イラストちら見せ!
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あらすじ
いきなりプロポーズをした御曹司は妙な趣味持ちで、しかも…!?
私が御曹司の娘のシッター!? 転職に困っていたところを渋沢に雇われた茉由。やりがいを感じていたのになぜか毎日のように結婚を申し込まれることに……。シッターとして求められてるだけじゃないの? 甘く優しい愛撫にうっとりさせられて、さらに高みに連れていかれちゃうけど、取締役も務めている彼には誰にもナイショの趣味があって……!?(ヴァニラ文庫ミエル)
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キャラクター紹介
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時田茉由(ときた まゆ)
幼稚園教諭職を失いそうになり、園児の義理の父・渋沢からシッターに誘われる。 -
渋沢慧吾(しぶさわ けいご)
渋沢ビルディングの御曹司で取締役。兄夫婦の死後、姪を引き取る。アキバ系。
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試し読み
渋沢は茉由を抱き寄せて、唇を重ねてきた。この人と結婚するのだと思うと、これまでのキスにまとわりついていた戸惑いが、不思議と消えていたことに気づいた。むしろ嬉しいばかりで、茉由は初めて自分から渋沢の背中に手を回す。
とたんにキスが激しくなって、仰け反る茉由を抱いたまま、渋沢はリビングを横切っていく。
「ごめん、がっついてて」
「え? あ……」
スライドドアの向こうは、ベッドルームだった。一面が天井までの窓ガラスで、目を瞠るほど大きなベッドに寝そべったまま、景色が見えるのだと思う。チェストやテーブルセットなどもあったけれど、茉由はベッドから目が離せない。
……ここで——。
「あっ……」
抱きしめられたままベッドに倒れ込み、想像は早くも現実になった。
「ま、待って……」
とっさに渋沢を押し返そうとした茉由は、その手を掴まれ、薬指のリングにキスをされる。
「かなり待ったつもりだけど。特にあの夜からは、一日が何倍にも感じられた」
あの夜というのは、初めて渋沢の部屋へ入ったときのことだろう。
「毎晩のように思い出した。それでガキみたいにムラムラするやら、途中でやめたのを後悔するやら。白状するなら、きみの部屋に行ったときもヤバかった。病人相手になにするつもりだって、ずっと念仏みたいに自分に言い聞かせてたよ。それもこれも、きみが魅力的だから」
まるで茉由を責めるような口ぶりに、つい言い返す。
「だって……渋沢さんが待ってくれるって……」
「そういう男でいたかったんだよ。歳も上だし、ハンデをポイントに変えるには、おとなの余裕みたいなのがアリかなと。でも、恋したら関係ないな。ひたすらきみが恋しくて、触れたくてたまらなかった。やせ我慢なんてするもんじゃない」
ほんとに……? そんなに想っていてくれたの?
茉由が呆然と見上げていると、渋沢は苦笑した。
「ただの男だよ。きみを好きでたまらない、ただの男なんだ」
それこそがいちばん嬉しくて、重要なのではないかと思う。好きな相手に同じ気持ちを持ってもらえるのが、こんなに嬉しい——幸せだ。
「だから、お預けはお終いにしてくれ」
首筋に唇が押しつけられて、手が胸元を這う。過日の感覚が呼び覚まされるより早く、渋沢の愛撫に引き込まれた。服の上から胸を揉まれているだけで、乳首が硬く尖るのを感じた。下着に擦れるたびに疼いて、もどかしい。
背中に回った手で服の上からブラジャーのホックを外され、ブラウスとキャミソールが捲り上げられる。頭から抜き取られたときには、渋沢もスーツの上着を脱いでいて、ネクタイを緩めているところだった。
いつの間に……。
スマートすぎる手順に感心するよりも、渋沢のこれまでの経験を想像して嫉妬してしまう。モテただろうことは明らかで、この歳になれば人並み以上の経験があって当然だとわかっているけれど、やはり面白くはない。
「どうしてそんなむずかしい顔をしてるのかな?」
「……もっと早く渋沢さんと知り合いたかった……歳も同じくらいならよかった、って」
「早く会いたかったってのはわからなくもないけど、同じ歳ってのは?」
茉由が躊躇っていると、渋沢は胸元に顔を埋めた。覆っているだけになっていたブラジャーを鼻先で取り払い、先端に舌を伸ばす。
「あっ、あっ……」
濡れた感触にいっそう凝った乳頭に、舌が絡みつく。むず痒いような疼きに、茉由は身を捩った。
「やっ……そんな、したら……っ……」
「じゃあ、教えて」
身悶えながら切れ切れに答えると、渋沢は茉由の胸に痕が残るほどのキスを繰り返した。
「若いころの俺を好きになってもらえたかどうかわからないし、同年代だったらガキに見えて目もくれなかったかもしれないし。でも、そんなふうに思うくらい好きでいてくれてるってことだよな。嬉しいよ。……もっと好きになってもいい?」
渋沢は舌と指で茉由の胸を愛撫しながら、スカートを抜き取った。ストッキングを履いていないので、残るのはショーツのみだ。
ふと渋沢の動きが止まったのに気づいて、茉由は様子を窺う。渋沢は茉由の下肢を見つめていた。
「……やだ、そんなに見ないでっ……」
慌てて膝を寄せる。そんなことで大差ないのはわかっていたけれど。
「いや、ここは見るだろ。今後も見るな。薄々知ってはいたけど、美脚だね」
「そんなことないです。擦り傷だらけだし。今も靴擦れが……」
「子どもの相手してたら、そうなるかもね。でもそれは、ちゃんと仕事をしてる証拠だよ。俺は好きだな」
なんでも肯定してくれる渋沢に、茉由はほっとしたり嬉しく思ったりしながら、緊張が解けていることを不思議に思った。初体験だというのに、まるでふだんのように会話している。
するんだよね? これから……ほとんど全裸だし、いろいろされてるし……。
「なに?」
渋沢に問われ、茉由はかぶりを振った。
「もっと……黙々とするのかと思って……あ、これが嫌ってことじゃなくて」
「緊張していいことはないと思うよ。まあ、黙れって言うなら、俺もそのほうが集中できるけどね」
ということは、渋沢は茉由をリラックスさせようとして、話しかけているのだろうか。たしかに待ちきれなかったという割には、急いたそぶりがない。
「んっ……」
ふいに刺激を感じて、茉由はびくんと身を揺らした。渋沢の指がショーツの上から触れている。スリットに沿って指が滑り、茉由は渋沢の肩にすがりついた。
「あ、あっ……」
なぞる指が次第に溝を深くしていく。ときおり鋭い快感が走って、下肢全体が重い熱をため込む。
「あっ、そんなに……しないで……くっついちゃ……」
「もう濡れちゃってるよ」
「やだっ……」
「なんで。感じてくれてるんだろ?」
渋沢はショーツの足口から指を忍び込ませて、直に花園に触れた。潤んだ花びらの蜜を絡めるように指が動き、先端の花芽を撫でる。
「あっ、あっ……」
捩れる茉由の身体をやんわりと押さえるように、渋沢は乳首を口に含んだ。舌先で撫で回される乳頭が、また尖っていく。
同時に花芽も指で捏ねられて、茉由は憶えのある快感の階段を上り始めた。
「ああっ……」
絶頂はすぐに訪れて、何度となく身体が波打つ。ことに下肢は奥が脈打つようにうねって、いつまでも疼く。
脱力した茉由の脚からショーツが引き抜かれ、渋沢がワイシャツを脱ぎ捨てる。茉由は快感に酔った頭で、いよいよ次に進むのだと思った。
しかし甘美な感触に襲われ、陶然としながらも視線を向ける。渋沢の頭が、茉由の下腹を隠していた。今度は指ではなく舌で愛撫されているのだと知って、狼狽える。
「し、渋沢さん! そんなこと——あっ……ん、あ……」
そういう性戯があることは、知識として知っていたけれど、自分とは結びついていなかった。というよりも、渋沢にそんなことをさせるなんて考えられなかった。今だって、ものすごく抵抗がある。
けれど気持ちがいいのも事実で、渋沢を止められない。肩に手をかけはしたけれど、押し返す力が入らない。
ふいに渋沢が顔を上げた。
「すぐにやめて、二度としてほしくない。続けてほしい。どっち?」
……そんな……。
茉由は快感に潤んだ目で、渋沢を見返した。
二度としてほしくないなんて、この先どう気持ちが変わるかわからない。今だって、決して嫌なわけではないのだ。ただ、すごく恥ずかしい。渋沢に申しわけないような気もする。
ふっと息を吹きかけられ、茉由は腰を揺らした。
「……もっと……して……」
顔から火が出る思いだったけれど、それが本音だった。けれど、渋沢はどう思っただろう。
「嬉しいよ」
そんな声が聞こえたのもつかの間、茉由は目くるめく快感に溺れた。達して敏感になっていた花芽を優しく舐め吸われ、次第にもの足りなくなってくる。そんな茉由を察したように、舌の動きが激しくなり、悦びに蜜が溢れる。
渋沢の指が花びらの奥に沈んだのを感じて、一瞬茉由は身をこわばらせたが、痛みはなく、指はなめらかに茉由の中で蠢いた。
媚肉がひとりでに渋沢の指を締めつけ、その動きに連動したように先端の尖りも感度が上がり、茉由は新たな波に攫われた。
「んあっ……」
震えが止まらない。しゃくり上げるように腰が跳ねて、体内の指の存在を強く感じる。それ以上にもっと感じたくて、思いきり指を締めつける。
渋沢は低く唸って指を引き抜き、その衝撃でせつない声を洩らした茉由に、素早く覆いかぶさってきた。
「もう、待てない」
低いけれどよく通るいい声だとふだんから思っていたが、その囁きは茉由の肌を震わせた。官能に響くとはこのことかと思う。
太腿を引き上げられ、日常ではありえないほど大きく開かれて、その中心に渋沢の腰が割り込んできた。蜜にまみれた花園に、熱く硬い塊が押し当てられる。
「えっ……? む、無理っ……」
思わずそんな言葉を口走ってしまった。どう考えても、入れるものと入れる場所のサイズが合っていない。実際、ふたをされているような感覚しかない。
「ごめん、そう言われても引く余裕がないっ……」
思いきり押され、きっと身体ごとシーツの上をずれるだけだと思ったのに、ぐっと押し開かれて茉由は呻いた。
「……嘘……っ……」
入ってくる。指とは比べものにならない大きさのものが、少しずつ茉由の中を侵食する。痛いというよりも苦しくて、けれど逃げることもできなくて。
いや、逃げるという考えに至らなかった。渋沢を受け入れたい気持ちが強くなっていくことを、重なる部分が増えるにつれて感じた。
「あ……渋沢、さん……っ……」
もっと深く繋がりたいと、渋沢の身体に手を伸ばす。広い背中は硬く、そして温かく、汗に湿っていた。これが茉由の愛する人だと思ったら、しがみつかずにいられなかった。
その瞬間、一気に奥まで貫かれる。下肢が痺れて、どうなっているのか、たしかに渋沢を受け入れられたのかと心もとなさを感じたとき、力強い脈動を自分の中に感じた。
「……あ——」
茉由が顔を上げると、渋沢が見つめ返していた。
「無理じゃなかったですね……」
「開口一番がそれ? いいな、茉由は」
茉由——だって!
「そう呼んでもいいだろ? ついでに俺も、渋沢さんを卒業したいな。いずれ茉由も渋沢になるんだし」
「……慧吾……さん……?」
初めて口にした名前は言いにくく、すごく照れ臭かった。そのうち当たり前に呼べるようになるだろうか。
「なんか、慣れない……」
「じゃあ、間違えたら罰としてキス一回。ん? 俺のキスは罰ゲームか? ていうか、茉由にとっても罰じゃないよな?」
思わず茉由が笑うと、渋沢——慧吾はせつなげに目を眇めた。
「そんなに締めつけないでくれ。暴走を必死に抑えてるんだから」
茉由は慧吾に抱きついた。
「私ならだいじょうぶですから……続き、してください」
慧吾は微笑んで、茉由の鼻先にキスをした。
「俺のフィアンセはどこまでもすてきだな。ほんとに愛してるよ」 -
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