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「あ、あの……」
「なんだ?」
彼はお腹にキスをして、同時に太腿に手を這わせている。胸にキスをされるよりも、もっと淫らなことが行われそうな気がしてきて、ローズは狼狽えてしまった。
「わたし……あぁっ……そんな!」
腰骨の辺りにもキスをされて、身体を揺らした。そのとき、するりと彼の手がローズの両脚の間に忍び込んでいった。
それだけでなく、大事な部分に触れられている。ローズは何も言えずに固まってしまった。
信じられない……。
初夜って、こんなことをするものなの?
誰にも触れられていないところに、彼が触れている。そう思うと、頭の中がじんと痺れてきた。妻は夫のものだと考えられているが、こんなふうに夫が花嫁のすべてを支配するものなのだろうか。
彼の指がそこの形をなぞるように、ゆっくりと動いていく。最初の衝撃が収まると、ローズは自分が何も嫌悪感を抱いてないことに気づいた。それどころか、そこに触れられて、なんとも言えない快感を覚えていることにも。
他の男性に同じことをされたら、絶対に嫌だったと思う。けれども、イアンには平気だった。平気なだけでなく、指先で撫でられているのに、感じてしまっている。
急に、驚くような鋭い快感が身体を走る。ローズは腰をビクンと震わせて、息を呑んだ。
「いやっ……」
彼はクスッと笑い、わざとのようにその部分を続けて触れてきた。
「やっ……あぁっ…あん……」
身体がビクビクと震わせる羽目になった。強烈な快感で、ローズは身をくねらせ、彼の手から逃れようとしたが、無理だった。
「どうして嫌がるんだ?」
「だ、だって……」
「感じているんだろう? 嘘をついても無駄だ。ほら……」
彼がさっきのように指をなぞるような動きに変えた。すると、湿った音が聞こえる。
「ここから蜜が溢れてきているのは、君が感じている証拠なんだ」
初めてそんなことを聞いた。いや、今までの生活で、そんな知識は必要ではなかったのだ。
「でも……こんなに感じてしまうのは……いや」
か細い声で訴えると、イアンはふっと笑う。
「我慢するんだな。私はもっと乱れてほしいくらいなんだ」
もっと乱れてほしい……?
ローズは戸惑った。彼が自分に何を要求しているのか、今まで判っているつもりでいた。跡継ぎを産むだけの退屈な人形になるように、彼は望んでいたと思っていたのに、そうではなかったのだろうか。ベッドの中だけは違うルールが存在するらしいが、ローズはそれについていけなかった。
「わたし……どうすればいいの?」
「感じるままに振る舞えばいい」
イアンはそう言うと、無造作にローズの両脚を広げた。
「えっ……い、いやぁぁっ……!」
触られるだけでも、ローズにとっては大事件だった。それなのに、両脚をこんなに大きく広げられるなんて、思ってもみなかった。
乙女の大事な部分が彼の前に晒されている。脚を閉じようにも、彼の力は強くて、どうしても閉じられない。ローズは両手で顔を押さえ、ギュッと目を閉じた。自分の顔を隠しても、彼に見られることは避けられない。それが判っていても、そうせずにはいられなかった。
秘部に息がかかっている。はっと目を開けると、彼がローズの両脚の間に顔を埋めていくのが見えた。
「や……やめて!」
叫んで、身をよじろうとしたが無駄だった。秘裂に舌が這わせられ、ローズは一気に身体の熱が沸騰したような気がした。
恥ずかしすぎる。ローズは羞恥と快感の両方に、身悶えた。
確かに自分は感じている。けれども、恥ずかしい気持ちはそれを上回っているようだった。
だから、こんなに身体が熱いのかもしれない。
そのうち、彼は強烈な快感が湧き起こる部分も舐めてきた。
「あぁ……んっ…ぁんんっ……」
身体が痙攣するように震えている。それが止まらない。ローズは両手で自分の腕を抱き、なんとか震えを止めようとした。
彼は舌を這わせながら、指で秘裂を弄っている。あろうことか、秘裂の中に、彼は指をそっと押し込んできた。
「いやぁ……」
いくら嫌だと言ったところで、イアンは聞いてくれないに違いない。自分の体内に、他人の指がある。それも、彼の一部なのだ。そう思うと、それだけで身体が燃え上がるような気がした。
彼は指でローズの内部を探ってきた。指を軽く出し入れされて、ローズはガクガクと震えだす。
わたし、これからどうなるの……?
感じすぎて、気が遠くなりそうだった。彼に舐められている部分は、痺れたようになっている。ローズは耐えられない気分になり、首を左右に振った。髪がシーツに触れて、さらさらと音を立てている。
ああ、もう……我慢できない!
自分が何を我慢しているのか、よく判らない。そのうちに、急に思いも寄らぬ強い快感が、全身を貫いた。
「あぁぁっ……っ!」 -
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