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あらすじ
悪戯好きな子猫には、仕置きが必要だな
暗殺を仕掛けたのに、なぜか溺愛が待っていて…!?敵国ベルシュタットの若き王アーサーに政略結婚で嫁いだブランシュは、寝室でアーサーの暗殺を試みるが失敗。それなのになぜか彼に気に入られてしまい、引き続き王妃として過ごすことに。「私はお前を可愛がりたいだけだ」巧みな愛撫に全身を蕩かされ、溺愛してくるアーサーに惹かれていくけれど、ブランシュには守らなければいけない人がいて……!?
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キャラクター紹介
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ブランシュ
パルミナの王女。父王からの密命を帯び、ベルシュタットに輿入れする。 -
アーサー
ベルシュタットの若き覇王。戦場では自ら先頭に立ち軍を率いる。
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試し読み
自分で触れてみせろ。
アーサーにそう命令されたとき、ブランシュは一体何を言われたのかわからなかった。
すでに、アーサーの手で着ているものをはぎ取られたも同然の姿だ。ドレスを脱がされてしまったので、白いリネンの肌着姿で途方に暮れている。
昼日中の明るい部屋の中で、下着一枚の姿を晒すのはひどく恥ずかしい。寝台にぺたんと座りこんで、両腕で、剥き出しの肩をなんとかして隠そうと試みる。
「早くしろ。でないと、私の気が変わるぞ」
「え、でも……何をしろとおっしゃっているのか、わかりません。それよりも、着るものを返してください……!」
ひたすら身体を丸めて隠そうとするブランシュを、アーサーは目もとを細めてじっと見つめた。
ブランシュの寝台には背の高い天蓋がついている。
上掛けを取り払い、邪魔なものをすべてなくした広い寝台の上。
ブランシュの華奢な身体に、アーサーが背後から腕を回す。
太陽の陽射しの中に、ブランシュの白い肌が照らされていた。
ブランシュの耳に吹きこむように囁かれるアーサーの声音は、息苦しくなるくらいに艶めいて脳裏に響く。
「ここに、ひとりで触れたことがないのか」
「……っ」
下着の上から秘所を指であやすようにゆっくりと撫でられ、ブランシュはびくっと身体を震わせた。
「ひとりで触れるって、え……!? まさか、そんなところを……!?」
触れ方がわからない。それにそれは、ひどくいやらしいことなのではないか。
──人前で……アーサーさまの見ている前で、そんなことをしなくてはいけないの!?
「私が教えてやろう。ここを、こうやって触るんだ」
いやがって逃げようとするブランシュの手を取り、強引に秘所に導かれる。
アーサーの腕の中で、ブランシュは聞き分けの悪い子どものように暴れて抵抗した。
「いや、いやっ! そんなところ、触るところじゃない……!」
「ただ触れるだけではだめだ。こんなふうに擦ったりして入り口を刺激してみろ」
アーサーがブランシュの手を上から押さえ、自分の指のように蠢かせる。
足の付け根をみだらに、押しつけるようにして刺激させられる。
ブランシュはアーサーの腕の中で、真っ赤になって叫んだ。
「や、や……!」
思い出した。
──あの変な薬を飲まされたときに、身体がこんなふうになったんだったわ……!
生まれて初めて狂乱した夜の感覚がまざまざと蘇ってきて、ブランシュの肌がざっと粟立った。
快感ではなく、恐怖のために。
「だめ、そこはだめ! いや! もうやだあ……!」
泣き叫んで抗うブランシュの身体を、温かい腕が優しく抱き締めた。
「──ブランシュ。怖がることはない。これはあのときとは違う。わかるか?」
「何が、違うの……っ?」
アーサーがふっと苦笑いして、ブランシュと向かい合うように抱え直した。
ブランシュがぽろぽろ涙を零しているのを見て一瞬、痛ましそうに眉間に皺を寄せた。
少し屈むようにしてブランシュと視線を合わせて、ゆっくりと言い含める。
「あれは尋問だった。今は違う。私はお前を可愛がりたいだけだ」
「可愛がる……?」
「そうだ。そもそもお前は私の妃だ。そのために王城へ来たんだろう? つまり、このベルシュタットに足を踏み入れたときからお前は私のものだ」
なんだか、とんでもないことを言われているような気がする。
でも、嬉しくて。
ブランシュの頬がほんのりと薄紅色に染まる。
「私は、アーサーさまのもの?」
「そうだ。だから私はお前のすべてに触れたいし、見たい。構わないだろう。お前は私のものなのだから」
アーサーのものだとはっきり言いきられるのは、率直なところ、とても気分が良い。
ブランシュの胸の中を、あたたかなものが満たしていく。
「私が、アーサーさまのものになったら」
ブランシュが自分からアーサーの胸に顔を寄せた。
子猫のようにあまえるしぐさだ。
「私はこの先、ずっと、孤独にはならない……?」
ひとりぼっちで冷たい場所に放っておかれることが、何より怖い。
「寂しいのは嫌いか?」
「大嫌い」
わかった、とアーサーが頷いた。
「王城を留守にすることは多いかもしれんが……この先、お前を寂しがらせないうちに帰ってくると約束しよう。ただ、数日くらいは我慢しろ」
「ん……っ」
抱き締められ、アーサーの引き締まった肌の感覚を頬で知る。こうして触れ合っていれば、怖いものなど何もないような気がしてくる。
「ブランシュ。今から私がすることは、恐ろしいことではない。私を信じて、身を委ねろ。いいな?」
鼻先を突き合わせて言われ、ブランシュはすなおに頷いた。
「──何をしてもいいです。アーサーさまは意地悪だけど、極悪人じゃないって知ってるから」
「こら。一言余計だ」
お互いに目と目を合わせて軽く吹き出したあと、熱烈な口づけが降ってくる。頭の中を溶かされてしまいそうな熱に、ブランシュはあまく呻いた。
「頭が、くらくらする……」
アーサーの瞳孔がわずかに開き、濃厚な戯れが再開される。
大きな胸に背中をもたれさせて座り、足を大きく開かされ、閉じられないように固定されてしまった。
「最初は少し痛いかもしれないが、こうして触っている間に濡れていく。ほら、やってみろ。ここだ」
アーサーがブランシュの手を取って、足の付け根の奥、ブランシュがもっとも秘密にしておきたい場所へと導いていく。
蜜壺の硬い怯えをほぐすようにアーサーが、ブランシュの指を操る。
「やっぱりそれ、やだ……っ」
「痛いか?」
「痛くはない、けど……でも」
刺激され続ければ、秘肉は潤んでいくものだ。
「やだ、指がなんかぬるっとする……っ」
「そのまま続けろ」
「う~……っ」
下腹部から太もも、爪先にかけて、あまい痺れが走っていく。
桜色の爪先がびくびく震え始め、聞くに堪えない水音が、くちゅくちゅと響いて恥ずかしい。
指によって生み出される快楽は、強烈だった。ブランシュがどんなにこらえようとしてもこらえられない。
あまい痺れが身体を蕩かせ、悦楽が全身を絶え間なく貫いていく。
頭の芯まで痺れて、ブランシュの脳裏は何度も真っ白になり、意識が遠のきかけた。
あまりに強い悪戯に、吐息を乱しながら降参の白旗を掲げる。
「もうやめる、アーサーさま、もう無理!」
「自分では達せそうにないか……仕方ない、選ばせてやる。お前の指で達するのと私の指と、どちらかを選べ」
額に口づけを落とされ、白い喉を仰け反らせて、ブランシュは訴えた。
「アーサーさまがいい……!」
片手で顎を掴まれ、口づけをされる。同時に蜜壺に情け容赦なく侵入した指先が、敏感な秘肉を擦り上げる。
自分の指では到底得られなかった刺激に、ブランシュはアーサーと舌を触れ合わせたまま、声にならない悲鳴を上げた。
「んんん……っ! っふ……!」
「お前のように怖々触れているだけでは、いつまで経っても終わらない」
舌先から透明な糸が引き、ブランシュは濃厚な接吻の余韻に浸ったまま、息を弾ませた。
びくん、と脚が跳ね上がる。
「慣れてきたら、指をこういうふうに増やすんだ」
ブランシュの細い腰が躍り上がり、アーサーの長い腕で押さえこまれる。
全身の血が一滴残らず沸騰してしまいそうで怖いのに、とてもあまやかでうっとりするくらい幸せで、抗えない。
「あ、あ……っ」
押し寄せる快楽の波に、ブランシュが次第に慣れてきたのを見計らい、アーサーが唐突に体勢を変えた。
「アーサーさま?」
ブランシュは仰向けに寝かされ、無防備な太ももに手をかけられる。
「……?」
ブランシュがきょとんとしていると、アーサーがおもむろに身を屈め──あろうことか、肉厚の舌で悪戯を始めた。
さすがに黙って受け入れることはできない。
「アーサーさま、だめ!」
「暴れるな」
指とはまた違う、凶悪な刺激だった。
快楽の質が違う。
花芯を舐め上げられ、ブランシュは生まれて初めて味わう官能に翻弄される。
爪先をぎゅっと丸めたり伸ばしたりして快楽に耐えようとしてみても、まるっきり無駄だった。
アーサーの舌がわざとらしくゆっくり離れ、そして触れる。
花芯をきつく吸い上げられたかと思うと蜜壺の奥深くにまで舌をこじ入れられ、もうどうにも耐えられない。
「ああ、や、だめそれ、あっ!」
何かが身体の中から溢れ出す。迸る。
「あああああ……っ!」
全身が、快楽に震えてどうしようもなかった。
はあはあと胸を喘がせ、泣きじゃくるような呼吸を繰り返す。
細いふくらはぎが痙攣し、下肢に蜜がしたたり落ちて濡れる。
「……ぅ、っふ、ぅ……」
絶頂に達したブランシュが、放心して眼差しを宙にさまよわせる。アーサーが身を起こし、真上からその顔を覗きこんだ。
「声も出ないほど良かったか?」 -
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