書籍紹介
“氷の侯爵”と政略結婚したはずなのに、旦那様の愛が熱過ぎます!
“氷の侯爵”と政略結婚したはずなのに、旦那様の愛が熱過ぎます!
ISBN:978-4-596-75972-6
ページ数:290
発売日:2022年12月27日
定価:690円+税
  • あらすじ

    君を早く私の妻にしたい。名実ともに。
    永久凍土の薔薇と呼ばれる夫が私にだけ甘すぎて!?

    弟の後ろ盾になる結婚相手を探すも、相手にされずに悩むレクシーは、突然訪れた美貌の侯爵ハーヴィーに両家の利益のためにと求婚されて受け入れる。冷徹で永久凍土の薔薇と噂される彼は彼女の前ではとろけるような笑顔を見せ甘く溺愛してくる。「君の奥深くに私を刻み付けてあげるよ」とまどいつつも真摯な彼の愛にほだされるレクシーだが――!?

  • キャラクター紹介
    • レクシー
      ペンフォード伯爵令嬢。弟の後ろ盾になれる結婚相手を探している。

    • ハーヴィー
      社交界で「永久凍土の薔薇」と有名な美貌の侯爵。

  • 試し読み

    「脱がせるのはもったいないね。これを着た君は、本当に綺麗だ。でも、やっぱり……」
    そう言って、ハーヴィーはネグリジェを捲り上げて胸の上まで持っていく。
    「互いに素肌で抱き合いたい」
    それでもいいかな? と聞いてくる彼に、レクシーは小さく頷いた。
    ネグリジェが頭をすり抜けていく感触に、ふるりと背筋を震わせながら、露わになっていく身体を手で隠す。
    こんなに美しい人の前に裸体を晒すことに抵抗を持ったのだが、ハーヴィーはその手すら剥ぎ取った。
    「隠さないで。お願い」
    ハーヴィーの視線が、露わになった身体をじっくりと見つめてくる。
    肌のきめひとつひとつ数えているのかというくらいに見てくる彼の視線に緊張して、徐々に息が上がっていった。
    身体が火照って、肌の下がゾワゾワする。
    視線で犯されているような感覚が、レクシーを高揚させていった。
    「……こうやって、君に触れる日を夢見ていた」
    恋い焦がれ、ずっと求めていたと切ない声で訴えてくる。
    彼の手が首筋を撫で、滑り落ちて鎖骨に。鎖骨の窪みをなぞっていくと、胸の真ん中に辿り着いた。
    「どうしよう……幸せ過ぎて、泣きそうになる。君の心臓の鼓動を直に感じられるくらい近くにいるなんて」
    トクントクン、トクントクン。
    きっと、彼の手には早鐘を打つような鼓動が伝わってしまっているだろう。
    ハーヴィーはおもむろに自分のローブも脱いで素肌を晒すと、身体を密着させてきた。
    「ずっとこうしていたい」
    胸と胸をぴったりとくっつけて、体温を分け合って。
    もう二度と離れないように、ふたりで抱き合っていたい。
    彼の言葉に導かれるように、レクシーもまた素肌で抱き合っていると心地よくなってきた。じんわりと体温が溶け合っていく。
    (……気持ちいい)
    目を閉じて、身体をまるごと包み込まれる包容感や、心が溶けていくようなぬくもりに感じ入る。
    ただ、肌が触れ合うだけでもこんなに気持ちがいい。キスも脳が蕩けてしまいそうなほどに心地よかった。
    もうハーヴィーに何をされても、気持ちよさを拾ってしまうのではないだろうか。
    そんなことを思っていると、彼は首筋に唇を寄せて啄んできた。
    「……んっ」
    くすぐったさに肩を竦めていると、また違うところを啄まれる。
    ときにはそれだけではなく、舌で舐めてきたりして、まるでレクシーの肌を弄ぶかのように愛でてきた。
    ハーヴィーの唇が触れるたびに、疼きが走る。
    最初は気付けないほどに小さなものだったはずなのに、回数を重ねるごとに大きくなっていっていた。
    「……ぁう……ふぅ……うぅン……」
    声が漏れる。それが恥ずかしくて手で塞ぐと、ハーヴィーはさらに声を出せと責めるように、乳房に触れてきた。
    長くてすらりとした指が、レクシーの弾力のある柔肌に食い込む。
    鷲掴むように覆われたそれは、手から少しはみ出している。
    ハーヴィーの指が動くと、乳房がそれに合わせて形を変えていく。それが卑猥で、肉感的で。
    熱い吐息を漏らして、身体の奥底からせり上がってくる熱いものに耐えていた。
    「……可愛い」
    ハーヴィーが独り言のように漏らす。
    その言葉を皮切りに、彼は胸に顔を埋めて舌を這わせ始めた。
    ざらりとした舌の感触が、胸の付け根から山の頂上に向かって這い上がっていき、ときおり肉の柔らかさを堪能するように軽く歯を立てられる。
    指先で胸の頂を擦って馴染ませていくと、徐々に硬くなってきたそれを扱いてきた。
    敏感な部分を巧みな動きで刺激され、レクシーはいよいよ明確な快楽に身体を揺らす。
    「……ふぅ……ンんっ……んぁ」
    先をキュッと摘ままれ引っ張られると、堪えきれない声が口から漏れて、さらに羞恥に追い詰めた。
    舌が頂にまで及んで、指で摘まんだそれに絡みつく。
    指と舌と両方に責められて、ドロドロにされて。異なる快楽に翻弄されて、レクシーは思わず口を開いた。
    「……まってくださっ……あンっ……もっと、お手柔らかに……」
    気持ちよすぎて怖い。
    どれほどハーヴィーがこちらの快楽を引き出すのが上手いのかは分からないが、初めてでこんなにも感じてしまってもいいのだろうか。
    「レクシーが感じやすい身体をしているからだよ。私がちょっと触れただけでも、可愛い顔をして感じてくれている」
    決してハーヴィーが巧みに責めているからではないと言うが、俄かに信じがたい。
    こんなに見目麗しい人ならば、きっと今まで火遊びをする相手くらいはいたのだろう。手練手管はそこで培ってきたから、レクシーが翻弄されるのだと。
    「私は初めてなので……できれば、ゆっくりとしていただきたいのです」
    「初めてなのは私も同じだよ。君がどうすれば感じやすいか手探りでやっていたんだけれど、何をしても感じてくれるから……」
    「え?」
    「ん?」
    レクシーはハーヴィーの言葉に目を丸くした。
    「ハーヴィー様も初めてなのですか……?」
    まさか、そんな。老若男女を魅了し、引く手数多であっただろう彼が、今回が初めて?
    俄かに信じがたい気持ちで瞬くと、ハーヴィーは少々ムッとした顔をしてきた。
    「レクシーだけを愛して求めてきた人生だったんだ。他の女性を相手にするわけないだろう?」
    「ですが、ハーヴィー様は人気がありますし、きっとお相手したいという女性はたくさんいたかと。それに、男性は……その……火遊びをするものだと聞いておりましたから……」
    てっきりハーヴィーもそうなのだと思っていた。
    だから、こんなに自分は気持ちよくなってしまっているのだと。
    火遊び云々の話は、ジャレッドが以前屋敷にやってきたときに言っていたのを覚えていたからだ。
    首筋に口づけの痕を残したままやってきたジャレッドは、それに気付いて気まずそうな顔をしたレクシーに言ったのだ。
    『男は結婚前に火遊びくらいするものだ。嗜みだよ、嗜み』
    当然かのように言われて、そういう知識に疎いレクシーはふしだらなと思いながらも、ジャレッドの言葉を頭に擦り込んでしまっていた。
    ところが、ハーヴィーは違うと言う。
    どれほど言い寄られようとも誘われようとも、レクシーだけを想い、それらを振り払ってきていたと。
    「……も、申し訳ございません……とんだ勘違いを……」
    「そんな勘違いをしてしまうほどに、気持ちよかったということなのだろうけれど……でも、心外だなぁ。こんなにレクシー一筋なのに、火遊びをしていたと思われていたとはね」
    ハーヴィーの笑みに圧のようなものを感じて、レクシーはさぁ……と顔色を失くす。
    むやみに人をこうだと決めつけてはいけないと分かっているのに、何故そんな先入観を持ってしまったのか。
    申し訳なくて何度も謝った。
    「ちなみに、男は火遊びをすると君は教えたのは誰?」
    「……ジャレッドです」
    「……あの男」
    声がスッと低くなり、一瞬、ほんの一瞬だが永久凍土が顔を出した。
    だが、すぐに笑顔に戻り、レクシーの胸元に手を滑らせる。
    「――分かった。じゃあこれから君にとことんまで教え込もう。どれほど私が君しか欲しくないかとか、ジャレッドのような男とは違って一途なのか、とか」
    「あ、あの、申し訳ございません……もう分かっておりますから……」
    今の顔を見れば嫌でも分かってしまう。
    レクシーはただ、胸の中に生まれたモヤっとしたものを解消したかったのだ。
    もしも、彼のテクニックが他の女性と培われたものだったら嫌だなと。
    まさか、こちらを窺いながらも試行錯誤をして手管を変えていた結果だとは露知らず、失礼なことを言ってしまった。
    「君が怖がるようなことはしないよ。ただ、その身体をくまなく味わうだけだからね」
    「あ、味わう……?」
    どういうことかと意味を図りかねていると、ハーヴィーはレクシーの手を取って指先に舌を這わせてきた。
    「ひぁっ」
    指一本一本を丁寧に舐り、指の間に舌を挿し入れて。
    言葉通り、くまなく味わっていく。
    それは手だけにとどまらず、腕や耳や先ほども味わったはずの胸、さらに腹にも及んでいった。
    もう十分思い知ったというのに、ハーヴィーは脚にまで矛先を向けて舌を滑らせていく。
    「……っ……まって……そこは……ンぁ」
    ついには足先にまで辿り着き、あろうことかつま先に口づけたのだ。
    夫に、しかも侯爵にそんなところに口づけられるなんて、あまりの倒錯的な光景に眩暈がしてきそうだ。
    「そ、そんなところまで……」
    声を震わせながら言うと、顔を上げてこちらを見てきたハーヴィーの頬は上気していた。
    「君はつま先も愛らしいのだね。本当、いつまでも愛でていたい……」
    足に頬擦りしながら褒めてくれるが、こちらはもうそれどころではない。恥ずかしさで涙が零れてきそうだった。
    いけない、このままでは羞恥で死んでしまう。ハーヴィーが満足する頃には自分の心臓が止まってしまうかもしれない。
    再び足に口づけようとしていた彼を見て、レクシーは押し留めにかかった。
    「ハーヴィー様! お気持ちは十分伝わりました! 伝わりましたから……その、しょ、初夜の続きをしませんか?」
    「これも初夜の一部だけど?」
    曇りなき眼で言われて、ウっと言葉を詰まらせたが、レクシーは怯んではいられなかった。
    この国随一の美しさを誇る人が自分の足を舐めている姿をこれ以上眺めていたら、卒倒してしまう。
    女性が積極的なのは恥。けれども今はそんなことは言っていられなかった。
    「……早く、ハーヴィー様と……本当の意味で夫婦になりたいと思いまして……」
    もう先に進みましょうとレクシーの方から切り出すと、ハーヴィーはパッと顔を明るくした。
    「そうか! そうだね! 私もレクシーと名実ともに夫婦になりたいよ」
    レクシーから積極的な言葉が出てきたことが嬉しかったのだろう。
    ハーヴィーは声を弾ませて頷いた。名残惜しい気持ちがあるのか、足を撫でているが。
    「まずは、レクシーができれば痛くないようにここを解していこうね」
    脚を割り開き、間に指を挿し入れてきた彼に、レクシーは首を横にブンブンと振る。
    「……もう触るのは十分ですから」
    そういう意味で言ったのに、さらに触られてしまうとは。
    レクシーはどうぞこのまま最後まで突っ走ってくださいませと訴えた。
    「ここだけはしっかり解さないとダメだよ。君が痛がる姿を、まぁ見たくないかと言われれば少し見たい気がするけれど、でも苦しめたくはないからね」
    秘裂を指の腹で撫で、ゆっくりと上下してきた。
    「それに、私との情事は痛くて辛いものだと思ってほしくない。気持ちよくて、幸せなものだと思ってほしいから」
    「……ンぁ……ぁ」
    指を馴染ませるように撫でられていたそこから、蜜が滲み出てくるのが分かる。徐々に濡れた音が聞こえてきていた。
    「すでに随分と濡れているね。私の愛を受け入れて、感じてくれていたということかな? そうなら、嬉しいよ」
    秘裂を開かれ、すでにしとどに濡れているそこを見たハーヴィーがはぁ……と熱のこもった息を吐きながら言ってくる。
    もう誤魔化しようがないほどに秘所を濡らしてしまっていると知っていたレクシーは、身体中を真っ赤に染め上げた。
    ハーヴィーに触れられると、気持ちよくなってしまう。
    もし、それが彼の愛を受け入れているということなのであれば、そういうことなのだろう。
    こちらの様子を窺いながらも、ゆっくりと指を中に挿入れてくる優しさも、「身体の力を抜いて」「そう、上手だよ」と褒めてくれるところも。
    ハーヴィーの愛が溢れているような気がして、心が揺さぶられる。
    だが、蜜の滑りを借りてもそこは狭いらしく、一気にとはいかなかった。
    それでもハーヴィーは根気強く、丁寧に身体の中を開いていく。膣壁を擦り、隘路を広げながら徐々にゆっくりと。
    最初違和感に身体を硬くしていたレクシーも、ハーヴィーの言葉や指の優しさに誘われ力が抜けていった。
    すると、擦られるたびに快楽が生まれていっていることに気が付く。
    肉壁がそれに呼応するようにうねり、ハーヴィーの指に絡みついてきた。
    「……中、凄く熱いね」
    彼の上擦った声が聞こえてくる。
    早くここも味わいたいと瞳の中に欲を滾らせているも、それでもハーヴィーは焦ることなく指をもう一本増やした。
    「……ひぁっあぁ……ンあぅ……あぁ……っ」
    ぐるりと中を掻き回され、抜き差しされて。愛液がぐちょぐちょと卑猥な音を奏でて。
    レクシーの官能が容赦なく煽られていく。

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