

イラストちら見せ!

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あらすじ
どんな手を使ってでもあなたを奪いたかった
ボロボロの虐げられ令嬢が、美しい愛され妻に!?「あなたは私の光、愛している」家族や領民に嫌われ虐げられてきたエミリアに、美貌の侯爵様が求婚!? 孤児院の子を養子に迎えることを条件に受け入れると、ハロルドはボロボロのエミリアに惜しみなく愛を注ぐ。侯爵夫人として磨き上げられ甘い快感に鳴かされて。幸せを教えられるも、そもそもなぜ会ったこともない彼が庶子である自分に求婚を!?
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キャラクター紹介
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エミリア
貴族の庶子。敬虔に神を信じ、結婚の条件として孤児院の子を養子に迎えた。 -
ハロルド
侯爵。エミリアを幸せにすると心に強く誓う。柔和だがかなりの腹黒策士。
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試し読み
「目が覚めたら、また熱が上がる前にミルクかスープを飲ませ体力をつけるといいでしょう。咳止めにはこのニワトコのシロップを飲ませて。冷湿布も処方しておきますが、熱が下がらないようならもう一度解熱剤を使ってください」
深夜に吹雪の中連れてこられたというのに、医師は快くルッツを診てくれた。医師はヴォーマン家に代々仕えているそうで、領主様のご子息の一大事ならと駆けつけてくれたのだ。これもハロルドが、そして先代が、よき領主であったおかげだろう。
エミリアは医師に深く礼を言い、再び夜の吹雪の中を帰るのは危険なのでそのまま屋敷で一泊してもらうことにした。朝になったら屋敷の従者が医師を家まで送ってくれる。
薬のおかげで熱の下がったルッツはようやくぐっすり眠り、エミリアは女中に様子を見ていてもらうと、ハロルドのもとへ駆けていった。
ハロルドは居間の暖炉の前で、体を温めていた。着替えはしたがまだ髪は濡れていて、雫が首に伝っている。
「ハロルド様……!」
部屋に入ってきたエミリアを見て、彼は「ルッツはどうだい?」とすかさず尋ねた。
「お医者様がお薬を飲ませてくださったおかげで、熱が下がって今は眠っています。ハロルド様がお医者様を呼んできてくださらなかったら、ルッツの命が危なかったそうです。本当にどうもありがとうございました……!」
エミリアはハロルドの前に立ち、深々と頭を下げる。溢れんばかりの感謝の気持ちが込み上げてきて、瞳には熱い涙が浮かんだ。
「ルッツが無事で本当によかった。熱にうなされた苦しそうな顔は見ていてつらかったからね」
心から安堵したように微笑む顔は、父親としての愛情に溢れているようにエミリアの目には映った。それはとても尊く、そして少し羨ましい。エミリアにはこんなふうに愛情を傾けてくれる親などいなかったのだから。
(ルッツもカイも幸せ者だわ。世界一素晴らしいお父様がいて)
エミリアは泣きそうな笑みを浮かべると、彼の両手を取って自分の手でくるんだ。湯に浸け凍傷は免れたが、指先はまだ少し赤い。そこにハーッと息を吹きかけ温める。
「ハロルド様の愛と不屈の精神を尊敬します。私は今日ほど、あなたと家族になってよかったと思ったことはありません」
彼との出会いは奇妙でしかなかった。エミリアは今でもこの結婚の本当の目的がわからない。けれどもハロルドの妻になったことに、もうためらいも後悔もなかった。
『愛してる』の言葉は、もはや疑いようもない。彼は己の持つ全てを躊躇なくエミリアに捧げてくれる。時間も財も知識も繋がりも、ときには命も。これを愛と呼ばずしてなんと呼ぼう。
「……愛してます、ハロルド様。私をあなたの妻にしてくださったことを、心から嬉しく思います」
ずっと孤独で虐げられて生きてきたエミリアは、愛というものを聖書でしか知らない。どれほど尊いのだろうと憧れてきたそれは、想像するよりずっと温かく多幸感に溢れ、そして力強かった。
ハロルドが与え続けてくれたから初めて知ることができた愛。それを受けとめると同時に、エミリアは自分の中にも同じ気持ちがあることを悟った。彼の全てを受け入れ包み込み幸福にしたいと願う、狂おしいほどの情熱だ。
「エミリア……」
エミリアの煌めきを浮かべたエメラルドの瞳に、ハロルドの顔が映る。情熱が伝染したかのように彼も頬を紅潮させていて、その眼差しは熱い。
口づけは夫婦になった晩のあとも時々していた。けれどハロルドが戯れのように軽く口づけてくるだけで、今夜のような甘く激しいものはあの夜以来だった。
「ん、んぅ……」
ハロルドはエミリアの体を固く抱きしめ、強引なほどに深く唇を重ねる。ためらいなく口腔に入ってきた彼の舌はエミリアを味わうように頬の内側や歯列を舐め、舌を絡めてきた。
抱きしめてくる腕は力強く、エミリアはこのとき初めてハロルドの体が雄々しく逞しいと気づいた。高身長であることはわかっていたが、いつもキッチリと三つ揃えを着て温和な雰囲気を纏っている彼は、肉感的なイメージがない。強く背に腕を回されて、初めて彼の体にはしっかりと筋肉がついているのだと知った。
ハロルドの逞しさに気づくと同時に、エミリアは自分の体がなんと華奢で柔らかいのだろうと思う。きっと彼がその気になれば組み敷くことも壊すことも容易いはずだ。
男女の明確な力の差は恐怖でもあるが、彼は自分を傷つけないという安心感がエミリアにはあった。それはとても心地よく、全てを委ねたくなってくる。
「は、ぁ……っ」
激しい口づけから解放されたとき、エミリアの息は弾んでいた。鼓動が激しく鳴るのは呼吸が苦しかっただけでなく、愛するハロルドに包み込まれ求め合っているせいだ。
息を弾ませるエミリアをハロルドは宝物でも見るような眼差しで見つめ、唾液に濡れた唇を親指でそっと拭ってくれる。
「エミリア……わたしの可愛いひと。嬉しくて、愛おしくて、言葉にできない」
夫婦として愛が重なり合ったことを、エミリアもハロルドも感じる。互いを求め合いもっと深く交わりたいと望んでいることも。
ハロルドはエミリアのガウンを脱がせながら、寝間着越しの背中を撫でる。腰に手がふれるとエミリアはゾクリと体を震わせ、それを見たハロルドは顔にキスの雨を降らせた。
ハロルドは片手でエミリアを抱き寄せつつ、自分もガウンとシャツを脱いでいく。露わになった肌は抱きしめられたときに感じた通り綺麗な筋肉がついており、まるで将官のように逞しかった。
素肌で抱きしめられると彼の熱がより伝わり、自分も全てを脱ぎ捨てて直接肌でふれ合いたいという欲が出てくる。ハロルドはその願いに気づいたかのようにエミリアの胸のリボンをほどいたが……寝間着が体から滑り落ちる前に、手を止めた。
「すまない。初めてあなたを抱くのにこんな場所では……」
ハロルドは視線をチラリと室内に向ける。
居間は暖炉が焚かれ暖かいが、当然ベッドはない。あるのは揺り椅子、テーブル、ソファーのセットだけだ。だからといって居間のある一階から寝室のある三階へ移動するのもなんとも興が冷めるし、そもそも夫婦の寝室ではルッツが、ハロルドの寝室ではカイが寝ている。
優しいハロルドはエミリアを大切に思い気遣ってくれたのだろう。ほどいた寝間着のリボンを結び直そうとする。しかし。
「ば、場所なんてどこだって構わない……と言ったら私を軽蔑しますか……?」
リボンを結ぶ彼の手に自分の手を重ね、エミリアは真っ赤に染まった顔で彼を見上げて言った。驚いたハロルドは固まったように動かなくなり、目をまん丸くしている。
はしたないことを言っている自覚はある。けれど場所やタイミングを選んでいたら夫婦が結ばれる機会がないのではと、エミリアは思うのだ。
いつも子供達と寝ているためエミリアはハロルドとベッドを共にできない。しかし今夜は奇跡的にふたりきりだ。カイもルッツも、今はそれぞれ女中がそばについてくれている。ルッツは熱が下がって寝入ったばかりだし、エミリアを恋しがるカイも明け方近いこの時間に起きることは滅多にない。
今夜を逃したらエミリアとハロルドが愛を育む夜は、いつになるかわからないだろう。それに、性に対して前向きなれなかったエミリアにとって、今夜は初めてそれを受け入れたいと思えた夜だ。朝になったら勇気が萎んで二度と同じ気持ちになれないかもしれない。
しかし自分の発言が積極的すぎて、エミリアは恥ずかしさにいたたまれなくなってくる。たまらず俯いて「やっぱりいいです」と逃げ出そうとしたときだった。
突然ハロルドに体を両腕で抱えあげられて、エミリアは「きゃっ!」と短く叫ぶ。
「……あなたは罪深すぎる。そんなことを言われたら、わたしはもう己を止められない。覚悟してくれ」
首まで真っ赤になったハロルドは、俯いて呻くようにそう言った。そしてエミリアをソファまで運びそっと下ろすと、体を組み敷きつつ結び直したリボンを再びほどいた。
「ハロルドさ、んぅ……っ」
ハロルドは急くような口づけをしながらエミリアの寝間着を下へ引き下げる。リボンをほどくと襟元が大きく開くそれは、ふたつの大きな乳房をたやすくまろび出した。
大きくならないようにとエミリアが願っていた胸はその思いに反し人並み以上に育ち、ハロルドの手に余るほどたわわに実っている。普段服の中に隠れているそれは処女雪のように真っ白で染みひとつなく、乳頭はほんのり色づいた桃色だった。
左右の乳房を両方の手で捏ねられ、エミリアは口づけられたまま「ん、ん……」と小さく声を零す。快感はまだわからない。けれど彼の手が胸にふれているという事実だけで、頭が熱くなって体が痺れるような気がした。
エミリアの唇を解放したあとも、ハロルドは頬や首筋に何度も口づけた。それから少し体を起こし、露わになったエミリアの双丘を見て嘆息する。
「なんて……美しい」
そう呟いて今度は乳頭を食んできたハロルドに、エミリアは「あっ!」と高い声を上げて体をビクリと跳ねさせた。肌よりは敏感な場所を吸われて、奇妙な感覚を覚える。
「や、あ……っ、あ……」
ハロルドは乳暈ごと唇に含んだ胸の実を口の中で弄ぶ。もう片方の乳頭も指先で摘ままれ、エミリアは体中に走るムズムズした感覚に腰を捩らせた。
「美しく可愛らしい体だ。この体をわたしだけが抱いていいのだと思うと、歓喜に打ち震える」
胸をねぶり、手と指でその感触を確かめ、うっとりとハロルドは呟く。
彼に称賛されることは初めてではないが、こんなふうに体を褒められるとさすがに恥ずかしくて、エミリアはたまらず顔を両手で覆った。
「もっとあなたを知りたい。……許してくれるね?」
耳もとで囁かれこめかみにキスを落とされ、エミリアは手で顔を隠したまま小さく頷いた。熱い吐息交じりの囁きはまるで媚薬で、心臓が高鳴るごとに体が溶けていってしまいそうだった。
寝間着とドロワーズを脚から引き抜かれ、エミリアの体が全て露わになる。恥ずかしくてピタリと閉じた腿より上部には、柔らかな恥毛が控えめに生えている。ハロルドが指先でそっとそこを撫でると、エミリアの口からは「あ……っ」と小さく可愛い喘ぎ声が漏れた。
必死に理性を保っているハロルドが、コクリと喉を鳴らす。優しく腿を撫でていた手に力が籠められ、エミリアはギュッと目を瞑り覚悟を決めて腿の力を抜いた。
居間はシャンデリアに灯りがともされていて明るい。開かれたエミリアの秘密の花は、ハロルドの眼前に鮮やかに見えたことだろう。
「あまり、見つめないで……」
両手で顔を覆いながらエミリアは掠れそうな声で言うが、ハロルドから返事はなかった。それどころか彼の熱い吐息が脚の間にどんどん近づいてくる。
次の瞬間、エミリアは生まれて初めての快感を知った。胸を弄られ抱えていた奇妙な疼きが、秘裂に舌を這わされた瞬間、愉悦に変わる。
「あ、あぁあ……っ!」
そんなところに口づけてはいけないと拒みたいのに、温かくなまめかしい愛撫に抗えない。慎ましく閉じた花弁の隙間を大きな舌が割り開き、秘めた孔を暴く。うぶなそこはまだ従順な反応を示さなかったが、舌が敏感な芽を見つけ優しくくすぐると、やがて綻び蜜を零し始めた。
「ひ、ぁあっ、や……、そ、そこ……っ、あぁっ」
エミリアは声を抑えられない。敏感な芽に与えられる快感はあまりにも鮮烈で、はしたなく身を捩ってしまう。
そんなエミリアにますます欲を煽られたように、ハロルドは夢中で愛撫した。男を受け入れたことのない蜜口に舌を差し込み、これからの挿入に慣らすように押し広げる。
居間には暖炉で薪が爆ぜる音とエミリアの上擦った声、そして淫らな水音が響いた。大型のソファとはいえベッドより狭い座面で、エミリアは不自由な体勢のまま身悶えた。
「ま、待って……そこはもう……駄目……っ、おかしくな、るぅ……っ!」
快感はひたすら体に募っていき、それは突然爆ぜた。初めての絶頂はあまりにも衝撃的で、全身どころか頭の中まで痺れて動けなくなる。エミリアはしばらく呼吸もできないほど快感を享受し、やがてハァハァと息をきらせた。
「エミリア……」
身を起こしたハロルドは唾液に濡れた顎を手で拭ってから、エミリアの頬に口づける。
「可愛いエミリア。ああ、愛しい。もっともっとあなたを可愛がってあげたい」
熱っぽく囁きながらハロルドは顔へのキスを繰り返し、己の脚衣の前を寛がせた。そしてエミリアの脚を片方ソファの背もたれに掛けて、大きく開かせる。
いよいよ純潔を失うのだと、ドキリとエミリアの鼓動が跳ねた。
ハロルドの体が窮屈そうにエミリアの腿の間に割り入り、男女の秘部がふれ合う。彼は胸の前で祈るように組んでいたエミリアの手を右手で包むと、「あなたを生涯愛すると誓う。愛してる、エミリア。私の光」と微笑んで告げた。その優しい笑みに、緊張で強張っていたエミリアの顔も和らぐ。
瞼を閉じると、そっと口づけが落とされた。そして同時に、蜜口に重量感のある肉塊が押し入ってくる。
「ぃ……っ! んぅっ……」
破瓜の衝撃にエミリアの目尻には涙が浮かんだ。下腹の鈍痛も内臓を圧し潰されるような窮屈さもつらい。けれど自分の中にハロルドがいるという実感の喜びは、苦痛よりも遥かに大きかった。
「大丈夫か、エミリア」
顔を顰め短く息を吐き出すエミリアを心配して、ハロルドが左手で髪や頭を撫でてくる。あまりに彼が心配そうな顔をしているものだから、エミリアは可笑しくなって小さく笑ってしまった。
「大丈夫です。愛する夫を受け入れられて嬉しいのです。……でも、ゆっくり動いてください。まだ少し痛いので」
健気にもそんなことを言う妻に、ハロルドは感激したように頬を染め彼女の顔にキスの雨を降らせた。何度も何度も「愛してる」と繰り返して。
体が馴染むまで待ってから、ハロルドはゆっくり抽挿を開始した。まだ圧迫感には慣れないが、痛みは多少和らいできた。それでもうぶな体はまだ快感を覚えるのは難しい。
ハロルドは額に汗を滲ませ、少し苦しそうだ。思いっきり突き上げたい衝動に耐えているのだろう。欲望を限界まで抑えている表情に、エミリアは密かに胸を高鳴らせる。いつもにこやかな彼の雄々しい姿に無意識の欲情が湧いた。
「少し、激しくするよ」 -
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