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試し読み
まるで所有権を主張するかのように、いつになくルシファンが肌を強く吸ってくる。彼に唇を寄せられた場所には、白い肌に赤い花びらが散ったように、うっ血した跡がかすかに残り、その数が次第に増えていく。
まるで、ここも、ここも、ここも、エミリエンヌの全ては自分のものだとルシファンが主張しているかのようだ。
特に抵抗することもなくそれを受けていたエミリエンヌは、上半身だけでなく下半身にもルシファンが移動する素振りを見せ、身体をこわばらせた。
脚を大きく開かせ、太腿の内側に唇を寄せてくるルシファンに、エミリエンヌはおそるおそる声をかける。
「あの、ルシファン……そんなところは触られていないわ」
ルシファンは一瞬動きを止め、ふっと笑うような気配をさせたが、そのままエミリエンヌの下肢に口づけた。
「そうでしょうね。でも私のものだという印をちゃんとつけておかないと……」
そのまま脚の付け根に向かって移動されるので、エミリエンヌは緊張を大きくする。
「こんな場所、誰も見ないのに……」
「私の自己満足ですよ」
秘裂のすぐ近く、薄い茂みに隠れた部分にも何度も口づけられた。
「あっ、ああ……」
秘部に口づけられているわけではないが、だからこそ腹の奥が切なく、もどかしい。口づけられるたびにエミリエンヌは腰を浮かして、それをもの欲しげに揺らめかせてしまう。
「あんっ、あ……ぁ」
「ここを触られることなど絶対にないと思いますが……」
そう念を押しながら、ルシファンはあわいを指で開いてきた。すでにしっとりと濡れていた場所からとろりと蜜が零れ落ち、それを舌で舐めとりながら、何度も口づけをくり返す。
「しっかりと印をつけておきますね」
「あっ、ああ……っん」
口づけられるたびに、エミリエンヌは甘い声を上げて喘いだ。柔らかな襞に、蠢く蜜口に、つんとしこった突起に、余すところなく口づけの雨が降らされていく。ますます硬くなり主張を大きくする突起を、殊更強く吸い上げられ、目の前で火花が散った。
「ああっ、あああん!」
軽く極めてしまったらしく、びくびくと収斂をくり返す蜜口から溢れる愛液を啜り、ルシファンが問いかける。
「どうしますか?」
「え? ……は、あ……」
肩で大きく息を吐きながら、自分の脚の間から顔を上げたルシファンを、エミリエンヌはとろんとした表情で見つめた。
ほんの今まで恥ずかしい場所に淫らな口づけをくり返していたのが嘘のように、きりりとした表情でルシファンがエミリエンヌを見下ろしている。その顔を見ただけで、どくりと身体の奥が脈打つ。
(私……)
もっと身体の奥深くまで彼を欲していることを自覚しながらも、エミリエンヌは乾いた声で問い返した。
「どうって……?」
ルシファンは完全に身体を起こし、エミリエンヌから離れる。脱がされかけていた服を自分で脱ぎ去りながら、タイルの上に横たわるエミリエンヌに問いかけてくる。
「まだ続けますか? それとももっと強い刻印が欲しいですか?」
「あ……」
心の中に隠したはずの欲望を見透かされたような気がして、エミリエンヌは顔を赤らめた。服を完全に脱ぎ去ったルシファンがその場に立ち上がり、エミリエンヌの腕を引いて同じように立たせる。
裸で向きあって立つような格好になり、恥ずかしくて顔から火が出そうだったが、エミリエンヌは自分からルシファンに歩み寄った。
もっと彼が欲しいと思ってしまった心のままに、その身体に抱きつき、震える声で懇願する。
「……ルシファンが欲しい」
褒めるように頭を撫でてくれた手が、エミリエンヌの顎を捉えて顔を上向かせる。上からルシファンの顔が近づいてくる。
「よかった。私もそう思っていました」
嬉しそうに目を細める表情に、胸しめつけられる思いでいるうちに、エミリエンヌは強く抱きしめられ、深く口づけられた。
「んっ……んんっ……」
胸の膨らみはルシファンの逞しい身体に押し潰され、腹部には彼の昂ぶりを感じる。それはエミリエンヌにぐいぐいと押しつけられ、もっと彼が腰を屈めてくれてエミリエンヌが脚を開けば、このまま受け入れられるのではないかと妄想じみた思いに駆られる。
(やだ、私……)
恥ずかしさに頬を染めるエミリエンヌの思考を読んだかのように、ルシファンがエミリエンヌの片脚を大きく抱え上げた。
「あ、や……」
無防備に晒された蜜壺を下から貫くように、ルシファンの硬くて大きなものがぐぐっと押し入ってくる。
「あああっ、あっ……!」
太腿と腰を掴んで、傾きそうになる身体を支えられていても、それはその場に座りこんでしまいそうなほどの刺激で、エミリエンヌは背を反らせて我知らず逃げようとする。その身体を抱きしめ、何度か抽挿をくり返し、ルシファンは結合をより深くした。
「あ、あぁ……ん」
立ったまま彼のものを受け入れているという状態が信じられず、エミリエンヌは身体をくねらせる。しかし胎内にはしっかりと肉棒の感覚があり、恥ずかしさと背徳感で蜜壺が大きく脈動する。
「いやぁ……んっ」
「っ……エミリィ……」
苦しげに息を吐いたルシファンが、反撃するかのように下から最奥を突いてきた。つま先がかろうじて床についているような不安定な状態で、身体の奥を深く穿たれ、エミリエンヌはルシファンにしがみつく。
「あっ、あ、怖……んっ」
掲げさせたエミリエンヌの片脚を腕にかけ、ルシファンは大きく腰を使った。
怯える身体をしっかりと抱きしめられ、床についたつま先が時には完全に宙に浮くほどの激しさで、エミリエンヌは何度も蜜壺を貫かれる。
「あんっ、あ、や……ああっ」
快感の頂に押し上げられるのは早かった。びくんびくんと身体が痙攣し、ルシファンと繋がったままの部分から愛液が溢れる。それでもまだまじわりを解いてもらえない。
「エミリィ……」
「あっ、いや……っん」
身体を反転させられ、壁に手をつかされた。後ろから覆い被さるような格好で、ルシファンが身体を重ねてくる。彼のものを受け入れたままの蜜壺は絶頂の余韻でまだわなないているのに、抽挿を緩めてもらえない。ルシファンに向かって臀部を突き出したような格好になってしまったことで尚更、腰骨を掴まれ深く胎内を穿たれる。
「あんっ、あん……や、だめ……ぇ……え」
極めたばかりの胎内は感じやすく、少しの刺激でもまた昇りつめてしまいそうな状態だというのに、ルシファンにエミリエンヌの制止の声は届かない。
「あっ、また……あ、いや……いやぁ……ああっ」
ルシファンの動きによって揺れる乳房を掴まれ、強く揉まれながら抽挿を早くされる。
「あんっ、あっ、あ――っ!」
ひときわ高い嬌声を上げて、エミリエンヌが何度目か知れない絶頂を迎えたのと、ルシファンのものが胎内で大きく膨らんだのは同時だった。
「エミリィ……っ」
どくんどくんと胎内に注がれる熱い飛沫が、また新しい刺激となって、エミリエンヌの快感を深めていく。
「あんっ、あんっ、あ……っ」
むせび泣き始めたエミリエンヌをふり向かせ、ルシファンは大きく身体を伸ばして唇を重ねてきた。しかしその胎内に己が吐き出したものを馴染ませようとするかのように、ゆっくりと蜜壺を撹拌する動きはやめない。
「んっ……んぅ……う」
唇からも秘部からもルシファンの侵入を許し、自分はいったい誰のものなのか、エミリエンヌは身体に刻まれるような思いだった。ねっとりと舌を絡められながら、びくんびくんと脈動を続ける蜜壺を、尚も執拗にかき混ぜられる。
極め続けているような状態の胎内は気持ちが良すぎて、もう身体がどろどろに蕩けてしまいそうだ。エミリエンヌ自身から溢れ出したものとルシファンが放ったもので身体の奥が埋め尽くされている。
(私は全部ルシファンのもの……)
そう思うと、嬉しく幸せな感情が胸の奥に湧き、その思いをもっと確かなものにしようとするかのように、ルシファンの動きにあわせて、勝手に腰が揺れ出すのを止められない。
「んっ……っは、あ……ああん」
「エミリィ……」
再び腰骨を掴み直したルシファンが、その動きに応えるかのように抽挿を再開する。
「あ、ルシファン……あっ、ルシファ……んっ」
「っ……エミリィ……」
もっともっとと互いを求めあうような行為は、いつまでも終わりの時を迎えそうにはなかった。 -
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