書籍紹介
初恋の人が王太子殿下だったので諦めようとしたら激しく求婚されました
初恋の人が王太子殿下だったので諦めようとしたら激しく求婚されました
ISBN:978-4-596-31686-8
ページ数:322
発売日:2021年12月25日
定価:660円+税
  • あらすじ

    僕の花嫁は君だけだ
    大好きだった人がいきなり国王陛下に!?

    伯爵令嬢ミレイユは父が連れてきた少年エドと心を通わせ結婚の約束をしていたが、彼は殺された前王の忘れ形見だった。運命が変転し王位に即かざるをえなくなったエド。彼に会うため都に行ったミレイユは従兄に媚薬を盛られ偶然再会したエドに助けを求める。「熱で溶けてしまうほど愛し合おう」変わらない情熱で愛され、一時の喜びに浸る二人だが!?

  • キャラクター紹介
    • ミレイユ
      代々騎士を輩出するクレーヴ伯爵家の一人娘。

    • エドアール
      アンリに匿われミレイユと共に育てられる。

  • 試し読み

    「ここ、どこ……?」
    「僕の寝室だ」
    だが、ミレイユの視界は薄い霧がかかったようにぼやけており、どこに何があるのかもよく判断できない。なのに、自分に覆い被さって目を覗き込む、エドアールの端整な顔立ちと瑠璃色の瞳だけはわかった。
    「エド、体が、熱い……」
    大きな目から水晶を思わせる澄んだ涙が零れ落ちる。
    ミレイユは熱さに耐えられずに、胸元のドレスのレースを引き千切ろうとしたが、その手をエドアールが掴んで止めた。
    「大丈夫だ……」
    低く掠れた囁きが耳を擽る。
    「僕にすべて任せればいい」
    (そうよ。エドになら、すべてを任せてもいい)
    男性はこの世でたった一人、エドアールにしか触れられたくはなかった。
    エドアールはミレイユを俯せにすると、背筋に沿って並んだドレスのボタンを一つ一つ外していった。
    エドアールの指先がコルセット越しにミレイユの背筋に触れる。しっかりした生地越しだというのに、それだけでびくりと体が震えた。
    媚薬とは体が火照り、解放されたい一心から男を求めるようになるだけではなく、感覚全体が敏感になるものらしい。
    一体肌に直に触れられるとどうなってしまうのか――ミレイユがぼんやり考える間に、続いてコルセットの留め具のリボンがするりと解かれた。
    「君がこんなにきつい下着を身に着けているなんて信じられないね。これでは木登りも駆けっこもできないだろうに」
    「だって……エドに見てもらいたかったんだもの」
    エドアールから「美しい」と言われたい――そのためだけに窮屈な下着も我慢した。
    「……僕のためにかい?」
    「そう、エドにしか見てほしくない……」
    「嬉しいよ、ミレイユ。僕も君のこんな姿を、他の誰にも見せたくはない」
    コルセットを丁寧に剥がされると、剥き出しになった背に、闇に冷やされひんやりした空気が触れた。
    わずかだが熱が逃げて、ミレイユはほっと吐息を漏らす。だが、背に口付けられたことで、また肌が熱を持った。
    「あっ……エドっ……」
    「ミレイユ、君の肌は白磁のようだ。それとも、降ったばかりの踏み荒らされていない初雪か」
    エドアールの唇が肩甲骨から首筋へと移動し、首筋から背筋へと降りていく。ミレイユは思わずシーツを掴んだ。
    エドアールの唇はミレイユ以上に熱い。媚薬は飲んでいないはずなのに不思議だった。
    「僕にとっての媚薬は君だ」
    熱に浮かされたミレイユの耳には、エドアールの囁きは音楽のように聞こえた。
    「ミレイユ、熱で溶けてしまうほど愛し合おう」
    淡い桃色のドレスが純白のシーツに音もなく広がっている。
    その上に生まれたままの姿で俯せに身を横たえたミレイユは、足を得て陸に打ち上げられたお伽噺の人魚に見えた。 
    だがお伽噺と違うところは、王子のエドアールが――今となっては国王だが――がミレイユの正体を知っており、抱こうとしているところだ。
    エドアールはミレイユの肢体をくるりと反転させた。
    小柄で華奢な体には似合わぬ、大きく実った豊かな乳房が、ふるふると揺れながら露わになる。熟れかけのサクランボにも似た頂は、すでにぷっくりと勃っていた。
    「ミレイユ、綺麗だ」
    エドアールが上着を脱ぎ捨て、シャツのボタンを外して伸し掛かる。
    通常なら心臓がある左胸には、星形の傷跡がくっきりと残っていた。
    エドアールは再びミレイユの手を取りそっと口付け、続いて白い指先をそっと口に含んだ。
    ミレイユはぬるりとした感触に「あっ」と声を上げた。だが、エドアールはお構いなしにミレイユの指先を味わっている。
    「汗を掻いていたからか、少々塩気がある」
    「え、エド……」
    エドアールの唇は一匹の生き物となって、ミレイユの肌を辿っていった。
    指先から手の平へ、手の平から手首の内側へ。
    陽のほとんど当たらない柔らかな肌は、より感覚が鋭くなっているのか、舌で舐め上げられるとぞくりと粟立った。
    途中、きつく吸われて肩がびくりとする。肘の裏側の肌に赤い痕が刻み込まれていた。
    「ミレイユ、これから僕は君に、君は僕のものだという証をつける」
    「あ、証……?」
    「ああ、そうだ」
    言葉とともにエドアールはミレイユの首筋に顔を埋めた。
    「あっ……」
    「激しく脈打っているね」
    「……っ」
    肌を軽く吸われ、舐められる感覚に身悶えする。不思議なことに、首筋を刺激されると、感覚が連動しているのか、耳裏がピリピリとした。
    だが、その刺激も口付けをされた時ほどではなかった。
    「んっ……」
    唇から伝わる熱がミレイユの口内に火をつける。
    「んんっ……」
    エドの口付けは執拗でありながらも丁寧だった。啄むように繰り返しつつ、時折動きを止めミレイユの唇の輪郭を下でなぞる。
    舌先のざらりとした感触に背筋がゾクゾクとし、気が付くと自然とミレイユの唇も開いていた。
    その隙を見逃さずに、エドの舌が口内に滑り込む。
    「んっ……」
    喉から火照った息が漏れ出る。唇と唇の狭間で舌先が触れ合うと、火花が散ったようにビリリと稲妻が走った。
    (気持ち、いい……)
    霞がかった視界が更に白く染まる。
    一方で、腹の奥には熱が溜まりつつあった。歯茎を舌先でなぞられるごとに、時には唇を滑らせ顎を吸われることに、再び唇を奪われ舌を絡め取られるごとに、凝った熱が降りてきて足の狭間を潤すのがわかる。
    (あ、つい……)
    先ほどまでは熱さは苦しみでしかなかったのに、今はエドの唇での愛撫によって快感に変わりつつあった。
    唇から胸へと辿り着いた劣情に熱せられた唇が、ピンと立った頂を口に含む。
    「あんっ」
    歯を立てられるとあられもない声が唇から漏れ出た。
    「ミレイユ、感じているようだね」
    「感じる……?」
    「そうだ。君の中にいる女が、男の私に反応しているんだ」
    エドアールはミレイユの左の乳房を味わいながら、右側を強く、弱くと緩急をつけて揉み込んだ。
    ミレイユは唇で赤ん坊のようにちゅっと音を立てて吸われ、ベッドの上で背を弓なりに仰け反らせた。
    「あ、ああっ……」
    かと思うともう一つの胸の頂を、指先できゅっと捻られる。背筋から首筋に掛けて雷が走り、足の狭間にある蜜口からじわりと淫らな液体が滲み出た。立っていれば膝から崩れ落ちていただろう――それほどの強い刺激だった。
    媚薬でろくな思考もできないはずなのに、未知の感覚に一抹の怯えを覚える。同時に、もっと口付けされ、もっと触れられたい――そんな欲求もあるのが不思議だった。
    「ミレイユ、もう濡れているかい?」
    「ぬ、れ……?」
    どこが何で濡れているのかがわからない。
    エドは答えの代わりに、ミレイユの両膝に手を掛け、ぐっと押して足を割り開かせた。
    「ひゃんっ」
    ミレイユの秘められていた花園が露わになる。明るい金の和毛が申し訳程度に茂っていたが、帳ほどの役にも立っていなかった。
    白い肌の奥にはぱっくりと石榴にも花弁にも似た割れ目があり、妖しく濡れてひくり、ひくりと蠢いてエドを誘っている。この奥にはもっと美味しい蜜があるのよと言わんばかりに――
    だが、ミレイユはみずからの花園を自分では一度も見たことがなかった。それなのに、今はあの吸い込まれそうな瑠璃色の瞳に晒されているのだ。
    熱に溶かされていた意識がわずかに戻る。
    「や……エド……そんなに……見ないで……」
    (恥ずかしい……)
    ドレスの着付けをする前に入浴はしたが、ダンスで汗を掻いてしまっている。エドに見せていい部分ではなかった。
    「可哀想に。まだ正気が残っていたのか。いっそ、狂ってしまった方がよかったのかもしれないな」
    大きく開かれた脚の狭間に、ぬるりとした何かが這った。
    「あ……あっ」
    エドの舌なのだと気付き身を捩らせる。
    「え、エド……どうして、そんなことっ……」
    熱い舌がミレイユの大小の花弁の輪郭をなぞる。もっと敏感な箇所があるのにと、まだ開ききっていないミレイユの肉体が体の奥から訴え、蜜を滾々と分泌してエドアールの唇を濡らした。
    蜜はエドアールの唾液と混じって、舌での花園の愛撫の動きを滑らかにした。
    「ん……んんっ」
    ミレイユの右足の爪先が引き攣ってピンと伸びる。
    「ミレイユ、君の蜜はとても……とても甘い」
    じゅくじゅくといやらしい音が足の狭間から聞こえる。
    「あっ……だ、め……ああんっ」
    媚薬の効果ではなく快感で目の前に火花が散り、一瞬真っ白になってミレイユの視界を塞いだ。
    「え……ど……」
    シーツを握り締めるばかりだった白い右手が力なく挙がる。
    「なんだい、ミレイユ」
    「そこ……じゃない」
    もっと別の箇所を舌で弄ってほしかった。
    「ここかい?」
    「……っ」
    花心を唇で挟まれ一瞬息が止まる。舌先で嬲られ、吸われると全身が軽く痙攣した。
    「あっ……ああっ……エド……エド……」
    エドアールはどんよくにミレイユの花園を荒らした。
    花心に続き蜜口に舌が滑り込んだ時には、異物感にびくりと体が引き攣った。
    「あっ……い、やんっ……」
    「何が嫌なんだい?」
    「……っ」
    何が問われてもどう答えればいいのか、そもそも嫌というわけではない。むしろ、もっと大きくかたいものがほしかった。
    だが、ろくに声を出せずに胸を上下させるしかない。
    エドアールはミレイユの心境を知ってか知らずか、なおも舌でミレイユの花園を苛んだ。蜜口から続く隘路はひくり、ひくりと蠢いて、エドの舌をより奥に誘おうとする。
    だが、エドは顔を上げると、長い指で唇の端を拭った。吸い込まれそうな瑠璃色の瞳には、恋情と劣情の炎が宿っていた。
    「ミレイユ……」
    その眼差しはミレイユの知るエドアールのものではなかった。肉食獣めいた獰猛さがあり、快感に浮かされる中でも、本能的にミレイユは恐れて身を捩らせた。
    エドアールの美貌が再びミレイユの脚の間に埋められる。
    「ミレイユ、怖いかい?」
    「こ……わい?」
    何が怖いのかがわからない。
    「そうだね……。いきなりでは怖いだろうから、もう少し慣らした方が、きっと辛くないだろう」
    蜜口を侵していた舌がするりと抜かれる。
    「あっ……」
    虚ろとなったそこに今度は舌よりももっとかたい、骨張った何かが差し入れられた。
    「……っ」
    舌にはなかった軽い圧迫感に、アクアマリンの目が見開かれる。
    エドの長い指はミレイユの花弁を掻き分け、舌での愛撫で緩んだ内壁を押し開いた。
    中でくいと第一関節を曲げられる、
    「ああっ」
    また火花がミレイユの曖昧な視界に飛んだ。
    だが、これでは足りないとミレイユの中の女が訴える。
    「え、ど……ほしい……」
    「ほしいとは何がほしいんだい?」
    何がと言われても肝心のその言葉を知らない。だから、ミレイユはこう続けるしかなかった。
    「わ、からない……でも、ほしいの……」
    「君がこんなに淫らになるなんて……」
    エドがもう一本指を入れる。
    「あんっ」
    異物にまだ慣れぬはずなのに、ミレイユの体は容易くそれを呑み込んだ。
    「あっ……んんっ……ああんっ」
    下腹部がズキズキと痛みのように疼く。だけど、その感覚を押さえ付けたいとは思えない。疼きは下腹部から背筋を辿り、ミレイユの脳髄へと達した。
    「あっ……え、エド……は、はやく……」

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