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試し読み
ギリアンさまの身体を広げた足で挟むようにして、腰を膝の上に抱え上げられた。薄い茂みを掻き分け、ギリアンさまはわたしの恥ずかしいところを凝視する。
「お…お願いです、見ないでっ」
「きみはこんなところも可憐に出来ているんだね、アナベル」
大人の男性として女の身体を知っているギリアンさまは、わたし自身よりもわたしの身体をどう扱うべきか心得ていた。
(く、口で……?)
痛くされはしないが、ぬるりとした感触に平静ではいられなくなる。
(こんなの、信じられないっ)
ギリアンさまが美しいお顔をわたしの足の間に埋められるのは、わたしにとっては申し訳ない以上に辛いことだった。
わたしの思いを知らず、ギリアンさまは忙しなく舌を動かす。
胸が苦しいほど高鳴り、腰に甘い疼きが込み上げてくる──が、わたしは戸惑ったままだ。掻き立てられる興奮を喜びとして受け取ることは出来ない。
「お…お願い、やめて…やめて下さい」
わたしは他にどうしようもなく、胸の上で祈るように両手を握り締める。
「あぁ、ギリアンさま……!」
体温が急に上がり、そこが別の生き物のようにヒクヒクと蠢き始めた。
わたしは自身でそれを止めることが出来ない。腰が不安定に揺れる不安定さに、目に涙が滲んでくる。
「あ…ん、んっ、いやぁ……」
辛いはずなのに、わたしの口から漏れ出るのは甘い嬌声だ。
(どうなっているの、わたし)
自分の身体がどうなっているか分からない。
なにかを強く求め、騒いでいる。どうかすると、ギリアンさまの顔に切ないところを押しつけてしまいそうになる。
(ダメよ、ダメ……わたし、なんてはしたないことを)
自分を叱りつけようとしたとき、足の間がじわっとさらにぬるんだ。わたしは狼狽え、ついに泣き出した。
やっとギリアンさまが顔を上げられた。唇を手の甲で拭い、泣きじゃくるわたしに言った──声音は落ち着いていた。
「アナベル、わたしに言わなければならないことがあるんじゃないのか?」
しゃくり上げながら、わたしは小さな声で言った。
「そ…粗相を致しま…──」
「粗相? あ、あぁ」
ギリアンさまは笑った。
「可愛いアナベル、わたしが気に入ったかい?」わたしはギリアンさまに腕を回し、彷徨わせた手で彼の全体を捕らえようとした。ごつごつした背骨を指で辿り、腰骨までのカーブを味わった。
口づけはしばし胸に留まり、つんと立ち上がった突起を標的とした。乳房を手で持ち上げながら、ギリアンさまはその周辺を舌先で丸を描くように舐め、尖らせた唇で吸い上げた。
胸で受けた小さな甘い痛みは、やはり腰の奥へと繋がっていた。
「あ、あぁ」
柔らかな巻き毛に指を絡め、胸の上でその頭を抱きながら、わたしは喘いだ。
「こ…こんなの、耐えられないわ」
わたしは囁いた。
ギリアンさまは足の間にいる。
「わたしにきみのことを教えておくれ」
「わ…わからないの」
「わからないとは?」
裂け目の前方に座る小さな蕾を指で転がされ、呼吸が跳ねた──口から出かかっていた言葉が霧散した。
「あっ、あ…あぁああん」
思考力が落ち、よく分からない浮遊感に翻弄される。
すでにぐしょぐしょにぬかるんでいるところへ何かが差し込まれ、異物感に瞬間的に正気が戻った。
(……ここは出口じゃないんだわ)
刺激で充分に潤っていたせいで、指を受け入れる負担はほとんどなかった。
しかし、ギリアンさまはすぐに指を手前に戻した。じりじりと入り口付近だけで出し入れし、決定的な刺激を与えまいとする。
ぴちゃぴちゃと濡れた音がいやに大きく、わたしは耳を塞ぎたくなった。 -
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