り下がったブラジャーを、彼が手でどけた。
眼前にまろび出た乳房を数秒見つめてから、彼がそっと乳房に手を沿わせる。
「うわ……綺麗……」
穴が空くんじゃないかってくらいにガン見される。さすがにこれは恥ずかしい。
「や、やだ。そんなにじっくり見ないで……」
「なんで。こんなに綺麗なもの、見るでしょ」
まるで壊れ物でも扱うかのような優しいタッチで、彼が乳房をそっと撫でる。
「柔らかい……すごい……」
乳首には触れず、乳房を何度も撫でられる。それがこそばゆいというか、なんとも言えない不思議な感覚だった。
「く……くすぐったい……」
「そっか。じゃあ、こっちは?」
これまで乳房を弄んでいた彼の手が、いきなり乳首の先端に触れた。急に敏感な箇所に触れられ、わかりやすく腰が跳ねてしまった。
「あっ……!!」
私の反応に気をよくしたのか、凪君の手の動きが激しくなる。先端をくりくりと指の腹で弄ると、今度はその乳首を潰すくらいの力を入れて撫でてきた。
「ん……や、あ……」
胸先から全身に快感が走る。加えて凪君に愛撫されているという事実が、私をよりいっそう感じさせる。触れられるたびにじわじわと幸福感が湧いてきた。
――この人とこんなことしてるなんて。まだ、信じられない……
天井を見つめながら、彼からの愛撫を全身で感じていると、凪君が体を屈め乳首を直接
舌で舐め上げた。
「はっ……あ!」
ざらっとした舌から生み出される甘い痺れが、胸先から全身に広がっていく。ただ舐められただけなのに、腰や下腹部が疼いてじっとしていられない。
「あ……はあっ……」
太股を擦り合わせ、このむずむずとした感覚を逃がしたい。でも、凪君がそれを阻止するかのように私の脚の間に体を割り込ませた。
「萌乃さん、気持ちい?」
乳首を舐めながら、彼が私を窺ってくる。胸元からこちらを見ている凪君をチラ見したが、あまりにも扇情的で直視できない。
――凪君が……私の体を……
この現状にかーっと顔が熱くなる。緊張しすぎて口の中がカラカラだ。
「な……凪君……」
「はい」
「……っ、く、口の中がカラカラで……お水をもらいに行ってもいい……?」
凪君が上体を起こす。
「いいですよ。俺、取りに行ってきます」
「……あ。ありがとう……」
束の間でも少し休める。それに安堵した私だった。
しかし、立ち上がった凪君が勢いよく上半身の服を全部脱ぎ捨て半裸になったのを目の当たりにして、その肉体美に言葉を失う羽目になってしまった。
――う……か、かっこいい……
シャツをベッドの端っこにおいて部屋を出て行く凪君の上半身は、無駄な肉が一切ない綺麗な逆三角形。
ランニングウェアを着ている姿からも、体が引き締まっているのはわかっていた。でも、はっきり言って想像以上だった。
今からあの人に抱かれる。この現実に、心臓のバクバクが止まらなくなる。
――やば……き……緊張する……
胸の上の辺りに溜まっていた服を自ら脱ぎ、ブラジャーも腕から外した。冴から借りたスカートも脱いで、全てを畳んでまとめて床に置いた。
おそらく一分かそこらで凪君が戻ってきた。水の入ったペットボトルを持った彼は、私がもう服を脱いでいることに気がついて、あれっ、と笑った。
「自分で脱いだの?」
「うん……」
「なんだ、俺が全部脱がそうと思ってたのに」
言い終え、持っていたペットボトルから直接水を喉に流し込む。そういえば、私の分は……と言おうとして顔を上げると、なぜか凪君の指が私の顎に添えられた。
「え……んっ!?」
すぐに凪君に口を塞がれ、その塞いだ唇の隙間から水が流し込まれる。
「~~~~っ!!」
こんな経験が初めてで、口に入らなかった水が私の顎から首、胸元へと流れていく。ひんやりとした感触を感じながらも、唇を離すことなく最後まで受け取った。
「はい、お水」
「普通にくれればいいのに……こ、零れちゃってるよ?」
水に濡れた胸元を手で拭っていると、その手を掴まれてしまう。
「大丈夫。俺が拭いてあげる」
「え?」
戸惑っている私に構わず、凪君が私の顎から首までに舌を這わせる。
「え、ちょっと、凪君……」
「いいから」
私をベッドに寝かせ、彼が再び首から胸元の水を舐めとりはじめた。丁寧に水を舐めとる彼の姿を目の当たりにすると、ゾクゾクと興奮して自然と呼吸が荒くなる。
――これ、やば……
結局彼は胸元の水も綺麗に舐めとり、今度は胸からへそ、そして下腹部まで舌を這わせる。
「あ、ま……待って」
彼がショーツに手をかけたとき、反射的に声が出てしまった。
「なんで?」
ショーツに手をかけたまま問われる。
「なんでって……その……は、恥ずかしいから……」
「はは。でも、脱いでくれないとできないしなあ……それとも、着たままがいいの?」
「そっ! そういうわけじゃ……」
「じゃ、脱ごう」
そう言って、彼があっさり私のショーツを脱がせてしまった。
全裸になって急に羞恥が押し寄せてくる私に、彼は笑顔でこう言った。
「……ここ、丁寧に舐めてあげるね」
繁みの辺りを指で撫でながら何気なく発したその言葉に、我に返る。
「え? ちょ、ちょっと待っ……」
慌てて上半身を起こそうとする私の言葉など聞いていないのか。凪君が股間に顔を埋め、舌での愛撫を始めてしまった。
「……っ、あ……!」
指で触れられるのとはまた違う快感が、再び私の体を駆け回った。でも、それよりも今はそんなことをしないでという感情の方が大きい。
「だめっ……! やめて、凪君っ」
「どうして? ここ、こんなに蜜が溢れてくるよ。……どこが気持ちいいかな、ここ?」
「あっ!!」
彼の舌がピンポイントに敏感な蕾を捉えた。私が大きく震えたことで、彼は執拗にそこばかりを攻めてくる。止めどない快感の波に呑まれそうになって、どうしていいかわからなくなる。
「は……あ、あ……ン、やだ、やだやだやだ……!」
「……なにがいやなの?」
特に意味のない喘ぎに対して、彼が意味を尋ねてくる。
「いやって……あ、……ぅ……んっ、そうじゃ、なくて……」
「いやじゃないんだね? じゃあ、やめてあげない」
いつになく意地悪な凪君に、そんな、と喉まで出かかった。でも言えない。
意地悪でキスがうまくて、セクシーな凪君。
私は自分でも気がつかないうちに、この男の人の虜になっていたようだ。
「なぎ、くんっ……や、もう……」
「まって、もう少し。萌乃さん苦しそうだから、一度イッとこ?」
え。と声を出す前に、凪君が私の敏感な蕾に集中してそこを嬲り始めた。巧みな舌使いで、蕾を吸い上げたり、直接口に含んで舌で弄ばれているうちに、少しずつ高まり始めていた快感が、一気に頂点へ達しそうになる。
「あ、ああ、やめて、や……い、いっちゃう……いく……っ!!」
多分私がいっちゃう、と口にした時点で彼が反応し、舌の動きが激しくなった。それによって易々と絶頂に達してしまった私は、全身から力が抜けて抜け殻のようになる。
「はあ……は……っ……」
彼の枕に顔を埋めると、思いっきり彼の香りがしてそれだけで下腹部がキュンとする。
――今達したばかりなのに、私はなにを……
凪君の香りだけで興奮する自分やばい。少し落ち着こう、と呼吸を整え上体を起こす。
ちょうど目の前で履いていたパンツのウエストのボタンを外している凪君がいて、ドキッと心臓が跳ねた。
「もう我慢できない。……挿れていい?」 -
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