Vanilla文庫 ドルチェな快感♥とろける乙女ノベル

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書籍詳細

  • VBL-86_cov_revised
  • 今だけ!イラストチラ見せ

なりゆきで誘拐したら、溺愛されました~王子様と甘い恋の攻防戦~

著者:山野辺りり
イラスト:KRN

ISBN:978-4-596-74537-8
ページ:290
発売日:2017年2月3日
定価:本体590円+税

あらすじ

男爵家末娘のアリシアは、見るからに高貴で美しい男・ライナスの顔に傷を付けてしまい自分の屋敷で手当てすることに。「俺はお前に誘拐されたんだ」脅迫まがいの仮病で居座るライナスに振り回される日々。気付けば初心な身体に淫らな愛撫を与えられ、初めての快感を…。戸惑うアリシアだが、実はライナスの正体が本国の王子だと知ってしまい…!?

キャラクター紹介

heroine_VBL-86アリシア

下級貴族ヴァントレン男爵家の末娘。煌びやかな両親と兄と姉の間で霞みがちな十八才の無垢な乙女。

hero_VBL-86ライナス

最高級の衣服を着た謎の美男子。かなり高位の貴族のようだが……。

試し読み

 下着一枚の間抜けな格好だったアリシアは、仕方なくニナが押しつけてくるネグリジェを着こんだ。柔らかな布はスルリと肌を撫で身体の線に添い、確かに着心地はいい。ただし、こんもりとした胸の膨らみや腰から尻にかけての丸みを浮かびあがらせた。
「……ものすごく卑猥じゃない?」
 微かに透ける肌の色に不安を感じ、アリシアは両の手を胸元で交差した。恥ずかしくて、もじもじと脚を摺り寄せてしまう。形自体は可愛らしいと思うが、それ故にあざとさも否めず、大きく開いた衿ぐりからは俯いただけで胸がこぼれ落ちそうだ。
「まぁあ! とってもお似合いですわ。こちらはまだ奥様の生家が困窮する前に仕立てられた品ですからね。物は素晴らしいんですよ。アリシア様の白い肌によく映えて……! まるでお姫様のようですよ」
「そ、そう?」
 あまり褒められ慣れていないので、満更でもない。アリシアは悪い気がせず、自分でもちらりと鏡を確認した。
 濡れた髪と上気した頬が妙に艶めかしい女が、フリルやレースをふんだんに使ったネグリジェを着てこちらを見つめている。なかなか悪くない。いつもなら好きになれないくすんだ瞳の色も、甘くなりすぎるところへ落ち着いた印象を与えてくれていた。丈は丁度良く、足首まで優雅に覆ってくれている。袖の長さもぴったりだった。
「素敵ね……」
「でしょう? さ、それでは早速参りましょうか」
「え?」
 鏡に映る自分に見惚れていたアリシアは、突然歩き出したニナに手を引かれ浴室を連れ出された。状況が呑みこめないまま引っぱられ、辿りついた先はライナスが寝泊まりしている客室。
「ちょ……!」
「では頑張ってくださいませ、アリシア様!」
 老人にあるまじき力で室内へと押しこめられ、アリシアが振り返ったときには扉は乱暴に閉じられていた。
「ニナ! ふざけていないで開けて!」
「何なんだ、いったい」
 外から押さえているのか一向に開かない扉を叩いていると、背後からライナスの気配が近づいてきた。当然だ。今この部屋を使っているのは彼だけなのだから。
「ラ、ライナス様……あの、これはちょっとニナが」
「こんな時間に、どうした? しかもそんな格好で」
「……!」
 言われてやっと、アリシアは今の自分の姿を思い出した。結構似合っていると悦に入っていたが、それはニナを除く他人には見られないという前提があったからだ。そうでなければ、半分透けている上に身体の線が丸見えな、着ている方が逆にいやらしいようなネグリジェ姿で人前に出るなど考えられない。
「い、いやっ、見てはいけません!」
「見せているのはお前の方だが?」
「それでも駄目です。後ろを向いていてください!」
 慌てて胸元を押さえ、その場にしゃがみこむ。少しでも表面積を小さくしたいという考えの基から出た行動だが、アリシアはこの体勢では胸の谷間を真上からライナスに見られることになるという事実を失念していた。しかも、腕で寄せる形になったため、普段以上に白い双丘は盛り上がっている。
「……それは誘っているのか? それとも無意識なのか? だとしたら、本当にたちの悪い女だな」
「何をおっしゃっているのか分かりませんが、ちゃんと後ろを向いてくださっていますか? 眼も閉じていてください!」
 最早、半泣きで要求しつつ、ライナスの方を確認する。すると、ばっちり彼と眼が合った。
「う、嘘つき……!」
「俺は見ない、と言った覚えはないが」
 むしろじっくり上から下まで見つめられ、燃え上がりそうなほどアリシアの全身が熱くなった。その視線の先が胸の谷間に注がれていることに気がつき、更に体温が上がってゆく。
「変な眼で見ないでください……!」
「変とは心外だな。男が女に興味をなくせば、あっという間に人という種は滅びるぞ。だから、これは当然の反応だ。しかもこんな時間、そんな薄着で飛びこんできたのはお前の方だと忘れていないか」
 至極尤もな反論に、言い返す言葉は見つからない。沸騰しそうな頭は回らず、アリシアは無意味に空気を食んだ。
「こ、これはニナの悪戯……そう、悪ふざけなのです。巻き込んで申し訳ありませんライナス様。私はこれで失礼いたします」
 もう逃げるしかない。すっくと立ちあがり、アリシアとしては滑らかにドアノブを掴んだ。――実際にはギクシャクとした動きだったが。
 だが、無情にも扉は開かず、ガチャガチャと不快な音を立てる。どうやら外から鍵がかかっているらしい。
「ニナ、いい加減にして!」
「……なるほど、そういうことか」
 何をどう解釈したのか、ライナスは口角をあげた。それは、まるで面白い玩具を手に入れた悪人の笑みそのものだ。ゾッと粟立ったアリシアの背に、冷たい汗が流れていく。
「心配するな、アリシア。以前にも言っただろう? 俺は女に恥をかかせるつもりはないと」
「恥なんてかいておりません。ライナス様、もうお休みになられるところだったのでしょう? お邪魔して申し訳ありませんでした」
 後退って逃げようにも、アリシアが立っているのは既に扉の前だ。すぐに行き止まって、背中に硬い感触を感じる。
「そうだな……だが一晩眠らないくらいでは、特に健康への影響はない。俺はまだ若いから」
「ひ……!」
 大きな掌に、頬を撫でられた。ただそれだけなのに、奇妙な疼きがアリシアの中を駆け抜けてゆく。細く骨ばった指先が、こめかみから目蓋、涙袋を辿って耳殻へ至る。耳の穴を意味深に擽られ、その後唇をなぞられた。優しい触れ方は、ときに擽ったく、ときにもどかしい。視線は一度も逸らされることがなく、ずっとアリシアを搦め捕っていた。その間、指一本動かせずにアリシアはライナスを凝視していた。
 恥ずかしいのに、気持ちがいい。そう感じていることを知られたくなくて、余計に頭は混乱する。乱れた呼吸が彼の指にかかってしまうのが心配で、碌に息も吐き出せなかった。ただ黙って、ライナスの手を受け入れる。彼の中指が口内に侵入しても、震える顎は拒絶を示さなかった。
「ふ……っ」
「顔が真っ赤だな。ちゃんと呼吸はした方がいいぞ」
「ん、ふぁ……ひゃいらふ、はま……」
 舌を押さえられては、まともに名前を発音もできない。子供のような舌足らずの言葉に、ライナスは妖艶な笑みを浮かべた。
「お前はそういう涙ぐんだ表情が一番そそるな。もっと泣かせてみたくなる」

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