-
あらすじ
可愛い声だ。もっと啼かせたいな
冷たかった旦那様が、極甘愛妻家に豹変!?皇妃アンネマリーは何者かに毒殺されるが、目覚めたら二年前に巻き戻っていて!? 皇妃でなくなれば死を回避できると思い離婚しようとするも、前世で冷たかったはずの皇帝ジークハルトが、なぜか溺愛して手放してくれない! 「あなたは私をもてあそぶ小悪魔だね」甘く迫られ濃密に触れ合っていくうちに、身も心も彼の愛から逃れられなくなり……?
-
キャラクター紹介
-
アンネマリー
不幸な死を遂げた皇妃…のはずが死に戻る。今世では死を回避するため、不仲だった皇帝との離婚を望む。 -
ジークハルト
若く麗しき皇帝。前世では冷徹な印象だったが、今世ではアンネマリーを溺愛し手放そうとしない。
-
-
試し読み
「あなたの唇は極上だ。ずっとこうして、キスしたかった」
そう言うと、彼はアンネマリーの体を軽々と抱き上げる。
強靭な腕に掬い上げられ、さらりと裾のレースが舞う。慌てて頑強な肩にしがみついた。
「きゃ……!」
「花嫁をベッドにさらうよ。安心していい。私はあなたを落とすような愚鈍な男ではない」
瞬く間に寝台に辿り着き、ジークハルトは紗布を捲る。
アンネマリーの体は羽毛が落ちるような静けさで、純白のシーツに下ろされた。
伸しかかってきた彼の精悍な顔が、ほのかな明かりにより、濃い陰影を形作っている。アンバーの瞳に宿る情欲を感じ取り、アンネマリーの胸がどきんと弾んだ。
わたしはこれから、彼に抱かれるのだわ……。
そんなことはわかり切っていたはずなのに、いざとなると緊張して体が強張る。
前世では、ジークハルトとどんなふうに抱き合ったのか記憶がおぼろだった。
だから今夜が、本当にふたりの初めての夜と言っても過言ではない。
大きなてのひらがアンネマリーの頬をゆっくりと滑り下りる。
獰猛な眼差しを隠しもしないジークハルトだが、彼は穏やかな声を紡ぎ出した。
「怖がらなくていい。あなたが嫌がることはしない。優しくするよ」
アンネマリーは、こくりと頷いた。
彼は紳士なので、そういう意味では信頼している。ジークハルトが声を荒らげたり、横暴な振る舞いをするなんて一度たりとも見たことがない。
それにアンネマリーは二度目の人生なのだから、今さら恐れることなどなにもない。
わかっているのに、どうしてこんなにも胸がどきどきと脈打ってしまうのだろう。
きっと、初夜を過ごすのが初めてだからだわ……。
別に、ジークハルトにときめいているわけではない。
幼い頃からよく知る仲で、親戚で、しかも前世ではうまくいかない夫婦だったのだ。
だから彼に惹かれたりしない。円満に離婚するためにも。
そう心に刻んだアンネマリーだが、どうしても胸の高鳴りが抑えられない。
「わ、わたしは平気よ」
「本当にそうかな?」
挑むような表情を浮かべたジークハルトだが、ふいに真摯な顔に変わる。彼は、ゆっくりと端正な顔を傾けた。
あ、また、キスされる……。
その予感を、高鳴る胸の鼓動とともに、喜びをもって迎えられた。
雄々しい唇が触れると、アンネマリーはそっと瞼を閉じる。
ジークハルトのくちづけは優しかった。
ふたりは神聖な誓いのごとく、長い接吻を交わした。
極上のキスに、アンネマリーの胸のうちが蕩けていく。
唇が離れると、彼は雄々しい唇で首筋を辿っていく。
アンネマリーが身にまとっているネグリジェが、そっと指先で脱がされていった。
下着はつけていないので、ネグリジェが剥がされると、白い双丘がまろびでる。
ジークハルトは情欲を滾らせた双眸で、炙るように肌を見つめた。
「美しい。あなたの肌はまるで極上の真珠のようだ」
「そ、そうかしら?」
アンネマリーは恥ずかしくてたまらず、ふいと視線を逸らす。
彼女の顎のラインをくすぐるように、長い指先がなぞった。
「至宝だよ。どんな貴重な美術品より、あなたの体は美しい」
そんなことは誰にも、一度たりとも言われたことがない。
真剣に呟くジークハルトに、アンネマリーの胸には驚きとともに喜びが湧き上がった。
決して自信のある体ではないけれど、褒めてもらえると嬉しい。たとえお世辞であっても、少しなら自信を持ってもいいのかな、と思えてくる。
アンネマリーは胸を隠そうとしていた両手を下ろした。
ジークハルトになら見られたい、という誇らしい気持ちが湧いていた。
チュ、とアンネマリーの唇にキスをひとつ落としたジークハルトは、膝立ちになって自らの寝巻を脱ぐ。
潔くローブを脱ぎ捨てると、神が造形したのかと見まごうばかりの肉体が露わになる。ほどよくついた筋肉はしなやかで、雄の猛々しさを滲ませている。綺麗に割れている腹筋と剛健な肩が見事だった。
初夜の夫の裸を、どきどきしながら見つめる。
ジークハルトは乗馬が得意で、日頃から剣の鍛錬も怠らない。それゆえ理想的な肉体が作られているのだろう。
しかも彼の中心はとても大きくて、天を衝いている。
直視するのは、はしたないと思い、そっと目を逸らす。
すると、ジークハルトは唇に弧を描く。
「私の体は好きかい?」
「え、そ、そうね……。鍛えられていて、とても素敵だわ」
アンネマリーは戸惑いながらも、正直に答えた。
こんなに素敵な肉体を嫌いな人なんていないだろう。
だけどジークハルトはその答えに、不服げに眉を跳ね上げる。
彼はアンネマリーの乳房を大きなてのひらで包み込むと、円を描くように揉みしだいた。
ゆっくりと、優しい手つきで、愛撫が始まる。
「あ……ん……」
まろやかな感覚が身に染み込んできて、濡れた声が漏れる。
ジークハルトは丹念に胸を揉みながら、低い声で囁いた。
「好き、って言ってほしいな」
「ん……好き」
「私も。好きだよ」
体の話だと思うが、好きと言い合うだけで、なんだか恋人のような甘い気分になり、心が綻んでいく。
胸を揉みつつ、ジークハルトは赤い突起にくちづけた。
チュッと吸い上げられて、鋭い官能が体に走る。
「あっ! ん……」
思わず高い嬌声を上げてしまった。
体がこんなに敏感に反応するなんて、いったいどうしてしまったのだろう。
「可愛い声だ。もっと啼かせたいな」
蕩けるような甘い声で囁かれると、アンネマリーの肌はぞくんと粟立つ。
ジークハルトは胸の尖りに唇を寄せて、淫猥に舐めしゃぶる。
肉厚の舌で乳首を舐め上げると、口腔に含み、チュウチュウと音を立てて吸った。
瞬く間に乳首は硬く勃ち上がり、赤く色づく。
もう片方の突起にも、彼は指を這わせた。
指先でまだ柔らかい乳首を捏ね回し、押し潰す。それを幾度も繰り返されると、そちらの尖りも絶妙な愛撫に硬くなってしまった。
「んっ……あ……んぁ……」
次々に湧き上がる甘い快感に、唇からは鼻にかかった喘ぎ声が零れる。
気持ちがよくて、たまらない。
ジークハルトは両方の乳首を、唇と舌、そして指を使って、たっぷりと愛撫した。
右の突起を執拗に舐めしゃぶると、次は左へ。そして左の乳首を吸い上げてから唇で扱くと、今度はまた右へ。
しかも空いたほうの尖りを指先で捏ねるのも忘れない。さらに、てのひらで膨らみを揉みしだくので、アンネマリーはすっかり濃厚な愛撫に蕩けた。
「はぁ……あぁ……ん、あ……ん」
こんなに甘えた声が出るなんて、自分でも信じられない。
とろとろに蕩けた体は、腰の奥から蜜を滲ませる。
きゅっ、と乳首を摘ままれた。
「はぁっ! あっん」
強い刺激を与えられ、きゅんとした下肢が、じゅわりと濡れた感触を伝える。
え……わたしの体、どうなったの……?
愛撫されてこんなふうに感じるなんて、未知のことだった。
散々愛撫した胸を両手で包み込んだジークハルトは、その手をみぞおちから腹へと滑り下ろす。
まとわりついていたネグリジェを下げられ、足首から引き抜かれた。
ついにアンネマリーの身にまとうものはなくなり、全裸にされてしまう。
純白のシーツにさらされた体はさながら羽化したばかりの蝶のよう。
ひどく無垢で無防備な肌をすっぽりと覆い隠すように、男の強靱な肉体が被さる。
「感じやすい、いい体だ。ここは、どうなってるかな?」
大きな手は太股を撫で下ろし、膝頭へと到達した。ぐい、と膝裏を持ち上げる。
脚を開かされ、アンネマリーの秘所がさらされた。
「あっ……やぁ……こんな格好……」
「とても綺麗だよ。夫である私の前では、あなたのすべてを見せてほしい」
蕩けるような甘い声で言われ、かぁっと顔が熱くなる。
アンネマリーが頬を染めるのを見たジークハルトは、目元を緩めた。
彼は頭を下げると、肉厚の舌を差し出す。
「ひゃ……ぁ……」
ぬるりと、生温かいものが花襞に触れる。
ジークハルトの舌が、秘所を舐めたのだ。
「や、やめて、そんなの、汚いわ……!」
あまりのことに、アンネマリーは脚をばたつかせる。
その脚を宥めるように撫でたジークハルトは、少し顔を上げた。
「汚くない。あなたの体はどこもかしこも綺麗だ」
「で、でも、皇帝が犬みたいに舐めるなんて、いけないわ……」
「今の私は皇帝ではない。ベッドでは、あなたの夫だよ。妻を愛でるのは当然のことだ」
不敵に笑ったジークハルトは再び顔を下げた。
期待と不安が入り混じるアンネマリーは、直後に経験したことのない感触を得る。
ぬくっと、生温かいものが蜜口に挿し入れられた。 -
関連作品