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あらすじ
あなたを絶対に手に入れたかった
イケメン侯爵様にベタベタに甘やかされてます!?伯爵令嬢リリアーヌは、父の借金のカタで美貌の侯爵シルヴィスに嫁ぐことに。「ずっとあなたのことが気になっていた」彼が自分を娶るメリットがわからず戸惑うリリアーヌにシルヴィスは彼女が初恋だと告白し、溺愛してくる。甘く優しく触れられ蕩かされていくうちに、彼への想いが大きくなるリリアーヌだがある日見知らぬ美女が彼を訪ねてきて―!?
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キャラクター紹介
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リリアーヌ
伯爵令嬢。父親が賭けに負け借金のカタとしてシルヴィスに嫁ぐ。 -
シルヴィス
元海軍将校。父が死にエルデ侯爵となる。
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試し読み
「態度で示すべきなんだろうか?」
そう言ってシルヴィスが再び唇を重ねる。先ほどと同じ荒々しい口付けだ。
呼吸ができない。シルヴィスが怖い。体と心、両方の苦しさから涙がにじむ。シルヴィスを押しのけたいが、男の体はびくともしない。
最初は無理やり、力ずくでリリアーヌの口腔内に押し入ったシルヴィスの舌先だが、お互いの熱がなじむ頃、様子が変わってきた。無理やりさが抜け、追い回される怖さが薄らぐ。そのかわりひたすら執拗にシルヴィスはリリアーヌを求めてきた。
リリアーヌの舌先をシルヴィスが吸い上げては転がす。ピチャピチャという粘着質な音がやけに大きく聞こえる。二人の距離が近いこと、呼吸が苦しいこと、何より深い口付けに翻弄されていることで体温が上がり、やがて体の奥にもどかしい熱がともる。
風邪を引いて高熱を出した時の苦しさに似ている気もするし、まったく似ていない気もする。
口付けを交わしたまま、あごに触れていたシルヴィスの手が滑り降りてリリアーヌの首筋を、肩を、そこから伸びた腕を撫で、手の甲から指先をなぞり、指を絡めてくる。
伝わる男の体温の高さに体から力が抜け、リリアーヌはされるがままシルヴィスから口付けを受けていた。
この時間がずっと続けばいい、そんなことを思い始めていた矢先、シルヴィスが唇を離して居住まいを正す。
なんだろうと思っていたら、ほどなくして馬車が停まった。外を見るといつの間にか馬車はエルデ侯爵家のタウンハウスに到着していた。
御者がドアを開け、いつも通りシルヴィスが先に降りてリリアーヌに手を差し伸べる。いつもと違ったのは、出迎えのメイドにリリアーヌを任せることなく、リリアーヌをそのまま二階に連れていったことだ。
連れ込まれたのはシルヴィスの部屋だった。このタウンハウスの主人の部屋ではない。主寝室をリリアーヌに譲っていることから、シルヴィスは客室のひとつを使っているのだ。シルヴィスが帰ってきても困らないようにと、小さなランプだけが灯っている。
「シルヴィス様?」
リリアーヌを先に部屋に入れたあと、後ろ手にドアを閉めるシルヴィスにリリアーヌが聞き返した途端、シルヴィスが大股に近づいてきてリリアーヌの腕をつかみ、部屋の奥にあるベッドの上に乱暴に押し倒す。
「シル……っ」
慌てるリリアーヌの上からのしかかり、その腕をベッドに縫い留めてシルヴィスが再び口付けてくる。ねっとりとした舌使いに、あっという間にリリアーヌの体からが抜ける。先ほどシルヴィスによって灯された体の奥の炎は、シルヴィスの口付けであっという間に強さをましてリリアーヌを呑み込んでいく。
「ずっと我慢していたんだ。本当はこうしたかった」
さんざん口付けでリリアーヌを翻弄したあと、シルヴィスが唇を離してリリアーヌに囁く。そしてリリアーヌが何か言う前に、リリアーヌの白い喉元に唇を寄せて吸い付いてきた。
リリアーヌが突然のことに驚いて体をのけぞらせたのをいいことに、喉から首筋を舐め上げては時々吸い付く。
「待って、シルヴィス様……っ」
体をよじりたくても、リリアーヌの体はシルヴィスの大きな体に押さえつけられていて身動きができない。
頭をよじると首筋を晒してしまい、シルヴィスに吸い付かれるのでろくな抵抗もできない。しかも吸い付かれる刺激がいやなものではないから厄介だった。ちゅっと吸われるたびになんともいえない心地よさが体中に広がり、もっとと願ってしまう自分がいた。
冷静に考えて、男の人に首筋を吸われて喜んでいるなんておかしい。おかしいから抵抗しなければならないと思うのに、心とは裏腹に体からは力が抜けてシルヴィスのなすがままになっている。
「もう少しリリアーヌがこの生活に慣れてから、と思っていたが、考えが変わった」
さんざんリリアーヌの首筋から胸元にかけて舌先を遊ばせたあと、シルヴィスが体を起こして呟く。
「言葉を尽くしても伝わらないのなら、態度で示すしかないよな」
シルヴィスの声音が冷たい。
――私、シルヴィス様を怒らせてしまった……。
そう悟り、青ざめるリリアーヌの前でシルヴィスが首元のタイを解いて、床に投げ捨てる。
それからわずか数分後、リリアーヌはベッドの上で下穿き姿にされていた。
注文した最新のドレスは、従来のものよりもずっと着脱がしやすくなっている。
その特徴を逆手に取られてあっというまにドレスを剥かれ、その下に着けていたコルセットもシュミーズも剥ぎ取られ、たった今、リボンで膝上に留めていた絹のストッキングを脱がされたところだ。
「何か言いたいことは? 聞き届けてやれるかどうかはわからないが」
シルヴィスがシャツを脱ぎ、あらわになった胸を両腕で頑張って隠しているリリアーヌの上にのしかかりながら聞いてくる。
軍隊にいたというだけあって、しっかり筋肉のついたシルヴィスの裸体は、とても美しかった。その美しい裸体が部屋に置いてある小さなランプの光に浮かび上がる。
「その、本当に……? 貞操を失えば、私……」
直視できず、リリアーヌは目を逸らしながら上ずった声で答える。
「俺に嫁ぐしかないリリアーヌが貞操を気にするのも、おかしな話だとは思わないか? それにあなたのことだから、本当にいやならもっとはっきりと抵抗しているだろう」
シルヴィスがリリアーヌの両腕をまとめて腕一本で拘束する。
「……っ、だとしても、結婚式より前にこういうことをするのは……っ」
シルヴィスの視線が胸に向けられていることに気付き、リリアーヌは真っ赤になりながら答えた。
「さっき、リリアーヌは結婚式の日取りが決まっていないことを気にしていたな。婚姻契約書のことも」
シルヴィスが顔を寄せてきてリリアーヌの首筋を舐める。
「俺はこの国のしきたりに詳しくない。不備があったのなら作り直そう。リリアーヌを蔑ろにする意図はない。結婚式に関しては双方のすり合わせができていないから、保留にしただけだ」
耳元で低く囁かれ、リリアーヌは恥ずかしさのあまり唇を噛みしめた。どうやら盛大に勘違いしていただけのようだ。何度目の勘違いだろう。シルヴィスが怒るのも当たり前だった。
シルヴィスの舌がそのままリリアーヌの耳朶を舐め上げては唇で食む。敏感な場所を丁寧に探られて全身に強烈な快感が走る。それも淫靡で、官能的な。経験がなくてもわかる。
「それじゃ、私は……」
「クレアは性格が悪いんだよ」
リリアーヌの言葉を遮り、シルヴィスが言う。
「引きこもりのくせに、俺が婚約者を連れていくと知って出てきたくらいだぞ。俺をダンスに誘ったのもそう、リリアーヌの反応を見るためだろう。あいつの相手はするな。こっちが困っているのを見てニヤニヤするタイプだから」
「そんな」
「もっとも、あいつのおかげで思ったより早くリリアーヌを手に入れられそうではあるな。あいつに感謝なんてしたくもないが、今日は一応感謝してもやってもいいかもしれん」
ずいぶんな言葉を吐きながら、シルヴィスの頭が下っていき、リリアーヌの乳房に舌先を這わす。シルヴィスの右手はリリアーヌの両腕を拘束し、左手はリリアーヌの脇腹の横に突かれており、さらに下半身はシルヴィス自身の体に抑え込まれており、ほとんど身動きができない。
舌先が裾野からだんだんとてっぺんに向かって上がってくる。かと思えば、また裾野に下りる。くすぐったいのと、恥ずかしい場所を舐められているという羞恥心から、リリアーヌは真っ赤になった顔を背けるのが精いっぱいだった。
とはいえ、シルヴィス自身はリリアーヌの胸元に顔をうずめているので、リリアーヌの表情を見ることはできないのだ。自分の視界の中で、シルヴィスの黒髪がうごめく様子を見たくなかった。
体の奥がじんじんする。熱は特に下腹部、脚の付け根のあたりに溜まっているようで、太ももがわななく。なんとかして熱を逃がしたい。もじもじと体を動かしてみるが効果はない。
苦しい。つらい。どうしたらいい? 全部シルヴィスのせい。それはわかるが、シルヴィスになんと言えばいいのかわからない。リリアーヌが涙目になってきた時、不意にシルヴィスの唇がリリアーヌの胸の頂を含んだ。
「はぅっ!」
今までの皮膚への刺激とは違う、特に敏感な部分への刺激に思わず背中が浮く。下半身に溜まっていた熱がどろりと溶け出し、脚の間からこぼれて下穿きにじんわり広がる感覚が伝わってくる。
――わ、私、どうしよう……こんな時に、粗相をしてしまうなんて……!
いい大人なのに、恥ずかしすぎる。
「リリアーヌはこれが好きか。何もしていないのにこちら側も勃ってきているな」
羞恥に震えるリリアーヌのことなどお構いなしで、シルヴィスが今度は反対側の胸の頂を含む。
「あ……ふぅん!」
反対側は刺激に慣れていないため、口に含まれた途端に再び強烈な快感がリリアーヌを貫いた。鼻から抜けるような妙な声が出るし、足の付け根から熱い何かがあふれ出して下穿きに広がっていくのがわかった。
どうやら粗相は、リリアーヌが気付かない間も続いていたらしい。
どうか気付かれませんように、と祈る気持ちでいるリリアーヌの腹を、すっとシルヴィスの左手が撫でる。そしてそのままその左手が下穿きの中に滑り込んでいく。
「ま、待って……っ」
足を閉じたい。手を追い出したい。でもどちらもできなかった。シルヴィスの大きな指が容赦なくリリアーヌの秘所に忍び込み、ぬるつきを確認するように一帯を撫でる。
恥ずかしさで死ねるのなら、今この瞬間に絶命できるだろう。だがリリアーヌにできることは真っ赤になって涙をあふれさせながら、羞恥に耐えることだけだ。
「これは、ずいぶんと濡れているな」
案の定、シルヴィスが胸の愛撫をやめて顔を上げ、驚いたようにリリアーヌを見つめる。
「わ、私だって好きで粗相をしたわけでは……っ」
「粗相? これは粗相ではない。女は感じるとここから、こんなふうに、蜜がこぼれる」
シルヴィスがぬかるみの源に指の腹を這わせる。確かにそこは、小水が出る場所とは違うようだ。
「けれど、口付けと胸への愛撫だけでここまで濡れるなんて思わなかった」
「……っ、私に不満があるなら」
「不満? 何を言う、大満足だよ」
シルヴィスがそう言って再びリリアーヌの胸に顔を寄せ、頂を含む。同時にぬかるみに這わされた指がぬかるみの近くにある陰核に触れてくる。
「ん、ふう!」
体の中で最も敏感な場所に触れられて、体が跳ねる。
シルヴィスの舌が、指先がリリアーヌを的確に追い詰めていく。体の奥がたまらなく熱く疼く。膨らんでいく感覚がなんなのかわからないまま、恥ずかしいと思う余裕もなくなり、リリアーヌはシーツをつかんで喘いだ。
「どうもうまく伝わっていないようだが、俺はあなたと出会ってからずっと、あなたのことが気になっていた。独身でいると知った時、絶対に手に入れなければと思った」
シルヴィスの指先が陰核から滑り降り、今度はぬかるみの源を撫でる。
リリアーヌは募るもどかしさのあまり、頭を振った。体が熱くてたまらない。いつの間にかびっしょりと汗をかき、長い金髪が額や頬に貼りつく。
シルヴィスの指先がぬかるみの中につぷりと差し込まれる。
未知の感覚に体がわななく。
指先が隘路を開いて中を撫でまわす。痛みはなかった。最初はあった違和感も撫でまわされているうちにだんだん薄れ、快楽に置き換わっていく。
「婚約してからは、こんなふうにリリアーヌを抱く日を楽しみにしていた」
シルヴィスの告白が心に染みこむ。そんなにリリアーヌのことを想ってくれていたのに、自分ときたらなんと幼稚な振る舞いをしてしまったことだろう。シルヴィスの事情を知ろうともしないで、一方的に決めつけて。
「シ……シルヴィス、さま、ごめんなさい……、私……!」
「反省はいい。今はただ感じてくれることだけが俺への詫びだ」
シルヴィスの言葉にリリアーヌはこくこくと頷いた。たまらなく気持ちいい。その気持ちいいがどんどん大きくなっていく。どこまで大きくなっていくのかわからない。
「あ……あああああっ」
ほどなくリリアーヌの体を大きな衝撃が突き抜ける。高い場所から投げ飛ばされ、どこまでも落ちていくような感覚。
一瞬、気を失ったのかもしれない。
衝撃が去ると同時に体から力が抜ける。
「こういうことは初めてだよな? だとしたら、俺は極上の花嫁を手に入れたのかもしれない。あなたが敏感で嬉しいよ、リリアーヌ」
言いながら、シルヴィスがすっかり弛緩したリリアーヌの上で膝立ちになり、はいたままだったスラックスのボタンに手をかける。
前をくつろげほんの少しずらしたスラックスから、シルヴィスの肉杭が飛び出す。
リリアーヌはその大きさと太さに目を剥いた。
ぼんやりとした知識はある。裸で抱き合い、男性の雄芯を、女性の体の奥に差し込むのだ……そして最初はとても痛いと、結婚が早かった友達が教えてくれた。でも何回か繰り返していると慣れてくるわよ、とも。
「む、無理……!」
「できるだけ優しくする。約束はできないが」
スラックスを膝まで下ろすとそのまま脚を抜き、生まれたままの姿になったシルヴィスがリリアーヌに覆いかぶさる。両手を絡めてシーツに縫い留められ、唇が重ねられる。リリアーヌの口の中に差し込まれたシルヴィスの舌先は熱くぬめっていた。その舌がリリアーヌを求めて動く。
舌だけではなく、指も、胸も、腹も、重なる部分のすべてが熱い。
体が熱くなっているのは自分だけではないのだ。シルヴィスも同じなのだ。
硬いものがリリアーヌのぬかるみ部分に押し当てられる。
これが中に入ってくる。腹につくほど反り返っていた肉杭を思い浮かべると、どうしても体に力が入ってしまう。だがシルヴィスは肉杭の先端でリリアーヌの秘所を撫でるだけだ。
陰核を刺激されてたまらなく気持ちがいい。でも物足りない。もっと強い刺激がほしい。
「腰が揺れているよ、リリアーヌ」
唇を離してシルヴィスが囁く。
「……っ、だ、だって……!」
「初めてなのにここまで物欲しげにおねだりできるなんて、リリアーヌはなんて淫らなんだ」 -
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