書籍紹介
黒曜のシークと黄金の姫君~星降る砂丘で拾った花嫁~
黒曜のシークと黄金の姫君~星降る砂丘で拾った花嫁~
ISBN:978-4-596-58243-0
ページ:250
発売日:2017年12月27日
定価:本体580円+税
  • あらすじ

    王家のオアシスで甘い愛に溺れる

    砂漠で遭難しかけた異国の王女ベリータを偶然救ったのは、漆黒の瞳をもつ美しくも逞しい男性ラフィームだった。「お前は俺が拾ったものだ」シークである彼は高慢に言い放ち、ベリータの身も心もすべてを求め、自分のものとしてしまう。二人きりのオアシスで初めての激しい愛に溺れ、宮殿に連れていかれたベリータを待ち受けていたのは……!?

  • キャラクター紹介
    • heroine_VBl133

      ベリータ・バルリオス

      伯爵家令嬢。長いこと田舎で静養をしていたため、「幻の姫君」と呼ばれている。

    • hero_VBl133

      ラフィーム・アルカディル

      砂漠の国のシーク。その権力は絶大で、いささか高慢な面も。砂漠でベリータを偶然助ける。

  • 試し読み

    埋め込まれた指が内部でくちゅり……と動いた。未知なる刺激にベリータの全身がおののく。
    最奥に隠されていた秘密の花孔は、まるで蜜でも生み出しているかのように、ちゅくちゅくと恥ずかしい水音ばかりをたてている。
    いや、もしかしたらそれは感覚的なものかもしれないけれど、少なくともベリータにはそう聞こえた。自分の体が生み出した、自分にしか聞こえない淫らな音楽。
    「いや、ぁッ……! あ、ああっ……!」
    何度も指の出入りを繰り返されると、さらにおかしな気分になってくる。ベリータは無意識のうちにラフィームの腕をきつく掴んで、許して……と小さな懇願を口にしていた。けれど高慢なこの男は聞き入れてくれない。
    「言ったはずだ、これはお前が選んだことだと」
    耳朶(じだ)に直接注ぎ込むように、続けてこんなことを囁かれる。
    「そもそも俺が拾ったものでもあるしな」
    「……は……」
    「だからこれは正当な権利と言える。──お前をもらうこととしよう」
    意味がよく、わからない。
    まともな反応も返せずにただ速い呼吸だけを繰り返していたら、ふ、と小さく笑われた。
    ぼんやりとかすむ視界に、その笑顔を捉える。
    微笑んで、くださっているの……?
    そういう笑顔は好きだと思う。
    厳しく引き締められた顔も悪くはないが、ふとした瞬間に見せるその優しさと華やかさは格別と感じられる。
    「ラフィーム……」
    目の前の美貌に指を伸ばそうとして、途中で挫折した。全身のどこにも力が入らない。少し体を起こしたラフィームが、邪魔だとばかりに強引にベリータのドレスをはぎ取る。そうしてあらわにされた乙女の白い裸体を割って、ラフィームがまっすぐに腰をあてがってきた。
    「泣くなよ」
    真顔でそんなことを言われても、どうしたらいいのかわからない。
    「う……」
    と本能で肌を強張らせた瞬間、恥ずかしい場所に指とは異なるなにかを感じた。
    ふと、脳裏に蘇ったのは、一瞬といえどまともに目にしてしまったさっきのラフィームの逞しい裸体だ。女姉妹ばかりの環境で育ったベリータにとって、それはあまりにも未知すぎるものだったが、幸か不幸か、そう遠い未来のことでもない花嫁教育の一環として、多少は家庭教師から聞かされている。
    男性が、その股間のものを逞しくして女を求めてくるのは、妻としての最大の喜びです、と。
    けれどそれは、あくまでも正式な婚姻の上に成り立つものだ。
    自分はラフィームの妻ではない。
    なのに──。
    (ああ……私ったら……)
    きっとこれもまた、愚かな選択なのだろう。
    ただここに残りたいからと意地を張った。
    なぜそんなふうに思ってしまったのかはわからないけれど、気づけば強くそう望んでいた。
    追い出されても、行きたいところはない。帰るべき場所もない。尼僧院とて仮の宿。とくに歓迎されているとも思えない。
    あまつさえ、死んだとまで噂されている自分。
    ならば──。
    (素敵、と思えた相手なだけ、幸せなのではないかしら……)
    ベリータはきゅっと目を閉じた。

  • 書籍購入はこちらから
    書籍
    • amazon
    • rakuten_books

    ※販売状況につきましては各WEBサイトにてご確認ください。

    電子書籍
    • amazon