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あらすじ
盗んだだろう。奪った私の心を返せ
魔性の美貌ゆえに顔を隠す腹黒王太子×悪女と誤解される王女王女エルネは大国の王太子ジェラールと政略結婚することに。彼はいつも素顔を隠している奇人だが、実は魔性の美貌の持ち主。しかも黒髪のせいで悪女と誤解されるエルネに「調教のしがいがある」というドS!! 彼に素肌を撫でられるとドキドキして全身に甘い痺れが――。ただエルネはある事情で彼と顔見知りだったのを隠しているのが心苦しく……!?
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キャラクター紹介
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エルネスティーネ(エルネ)
小国の第二王女。黒髪のせいで悪女と誤解される。実は初恋の相手がジェラール。 -
ジェラール
大国の王太子。魔性の美貌の持ち主で変人で極悪な性格。「悪女」に興味がある。
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試し読み
「なるほど、なかなか頑固だな。ならばエルネの素直な身体に訊くか」
「え……きゃあ!」
首筋を甘噛みされた。
獣が獲物に致命傷を与えるように、捕食者の印をつけられた。
首筋にきつく吸い付かれて、エルネの下腹がズクンと疼いた。お腹の奥が重怠く、下肢を動かせば淫らな水音が響く。
――下着が……!
湿った感触が伝わってきた。生理現象だとわかっていても、粗相をしてしまったんじゃないかと不安になる。
「ジェラール、さま……っ」
首筋をざらりと舐められ、彼の舌が鎖骨に到達する。鎖骨の窪みを舌先で愛撫され、ふたたび歯を立てられた。
「ンゥ……ッ」
些細な刺激を敏感に拾ってしまう。
痛みが快楽に変換されているようだ。歯型がつかない程度の強さだとわかっているのに、まるで自分が優美な獣のご馳走になったかのよう。
――食べられるみたい……。
ジェラールの頭に触れる。
柔らかな髪が指に絡まり、思っていた以上に触り心地がいい。
この美しい人がエルネに所有印を刻んでいるなんて、なんだか背徳感のようなものがこみ上げてきた。
今までエルネの周りには限られた人しかいなかった。鏡越しで交流していたジェラールもどこか現実味がなくて、遠い世界の人間だと思っていたのだ。
それなのに今はエルネの身体を貪るように愛撫する。胸の蕾を舐めて、舌先で尖りを刺激した。
「ひゃあ……ッ」
「こんないやらしい果実を隠していたのか。悪い子だな、エルネ」
ジェラールの舌が赤い実を転がす。徐々に硬く芯を持ち、甘く歯を立てられた。
「アァ……ッ!」
ジュン、と下着が濡れた感触がした。潤みが増して布地が重い。
胸を弄られながら舐められると頭がぼんやりしてきた。身体が熱くて思考がうまくまとまらない。
――なんでこんなことになっているんだっけ?
王太子妃の部屋から寝台を撤去しないでほしい。そのおねだりをするなら、エルネがジェラールの唇にキスをしなくては。
エルネはそっとジェラールを窺う。唾液に塗れた胸元がなんとも卑猥だ。ぷっくりと赤く腫れた胸の果実も直視できない。
こんな風に弄られるだけで身体が変化してしまうなんて、書物だけではわからなかった。ジェラールに触れられるだけで全身に甘い痺れが走り、素肌を撫でられると心拍数が上がってしまう。
――どうしよう、気持ちいい。
やめてほしいのにやめてほしくない。相反する気持ちがせめぎ合う。
恥ずかしくてたまらないのに、本能がさらなる快楽を求めてくる。きっと誰とでもこんな気持ちになれるわけではないだろう。
――私も、ジェラール様を翻弄したい。
今夜はまだキスをしていない。彼は唇に触れてこないつもりなのか。
ジェラールの手がエルネの腹部をゆっくり撫でる。そのもどかしい触れ方にすら神経が集中しそうだ。
エルネは自由に動く片手でそっとジェラールの頬に触れた。
「エルネ?」
彼が顔を上げた直後、手を後頭部に回し抱き寄せた。
「……ッ」
ジェラールの唇から動揺が伝わってくる。キスをされるとは思わず油断していたのだろう。
触れるだけのキスをしてからそっと下唇を食んだ。ジェラールの身体が僅かに震えたようだ。
「……これで、さっき言っていたおねだりになりますね?」
エルネの寝台は現状維持にする。
その約束を口にすると、ジェラールの秀麗な顔が近づいた。
「不意打ちはずるいぞ、エルネ」
「え、ンン……ッ!」
カプリ。
エルネの小さな唇にジェラールが噛みついた。まさしく食べるように歯を立てられて、僅かな隙間から舌を差し込まれる。
「ひゃあ、ンーーッ」
逃げるエルネの舌をジェラールが追い、容赦なく責め立てられた。
口の端から唾液が垂れる。顎を伝うのは一体どちらのものなのかもわからない。
指を絡ませて手をギュッと握られると、まるで恋人同士のような気持ちがこみ上げてきた。ただの婚約者ではなく、気持ちを伴った関係なのではないかと。
――ああ、どうしよう……抗えない。
このまま流されてしまいたい。心が赴くままジェラールに翻弄されて、心も身体も暴かれてしまいたい。
もうとっくにエルネはジェラールに心を許しているのだ。まだ秘密を伝えるには時間がかかるが、少しずつ明かしていきたいと思うほど。
――伴侶は一番の味方……ジェラール様に私の味方になってもらいたい。
いつだったかギーゼラに言われた台詞を思い出す。
夫婦になったら互いが味方になるのだと。
エルネが今まで抱えてきたことをジェラールに明かし、重荷を軽くしてもらいたい。そして彼が抱える重荷を預けてほしい。
「ああ、しまった。寝台のことなんか持ち出すんじゃなかった。問答無用で捨ててしまえば、毎晩エルネは私と寝るしかなくなるのに」
今にも舌打ちをしそうな勢いで呟かれるが、その言葉には独占欲が混じっている。
だが避難先は大事だ。
エルネは「約束は約束ですよね?」と潤んだ瞳で問いかけた。
「……エルネの部屋は現状維持にしておこう。だが足りない。あなたにはもっと私に馴染んでもらわなくては」
「え」
なにやら足元がスースーする。
くるぶしまで覆っていたネグリジェがたくし上げられていた。太ももの半分ほど露出した状態で、ジェラールがエルネの白い腿に手を這わす。
「ひゃあ!」
「柔らかいな。こんなに白いと簡単に痕がつきそうだ」
「だ、ダメです! 脚を持ちあげちゃ……っ」
――下着が見えちゃう!
じっとり湿った下着を晒してしまう。秘所に貼り付いた布地をジェラールに見られるなんて、恥ずかしいどころではない。
片脚を大きく広げられ、内ももに吸い付かれた。
「ン、アァ……」
エルネの腰がびくんと跳ねた。チリッとした痛みが気持ちよさに変換される。
「ほら、簡単に花が咲いた。しばらくは消えそうにないな」
ジェラールが満足そうに呟き、そしてじっと一点を見つめだした。
――な、なにを……違う、どこを見てるの!
「ジェラール様、脚を放して……」
「エルネ、私は婚約者として失格だ」
「え」
そんな殊勝なことを言うなんてどうしたんだろう。自信満々で傲岸不遜なジェラールらしくない。
エルネがこっそり警戒心を抱いていると、ジェラールはキラキラした笑みを浮かべたままエルネの濡れた下着の中心に指を滑らせた。
グチュン、と卑猥な水音が響く。
ジェラールは下着越しにエルネの敏感な花芽を探し当てて指で刺激した。
「ンーーッ!」
「こんなに濡らして我慢させていたんだから」
嬉々とした声でジェラールがエルネの脚を撫で上げる。濡れて重くなった下着をいとも簡単に脱がし、用途を終えた布を床へ放った。
空気が触れてひやりとする。
エルネはしっとり濡れた秘所を見られたくなくて、必死にネグリジェの裾を下げようとした。
「み、見ちゃダメです!」
「何故?」
「何故!? そんなの、恥ずかしいからに決まってます!」
自分でも見たことがない場所を見られるのはたまったものではない。それを容姿が憎たらしいほどに整っている相手に眺められるなんて、心臓が破裂してしまいそうだ。
「エルネ、夫婦になったらもっと恥ずかしいことをするんだぞ。こんなことでめげてはいけない」
めげているわけではない。
エルネは顔を真っ赤にさせてプルプル震えだす。
「ジェラール様、意地悪です……! 私が恥ずかしがっているのを楽しんでますね!?」
「そうだな。とても愉快だ。もっと恥ずかしがる顔を見せてほしいし、エルネが羞恥のあまり泣いてしまったらさらに滾る」
はあ、とジェラールが艶めいた息を吐いた。
その吐息にまでふんだんに色香が含まれていそうだ。エルネは咄嗟に呼吸を止める。
――滾るという言葉が不穏すぎる……!
なにが彼の興奮材料になるのかさっぱりわからない。
ジェラールは前髪を軽くかきあげてからエルネの目を見つめた。
「それに今から少しずつ準備をした方がエルネの負担も少なくなる。意味はわかるか」
エルネは頭を左右に振った。
羞恥心に慣れる準備ならもうお腹いっぱいである。
「身体を慣らすことだ。あなたの身体に私のものは……まあ、頑張れば問題ないと思うが、なにもしなかったら痛いし苦しい」
「ひえ……痛いのも苦しいのも嫌です」
恥ずかしさに耐えた先に痛みがあるなんて拷問ではないか。
「私もいきなり無体は働きたくないということだ。この状況はすでに忍耐が試されるが……まあ、最後までやらずとも発散方法はいくらでもある」
ジェラールが不敵に微笑んでいる。
その頭の中はあまり覗きたくない。
――いまいちよくわからないけれど、深く考えてはいけない気がする……。
エルネは閨教育をほとんど受けていなかった。知識は教材の書物にしか目を通していない。
エルネがひとり置いてけぼりを食らっていると、ジェラールは彼女のネグリジェの裾を持ちあげた。
「全部脱ぐか身に着けたままがいいか、選べ」
「え? ぬ、脱ぎませんよ」
すでに胸を露出している状態だが、お腹とお尻は隠れている。
下着は脱がされ脚も丸見えではあるが、すべて丸裸にされるよりはマシだ。
「仕方がない。それなら裾をお腹まで持ちあげるんだ」
「……無理です! それじゃあ丸見えになるじゃないですか」
プルプル震えたまま頭を左右に振った。
自分から見せつけるような趣味はないのだ。
「ならばエルネは目を閉じていればいい。視覚が使えなければ恥ずかしさも半減されるだろう」
「ええ?」
本当に? と思いつつ言われた通りに目を閉じた。
太ももになにやら柔らかな感触がしたと思った直後、膝を立てられ潤んだ花園にぬるりとしたなにかが這う。
「ちょっ、やぁ……ッ!」
ぴちゃぴちゃとした音は間違いなくエルネの下肢から響いている。そしてグニグニと蠢くなにかは恐らくジェラールの舌だ。
「ジェラール様、まさか舐めて……!」
咄嗟に目を開けると、思った通りジェラールがエルネの股に顔を埋めていた。ネグリジェの中に入り込み、彼の顔はわからない。
だがその倒錯的な光景がエルネの頭をクラクラさせる。
「や、そんなダメ、ダメです……ってぇ」 -
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