書籍紹介
愛囚~公爵の傷、花嫁の嘘~
愛囚~公爵の傷、花嫁の嘘~
ISBN:978-4-596-74494-4
ページ:250
発売日:2015年11月30日
定価:本体580円+税
  • あらすじ

    ねじれた愛の行方は――? 甘く激しい監禁愛!

    「罪は体で償え。恥ずかしい罰を与えてやる」再会した元婚約者のヴァルターは、リゼルを責め、荒々しく監禁した。4年前、愛し合って結婚するはずだったが、ある事情で他の男と駆け落ちをしたリゼル。本当はヴァルターを愛しているのに、真実を告げられないままに夜ごと狂おしく抱かれてしまう。すれ違う二人の心は――!? 燃え上がる淫らな執着愛!

  • キャラクター紹介
    • heroine_vbl-44_s

      リゼル

      男爵家令嬢。美貌だが、素朴で芯の強い性格。伯爵との結婚式当日に駆け落ちする。

    • hero_vbl-44_s

      ヴァルター

      エーレンバウム伯爵。戦功をあげカイン公爵となる。優しく穏やかだったが、冷酷な男に変わってしまった。

  • 試し読み

    「濃いのが出てきたな。そんなに気持ちいいか?」
    「……っ……」
    もう一度顔の前に差し出されたヴァルターの指には、白っぽい半透明の液がまとわりついている。
    (……これは、裏切りの罰?)
    自分の蜜を見せつけられる──普通に考えれば、屈辱だ。けれど今の自分は、愛している人に罰されるという、背徳的な興奮に酔っている。
    (もっと罰して。あなたの気が済むまで……)
    ヴァルターの大きな手ががっちりと腰を捕らえた。
    「もういい。下の口がこれだけ濡れれば、充分だろう」
    熱く硬い牡が、リゼルの秘裂にあてがわれる。
    「あっ……はぅうっ!」
    一気にねじ込まれ、リゼルは顎をそらして悲鳴をあげた。あふれる蜜が潤滑液の役目を果たしているせいか、昨日ほどの苦痛はないけれど、圧迫感は大きい。押し広げられた粘膜が引きつって、裂けそうだ。ついつい歯を食いしばってしまう。
    「息を詰めるな」
    「ん……はぁ、う……」
    昨日も息を吐くよう言われたことを思い出し、リゼルはゆっくりと息を吐いた。体の力が抜けると、牡がさらに深く入ってくる。
    「やっ……きつ、い……」
    体の力を抜くのにも、限度がある。ヴァルターの牡は逞しすぎて、寝台の柱につかまっていても、侵入の勢いで前のめりに倒れてしまいそうだ。
    顔を上げ、柱にしっかりつかまろうとして、
    「……っ!?」
    リゼルは息を飲んだ。
    視界の端に、人の姿が映ったのだ。
    (だ、誰!?)
    部屋には自分とヴァルター二人きりのはずだった。いつの間に人が入ってきたのか、そしてこんな痴態を見られるなど、恥ずかしすぎる。あっていいことではない。
    リゼルは人影から顔を背けて固く目を閉じ、身をよじってもがいた。
    「……いやぁっ! お願い、見ないで、部屋から出ていってぇ!!」
    「な……どうした!?」
    不意に激しく抵抗し始めたリゼルに、ヴァルターが驚いた声をこぼす。しかしリゼルをつかまえた腕はそのままだ。放してはくれない。
    リゼルは必死に訴えた。
    「あ、あそこに、誰か……こっちを、見ていて」
    懸命の訴えを聞いたヴァルターが、馬鹿馬鹿しいと言いたげに鼻を鳴らす。背後から手を回してリゼルの顎をつかんだ。
    「何を言っている。よく見てみろ。こんな時に他人を部屋に入れるか」
    「え……」
    強い口調で命じられ、リゼルはおそるおそるまぶたを開き、人影の方に目を向けた。全裸に近い姿で寝台の柱にすがる女と、その背後にいる逞しい男──あれは、鏡だ。
    壁の大鏡に、自分とヴァルターが映っている。
    他人に見られていたわけではなかった。その点、少しだけホッとしたけれど、
    (いやっ……わ、私、こんな格好で、こんな顔で……!!)
    顔が燃え上がるように熱くなり、脇や背中にいやな汗がにじむ。昼間に抱かれるという恥ずかしさは諦めるしかないけれど、せめて鏡に映らないように場所を移してほしい。
    「お願い、ここじゃなく、ベッドへ……。鏡は……鏡は、いや……」
    「今さら何を。どうせならもっと近くで、自分がどういう状態か見てみろ」
    「きゃあぁっ!?」
    柱を握っていた手をつかまれ、引き剥がされた。つかみなおす間もなく、脇と腿に手をかけて体を持ち上げられる。足元にまとわりついていたドレスが、完全に脱げた。ヴァルターは、悲鳴をあげるリゼルを背後から抱きかかえて、鏡に向かって歩いた。逞しい牡は、自分の中に深々と押し入ったままだ。
    腕を伸ばせば鏡に届くほどの近さまで来て、ヴァルターはリゼルの体を下ろした。けれども牡を抜こうとはしないし、脇に回した腕もそのままだ。
    「あぁっ……やめてっ! こんな、恥ずかしい……!!」
    寝台の柱につかまって体を支えていた時は、上体を倒した前のめりの格好だったし、鏡とは距離があったので、秘所ははっきりとは映らなかった。けれど今は、自分の背中がヴァルターの胸に密着するまで体を引き起こされているし、何よりも鏡が近すぎる。自分の胸元を伝い落ちる汗の雫や、乱れて肩にかかった髪まで、はっきり映っていた。もちろん胸のふくらみも、硬く尖った乳首も、髪と同じ淡い金色の恥毛も、すべて見える。
    恥ずかしすぎて、とてもまともに見てはいられない。
    顔を背けて目を閉じた。だが視覚を封じれば、濡れた肉のこすれる音や、自分の喘ぎ、ヴァルターの荒い息遣いが耳をつく。ぬちゅっ、じゅぷっ、と鳴る秘裂の音は、居たたまれないほど淫靡だ。
    (やだ、どうして……? こんなに恥ずかしいのに、気持ちいいなんて……)
    いやらしく濡れた音が、リゼルの脳を甘く切なく痺れさせる。昨夜の行為より、明らかに快感は深い。なぜだろう。今日は、処女を引き裂かれた苦痛がないせいだろうか。
    「あっ、ぁあう! は、ぅんっ……お、お願い、許してぇ……っ」

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