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試し読み
大きな手が急くようにして夜着の裾を捲り上げ、ドロワーズを引き下ろす。瞬く間にレティシアの素肌が晒されると、ジークもまた素早く上着を脱いで彼女へ圧し掛かった。
わずかな照明の中でも分かるほどに、露わになったジークの肉体は雄々しく逞しい。裸の胸板がレティシアの胸の膨らみを押し潰すと、既に尖り切っていた乳首から鋭い快感が走り、喉を甘く震わせた。
「まさか、口付けただけでこのようになってしまったのですか?」
「そんな……っ、言わな……違っ……ッ」
ジークの手が胸の頂をきゅっと摘まむだけで、レティシアは言葉を失い、はしたない声を上げてしまう。もう片方の手は彼女の体を撫でながら下肢へと向かい、閉じていた足を優しく、けれど有無を言わさぬ手つきで広げた。
「あぁ……っ!」
ジークの指は躊躇いなくレティシアの秘裂へと潜り込んだ。既にそこはたっぷりと蜜で濡れていて、指先で軽く肉襞を開くだけで奥からとろりと滴り落ちるほどだ。
「違う、とは……まさか、私が来る前から、こんな風に蕩けていたとか?」
濡れた指先で肉の蕾を弾かれ、堪らず腰が跳ねてしまう。
ジークの言うとおりだ。夜の帳が下りる頃には、レティシアの体はもう自分のものではないかのように甘く、熱く昂っていった。ずっとそんな体を持て余したまま、いつ訪れるともしれないジークを待ち続けていた。
(私……いつから、こんな淫らになってしまったの……?)
蜜を纏わせるように肉芽を捏ねられると、それだけで頭の中が痺れるほどの快感が走る。レティシアはただ嬌声を上げることしかできない。甘い刺激に震えるたびに、体の奥から蜜がとぷりと溢れ出る感触がした。
強い快感に腰を揺らすレティシアを、ジークは愉悦を含んだ瞳で見つめていた。
「そう。もっと私の指の動きを感じて……可愛らしく啼いてください……」
反応を楽しむように、ジークの長い指は巧みに快楽を引き出していく。
「やぁ……っ……ジーク、もう、だめ……やめっ……」
ジークの指が肉芽を擦るたび、溢れ出した蜜がにちゅにちゅと音を立てる。まるでレティシアの耳までも犯していくように。
このままではどうなってしまうのだろう。未知の快楽に昂った体がまるで自分のものではないように思えて、レティシアはたまらずジークに縋りついた。
「私、おかしくなっちゃ……こわ、い……っ」
「おかしくなってしまいなさい、レティシア。貴女はただ、与えられる快楽に身を委ねていればいい」
華奢な体を震わせるレティシアへ、ジークは愉悦に満ちた眼差しを向ける。
「……乱れている貴女は、とても綺麗だ」
ジークは譫言のようにそう囁くと、レティシアに口付けながら、その体を導くように巧みに指を動かした。
何かがせり上がってくる感覚が徐々に強くなるのが分かる。
「っ……!」
閉じた目の裏で火花が散るように、レティシアは絶頂を迎えた。
ぴんと張り詰めていた体が弛緩する。ジークは愛しそうにレティシアの頬へ口付けを落とすと、先ほどまで肉芽と戯れていた指でゆっくりと熱い秘裂を割り開いた。
ジークの指が差し入れられると、蕩け切ったその場所はいとも容易くそれを受け入れる。
ゆっくりと始まった指の抽挿は、次第にその動きを早めていった。ぐじゅぐじゅと、激しい水音が部屋の中に響く。
「ほら、聴こえますか? こんなにもいやらしい音を立てて……貴女のここが、私を飲み込んで、きつく締め付けていますよ」
わざと辱めるようなジークの言葉。羞恥を煽られると、レティシアの体はますます敏感に彼の指が与える快楽を感じるような気がした。感じるところを容赦のない指遣いで擦られて、レティシアは涙を零しながら喘ぐことしかできない。
「ここが快いのですか? ……それとも、ここ? 喘いでばかりではわかりませんよ」
ジークの指は的確に弱いところを擦り上げる。急き立てるような囁き声が、レティシアをますます淫らに乱れさせた。
「っ……ああっ、あっ、ッ……あああっ、ああっ!」
なんだか、今日のジークは妙に意地悪くレティシアを追い立てている気がした。
――いや、そもそも帰りの時点で彼はおかしかったのだ。彼とは何度か一緒に出掛けているが、馬車の中であんな風に戯れを仕掛けてきたことなんて、今までに一度もなかった。
「もしかして……ユリアン様に会ったから、ですか? ――ッ!」
喘ぎ声の合間でその名前を出した途端、胸の頂に歯を立てられた。鋭い痛みにレティシアの唇から悲鳴が零れる。
「っ……すみません。……やはり、貴女の目は誤魔化せないようだ」
歯を立てたことを謝罪するように、ジークの舌が丹念に胸の頂を愛撫する。ただそれだけで、痛みに怯え縮こまった体は快楽を思い出すかのように震えた。
「ジーク……っ、あっ! ……ッ、どういうこと、なのか……話し……んンッ!」
与えられる快楽に溺れそうな意識をなんとか引き止め、レティシアは吐息の合間で必死で言葉を紡いだ。
けれどジークは無言のままレティシアの胎内から指を引き抜くと、下穿きの前をくつろげ、自らの欲望を露出させた。
ぐずぐずに溶け切ったレティシアの蜜壺へ、張り詰めた熱い切っ先が宛がわれ――。
「ふぁ……ッ、あっ……あっ、あっ、ああーっ!!」
一息で奥へと潜り込むと、ジークはゆっくりと腰を動かし始めた。
肉杭で内側を抉られるように突かれ、引き抜かれる。熱くて重苦しい、まだ慣れないその感覚は、息を詰めて耐えるうちにやがて甘い快感へ変わっていく。
レティシアが甘い吐息を零し始めると、ジークは腰の動きを早めた。
「ああ……貴女の中は蕩けそうなほどに熱い……」
肉襞を捲り上げ、押し入るように繰り返される抽挿。灼熱の欲望は幾度もレティシアの弱いところを擦り上げた。
「ほら、わかりますか? ここを擦ると、貴女の中がきつく私を締め付けてくる」
「やっ、言わないでぇ……」
快楽に蕩け切った顔を隠すように、レティシアは両手で顔を覆った。
「どうして隠すのですか? こんなに可愛らしい顔をしているのに……」
しかし、そんな些細な抵抗は長く続かない。ジークはレティシアの両手をシーツに繋ぎ止めるように、柔らかく指を絡めた。
見られている。熱情を孕んだジークの瞳が、乱れるレティシアに注がれている。
ジークの欲望が押し入るたびに淫らな声を上げて、気が遠のきそうなほどの快楽に涙を零すレティシアを、愉悦に満ちた表情で見つめている――。
そう思うだけで、レティシアの蜜壺は知らず、ジークの欲望をきゅっと締めつけた。
「……ほら、また締まった」
レティシアの反応を悦ぶように、ジークが肉杭をぐりぐりと最奥へ押し付ける。途端、新たな快楽が胎内に広がり、レティシアはすすり泣くような声を上げた。
「見られるのがお好きなのですか?」
「違……っ、ああっ、あっ……んっ……!」
「では、どうして?」
必死に首を横に振るレティシアの耳元で、ジークは熱い吐息と共にそう囁いた。
「お願いします。教えてください、レティシア……」
滴るような欲望を秘めたジークの声に、レティシアはぞくぞくと背筋を震わせる。 -
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