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あらすじ
君を抱きたくてたまらない
前世でバッドエンドを遂げた二人の、逆転幸せLOVE!冤罪を着せられ修道院送りになった伯爵令嬢のクロエ。火傷で療養中の王太子アランと出会い、想い合うも共に不遇の死を遂げた……はずが一年半前に時が遡っていて!? アランのバッドエンドを防ごうと、城仕えをし始めたクロエ。今世では結ばれないと思い込んでいたのにアランの火傷を回避した途端、「好きだよ」と甘くキスされ情熱的に触れられて!?
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キャラクター紹介
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クロエ
前世で冤罪を着せられ、アランと想い合うも共に不遇の死を遂げる。今世ではアランを救おうと奮闘。 -
アラン
ロドリーク国の麗しき王太子。前世では火傷を負い、死亡。今世では妹の侍女であるクロエが気になっている。
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試し読み
「もう、何もできない体だ。だけど喉が無事で良かった、クロエと話ができるから。でもダンスにも誘えない、馬に君を乗せてあげることも……抱くこともできない」
「だ、だ、抱くっ!?」
「そうだよ。僕はクロエが好きだ、君を抱きたくてたまらない。これは墓場まで持っていくつもりだったけれど、とてもいい夜だから言ってしまった」
熱に浮かされているせいか、または恐れていた死についてクロエと話ができたからか。
アランは上機嫌そうに、だけど叶わぬことだと理解した顔で、あっけらかんととんでもない発言をいくつもした。
「す、好きって、私をですか……っ」
「そうだよ。初めて会った日から、可愛らしいと思っていた。僕の方が歳上なのだから格好いいところを見せたかったけど、君には子供っぽい素の振る舞いを見せる方が多かったね」
ごうっと強い風が吹いて、窓に雨粒がパタパタとぶつかる。
いつもなら薄い毛布にくるまって、暗闇の中で眠りに落ちるまでじっとしている時間だ。
これから先も変わることのない日常を思うと、まだまだ覚悟が足りないと涙が滲む夜もあった。
しかしまさか好ましく思う人に、好きだと言ってもらえる日が来るなんて。
まるで夢物語のようだとぼうっと考えながら、クロエは自分の気持ちも口にした。
もし夢だとしても、覚めた時に後悔をしたくなかったからだ。
「私も、私も殿下をお慕いしています……!」
一瞬目を丸くしたアランだったが、すぐにとてつもなく嬉しそうに頬を赤らめてニッと笑う。
「そうだといいなと、思っていた」
王太子の微笑みではなく、ただの青年の笑みだ。
それを見たクロエは、本当にたまらなくなってしまった。アランの望みなら何でも叶えてあげたい、できることはなんでもしてあげたいと。
そうして、それは今しかできないと思った。
弾けそうな心臓が苦しいけれど、勇気を出してそれを伝える。
「殿下、もしよろしければ、私を抱いてみますか……?」
「……えっ、ああっ、僕が我慢できずに変なことを言ったから……! 気にしなくていい、僕はクロエと気持ちが通じ合っただけで天にも昇りそうなほど嬉しいんだから」
「縁起でもないことを言わないでください。まだ昇るには早すぎです」
そうクロエに言われ、アランはしゅんとしてしまった。
「……抱きたいのは本当だ。今すぐ君を隅々まで愛せたら、どんなに素敵だろうと想像するよ。でも、悲しいかな僕の体はうまく動かないから」
それはクロエも百も承知である。
「あまり知識はありませんが、もし私が全部すると言ったら軽蔑しますか……?」
こうまで言われたら、拒否する理由を探す方が難しい。それにアランは、ある返事が来たらすぐにクロエに話したいことがあったのだ。
「クロエ。僕は父上にずいぶん前に手紙を書いた。お役にはもう立てそうにない僕を廃嫡して欲しいと……。そうしてこのままこの屋敷で死ぬつもりで、王都への帰還を突っぱねたのだけれど……君と気持ちが通じ合えて気持ちが変わった。廃嫡になれば、僕はただの青年になる。その時にはクロエを妻に迎えたい」
まさかアランが自ら廃嫡を望む手紙を王都へ送っていたなんて、クロエはすぐには信じられなかった。
廃嫡となれば王位継承権はなくなり、一代限りの男爵の地位を与えられるか、それも望まなければ平民になるだけだ。
次期国王とされていたアランが、自分から平民になることを望むなんて。
それに働けるように体を治して、クロエを妻に迎えたいと言っている。
「それは、本当ですか……?」
「本当だ。動けない体に嫌気が差して、死ぬことで頭がいっぱいになっていたけど、もう死んでいる場合ではなくなった。体を治して、クロエが神と結婚する前に修道院から攫わないといけない」
そう言って、アランはクロエの頬に口付けた。近距離で見つめ合い、今度はそっと唇を合わせる。
「殿下……」
クロエにとって生まれて初めての口付け……しかも想いを寄せるアランとだ。顔は燃えるように熱くなり、口元に残る感触は胸をいっぱいにする。
「父には正直に自分の気持ちを話すつもりだ。僕は王位継承権を返上するけれど、王都でしっかり体を治すと。廃嫡を望みながら、治療を受けさせて欲しいだなんて都合がいいけれど、そのくらいわがままを言ったっていいくらいに、仕事はしてきたと自負しているよ」
廃嫡を望むアランからの手紙は、国王の元に届いているだろう。
だからこそ、シャーロットの生誕祭に、一国の王として第二王子をお披露目しようとしていた。
生を諦め死を覚悟するアランの手紙にいまだ返事がないのは、一国の王であろうと親であるからだ。
アランが今生きる気力を見せれば、国王はすぐに受け入れてくれるだろう。
「そうなったら、しばしのお別れですね。王都で殿下の傷が一日でも早く癒えて元気になるよう、毎日必ず祈っています」
「クロエが祈ってくれるなら、きっとすぐに元気になるだろう。戻ってきたらどこかに家と畑を借りて、麦を育てよう。ここの部屋の窓から麦畑が見えてね……金色に実った麦の畑に立つクロエは、夢のように綺麗だろうな」
綺麗なのは、アランの方だとクロエは思った。
風を受けて静かに波打つ金色の麦の海の真ん中で、遥か先を眺める穏やかな表情のアランの横顔が、頭に自然と浮かんだからだ。
自分の足でしっかりと立ち、それからクロエの視線に気づいて微笑む。
そんな未来が、アランからクロエに渡された。
クロエはそれを離さないように、しっかりと受け止める。
ふたりは、金色に輝く同じ未来を夢見始めた。
「……負担をかけてしまうけど、僕は今クロエとひとつになりたい。君は僕のものだと、君に刻みたい」
熱い吐息と共にアランから囁かれ、クロエは赤くなりながら小さくこくりと頷いた。
「僕と一緒になって欲しい。僕と結婚してください。ふふ、返事は”はい“しか聞かないからね」
はにかむアランに、クロエは「はい」と満面の笑みで答えた。
身を寄せ合い座ったまま、ベッドの上で求め合うように唇を重ねる。
柔らかな唇の感触を何度も確かめ、開いた隙間から舌先を伸ばし絡める。
「……んぁっ……」
「クロエは口付けは、僕が初めてだったかい?」
「……っ、は、はい」
「嬉しい」とアランは言って、口付けを深くしていく。まさぐる舌のあまりの熱さに驚きながら、クロエも追いかけるのに夢中になっていく。
舌を絡めて、軽く食み、吐息ごと飲み込まれそうな口付けを受ける。
アランの大きな手がクロエの頬を包むと、とてつもなく安心できた。
(殿下は、私を求めてくださっている)
クロエは夢心地の中で、新たな欲が自分から生まれて秘部を濡らしているのに気づいた。
下腹部が途端に切なくなり、思わず太ももを擦り合わせた。
「殿下、私、もう体が熱くて変になりそうです」
普段こんな大胆なことを言う性格ではないが、今夜は自分のすべてをひとことも取りこぼさずにアランに伝えたかった。
「僕もだよ……好きだよ、大好きだ」
たまらないとばかりに、アランが熱く囁く。
髪を撫でられ、舌で耳元をねぶられると、クロエの背筋に跳ねるほどの快楽が走った。
「やぁッ……んんっ!」
「可愛い声だ……。早く体を治して、君の着ている物を全部僕の手で脱がしたい」
今夜は執事が様子を見に来るかもしれないから、クロエは服は脱がないでいたいとアランに伝えていた。
「君の白いだろう乳房をまさぐって、その肌に惜しみなく口付けを贈りたいよ」
服越しに、アランの手がクロエの胸元に触れる。まるで壊れ物でも扱うかのように、ゆっくりじっくりと、形を確かめるようにまさぐる。
「ふ、……っ、ぁぁッ」
「首筋まで赤くなっているね。クロエは本当に可愛いな……」
そうしてアランは、惜しみなくクロエに口付ける。自分のものだと言わんばかりに、顔や首筋、手の甲に。
やっと身を起こしているアランに、クロエは横になるようにお願いをした。
アランが横になると、ガウンがはだけ、彼の下着越しに大きく張り詰めた形がくっきりと浮き出ていた。
一瞬、予想以上の大きさにクロエは息を呑んだ。しかしアランに向ける好意の方が大いに勝っていた。
「こ、このまま、殿下の下着を下ろしてもいいでしょうか?」
いつ執事が来るやもしれないという緊張感の中で、クロエは自分が動かなければと一生懸命だ。
「うん。お願いするよ」
足に巻いた包帯が外れないように気をつけながら、アランの下着をゆっくりと下ろしていく。
大きなものの先が固く下着に引っかかっていたが、慎重に下ろすとブルンっと男性器が飛び出してきた。
クロエはとても驚き、小さく声を上げてしまった。
いきりたつ男性器の先から、ぬらぬらと何かが溢れ濡れている。
「すごい……濡れています。これは?」
「男は射精の前でも、興奮して勃起すると……こうやって漏れてくるんだよ」
「ここは私は触れても……、痛くはありませんか?」
「痛くはない」とアランが言うので、クロエはそそり立つ男性器にそっと手を添えてみた。
「熱い……、それに硬いです。どんどん溢れてくる……」
軽く握り込んで、二、三度上下にしごいてみる。ぬちぬちと水気を含んだ粘着質な音は、クロエの下腹部を自然と熱くしていく。
「……うっ……だめだ、出てしまうから、手を離して」
「また硬くなってきました……これなら入りそうです。でもいきなりはやっぱり難しいでしょうね」
「えっ?」
クロエはアランの男性器から手を離し、下着を脱いでその上に跨った。広いベッドが、ふたり分の体重でかすかにギシリと鳴る。
「今から自分で慣らすので、殿下は見ていてくださいますか……?」
そう言うと、クロエは着ているスカートの下に自らの手を伸ばした。
スカートの下から、くちゅ……と水音が聞こえる。
「殿下に口付けを受けてから、ずっと濡れていたんです。こんなの、初めて……」
くちゅ、くちゅ、とかすかに聞こえるたびに、アランの男性器はさらに大きく張り詰めていく。
「ああ……君のその姿を見ているだけで、僕は達してしまいそうだ。クロエのそこはきっと温かくて、ぬかるんで気持ちがいいんだろうな」
感情を隠さない恍惚の表情は、クロエの心と体を大胆に変えていく。
「私の指ではよくわかりませんが殿下に見られていると、どんどん濡れてしまいます……ほら」
スカートの中から出された細い指先は、ぐっしょりと濡れていた。
「もっとよく見せて」
そう言われて愛液で濡れた手をアランの顔に近づけると、迷うことなくぺろぺろと舐めだした。
「本当だ……よく濡れている」
「……ひゃ、だめ……!」
慌てて手を引っ込めると、アランの瞳に欲が灯っているのに気づいた。クロエの下腹部が、きゅんと反応する。
クロエは静かに息を吐き、覚悟を決めた。
「少しずつ入れていくので、そのまま動かないで……」
アランのいきり立ち続ける男性器に手を添え、ぬるぬるに濡れた蜜口にあてがう。
「……ふっ、……ん……っ」
恐る恐る腰を落としていく。
最初は滑ったりキツかったりして、うまく入らない。しかし何度か試しているうちに、ぬっ、と男性器の先端を飲み込んだ。
「……ッ!」
「く……っ、ぁあッ……入ってきてる……っ」 -
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