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あらすじ
自分を捨てたはずの夫に、強引に囲われ執着されて!?
平民に紛れ娘のミアと暮らすビヴァリーの前に、現皇帝で元夫のルーファスがやり直したいと現れた。即位にあたって離縁を選んだのは彼のはずなのに…。「ごめん、もう我慢できそうにない」皇帝の子と知られないよう他人の子だと偽るも、ルーファスはミアを可愛がり、ビヴァリーにも激しく甘く情熱をぶつけてくる。しかもミアと城に連れて行かれ…!?
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キャラクター紹介
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ビヴァリー
元子爵令嬢。理由があり平民に紛れて娘を育てている。 -
ルーファス
ソーンタイト帝国の新たな皇帝。前皇帝のもとで腐りつつあった政局を一新した。
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試し読み
「……うん、この香りと味だ。美味しい」
今日もそう言って喜んでくれる。それが、嬉しくてたまらない。
「私、どうしても、あの夜のことを辛い思い出のままにしておきたくなくて」
ビヴァリーもカップに口をつける。
鼻に抜ける香りと、咽喉を通るじんわりとした温かさに心も身体も癒されていく感じがした。すぅっと安堵が身体に染み渡るような、ビヴァリーのすべてを軽くする感覚。
ゆっくりと二人の時間を楽しみ、そして味わう。この先何かあったらまた同じような後悔をしないように、ルーファスの顔を頭に焼き付け続けた。
――でも、ルーファスは。
「……ねぇ、ビヴァリー。私もあの夜の思い出は支えでもあったけれど、どうしてもっと君に触れておかなかったんだろうと後悔をもった夜でもあった。もっとビヴァリーを感じておけばよかったと。だから、塗り替えるなら、君をもっと感じたい」
隣から手が伸びてきて、カウチの上にあったビヴァリーの手を取る。そこから彼の熱が伝わってきて、じわじわと広がっていく。
「ビヴァリー……もっと君に触れても?」
少し逡巡したが、結局は頷いた。ビヴァリーもまた、あのときルーファスを感じていればよかったと後悔していたからだ。
腕の中に抱いて寝ただけでは足りなかった。彼の熱が足りない。もっと、もっと、この寂しさに泣いてしまっている心を焦がすほどの熱を感じていたら。
今から感じることができたら。
「……どうぞ」
嬉しくて、今にも涙が零れそうで。
出てしまわないようにグッと堪えると、ルーファスの手が頬に触れて彼の方へと視線を向けるようにゆっくりと導いていく。きっと、目元が真っ赤に染まってしまっているだろう。それが恥ずかしくて逸らしたかったが、できなかった。
ルーファスがあまりにも綺麗に微笑むから。彼もまた嬉しそうに微笑むから、つい見蕩れてしまった。
大きな手が頬を撫で、そして前髪を指先で梳く。顔が良く見えるように後ろへと髪の毛を撫でつけ、もう一つの手は首の付け根をくすぐる。まるで猫になったような気分だ。
ビヴァリーもその手に甘えるように目を細めた。
親指が唇に触れ、その形を確かめるようになぞる。この先に何があるか予感させる動きに、ドキドキと胸を高鳴らせた。
肌の下で熱が燻り、忘れていた官能を引きずり出されていく。はぁ、と漏れ出た吐息が熱くなり、瞳も潤み始め、自然と腰も疼いてきた。
そんなビヴァリーの様子を、ルーファスは蕩けた目で見つめる。甘美なものに酔いしれるように、うっとりと。
「――愛している」
愛の言葉を吹き込むように唇を重ねてくる。
その瞬間、ビヴァリーの中に言葉にできないほどの歓喜がせり上がってきた。燻っていた熱は明確なものになって肌を侵し、そして頭の中にまで入り込む。
ただ、唇と唇を重ねるだけの稚拙な触れ合い。でも、それだけでこんなにも満たされる。熱に浮かされて、このまま溺れてしまいたいと思えるほどに。
ビヴァリーの秘めた欲が無意識に行動に現れる。離れていこうとしていくルーファスの唇を食んでしまったのだ。まだ物足りないとでも言うように。
ルーファスはビヴァリーの大胆な行動に目を丸くしていた。その顔を見て、自分のしでかしたことを自覚し慌てる。
「ご、ごめんなさい……あの、これは違うんです! えっと……ンっ……ぁう……」
言い訳をしようとするビヴァリーの唇を、ルーファスがもう一度奪う。性急に、少し荒々しく、情熱的に。
余裕なく舌を捩じ込んできて口内を蹂躙し、ビヴァリーの上顎を舌先でねっとりと舐ってくる。それをされてしまうと腰に甘い疼きが溜まって、身体の力が抜けてしまう。
「……ビヴァリー」
唇を離し角度を変える間に彼は名前を呼ぶ。何度も何度も、求めるように。
舌を吸い、唾液をすすり、余すことなくビヴァリーを味わい尽くす。ビヴァリーはこのキスが好きだった。いつもは甘いルーファスだが、キスのときは少し意地悪になるのだ。
きっと、ビヴァリーが強請る姿が見たいのだろう。
ある程度口内を愛でてこちらの官能を引きずり出すと、下唇を啄んでくる。弄んで焦らして、ビヴァリーが我慢できずに薄っすらと口を開けるのを待っている。
「ビヴァリー」
甘い声で囁かれれば抗えないのを知っているのだ、彼は。そして、ビヴァリーもまんまとその通りにしてしまう。
こんな懐かしいやりとりに胸が締め付けられる。切なくて、もどかしくて、苦しくてどうにかしてほしくて。
ビヴァリーは助けを求めるようにルーファスの首に手を回した。
「……ルーファス様」
求める気持ちに歯止めが利かない。一度甦った熱を治める方法など、たった一つしかなかった。夜着の上に着ていたシルクのローブを肩から滑らせるように脱がされ、ゆっくりとベッドに沈められる。恥ずかしくて顔を横に逸らしていると、影が差して目の前にルーファスの手が下りてきた。ギシっと音を立ててベッドが軋む。
横目で彼を見上げると、欲を孕んだ目でこちらを見つめていた。
「……そんな目で見ないで。ゆっくりしたいのに、我慢ができなくなりそうになる」
「どんな目ですか……」
「初めてのときのように、恥じらっている目。でも、私がほしいと言ってくれている目だ」
まるで生娘のように緊張と恥ずかしさで怯えているのが伝わってしまったのだろう。それがまた恥ずかしくて手で目を覆うと、ルーファスは宥めるように頬にキスをしてきた。
「隠しちゃイヤだよ」
「……うぅ……恥ずかしいです……」
久しぶりに触れられて、どうしていいか分からない。初夜のとき、この羞恥と緊張をどう乗り切ったのかを思い出そうとしたがよく覚えていなかった。とにかくルーファスが優しくしてくれたし、甘かったし、気持ちよく感じてしまっているうちに気をやってしまっていた。
あと覚えているのは、ルーファスがいつも以上に格好良かったということ。自分のすべてを委ねてもいいと思えるほどに魅了されたし、奪ってほしいと強請ってしまうほどに骨抜きにされていた。
きっと今日もそうなってしまうのだろう。そんな予感がする。
欲情して色香が増したルーファスがこちらを見つめるたび、心が鷲掴みされてしまっている。以前よりもやつれたせいか、それとも年を重ねたせいか、滲み出るアンニュイさがさらに色気を助長していた。
心臓がもたないかもしれない。
ルーファスと一緒にいるとき幾度となくそう思ったが、今ほど強く思うときはない。
だから、彼がどれだけお願いしてきても、なかなか顔を覆う手を外せなかった。
「そんなに恥ずかしいならしかたがないね。じゃあ、後ろから可愛がってあげる」
苦笑してそう言ったルーファスはビヴァリーの隣に横たわる。何をするのかと驚いていると、彼はビヴァリーの体勢を変えていつも寝るときのように横向きにして、後ろから抱え込んだ。
背中にルーファスの体温を感じる。耳元に吐息も。
「これなら私が見えないから恥ずかしくない。ね?」
「……いえ、これはこれで、結構恥ずかしいものが……ぁっ」
後ろから伸びてきたルーファスの手が夜着の肩紐を擦り下ろし、乳房に触れてくる。
たしかにルーファスの顔を見なくて済むのだが、自分の身体がまさぐられている様子が如実に分かってしまう。彼の手だけが見えて、顔は見えないのに身体中に伝わってくるぬくもりや、耳元で囁く声や、熱い吐息を敏感に拾ってしまうのだ。柔肉に沈む指先の感覚も鋭く拾い、敏感に感じてしまう。
五感が鋭くなってしまっている感じがする。だからいつも以上にルーファスの手の動きや口の動きが卑猥に感じて、ビヴァリーの欲も煽られていっているのだ。
「……あぁ……ふぁっ……ンぁ……」
胸の感触を確かめるように揉みしだかれる。それと同時にうなじに舌を這わされて、ゾクゾクと背中を震わせた。
「……ひぃ……ンんっ……あぁっぅぁ……」
うなじに吸い付かれ、それだけでは足りないと甘噛みされる。歯先が皮膚に食い込む感覚が何故か気持ちよくて、さらに舐られると声が抑えきれないほどに感じてしまう。
首筋も同様に愛でられた。いわゆる急所と言われる場所は、皮膚が薄い分感じやすいのかもしれない。ルーファスはそれを分かっているのか、執拗に責めてきた。
手の方も、だんだんと胸の頂に伸びてきて、ピンと勃ち上がったそこを指の腹で軽く擦ってくる。ゆっくりとじっとりと焦らすように動く指は、ビヴァリーが反応を見せれば見せるほどに大胆になってきた。
押したり、摘まんだり。そのたびにあられもない声を上げて身体をくねらせる。キュッと頂を人差し指と親指で押し潰されると、そこから白い汁が滲み出てきた。
「……あっ……ダメっ……もれちゃう……」
胸の先から漏れ出る感覚がして弱々しく首を横に振ると、ルーファスはパッと手を離して、こめかみにキスをする。
「ダメ? ……じゃあ、こっちを可愛がってあげる」
クスリと笑う声が聞こえてきて、下腹部――子宮の上あたりに手のひらを押し当ててきた。
もう片方の手は、ビヴァリーの片足をグイっと上げて、股の間に潜り込ませる。ドロワーズの履き口から侵入し、和毛を撫でつけて秘所に。指先で秘裂を割り開くと、そっと指を沈ませた。
クチュ、と濡れた音がする。久しぶりに触られたのにも関わらず、こんなにも感じて濡らしているのを知られて、自分のはしたなさに泣きそうになった。
「……ねぇ、ビヴァリー……ここ、弄られるの、久しぶり……だよね?」
「……はぁ……ンんっあぁ……っ」
ルーファスは蜜の滑りをかりて、指で陰核を刺激してきた。敏感な部分を責めるように何度も擦られて、逃げ腰になった。だが、逃げようにも後ろにはルーファスがいて、逆にがっちりと押さえ込まれてしまう。
「教えて、ビヴァリー。最近、ここに触れた人は……他にいる? こうやって可愛がった人は?」
そんな人、いない。ルーファス以外に許したことなどない。けど、ビヴァリーの嘘が彼を不安にさせてしまっているのだろう。
きっぱりと否定をしたかったが、ルーファスの指に翻弄されて上手く言葉を紡げない。この口から出てくるのは、快楽に咽び泣く声だけ。
でも、伝えたくて、貴方だけだと知ってほしくて懸命に声を絞り出す。
「……っ……いなぁ……ぁっ……あなた、だけ……っ……ひぃンぁっ……あぁ!」
「……よかった」
はぁ、と熱い吐息を吐いて、ビヴァリーの耳に舌を這わせる。
「じゃあ、じっくりと可愛がってあげる」
「……んぁっ」
ルーファスの太い指が膣壁を擦り上げながら奥へと入り込む。中を掻き混ぜ、閉じられたそこをじっくりと解すように。
「だから、ここに私を受け入れて……ビヴァリー」
ここ、と腹の上に置かれた手がグッと押される。そうされることによって意識せざるを得なくなる。胎の中にルーファスのあの逞しい熱杭が穿たれるあのときの感覚を。
ビヴァリーの中を抉じ開けて、膣壁を擦り、そして奥の奥へと大きくて長いものが入り込んでくる圧迫感。ゾワゾワと腰に痺れが走り、それが全身に快楽として伝わっていくあの瞬間。毎回、お腹が突き破られるのではないかとドキドキしていた。
「……あっ……あぁ、はぁ……ひンっんぁ、……あっ」
甦ってくる感覚。ほら、ここにお前の奥まで可愛がってくれるものがやってくるのだと、教え込まれるようにお腹を撫でる手。そして、その準備をしているのだと知らしめ、秘所を解していく二本の指。
「……ふぁ……ぁっ……だめぇ……あぁっ……」
もうそれだけで気持ちが高揚して、達してしまいそうだった。
弱いところなど知り尽くしているルーファスがそこを指の腹で執拗に責めてくるし、ビヴァリーの身体も従順に反応して蜜をしとどに垂れ流した。熱が籠もれば籠もるほどに、水音は大きくなって指の動きもスムーズになる。
指を三本に増やされる頃には、腰がビクビクと痙攣して止まらなくなっていた。
「随分とトロトロになってきたね、ビヴァリー」
「……はぁ……あぁっ……もう、わたし……んぁあっ、あぁ……」
「あぁ、そうだね……達してしまいそうだね。中がヒクヒクしている」
膣壁が蠢き、指をきゅうきゅうと締め付けているのが自分でも分かる。淫らにもっとと強請り、そしてその先に導いてほしいと媚びているのだ。
「……もう……むり……ぃっ」
「いいよ、イって。私に淫らで可愛い姿を見せて」
顔をグイっと持ち上げられて、ルーファスの方へと向けられる。灰色の瞳がビヴァリーの絶頂間近の蕩けた顔を見下ろし、そしてそれを楽しむように舌なめずりをした。
いやらしいのは一体どっちなのか。
そんな凄艶な顔を見せられたら、もうこの衝動には抗えなかった。ルーファスに引きずられるままに高みへと昇っていく。
「……ふぁっあぁ……あぁっ、あっあぅ……あぁっ!」
腰のガクガクと動き、全身に稲妻が走ったように震え上がる。快楽の塊を弾けさせたビヴァリーは、ルーファスに見つめられながらその痴態を晒した。
はぁ……はぁ……と息が乱れ、絶頂の余韻に身体が小刻みに動く。久しぶりに味わった高みは、深く長くビヴァリーを苛み続けた。
「……はぁ……可愛い」
感じ入るように言うルーファスの声が聞こえてきて、顔じゅうにキスを落とされる。中から指を引き抜かれたときも声を上げてしまい、さらにキスが激しくなる。
ルーファスは身体を起こしビヴァリーを仰向けにすると、力の入らない脚を割り開いた。その間に自らの身体を入れて下半身を寄せてくる。
ローブの中からそそり立つものを取り出して、ヒクヒクと震える秘所に押し当てた。
愛撫している最中も、ビヴァリーのお尻の辺りに当たっていたそれ。硬くて熱くて、ときおりビクビクと震えていた。
穂先が秘裂をなぞり、馴染ませるように何度かなぞる。それが焦らされているような感じがして、堪らずシーツに爪を立てた。
ルーファスの屹立が、いよいよ挿入ってくる。身体の奥まで穿ってきて、そして激しく揺さぶられるのだと思うと、想像するだけでまた達してしまいそうになる。
屹立が実際に中に挿入ってきたときには、思わず腰が浮いてしまいそうなほどの快楽が襲ってきた。逃げられないように腰を手で掴まれて、さらに容赦なく穿たれる。
隘路を抉じ開け、膣壁をゴリゴリと擦り上げる屹立は、ビヴァリーの最奥を目指して進んでいった。
最後は焦れたように一気に穿たれて、その衝撃に息を詰める。
「あっ、あっ、まって……あぅ……ンんぁっ」 -
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